北海道キャンプ場見聞録
瀬戸内の旅(女木島・五色台)
讃岐五色台オートキャンプ場(4月3日~4日)
この日は高松港午前8時発のフェリーに乗って、女木島の日帰り観光の予定。
朝から営業しているうどん屋で朝食を食べることにしていたので、泊まっていたホテルを早めに出発。
ホテルの窓から見る朝焼け、屋島から朝日が昇ってくる
港近くの安い駐車場を探しておいたので、そこに車を停め、朝7時から営業している「めりけんや高松駅前店」に入る。
セルフサービスの店だけれど、要領も分かってきたので、かみさんは1玉、私は2玉で注文。
食べログ点数3.54の店は特筆することも無し。
街路樹の赤い花を咲かせる桜が目を引く。
調べてみると陽光桜という種類らしいが、街の景観としては少し派手過ぎる気がした。
陽光桜の街路樹は造花のように派手な色合いだ
その街路樹に負けないくらいに女木島へ渡るフェリーも派手だった。
今日は日曜日なので、お客さんも多い感じだ。
小さな島なので車で渡る人は殆どいない。
女木島行きフェリーに乗り込む
高松港から女木島までの所要時間は20分。
瀬戸内海の風景を眺めているうちに、あっという間に女木島到着である。
女木島には鬼が住んでいたと言われる大洞窟があることから、鬼ヶ島とも呼ばれている。
私が女木島に渡ることを決めたのは、その鬼ヶ島大洞窟よりも、女木島が桜の名所になっていたからだ。
大洞窟の方は、写真で見ると迫力のない鬼の像ばかり写っていて、あまり期待はしていなかった。
港の防波堤で鬼が出迎えてくれる
女木島は4月14日に開幕する瀬戸内国際芸術祭2022の会場の一つにもなっている。
港周辺でも、沢山のかもめが並んだ「かもめの駐車場」とか青銅製のグランドピアノ「20世紀の回想」などのアート作品が見られる。
防波堤には沢山のカモメが並んでいた
船を降りるとほとんどの人は、バスや徒歩で標高188mの鷲ヶ峰山頂にある鬼ヶ島大洞窟を目指す。
私たちは混雑を避けるため、港で少しブラブラして時間を潰してから歩き始めた。
モアイを見ると一緒に写真を撮りたくなる
洞窟まで2.4キロと書かれた可愛らしい鬼の石像があった。。
急な山道を歩くわけではなく、車道の坂道を登っていくだけなので、歩くだけなら30分もあれば洞窟まで行けそうだ。
案内の鬼と記念撮影
オオテと呼ばれる石垣と板壁の家が目立つ集落の間の路地のような道を抜けていく。
女木島は冬の季節風が強く、それが海水を巻き上げて民家に吹き付けてくるので、その風から家々を守るためオオテ(石垣)が作られたらしい。
こんな道を歩くのが楽しい
そんな集落も空き家が目立ち、放棄された畑には雑木が生い茂っている。
そんな風景が島の現実を感じさせる。
坂道を登っていくと、期待していた桜の風景が現れた。
大きな桜の木が車道の上まで枝を伸ばして花を咲かせている。
桜のトンネルを歩くのが心地良い
道端ではヤマブキやスミレが花を咲かせている。
天気も良くてピクニック気分で坂道を登っていく。
桜の花に囲まれるように立つ、大きな鬼のモニュメントが出迎えてくれた。
写真を撮りながらのんびりと歩いて、大洞窟入り口まで45分くらいである。
鬼大将のお出迎え
この洞窟は大正3年に発見されたもので、何のために掘られたのかは分かっていないらしい。
そしてこの洞窟が桃太郎伝説と結びついて、それ以来女木島は鬼ヶ島と呼ばれるようになったとのこと。
それを印象付けるためにそこら中に鬼の像が立っている。
その写真を見て、何だか寂れたテーマパークの様な印象を持っていたのだ。
鬼に囲まれまんざらでもなさそうなかみさん
でも実際に洞窟の中に入っていくと、これがなかなか面白い。
そもそも誰が掘った洞窟なのかも分からないのだから、それだけで興味が湧いてくる。
不思議な洞窟だ
洞窟の中には、第2回瀬戸内国際芸術祭2013の参加作品として作られた沢山のオニノコ瓦が展示されている。
県内の中学生が作ったもので、無数の鬼瓦が暗い洞窟の中にずらりと並んでいる様子は、まるで異空間のようだ。
一つ一つ表情が違っていて、五百羅漢を思わせる。
洞窟の中の沢山の鬼瓦
それとは別に、鬼の会議室とか監禁室とか名前を付けられた小部屋があって、それぞれに鬼のモニュメントが置かれていて、見ていても楽しい。
かみさんが鬼大将に見えてくる
途中からは桃太郎も登場し、最後には桃太郎と鬼が握手をしてめでたしめでたし。
何となくストーリー性もあるみたいだ。
めでたしめでたし
「あ~、楽しかったね」と言いながら、入口からは結構離れた出口から明るい外界へ出てくる。
そしてそこから、鷲ヶ峰山頂の桜に囲まれた展望台で瀬戸内海の絶景を楽しむ。
とても良くできたアトラクションである。
洞窟の中とは正反対の風景
山頂からは、直ぐ隣の男木島、ハンセン病の療養施設がある大島とその周りの島々の集まりが、桜の花越しに眺められ、まさに絶景である。
桜の花の向こうに見えているのは男木島
展望台から眺めると、正面の小高い山のピークに何かの像が立っているのが見える。
