北海道キャンプ場見聞録
我が家のファミリー通信 No.24
ニニウへのレクイエム |
高速道路の工事の影響で今年はオープンしないというニニウキャンプ場。工事が始まってからはニニウへ行ったことが無いので、どれだけ様変わりしているのか、十勝の実家へ帰省するついでに見に行ってみることにした。 占冠村は鵡川の上流部に位置しているが、そこでも川の水はかなり増えていた。 |
砂利道が終わって2車線の舗装道路に変わるとニニウキャンプ場はもう直ぐである。 突然目の前に、道路を覆うように作られた巨大なコンクリートのボックスが現れた。 初めてニニウキャンプ場に来たときは、それまでの一歩間違えると崖下に転落してしまいそうな山道が突然立派な舗装道路に変わってしまうギャップに驚いたが、今回のギャップはその比ではない。 まったくの場違いとしか思えない構造物が、我が物顔で鎮座しているのだ。 そのボックスだけで相当の威圧感を感じるのに、そこに高速道路が繋がってくると一体どうなるのか。ニニウののどかな風景は一変してしまうだろう。 そのボックスの中を通り抜けると、直ぐにサイクリングターミナルの入り口だった。 ニニウに高速道路が作られると聞いて以来、一体どの付近に高速道路が通るのかが常に疑問だったが、まさかこんな近くだとは思わなかった。 サイクリングターミナルと高速道路は100mくらいの距離しか離れていない。 サイクリングターミナルの奥の山肌にはトンネルの入り口がぽっかりと穴を開けている。 その変わりように驚きながらも、とりあえずキャンプ場を見に行こうとサイクリングターミナルとは反対方向に道を曲がると、またまた驚かされてしまった。 そこにあるべきはずの吊り橋が無くなってしまっていたのだ。鵡川を渡るこの吊り橋は、車のタイヤが通過する部分だけを厚い板で補強したような、何とも危なっかしい代物だった。 でも、その橋を冷や冷やしながらも渡りきると、何となく懐かしさを憶えるような穏やかな風景が出迎えてくれて、うれしい気持ちになったものである。 その吊り橋があった場所には、無骨なコンクリートの橋脚が立ち上がっていた。その上部が完成したら重車両でも安心して渡れそうな立派な橋脚である。 小さな吊り橋によって現実世界から隔絶されたような雰囲気を持っていたキャンプ場は、この橋の完成によって否が応でも現実世界に直結されてしまうのだろう。 しかし、今現在は他に川を渡る場所が無いので、キャンプ場は完全な陸の孤島となってしまっている。 工事も今のところはひと段落し、訪れるキャンパーも無く、つかの間の静寂を取り戻したニニウキャンプ場。 最後のその姿を一目でも見ておこうと対岸の道路まで行ってみる。 樹木に隠れてキャンプ場の姿は見えないが、以前からある古い建物だけが見えている。 高速道路はその直ぐ後ろを通ることになるのだろう。 そこに高速道路が完成したときの様子を頭の中に思い浮かべてみたが、その浮かんできたイメージはニニウキャンプ場の終焉を思わせるものだった。 |
鵡川対岸の道路からキャンプ場付近を眺める | 高速道路予定地から見たキャンプ場方向の眺め |
豊かな自然に包まれたキャンプ場。ニニウキャンプ場にそんなイメージを持つ人は多いだろう。 |
2003年5月にあった廃屋 | 3年後には倒壊してしまった |
3年前に写真を撮った近くの廃屋が、今回訪れると完全に倒壊してしまっていた。 2006.4.29 |