北海道キャンプ場見聞録
青森・秋田の旅(寒風山・白神山地十二湖)
つがる地球村オートキャンプ場(5月29日~30日)
ようやく天気も回復して、朝から青空が広がっていた。
風も止んで穏やかな朝である。
昨日までの天気が嘘のような穏やかな朝
我が家のサイトの周りは手ぶらキャンプのキャンパーが3組。
最初は随分豪華な装備だなと思って見ていたが、タープもテーブルも椅子も皆同じものなので、全てキャンプ場で用意したもののようだ。
高価なケビンも土曜日は満室、それなのに一般キャンパーは我が家の他には2組だけ。
他のキャンプ場でも同じ様な状況を見たことがあるし、キャンプブームと言いながらも意外と底は浅いような気がする。
最初のキャンプでこんな手ぶらキャンプをしてしまうと、その先には進めないと思うのだけど
午前7時半になまはげオートキャンプ場を出て、まずは昨日気になりながらも通り過ぎていた八望台へ行ってみる。
展望台から見える丸い湖に丸い形の湾は二ノ目潟と戸賀湾で、いずれも爆裂火口の跡である。
男鹿半島とこれから向かう八郎潟は、「男鹿半島・大潟ジオパーク」として日本ジオパークに認定されている。
今回はなまはげにばかり気を取られていたけれど、ジオパークとして回ればまた別の楽しみを得られたかもしれない。
湖も湾も真ん丸なのが面白い
展望台からは同じ火口湖の一ノ目潟や、なまはげにゆかりのある真山と本山が良く見える。
しかし、直ぐ隣りにある廃墟化したなまはげ食堂の建物が目障りだった。
その建物には「八望台をもりあげる店」と書かれた看板が掲げられていて、まるで悪い冗談のようで笑ってしまう。
廃屋化した食堂の建物には冗談のような看板が掲げられたまま
その次は寒風山に向かう。
途中のなまはげ大橋からは美しい棚田とその先の真山と本山が織りなす絶景を楽しめた。
思わず車を止めてしまう美しい風景
そうして午前8時10分に寒風山に到着。
展望台まで徒歩で登っていく。
ここには回転展望台という施設があるけれど、人気もなくて閑散としている。
そんな様子を見て「ここも廃墟になっているのか」と思ったが、単にまだ営業時間前だっただけで、しばらくしてから展望台の部分がゆっくりと回り始めた。
山頂の回転展望台、最初は廃屋かと思ってしまった
わざわざお金を払ってそんな展望台に入らなくても、寒風山からの展望は十分に楽しめる。
ちなみに寒風山の展望は世界三景の一つになっているらしい。
「世界三景って何処?」と思って検索すると、ヒットするのは寒風山の情報ばかり。
多分こんなものは、言ったもの勝ちなのかもしれない。
世界三景で記念撮影
ここからの展望で一番感動したのはやっぱり八郎潟の風景だった。
田植えが終わったばかりの水田が広がり、調整池として残っている部分と埋め立てられて水田となった部分が、まるで昔の八郎潟の姿として一つになっているような気がする。
日本海から八郎潟調整池にかけて見えている
私が昔の八郎潟の姿を知っている訳ではないが、私が始めて見た日本地図では八郎潟はまだ一つの湖として描かれていたような気がするのだ。
霞が濃くて遠くの方まで見渡せないのが何とも残念である。
見渡す限り八郎潟を埋め立ててつくった水田が広がる
八郎潟もこの寒風山もジオサイトの一つであり、寒風山は3万年以上前の火山活動でできた山である。
山頂の展望台からは目の前に2つの火口も見えていた。
この窪地も火口らしい
そんな風景を楽しんでから白神山地を目指した。
時間があれば八郎潟の中をゆっくりと走ってみたかったし、大潟村干拓博物館にも入りたかったけれど、今日の行程はなかなかハードなので寄り道する時間はとれないのだ。
どこまでも水田が続く八郎潟の風景
当初の予定では世界遺産の緩衝地域の中にある二ツ森登山コースを歩くつもりでいたけれど、国道から少し入ったところにある真瀬渓谷を歩くだけにする。
白神山地の西の玄関口にある八森ぶなっこランドに車を停めて、そこから三十釜と名前の付いた真瀬渓谷を一周りする。
岩の間をホワイトウォーターが流れる真瀬渓谷
大きな岩の間を縫うようにホワイトウォーターが流れ、その周りを新緑が囲む。
小さな渓谷だけれど見どころも多く、楽しく歩くことができる。
美しい渓谷だ
40分ほどでぶなっこランドまで戻ってきた。
その前には水田が広がり、その奥の方に山が見えている。
もしかしたらその辺りが二ツ森になるのかもと思ったが、登山口まで車で50分もかかるので多分もっと山奥になるのだろう。
遠くに山を眺めるだけで真瀬渓谷を後にする
次に向かうのは人気の十二湖。
美味しそうなそば屋があるみたいなので、そこで昼食にすることにした。
今日は日曜日で天気も良いので、早くいかなければ並ぶことになるかもしれない。
途中にあった道の駅にも寄らずに真っ直ぐに車を走らせ、午前11時半に目的のそばいろ茶屋に到着。
十二湖は有名な観光地なので、もっとにぎやかな場所にそば屋があるのかと思っていたが、池に面してその店だけがポツンと建っていて、とても静かなところである。
