久しぶりの大雪に見舞われている札幌、回りでは「もういい加減に勘弁してほしいなあ」なんて会話が交わされているが、ボクだけは「いいぞ、いいぞ、もっと降れ、もっと降れ、何もかも埋め尽くしてしまうような記録的な大雪になってくれー」と、一人で天に祈っているのだ。
 子供の頃、枝の先まで真っ白になった幻想的なカラマツ林の様子が、原風景として心の中に残っているせいか、一晩で自分の背丈以上に積もった雪の中で思いっきり遊び回った感動が忘れられないせいか、とにかくボクは雪が大好きなのである。

 30cm以上の雪が積もった翌朝、街の風景は一変している。
 全ての醜悪な人工物が全て雪に覆われ、まるで深い山の中にいるような錯覚さえ覚えてしまう。

 雪かきが大変だという人もいるが、これだって楽しみの一つだ。我が家の玄関前と車庫前の雪は横の空き地に捨てているのだけれど、この雪山がだんだんと高くなっていくのが面白くてしょうがない。
 今現在でも、2階の窓の高さに届きそうになってきているので、このまま雪が降り続ければどうなるなるのだろうとワクワクしてしまう。あまり高くすると雪を押すのが大変だと妻に文句を言われるのだが、旦那の趣味なのだと思って諦めてほしい。
 時々、この山の頂上に立っていると、無性に飛び降りてみたくなることがある。
 そんなときは、そっとあたりを見回して、誰からも見られていないことを確認した上で、エイヤッと飛び降りるのだ。すると、足がズッポリと雪に埋まってしまい抜け出せなくなってしまう。
 「ワッ、ワッ、大変だー、こんな姿をご近所の人に見られてしまってはー」と、必死になって抜け出すのである。

 最近は、本当に雪まみれになって遊んでいる子供達の姿を見かけなくなった。初雪が降ったところは結構遊んでいたのに、1月になると誰も外に出てこない。
 妻の説によると、クリスマスと正月を過ぎたあとでは、子供達は遊び道具に不自由していないからだと言うことである。なるほどと、感心させられてしまった。そんなものなのだ。

 かく言う我が家の息子も部屋の中で一日中ゲーム機にかじりついている。去年の冬までは、かまくら作りや雪像作り、雪なだれ遭難ごっことかして遊んでくれてのに、今年は全然だめだ。
 息子がつき合ってくれないと、近所から丸見えの中、さすがに大人二人で雪の中でキャーキャー言って遊ぶわけにもいかない。ボクは結構人の目が気になるタイプなのだ。

 そんなわけで、雪深い山の中で生活してみたいなと考える今日この頃なのである。


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