北海道キャンプ場見聞録
瀬戸内の旅(竹原・大崎上島)
大崎上島大串キャンプ場(4月12日~13日)
広島市内のホテルを午前7時45分に出発し竹原市を目指す。
途中、JR山陽本線の瀬野駅付近で不思議なものを見た。
開発行為で作られたのか、山の上にびっしりと住宅が立ち並び、そこからモノレールの線路ようなものが瀬野駅まで続いていたのだ。
私は開発行為でモノレールまで作ってしまうのだと驚いていたが、調べてみるとそれはモノレールではなく、日本唯一の交通システム「スカイレール」というものだった。
写真お借りしました
開発行為で作られたことに変わりはないが、それはロープウェイのゴンドラのような乗り物がレールからぶら下がって行き来するらしい。
写真を撮りたかったけれど、道路が渋滞していてそんな余裕は無かったのである。
竹原市では道の駅に車を停め、そこからたけはら町並み保存地区を歩くことにしていたのだ。
2日前に同じ様な町並み保存地区をとびしま海道の大崎下島で見ていたけれど、そちらは港として栄えた古い町並み。
竹原の方は製塩地として発展した歴史があるようだ。
落ち着いた町並みだ
こちらの街並みも大崎下島と同じく、わざとらしさが無くて好感を持てた。
それはやっぱり、ここの古い建物も実際にそこで生活している人が多いからなのだろう。
散歩中のおじさんから声をかけられ「この上にあるお寺は見てきましたか?」と勧められたので、早速行ってみた。
高い場所から歴史のある街並みを一望できるし、京都の清水寺を模して建てたという西方寺の本堂も見応えがある。
声をかけられなかれば素通りしていたと思われ、これはラッキーだった。
西方寺へ続く階段
何箇所か有料で公開されている住宅があり、その中の松阪家住宅に入ってみた。
こんな住宅は、ボランティアガイドのような方と見て回ると面白いのだけれど、ただ見るだけではあまり興味は湧いてこない。
松阪家住宅は他の家とは造りが違っている
ここを歩いていて初めて知ったのは、NHK朝ドラのモデルにもなったマッサン(竹鶴政孝)が竹原市の出身であるということ。
マッサンは余市のウイスキー工場のイメージが強いので、何となく北海道の人間のつもりでいたけれど、生家はここ竹原市の竹鶴酒造なのである。
ここでロケも行われたらしく、もう一度この朝ドラを見直したら、見覚えのある街並みが出てくるかもしれない。
竹鶴政孝の生家である竹鶴酒造
昼食は町並み保存地区の中にあったそば処「かんの」に入る。
食べログでチェックしても掲載されていないし、ちょっと迷いながら入ったのだけど、これが本当に美味しい蕎麦で、麺を追加で頼んでしまうほどだった。
蕎麦に卵が付いてきたのは初めてかも
それから竹原港12時55分発のフェリーに乗って大崎上島へと向かった。
旅の残り日数も少なくなり、当初計画からは行程もかなり変わってきている。
当初計画では、竹原を観光した後は大久野島に渡ってウサギと戯れることにしていたけれど、天気が悪くなりそうな予報だったので、大久野島の予定だけを先に繰り上げていた。
白水行フェリーが港に入ってきた
ところが予報が良い方に変わって、今の天気も明日まで持ちそうだと分かり、昨日の夜に急遽大崎上島に渡ることに決めたのだ。
大崎下島はとびしま海道の橋で繋がっているけれど、大崎上島にはフェリーで渡るしかない。
特に魅力的な観光地があるわけではなかったけれど、そこのキャンプ場に興味があったのだ。
フェリーにもすっかり乗りなれていたので、ここで最後の島キャンプを楽しむつもりだった。
正面の島の向こうに見えているのが大崎上島
大崎下島の白水港まで30分。
瀬戸内海の風景を楽しんでいると、島全体が工場になっている島が見えてきた。
瀬戸内海の軍艦島とも呼ばれる契島(ちぎりじま)である。
島全体が工場になっている契島