フェリーに乗っている時から気になっていた像なので、帰りにそちらにも登ってみることにした。
手前のピークの山頂に像が見える、その奥は女木島最高峰(216m)のタカト山
そこに有ったのは日蓮上人の銅像だった。
調べてみると、昭和12年に京都から移築されたものらしい。
台座のある石垣の上まで上ってみたが、特に目新しい風景は無かった。
それでも、周りの桜が綺麗だったので、ここまで登ってきた甲斐はあった。
日蓮上人と記念撮影
港に向かって道路を下っていくと、自転車に乗った人達が次々に登ってくる。
大変そうだなと思って見てみると、乗っているのは全て電動自転車だった。
登ってくるバスにも沢山のお客さんが乗っていた。
丁度、次のフェリーが着いた所なのだろう。
まだ空いている間に鬼ヶ島を楽しめて良かった。
女木島にお別れ
午前11時20分発の高松行きフェリーまでまだ時間があったので、港周辺をブラブラする。
ゆっくりと流れる島の時間を楽しめた気がする。
高松まで戻ってきて、昼食は勿論讃岐うどん。
入った店は「釜揚げうどん岡島高松店」、食べログ点数3.54。
ここでは店のお勧めメニューの釜揚げを頼んだけれど、釜揚げに、ぶっかけに、かけに、ざるに、何を頼めば良いのか未だに良く分からない。
高松港に戻ってきた
近くに高松城址(玉藻公園)があり、入園料200円がかかるけれど、せっかくだから見学していくことにした。
かつては城壁が瀬戸内海に直接面する海城だったらしいが、今は海も埋め立てられて海城の雰囲気は感じられない。
園内の桜の馬場の桜が満開で、ここだけで入園料200円の元を取れた気がする。
石垣だけが残る高松城址
近くの出口から外に出て駐車場へと歩いていると、丁度そこに琴電がやって来た。
慌ててカメラを取り出して、石垣の前を走ってくる琴電の写真を撮る。。
慌てていたので構図的には不満な写真だけれど、城の周りを琴電が走っているのを見て何とか両者を一枚の写真に収めたいと思っていたので、これは嬉しかった。
良いタイミングで琴電がやって来た
今日の宿泊は讃岐五色台オートキャンプ場。
五色台スカイラインをドライブしながらキャンプ場を目指すことにした。
五色台の先端までやってくると、2つの尖った島が海に浮かんでいるのが見える。
大槌島と小槌島だ。
女木島からもこの2つの島が小さく見えていたのを思い出す。
奥が大槌島、手前が小槌島
そこから内陸部に向かって車を走らせる。
途中に何箇所か展望の良い場所があるみたいだが、その中の一つの五色台展望台に寄り道。
午前中に渡っていた女木島や男木島が見えている。
その先に見えるのは一昨日に滞在した小豆島か。
他の島は何処が何処だかさっぱりわからない。
正面に女木島が見える
反対側からは、本四連絡橋の一つである児島・坂出ルート(瀬戸大橋)の全区間が一望できた。
児島・坂出ルートを一望
そうして午後2時20分に讃岐五色台オートキャンプ場に到着。
利用したオートサイトは1区間3500円プラス管理費1人600円。
この料金で付帯設備は何もなし。
電源・炊事場の付いたサイトは4500円で、管理費を含めると6千円近くになってしまう。
今回の旅では高規格オートキャンプ場に泊まる機会が多かったけれど、上限は5千円。
それを超えるキャンプ場にはさすがに泊まる気にはならない。
何も施設のないオートサイト
早めに到着したのでゆっくりできると思っていたら、ガスカートリッジを買い忘れたことに気が付く。
一番近いコンビニまで片道15キロ。
往復1時間かけてガスカートリッジを買いに戻ることとなる。
お風呂は休暇村讃岐五色台まで入りに行く。
同じ経営なのに入浴料はしっかりと取られてしまう。
せめてキャンプ場利用者の割引くらいはやって貰いたいものだ。
ご当地ビールで乾杯
そしてようやく一息つけて、ご当地さぬきビールで乾杯。
残念ながらキャンプ場からは夕日が見られない。
休暇村の駐車場からの展望が素晴らしかったので、そこまで歩いていくことにする。
サイトから800m程あるけれど、ビールを飲んでしまったのでしょうがないのだ。
駐車場からは瀬戸大橋とその先に浮かぶ塩飽諸島の島々が一望できる。
これが瀬戸内海の多島美と言われるものなのだろう。
夕焼けの多島美
日が沈むに従って、その風景が赤く染まってくる。
水平線近くの霞の中に夕日が入っていくと、眩しいくらいの輝きが失われ、真っ赤に染まった霞の中の白い丸へと姿を変える。
生涯出会った中で一番美しい夕日かもしれない。
勿論、美しい夕日は外でも沢山見ているけれど、多島美を染める夕日がそんな印象を抱かせたのだろう。
美しい夕日だった
こんなに美しい夕日なのにどうして誰も見に来ないのだろう。
と思ったけれど、ホテルに泊まっている人達は部屋の窓からこの風景を見られるのだ。
私たちは次第に体が冷えてきたので、背中を丸めて自分たちのテントへトボトボと歩いて帰る。
夕焼けと三日月
気が付くと、残照に染まる西の空には美しい三日月が浮かんでいた。