我が家のファミリー通信 No.49

道東の旅(弟子屈編)


道東旅行3日目、風蓮湖を歩いた後の次の目的は屈斜路湖を歩くことである。
別海から弟子屈へ向かうのが最短コースだが、冬の尾岱沼も見てみたいので、海岸沿いの道を走ることにした。
ヤウシュベツ川から眺める風蓮湖その途中、ヤウシュベツ川に架かる万年橋の上から風蓮湖を眺めると、遥か遠くの方に車やテントがずらりと並んでいるのが見えた。
ワカサギ釣りの人達なのだろう。
そこで、釣れたワカサギを放り投げておけばオオワシやオジロワシが集まってくるかもしれないなどと、相変わらずオオワシのことが頭から離れない。

風蓮湖の、春国岱とは反対側の砂嘴に位置する走古丹にも行きたかったけれど、あまり欲張りすぎると予定していたイベントにまで影響しそうなので、ここは素通りする。
再び海沿いの道へと出てきた。根室付近の海は流氷で埋められていたのに、この辺りでは流氷の影も形も見えない。

尾岱沼の青少年キャンプ場に寄り道する。結氷して真っ白になった野付湾の風景を見てみたかったのだ。
キャンプ場は閉鎖されていても駐車場は除雪されていた。それを見るとついつい「雪中キャンプにちょうど良さそうだ」と考えてしまう。
冬の尾岱沼ふれあいキャンプ場雪中キャンプの場所を探す時に一番問題となるのは、安心して車を停めておける場所の有無なのである。

真っ白な野付湾の風景は特に心を動かされるほどのものではなかった。
風蓮湖もそうだけれど、結氷した水面はただの白い雪原と変わりなく、取り立てて面白い風景ではない。
この風景は、周りから眺めるよりも、その中を歩いてみて、初めて楽しめるものなのかもしれない。

次に、野付湾を囲む野付半島の方へも回ってみることにする。
根室から見た時は雲の中に隠れていた知床半島の山々も、徐々に姿を現してきていた。国後島の姿も確認できる。
ここの海が流氷に埋め尽くされ、知床から国後島までが陸続きの様になった風景を是非とも見てみたいものである。

やっとオオワシの写真を撮れた海の中の消波ブロックの上にポツンととまっているオオワシを発見。
距離が遠くて小さくしか写せなかったけれど、遅ればせながら、これでようやく旅の目的の一つを果たすことができた。

半島の先まで行っても特に見るべきものも無さそうなので、途中からUターンした。
すると、正面に真っ白な山の姿が見えていた。
武佐岳だろうか。
この付近を走っていると広大な大地と遠くに見える山の姿がとても印象的である。
特に冬は、お互いが真っ白なその姿を競い合うようでもあり、更にその美しさを増している。
そんな風景を眺めながら冬の道東ドライブを楽しむ。

ナッカリーノ店内中標津で昼食にする。
ナッカリーノというパスタ屋さんに入ったところ、かみさんが「今までに入った店の中でここが一番おいしい」と言うくらいに、大当たりの店だった。
今回の旅行では、下調べのおかげで順調に美味しいものを食べることができている。

中標津から先では今度は西別岳や摩周岳の姿が目を引くようになる。
特に西別岳は5年前に一度登っているので、余計に気になってしまう。
その姿をもっと楽しみたく、遠回りになることも気にしないで脇道に入った。
真っ白な摩周岳を眺めていると、「明日、天気が良ければ摩周湖の外輪山を歩くのもありかな」と新たなイベントが浮かんでくる。
当初の予定では、最終日は天気が崩れそうなので一気に札幌まで帰るつもりでいたのである。


冬の道東は山が印象的だ
左に見えるは西別岳に摩周岳、道路の真正面にも真っ白な山の姿が見える

我が家が冬の屈斜路湖を訪れるのは、今回が初めてだった。
そこで楽しみにしていたのは、その湖面にできる御神渡りである。
屈斜路湖の釧路川が流れ出すところ面に張った氷が膨張・伸縮を繰り返すことによって割れ、それが盛り上がって湖面に山脈の様に連なるのが御神渡りで、屈斜路湖の御神渡りは日本一の規模なのだとか。

ところが、食べ物屋については事前に十分調べていたものの、この御神渡りについては湖のどの辺りにできるのかを全く調べていなかった。
湖畔の道路を走っているとかみさんが「あれじゃないの?」と言ってきた。
確かに、樹木の間から湖岸の氷が筋になって盛り上がっているのが見える。
でも規模が小さすぎた。
屈斜路湖の御神渡りは湖を横断するようにできている筈である。