混雑を覚悟していたけれど、そんな場所ではなかった。
八景の池に面したそばいろ茶屋
先客は1組だけ。
席につくと、窓の外には八景の池と名の付いた美しい池の風景が広がっている
こんなところで蕎麦を食べられるのだと、ちょっと感動した。
そうして運ばれてきた蕎麦もとても美味しかった。
池を眺めながら蕎麦をいただく
食後、店の女性が「よろしければ奥の座敷を御覧下さい」と声をかけてくれた。
お言葉に甘えて奥座敷に入ってみると、その周りに見事な池の風景が広がり更に感動する。
ここは元は旅館だった建物で、暫く使われていなかった建物をリフォームして今年の3月にそば屋を開業したばかりらしい。
夏からは以前の客室を利用してゲストハウスも始めたいとその女性は話していた。
こんな素晴らしい建物が再利用されるのはとても素晴らしいことだ。
彼女にはぜひとも頑張ってもらいたい。
最高の景色が広がる奥座敷
そこから更に湖が続く道を奥まで入ってくと、森の物産館キョロロと有料の駐車場があった。
さすがにこの辺りは観光客でそれなりに賑わっていたけれど、物産館が1軒あるだけで大きな観光地といった雰囲気ではない。
ここでも、大崩という場所まで登って十二湖を眺め下ろすつもりでいたけれど、そこまでの時間はないので観光客用の1時間で回れるお勧めコースを歩くことにした。
殆どの観光客の目的は青池である。
私は美瑛の青い池は見たことがないけれど、ここの青池は多分清里町の神の子池の様な感じだろうと想像していた。
そして実際に見た時の青池の美しさは神の子池を上回っているように感じだ。
青池は本当に青かった
特に水の青さは、青池の方が明らかに青色が強い。
それは、池自体の深さが影響しているような気がする。
それと、丁度太陽が池を照らしていたことで、その青さを更に強調していたのかもしれない。
青い水の中には魚影も
木製のテラスも、池を見下ろす良い場所に作られている。
青い池の中で優雅に泳ぐ魚影も印象的だった。
展望テラスもちょうど良い場所に作られている
地図を見ながらおすすめコースを先へ進む。
森の新緑が目に染みるようだ。
切り株も森の脇役に
次に現れた沸壺の池も青池と同じくらいに青く染まっていた。
こちらの方が観光客も少なく落ち着いて楽しむことができる。
沸壺の池も青かった
45分でおすすめコースを一周りして、十二湖を後にする。
今日のキャンプ地は津軽市のつがる地球村オートキャンプ場。
そこへ向かう途中、海の駅ふかうらに寄り道。
新鮮な魚介類が驚くくらいの安さで売られていた。
しかし、キャンプの旅では魚介類はいくら安くても眺めるだけ。
地場で売られているものを利用して美味しい料理を作ってくれるかみさんだけれど、さすがにキャンプ場で魚を捌くまでの余裕はないのだ。
1箱1200円!何匹入っているんだろう?
千畳敷海岸は磯遊びをするファミリーなどで賑わっていたが、写真を撮っただけで素通り。
道路地図を見ていると、もう少し先に日本一の大イチョウがあるらしい。
しかし、何時の間にかそこを通り過ぎていたことに気がつく。
その前に、この旅で初めて岩木山の姿が見えて大喜びしていたので、看板を見落としてしまったのだ。
突然現れた岩木山にテンションが上ったけれど
この大イチョウは見逃せないので、途中でUターン。
日本一の大イチョウは「北金ヶ沢のイチョウ」と名付けられた国指定の天然記念物でもある。
NHKの巨樹を紹介する番組でも取り上げられていたことを思い出す。
その番組を見ていて「ここならば白神山地に行く途中で見られるな」と考えていた気がする。
二股に分かれているので日本一とは思えなかった
幹周り22mとされているけれど、根本近くから二股になっているので、圧倒的な太さは感じられなかった。
樹冠の外側から見ると、まるで小さな森のようだ。
このイチョウはやっぱり黄葉の季節に見たほうが良さそうだ。
黄葉した時に見てみたい
そうして途中で買い物をして午後3時45分にキャンプ場に到着。
もしも自分でサイトを選ばさせて貰えるのならば、岩木山を眺められるサイトを絶対に選ぶと思うのだけれど、ここもやっぱり受付で一方的にサイトを決められてしまう。
他のテントとの間隔は配慮されているようだ
テントを張り終えてから、車で5分ほどの場所にある富士見湖パーク、鶴の舞橋を見に行く。
鶴の舞橋は日本一長い木造の三連太鼓橋で、津軽の観光ツアーでは外せない観光スポットにもなっている。
ここまで来たのに橋は渡らずに終わってしまった
夕日に染まる鶴の舞橋というタイトルの写真も見ていたけれど、夕日を背景にした鶴の舞橋は位置的には湖の上からでないと見られないようだ。
それと岩木山と鶴の舞橋を一枚の写真に収めるためには、今日は橋の反対側に来てしまったので、明日改めて訪れることにしてキャンプ場へと戻る。
美しい橋ではある
サイト周辺で枯れ枝等は集められそうにないので、この日は大人しく静かな夜を楽しむことにする。