山スキーシーズンを間近に控えて、少し長距離を歩くトレーニングをしておこうと考え、小樽の穴滝を見に行くことにした。
朝から素晴らしい青空が広がる小春日和の一日。
こんなに良い天気で、しかも山スキーのトレーニングも兼ねるのならば、塩谷丸山に登るのがベストな選択だったかもしれない。
それをわざわざ「穴滝」などという如何にも薄暗そうなイメージしか湧いてこない場所に行こうとするのだから、自分でもどうかと思ってしまう。
奥沢水源地を通り過ぎ、天神浄水場の手前から道幅の狭い林道へと入っていく。その林道入り口には「穴滝4km」と書かれた小さな看板が立っている。
その距離なら十分に歩くことができるけれど、車で走れるところをわざわざ歩く気にはなれないのだ。トレーニングを兼ねると言っておきながら、楽をすることしか考えてない自分である
狭い道を、対向車が来ない事を願いながら車を走らせる。
でも、道路上の水溜りに氷が張ったままなので、その可能性は低そうだ。
1km程のところで林道は二股に分かれ、そのどちらもゲートで塞がれていた。ゲートの手前の駐車スペースは、ここへ来るまでの道が狭すぎたのでとても広く感じてしまう。
予想に反して、そこには1台の乗用車が停まっていた。
運転手は見当たらなく、少なくとも昨日からはそこに停まってままのはずだ。
ここから泊りがけで山に登るような場所でもないだろうし、何だか薄気味悪い。
ザックを背負って林道を歩き始める。
かみさんから「荷物も無いのに何でそんな大きなザックを持ってきたの?」と突っ込みを入れられるが、一応はトレーニングなのだから、山スキーの時と同じ装備でなければならないのだ。
突っ込みを入れておきながら、大きいのを良い事に「私のフリースも入れておいてくれる?」などと頼み込んできて、私のザックは衣類だけで膨れ上がってしまった。
林道はずーっと緩やかな上りが続いていて、普段から登山には縁の無い私なので、これだけでも十分なトレーニングになりそうだ。
小樽ならばまだ紅葉も残っているかもしれないと少し期待していたけれど、既に紅葉は完全に散ってしまい、裸の木々が立ち並ぶだけの味気ない風景が広がっているだけだった。
そんな一切の色が消えてしまったような風景の中で、カラマツだけが今が盛りのような見事な黄葉に染まっていた。
カラマツの黄葉は太陽の光に鮮やかに照り映える。
澄み渡った青空に向かって真っ直ぐに伸び上がる黄葉したカラマツの姿は最高に美しい。
今の季節の私の好きな風景である。
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