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我が家のファミリー通信 No.35

塩谷丸山&山中海岸


 せっかくの週末が、天気が良いのは土曜日の午前中だけだという。
 キャンプは諦め、小樽のかみさんの実家にでも行って秋のキャンプ用の薪割りをすることにした。そのついでに、天気の良い半日だけでも何処かで遊ぼうと、適当なフィールドを探してみる。
 そこで私が考えたのは、小樽海岸自然探勝路。この自然探勝路沿いにある赤岩は、道内屈指のロッククライミング場として知られていて、かみさんの実家からも直ぐ近くなのに、今まで一度も行った事が無かったのである。
 一方、かみさんが考えていたのは塩谷丸山の登山。
 まあ、私としては無理に自分の案を押し付ける理由もないので、ここは素直にかみさんの案に従うことにした。
 北海道夏山ガイドによると、登山口から山頂まで90分の初級レベルの山とされている。
 北海道新聞社発行のこの夏山ガイドは、先週のアンヌプリ登山のために購入したのだけれど、今回の塩谷丸山もかみさんがこの本を見て決めたようだ。
 中高年登山者の仲間入りだけは絶対にしないと心に決めていたのに、この本のおかげでズルズルと山登りの世界に入ってしまいそうな私達夫婦である。

塩谷丸山登山道 登山道入り口から少し歩いたところに入山ボックスがあり、入山届けに7時59分の現在時刻を記入して登り始める。
 既に女性が2名、それぞれ単独で入っているようだ。
 塩谷丸山は、夏に登るのは始めてだけれど、冬には山スキーで3回ほど登っている。
 その一番最初に登った時、冬用のルートがあることを知らずに、この夏道の登山道を山スキーで登ってしまい、えらい苦労したことがあった。
 クルミやドングリの実が、登山道のあちらこちらに落ちている。
 エゾノコンギクやアキノキリンソウなどの秋の草花も、道沿いで花を咲かせている。
 そんな秋の気配を無視して、夏の終わりを惜しむようにセミが賑やかに鳴いていた。
 それだけ気温も上がってきているのだろう。
 額に浮かんできた汗がタラリと流れ落ちる。
 途中の倒木の上で一休みしていると、初老の男性に追い抜かれた。
 普通は悔しく感じるところだけれど、山に登っている時はそんな気持ちは全く湧いてこない。
 私達よりも中高年のおじさんおばさんの方が圧倒的に体力が勝っていることは、否定することのできない事実なのである。


一休み

エゾノコンギク、ヤマハハコ アキノキリンソウ

樹林帯を抜ける 更に道は急になって、斜面をジグザグに登っていく。
 冬にここを登った時は、途中、キックターンで向きを変えることもできずに立ち往生していたものである。
 突然決まった山行で、初級者向け、そして冬にも登っているものだから、すっかり甘く考えて登り始めたけれど、先週のアンヌプリと同じく、楽に登れる山などないことを思い知らされる。
 やっとの思いで急傾斜の道が続く樹林帯を抜けると、その先は台地状の草原の中を緩やかな登りが続いている。
 直射日光が照りつけてくるけれど、吹き抜ける風のおかげで、こちらの方が涼しく感じられる。
 登るにしたがって周りの風景がどんどんと広がってくる。
 塩谷の漁港、小樽の赤岩、余市へと続く海岸線、さらにその先に連なる積丹の山並み。
 風になびくススキの草原の向こうに、そんな風景が見渡せる。
 下山してくる若い女性とすれ違った。
海の風景が広がる 入山の時間は私達よりも15分くらいしか違わないのに、随分と速いペースである。
 山頂が近づくにしたがって、再び傾斜がきつくなってきた。
 刈ったばかりの笹が登山道の上にそのまま敷かれているので、足元が滑りやすい。
 そこで、先に登っていたおばさんを一人追い抜く。その笹のおかげでおばさんも苦労しているようだ。
 誰かが刈ってくれたのだろうけれど、笹をかき分けて登るのと、刈られた笹で滑ってしまうのと、どちらが大変かは微妙なところである。

最後の急な岩場をよじ登って頂上に到着。
強い風に吹かれて、体がよろめいてしまう。
何だか、この山の山頂は、何時も強風が吹いている印象である。
断崖の上に張り出した岩の上で写真を撮ってもらおうとしたけれど、風に飛ばされそうで、とてもそこの端には近づけなかった。
山頂で食べるつもりでお弁当を用意してきたけれど、時間はまだ9時半。
さすがに早すぎるので、山に登った後は今度は何処かの海岸まで行って、そこでお弁当を食べることにする。


山頂間近 最後の急な登り

塩谷丸山山頂

岩の多い山頂

 山を下っていくと、次々と登ってくる登山者とすれ違う。ほとんどが中高年登山者である。
 太ったおばさんのガイドが率いる20名以上のツアー、そのおばさんガイドが「下りてくる人がいるので横に寄って下さ〜い」と号令をかけてくれる。
下山開始 「ありがとうございます」と挨拶しながら、その横を駆けるように下っていく。
 並んで待ってくれているおばさん達の間から、「さすがに若い人は早いわね〜」との声が聞こえてきた。
 そう言われて悪い気はしないけれど、そのおばさん達と私達に、多分それほどの年齢差はないのだろう。
 かなり下まで降りてくると、それまでの中高年登山者とはちょっと違って、小さな子供を連れた3世代ファミリーとか、若い男女のグループなどとすれ違うようになる。
 3名の若い女性が楽しそうにおしゃべりしながら登ってきたのとすれ違う。
 「こんにちは!」と挨拶を交わす。
 ちょっとしてから、前を歩いていたかみさんがぐるりと振り返り、「今までとは随分、挨拶する声が違っていたわよ〜」と指摘された。
 まあ確かに、ホッチャレみたいなおばさんと挨拶するよりは、若い女の子が相手の方が、こちらも思わず元気が出てしまうのである。