砂湯の駐車場に車を停める。
大型観光バスが停まり、観光客の一団がぞろぞろと降りてきていた。
お湯が湧き出す湖畔の一部は氷が解けて、そこに何十羽ものハクチョウが集まり、観光客に餌をねだる。中国語とハクチョウの鳴き声が混ざり合い、うるさくて堪らない。
孤高を保つ白鳥達遠くの湖面に白く盛り上がった様な筋が見えていた。
お土産屋で聞いてみると、どうやらそれが目指す御神渡りらしい。

夏場にキャンプ場として賑わう付近の湖岸は全て氷が解けているので、しばらく湖畔沿いを歩いていく。
お土産屋付近の喧騒も聞こえなくなる辺りに十羽ほどのハクチョウが集まっていた。
「俺たちは観光客に餌をねだるような堕落したハクチョウではない」と主張しているようで、どことなく頼もしく見える。

ようやく、湖に張った氷の上に湖畔から直接出られる場所までたどり着いた。
それまで、氷が解けて水面が開いた様子を見ていたので、足元の氷を完全に信じることはできないが、多分車が乗っても耐えられるくらいの氷の厚さはあるのだろう。

湖岸に沿って50センチほどの高さで氷が盛り上がっていた。
お土産屋の主人も言っていたが、今年の御神渡りはまだあまり大きくなっていないようだ。
藻琴山と御神渡り時には高さが2mに達することもあるそうだが、一番大きく成長するのは2月末頃らしい。
迫力はないけれど、重なり合った氷の隙間が流氷ブルーに染まっていたりと、なかなか美しい。
回りの雪の上には足跡も沢山残っていて、この辺りまでは観光客もやってくるようである。
でも私が見たかったのは、最盛期にはその延長が10キロにも達すると言う湖を横断する御神渡りだった。
それらしい氷の列が遠くに見えている。
真っ白に広がる屈斜路湖の湖面の向こうには両側に裾野を長く伸ばした藻琴山が美しくそびえていた。
湖を二つに分かつ御神渡りは、所々で荒々しく氷が重なり合い、それを作り出す自然の厳しさを感じさせてくれる。
そこまで歩いてくる人は少なく、足跡もまばらである。
氷の山脈はそこからはるか先まで延びていたが、きりがないので途中から引き返す。


観光客の前に群がるハクチョウ キャンプ日和
観光客の前に群がるハクチョウ ここでキャンプしたいな〜

御神渡り
湖上の遙か彼方まで御神渡りが続いている

藻琴山を横切るハクチョウハクチョウの独特な鳴き声が聞こえてきた。
頭上を振り仰ぐと、真っ青な空を背景にして、ハクチョウの群れが一列になって飛んでいた。そのままの隊列で藻琴山の前を横切っていく。
何とも、絵になる光景である。

駐車場へ戻る途中、湖岸の木々の間を飛び交う小鳥たちに足を止める。
風もなく、太陽の陽射しが心地よく、目の前に広がる真っ白な屈斜路湖の眺め。
ここにテントを張れば、最高のキャンプを楽しめそうである。

日が沈むまで後1時間。
三日連続で夕日を楽しんでから宿に入る選択肢もあったが、今日の宿泊は川湯温泉の川湯観光ホテルである。
やっぱり、さっさとホテルに行って温泉に入る方が魅力的だった。

ここの温泉はPH1.6の強酸性。目には染みるし、首筋が少し擦れていたのかお湯に浸かると痛くてたまらない。
夏の海で日焼けした後にここの温泉に入ったら、とんでもないことになりそうだ。
成分がきつすぎるので、温泉水ではない湯船も用意されているほどである。
部屋も広くて、食事も豪華なものは出なくても我が家にとっては十分な内容、そしてこの完全な源泉かけ流しのお湯に入る。
1泊2食付6500円と、探した中では最も安い宿だったけれど、その値段以上に満足することができた。
硫黄山これに、職場の福利の補助が使えたので3500円で泊まれるのだから、もしも砂湯でテント泊をしようと考えても、実行に移すためには大いに悩みそうである。

道東旅行最終日、予想外の青空が広がったので、昨日考えた通り、摩周湖外輪山のスノーシュートレッキングツアーに出かけることにした。
川湯温泉のこの日の最低気温はマイナス21度。
モクモクとガスを噴き上げる硫黄山周辺の樹木は、樹氷に覆われ真っ白になっている。

