北海道キャンプ場見聞録
ニューテントで憧れのソロキャンプ
カムイコタン公園キャンプ場(9月14日~15日)
カヌークラブの歴舟川例会では、キャンプ場のBサイトをほぼ貸し切って全員がそこに泊まるのが何時ものパターンである。
以前は場内の通路まで使って、車も無理矢理そこに停めていたのだけれど、最近は管理が厳しくなって、車は1サイト1台までしか停められず、駐車場では車中泊禁止となっている。
クラブでは車中泊する人も多いので、サイトに停める車は車中泊優先にしたりとか、結構面倒である。
そんな関係もあって、私は今回、個人的にCサイトを利用することにした。
その方が気楽なこともあったけれど、今回は別の目的もあったのである。
それは、ソロキャンプ用として1年前に買ったニューテントを初張りすることだった。
ニューテントは、袋から一度も出さないままに1年間物置に眠ったまま。
そもそもキャンプへ出かける機会が減ってしまい、ましてやソロキャンプをする機会など皆無なのである。
何時もの例会キャンプでニューテントを張れば良いのだけれど、それではこのテントを買った意味がない。
これを張るからにはソロキャンプを楽しまなければならないのだ。
ニューテント TOKYO CRAFTS ダイヤフォートTC
そんな訳で、歴舟川を下り終えた後は皆から離れ、一人でCサイトに向かう。
3連休初日だったけれど、サイトは意外と空いていて、先客のテントが数張り張られているだけである。
Cサイトは、区画割りされているけれど、基本はフリーサイトであり、場所は早い者順だ。
この後テントが増えてくることを考えれば、端の方のサイトを選ぶのが良さそうだが、ここではやっぱり歴舟川が良く見える場所の方が良い。
結局、川を真正面に見られるど真ん中の場所にテントを張ることに決めた。
歴舟川が目の前に見えるサイト
前日に初めて袋から出して試し張りをしておいたので、スムーズに設営完了。
TOKYO CRAFTSの「ダイヤフォートTC」というテントである。
最近流行りのワンポールテントに形は似ているけれど、見た目はかなり特殊である。
設営はタープを張る要領とほぼ同じなので、特に難しくはない。
テントの生地はTC素材と呼ばれるもので、キャンパス生地に似ている。
厚手なので、普通のテントと比べると重たいが、このテントを背負って山に登ったりするわけじゃないので、欠点とは言えない。
眼の前に立っているメインポールも大して気にならない
TC素材は遮光性に優れており、テントの色も関係しているのか、中に入るとかなり暗い。
それなので、直ぐに前面をフルオープンにする。
真ん中にメインポールが立っているので邪魔くさいかとも思ったが、あまり気にならない。
インナーテントは別売りになっていたものを追加で購入。
こんな形のテントはコットで寝る人も多いようだが、私はやっぱりインナーテントの方が落ち着く。
ファスナーの位置がちょっと変わっていて、普通は入口をフルオープンにするとそのまま下にさがるものだが、これは上に巻き上げるようになっている。
どちらが良いのかは、もう少し使い込んでみないと判断しかねる。
このテントと一緒に買ったのが、同じメーカーから発売されている焚き火台のマクライト2。
これも最近流行りの薄いステンレスの鉄板を組み立てるタイプである。
これまで焚き火台といえばスノーピークとユニフレームの2択だったけれど、最近は色々なタイプの焚き火台が発売されている。
その中で私がこれを気に入ったのは、コンパクトに収納できることと、焚き火台の上に鍋やフライパンなどを置けるようになっていること。
焚き火で料理をするのは、ソロキャンプの楽しみの一つでもある。
勿論この焚き火台も今回が初使用となる。
焚き火台の使い初め
道の駅忠類の隣りにある十勝ナウマン温泉で風呂に入り、戻ってきてもテントの数はそれほど増えていなかった。
Cサイト全体で6組くらいのキャンパーである。
クラブで貸し切ったBサイトの方も、今回は参加者が少なく、各自の車もそのままサイトに停められるくらいだ。