長崎の本家軍艦島は、海底炭鉱として島全体が岸壁で囲まれ、そこに採炭施設や5300人が暮らしていた街の施設が廃墟として残っている。
一方契島の方は、東邦亜鉛の契島製錬所として今でも現役で動いている軍艦島なのである。
その存在については、旅の計画をしている時に知っていたけれど、まさかここでその実物を見れるとは思ってもいなかった。
遠くに見える巨大煙突や鉄塔まで島の一部のようだ
島に着いて真っ直ぐにキャンプ場を目指すつもりでいたけれど、キャンプ場の管理人さんと待ち合わせている時間までまだ余裕があったので、フェリーに乗っている時から見えていた大きな煙突が気になって、そこまで行ってみることにした。
その煙突が有ったのは大崎上島と長島大橋で繋がっている長島。
長島大橋も格好良い橋だ
橋を渡った先の長島側に展望台が見えたので、そこまで登ってみたら展望台は老朽化により立入禁止。
展望台は多分、この長島大橋を架けた時に、おまけに作った施設なのだと思われるが、大体はこのような施設は管理費も付かないので、このような結末を迎えることが多い。
ちなみにこの煙突は大崎発電所の施設だった。
大崎発電所の大煙突
途中のスーパーで買物をして午後2時過ぎにキャンプ場に到着。
このキャンプ場の管理を任されている会社の人が、私達の到着時間に合わせて待っていてくれた。
キャンプ場の利用料は1人400円。
それだけの集金のために、通常の仕事を放り出して来てくれるのだから申し訳なく思えてしまう。
去年の九州の旅でも、甑島に渡ってキャンプした時、全く同じ状況で管理をしている会社の人が、時間を合わせて集金に来てくれたことがあった。
ハイシーズンならば管理人さんが常駐することもあるのだろうが、シーズンオフに利用するとこんなことになるのである。
キャンプ場の前浜
薪はどうしますか?と聞かれたので、周辺では拾えそうにないので買っておくことにした。
薪はコンテナに入って売られていて、大体がこの会社の仕事の関係で発生した建築廃材である。
そのコンテナの中で一つだけ、出頃な太さの木の枝がびっしりと詰まったものがあり、料金はどれも1コンテナ千円。
私たちは迷うこと無く、木の枝の詰まったコンテナを購入。
ここのキャンプ場にはオートサイトとフリーサイトがあり、そのどちらを利用しても一人あたりの料金システムなので、利用料は変わらないのだ。
そして、フリーサイトの方が海に近く眺めも良いときているので、余計に複雑なのである。
車はオートサイトに停めて
今回はキャンパーは私達だけなので、結論は一つ。
フリーサイトにテントを張って、車は一番近くのオートサイトに停めておく。
これが混雑している時なら、サイトを決めるのにかなり迷いそうだ。
テントを張ったのはフリーサイト
温泉はキャンプ場から2キロ程の場所に町営の施設がある。
普通にスーパーもあるし、不便な島かと思っていたら島の中で全てが完結する便利な島なのである。
次第に日が傾き、テントが西日に照らされる。
今回の旅で朝日は何度も楽しめたけれど、サイトから夕日を眺められるキャンプ場はこれが2箇所目である。
夕暮れが迫る
空と海を赤く染めながら日が沈んでいく。
多分これが、今回の旅で見る最後の夕日になるのだろう。
サイトから夕日が眺められるのは最高だ
日が沈んだ後も暫くは残照が周りを赤く染めている。
夕日の余韻を楽しめる好きな時間帯だ。
マジックアワーを楽しむ
海岸でも流木を少し拾えたので、焚き火用の薪は大量にある。
夕食を済ませて直ぐに焚き火を始める。
風もなく良い夜だ。
薪はほとんど燃やし放題
暗くなるに従って、遠くの街の明かりが光り始める。
海はとても穏やかで、空にはオリオン座が浮かんでいる。
今回の旅で一番のキャンプの夜が過ぎていく。
目の前にオリオン座が見えるのは印象的だ