川湯温泉から摩周湖の第3展望台へ通じる道は冬期間通行止めのため弟子屈からぐるりと遠回りしなければならない。
摩周湖でも樹氷の風景を期待していたが、こちらの方の気温はマイナス10度程度。これでは樹氷はできやしない。
摩周湖第一展望台駐車場しかし、天気は申し分なく、一際高く聳える雄阿寒岳など遠くの山並みが隅々まで一望できる。
そんな風景に刺激され、一刻でも早く摩周湖の姿をこの目で見たく、慌ただしくスノーシューを履いて湖を見渡せる場所まで駆け上がった。

摩周湖の湖面は結氷しているらしく、幾何学模様のような線が湖上に描かれ、風に吹かれた粉雪が白い斑点となってその上に散らばる。
紺碧の空がその氷に映り込み、摩周ブルーとも言われるその青色が更に深みを増している。
それを取り囲む雪に覆われた外輪山。更にその奥には真っ白な斜里岳が、その姿を見せる。
私がこれまでに見た摩周湖の中で、これ程感動的な風景に巡り合ったのは初めてと言っても良いだろう。


凍結した摩周湖
凍結した摩周湖

真正面には摩周岳の荒々しい姿が見えている。
ここから外輪山をぐるりと回ってその山頂に立つことも可能だけれど、勿論そこまで本気に山登りをするつもりは無かった。
たとえあったとしても、真冬の摩周岳はアイゼンにピッケルの世界で、私たちが近づけるような場所ではない。
摩周湖外輪山を歩くそこで、その手前に見えている小さなピークを今日の目標に定めた。予定外の行動だったので地図も無く、そのピークまでどれくらいかかるのかも見当が付かず、行けるところまで行く気軽な気持ちで外輪山を歩き始めた。

展望台からしばらくの間はスノーシューも必要ないくらいに雪が踏み固められ、一般の観光客も結構入ってくるようだ。
しかし直ぐにその足跡も少なくなる。
ホテルで見たオプションツアーのリストに、摩周湖外輪山のスノーシュートレッキングも含まれていたが、週末を過ぎたばかりにしては、足跡が少し少なすぎる気がする。
片側には阿寒付近の山塊から根釧台地の雄大な眺めまでが一望できて、その反対を見やれば美しい摩周湖の姿。
根釧台地も見渡せるこの風景には、もっと沢山の人達を惹き付ける魅力が隠されている気がする。

山スキーで歩いたトレースも残っていたが、アップダウンが多いので、ここを歩くのにはやっぱりスノーシューの方が適している。
身体が少し汗ばんできた。
何時もの山スキーの時とほぼ変わらない服装に身を包んではいるものの、飲み物の用意も何もしていなかった。
歩き始める前にペットボトル入りのお茶くらいは展望台の売店で買えば良かったのだが、気が急いていたので直ぐにスタートしてしまったのだ。
軽いトレッキングのつもりが、結構本格的な山登りになってしまいそうである。


外輪山からは周りの山が一望できる 特に雄阿寒岳が目を惹く
周辺の山を一望しながら外輪山を登る 雄阿寒岳がよく見える

ここまでで満足一旦高度を下げた後に、尾根の上を登っていく。
最初に目標にしたピークはまだかなり遠くに見えていて、ハンディGPSで確認しても、結構距離がありそうだ。
時間も既に1時間近く経っていた。
ピークの手前にも展墓の良さそうな場所が見えていたので、そこを今日の目標地点に切り替えた。
そこまで登れば摩周湖の南側に広がる根釧台地まで見渡せそうである。

そしてそこには期待通りの展望が広がっていた。
昨日、その付近を走ったばかりの根釧台地の他に、車の窓からその姿を眺めていた西別岳の山頂も僅かに見えている。
そして全く違う方向から眺める摩周湖。ここまで歩いてきたものだけが目にすることのできる、一風変わった摩周湖である。


違う方向から眺める摩周湖
違う方向から眺める摩周湖

第一展望台からここまで約1時間10分、帰りが約1時間のスノーシュートレッキング。
それを終えての正直な感想は、やっぱり第一展望台から見る摩周湖の姿が一番美しいということだった。

これで3泊4日の道東旅行のイベントは全て終了。
冬の道東を満喫する4日間となったのである。
(2012年2月5日〜6日)

道東旅行(弟子屈編)の写真へ 


摩周湖の風景 目標地点
やっぱりここから見る摩周湖が一番良いかも どちらでも大して差はないか

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