これならば、素直にBサイトにテントを張っても良かったかもしれない。
サイトに戻って早速焚き火を始める。
焚き火台で燃やす薪は、河原で流木を拾ってきたけれど、家からも白樺の薪を持ってきていた。
自宅のD型倉庫の中には白樺を割った薪が大量に積み上げられているのだけれど、キャンプをしないと全然使う機会がない。
白樺の薪は古くなると乾いてスカスカになってしまうので、早く使わないと駄目なのだ。
焚き火で焼くステーキ
今日の夕食はこの焚き火台を使ってスキレットでステーキを焼く。
肉はちょっと贅沢して、地元のブランド牛である十勝若牛。
付け合せは家で収穫したジャガイモ。
ただの焼き肉も、焚火の火で焼くと何となく美味しく感じる。
ガスストーブを使えば火の調整は楽だし、スキレットが煤で汚れることもないのだけれど、ソロキャンプでは不便さも楽しみの一つ。
何せ、他にすることがないので少々の面倒は厭わないのだ。
食後は片付けをしながらゆっくりと焚き火を楽しむ
この日の夜は雨の予報になっていた。
それも結構強い降りになるとのこと。
ニューテントの雨に対する適応力を確認するには丁度良い。
寝る頃には霧雨が降り始めていた。
夜中に目覚めると雨音が聞こえていた。
目覚めたついでにトイレに行く。
身長185センチの私がちょこっと頭を下げるだけで立ったまま出入りできるのもこのテントの魅力である。
雨が降っていてもサッと傘をさして外に出られるのが何とも快適だ。
明け方近くになって更に雨脚が強まる。
今日はヌビナイ川を下る予定になっていたが、川の増水が心配になるくらいの雨の降り方だ。
これだけの雨にもテントは十分に耐えていた。
普通のテントならば内側の結露も酷くなるような条件だが、このテントは僅かに湿っているだけで殆ど結露はしていない。
朝はまだ穏やかな歴舟川だったが
ソロ用のテントでは、内側が結露していると出入りする度にイラッとさせられるが、このテントは本当に快適である。
テントから外に出てみると、眼の前の歴舟川は思ったほど増水していなかった。
水も濁っていない。
朝食は、前回のキャンプに引き続いてホットサンドである。
火力の調整が難しいので、流石にこれは焚き火ではなくガスコンロを使う。
カセットガスを忘れてきたので、大樹町の市街地まで買いに出かけた。
買い物から戻ってきたら川の様子は一変
30分ちょっとで戻ってきたら、歴舟川の様子が一変しているのに驚いてしまう。
つい先程まで穏やかな流れだった歴舟川は、濁流と化して、それまで対岸に見えていた河原も完全に水没していた。
ホットサンドを作って食べている間にも水は増え続け、巨大な流木が目の前を次々と流されていく。
結局この日の例会は中止となってしまったが、以前の例会でもこんなことがあった気がする。
夜中の雨の降り方を調べてみると、夜中は大した降りでなかったのが、朝の4時から5時ころにかけて急に雨量が増えていたようだ。
その雨が3時間後に歴舟川の水量を一気に増やしたのである。
尾田橋観測所の水位は、午前7時から8時にかけての1時間で一気に80センチも上昇していた。
短時間で増水する歴舟川は恐ろしい
この日に歴舟川を下って途中の河原でキャンプをする予定だった若者グループにアドバイスを求められた。
雨は既に止んでいたので、お昼頃には下れる程度の水量までは下がるだろうと答えておいたが、それでも厳しい条件であることに変わりはない。
彼らがその後どうしたのかは分からないが、私ならばこの日の河原キャンプは止めていただろう。
例会が中止になったおかげで、テントも乾かしてから撤収することができた。
TC素材は乾きづらいのが欠点らしいが、太陽も顔を出してくれたので、短時間で完全に乾いてくれた。
陽射しがあるとすぐに乾く(インナーテントを外した状態)
こんな感じのニューテントでの初キャンプだったが、なかなか使い勝手の良いテントで満足できたのである。
私は最近流行りのソロキャンプスタイルを馬鹿にしていたが、自分でやってみるとなかなか面白い。
機会があれば何処かでもう一度ソロキャンプを楽しんでみたいものだ。