登山口の車の列 入山届けに下山時刻を書き込む時、途中ですれ違った女性の時間を見ると、私達より15分早く登り始めて、下山時間は更に1時間も早くなっていた。
 ここまで差があるものなのかと驚いてしまう。
 登山口は既に車で一杯でになっている。
 そこにまた1台登ってきて、停まる場所がなくて困っているようなので、汗を乾かす間もなく海へ向かって出発した。
 目指すは小樽海岸自然探勝路の途中にある山中海岸である。
 近くのオタモイ海岸は有名だけれど、この山中海岸は、自然探勝路のことを調べている時に初めて聞いた名前だった。
 車を停めた場所から20分ほど山道を下って、ようやく海岸へと出られるらしい。なかなか秘境っぽくて興味を惹かれる。

33体の地蔵尊 住宅街を抜け、そのまま真っ直ぐ海へと向かう坂道を登っていくと、小さな社の建つ広場へと出てくる。
 ずらりと並んだ33体の地蔵尊が目を引く。
 社の隣りには出羽三山神社小樽教会の看板が架けられた建物も。
 何かの由来のある場所かとも思ったが、東北出身の信者が昭和46年に個人的に建立したものらしい。
 地蔵尊の直ぐ後を小樽海岸自然探勝路が通っていて、そこから分かれて海の方へと下りる道が続いている。
 大きな樹木に頭上を覆われ、歩くのが気持ち良く感じられる道である。
 ただ、薮蚊が多くて、少しでも立ち止まると一斉に群がってくるのには閉口した。
 途中の急斜面には、何処からか転がり落ちてきたらしい車が引っ掛かっていて、赤く錆び付いた無残な姿をさらしている。
 ここの上には車が走れるような道も無いはずで、一体何処からこの車は降ってきたのか、ちょっとしたミステリーだ。
 海岸へ下りるこの道は、計画的に作られたものではなく、自然と出来上がった踏み分け道のようである。
 途中には分かれ道が沢山あるけれど、何れはまた1本の道に戻るので、どちらに進んでも問題はない。


森の中を下る 何処かから降ってきたような車

草深い道 海岸近くまで降りてきて森を抜けた先は、背の高い草に覆われ、その草をかき分けながら歩かなければならない。
 こんな場所なので海岸には誰もいないだろうと思っていたら、話し声らしきものが聞こえてくる。
 そしてようやく海岸まで出たところで、そこの様子に驚かされた。
 大勢の子供達と、それを引率しているらしい大人とで、海岸は大賑わいである。季節外れの林間学校なのだろうか。
 その集団から離れて、静かな場所に荷物を下ろす。
 かみさんが「こんな場所に大勢の子供を連れてくるなんて大したものね」と感心していた。
 そんなかみさんも、子供の頃は自分で弁当を作って、このあたりの海岸を探検して歩いていたらしい。

賑わう山中海岸

 切り立った崖が続くオタモイの海岸線が一望できて素晴らしい眺めである。
 夏の濁りも取れて、海の水は何処までも澄んでいる。
泳ぎたくなる こんな場所では自然とテントを張れそうな場所を探してしまうが、平らな場所はあまり無さそうだ。
 分厚い登山用の靴下を脱いで海の中へと入る。
 石の表面に付いている小さな貝がチクチクして、ビーチサンダルが欲しいところだ。
 水中眼鏡やシュノーケルも用意して、本格的に磯遊びをしたくなるような海岸である。
 海を眺めながらお弁当を食べていると、つい先程まで山を登っていたことが信じられなくなる。
 帰り際にグループの一人に話しかけてみると、札幌市内の団体で、こうして子供達と一緒に山に登ったり海で遊んだりの活動をしているらしい。
 この季節にこんな美しい海岸で遊んでいられるなんて、羨ましい子供達である。
 駐車場までの帰り道は、再び登山の続きをしているような気分にさせられる。
 一汗かいて駐車場まで戻ってくると、車からシュノーケルやゴムボート、バーベキューコンロなどを降ろしている若者達がいた。
 あまり人の来ない穴場スポットかと思ったら、結構人気の場所になっているようだ。


美しい山中海岸

薪割り その後は本来の目的であるかみさんの実家に行き、秋のキャンプに備えて薪割りをする。
 散々歩き回った後なので、さすがに疲れてきて、数回のキャンプで燃やせるだけの量ができたところで早々に切り上げる。
 そうして札幌まで戻って来ると、真っ黒になった空から雨粒が落ちたきた。
 半日だけの貴重な晴れ間。
 その間に十分に遊びつくすことができて、残りの一日半の休みは余裕を持って過ごすことができそうである。

2009/09/12




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