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九州の旅(鹿児島市・蒲生の大クス)

鹿児島県県民の森丹生附オートキャンプ場(4月3日~4日)

この日も桜島は雨に霞んでいた。
午前8時半に鹿児島市内のホテルを出る。
市内が何か埃っぽい気がするのは、どうやら夜中に火山灰が降ったようだ。
何となく硫黄の匂いがするので、間違い無いだろう。

最初に向かったのは西郷隆盛洞窟。
政府軍に追われた薩軍は鹿児島城下に戻り、西郷隆盛が最後の五日間をこの洞窟で過ごしたといわれる場所である。


西郷隆盛が最後の5日間を過ごした洞窟、自刃した場所はここから少し離れてます


ここにも西郷隆盛の銅像があり、鹿児島県に入ってから一体何体の西郷隆盛像を見たことだろう。
私は幕末から明治維新にかけて登場した数多くの人物の中で、正直言って西郷隆盛に対してはあまり良い印象を持ってはいない。
しかし、こんなことは鹿児島県民の前では絶対に口にはできないだろう。


この洞窟は西郷隆盛洞窟とは関係ないのかな?隣のお土産屋さんが管理している


お土産屋の駐車場に車を停めさせてもらったので、帰りにはそのお土産屋に寄らないわけにはいかない。
その店内に、幕末の志士たちが一堂に会した時の写真が大きく飾られていて、そこには西郷隆盛本人も写っている。
この写真は私も以前に何処かで見たことがあるが、西郷隆盛の姿が写真に写っているのはこの1枚だけであり、その顔は世間一般に知られている顔とは全然違っている。

一同に集まった幕末の英傑達、フルベッキ群像写真
○印の中、顔の大きいのが西郷隆盛、もう1人は大久保利通とされているが、人物の真偽については諸説あり


この店でしか売っていないという本「激闘田原坂秘録」をお土産に買うことにした。
家に帰ってからこの本を読んだけれど、政府軍と薩軍の戦いの跡を辿るのを旅のテーマにしても面白かったかもしれないと思った。
今回の旅はそのルートと重なっている部分もかなりあったのである。

その後、城山展望台へと登る。
そこから眺める桜島は相変わらず雨で霞んでいる。
天気が良ければここからの桜島んの眺めは最高だろう。

桜島
この時は、雨が降っているのだと思いながら桜島を眺めていた


そこへ麓から歩いて登ってきたらしい地元の人達が、桜島を見て「おーっ、灰が降ってるな。こちらに流れてきそうだから早めに降りよう。」との会話をしていた。
聞いてみると、私達が雨で霞んでいると思っていたのは、実は灰が降って霞んでいたのである。
「何処から来たの」と聞かれて「札幌です」と答えると、大体は驚かれてその後の話に花が咲き、地元のことも色々と教えてもらえるのがありがたい。

灰が降っているのだと思うと、そこか眺める桜島の風景が全く別のものに見えてきた。

桜島
本当は灰が降っている


展望台周辺を少し歩いてみる。
遊歩道から少し離れた場所にクスの巨木を見つけ、「もっと近くで見られるように道を付けてくれれば良いのに」と思った。
しかし、もう少し歩くと、そんな巨木がそこら中にあり、それが珍しいものでは無いことを思い知らされた。

城山公園
城山には樹齢400年程度のクスノキが沢山あるらしい


私がそんな巨木の写真を撮っていると、同じようにカメラをぶら下げた男性が「この先で○○が咲いていますよ」と声をかけてくれた。
同好の士と思われたようだ。
花の名前は聞き取れなかったけれど、言われた方に行ってみると白い花を見つけたので一応は写してみたけれど、それが教えられた花だったかどうかは分からないまま、城山を後にした。

城山公園
教えられたのがこの花のことだったのかは不明



その後は、昨日近くを通ったけれど見逃していた旧鹿児島紡績所技師館(異人館)と石橋記念公園を観光。
異人館の窓からは、その窓一杯に桜島の姿が見えていた。

旧鹿児島紡績所技師館(異人館)
旧鹿児島紡績所技師館(異人館)、天気が良ければもっと美しい桜島が見られるのだろう


石橋記念公園でも、石橋越しに眺める桜島の姿が売りになっているらしいが、私は反対側からばかり写真を撮っていたのでそのことには最後まで気が付かなかった。
まあ、今日の天気では気付いたとしても良い写真は撮れなかっただろう。

石橋記念公園
石橋のアーチは何とも美しい


それにしても石橋はフォトジェニックな橋である。
何処から見ても絵になってしまう。

石橋記念公園
石橋のアーチの向こうには桜が咲いていた


その後に向かったのは蒲生の大クス。
昭和63年の環境庁の巨樹・巨木林調査で日本一の巨樹とされている
九州には巨木が多いので、今回の旅でもその中の幾つかを見て回るつもりだった。

蒲生八幡神社
蒲生八幡神社の参道、右側のクスノキをかみさんは大クスだと思っていた


蒲生の大クスは蒲生八幡神社の境内にある。
神社の入口にも大きなクスがあり、かみさんが勘違いしてその写真を撮っていたけれど、本当の大クスはそれとは全然比べようがないくらいに大きかった。
特に根張りの広がりが凄く、その部分だけでまるで森のように見える。

蒲生の大クス
人が近くに寄れないのでその大きさが分かりづらい


巨木の写真を撮る時に何時も苦労するのが、大きすぎて全体がうまく1枚の写真に収まらないことである。
離れた場所から全体を写すと巨木の迫力が伝わらない。
何時も試行錯誤しながら撮影ポジションを考えるのである。

蒲生の大クス
見る場所によってイメージが変わる


巨木を見た後は近くの「フォンタナの丘かもう」で昼食にする。
フォンタナの丘かもうは天然温泉とレストラン、産直市場が一体になった施設である。
食事と風呂、ついでに買い物まで一度で済ませられるので、私達には好都合な施設だ。

ここの食事は「無塩・無糖」の健康食を売りにしている。
そして、食べ終わった後の感想は、料理にはやっぱり塩と砂糖は欠かせない、ということだった。

フォンタナの丘かもうレストラン
見た目は普通のナポリタンだけど味は全然違う、スープも何とも言えない味



この日の宿泊は、雨が降る予報だったので鹿児島県県民の森丹生附オートキャンプ場のバンガローを予約していた。
最近のキャンプブームの中、春休みの、しかも週末にキャンプ場の予約をするなんて殆ど不可能に近い。
しかし、このキャンプ場は7~9月以外は週末だけの営業だったので、二日前の予約でもまだ結構空いていて、穴場的存在だったのである。

時間的にまだ余裕があったので、少し遠回りして姶良市加治木町の龍門寺坂と金山橋を見ていくことにした。
龍門寺坂は、西南戦争の時に西郷隆盛率いる薩軍がここを通って熊本に向かった石畳の坂道である。
NHKの大河ドラマ「西郷どん」のロケ地として、最近は人気があるらしい。

龍門寺坂
かみさんにとっては罰ゲームで滑りやすい石畳の坂を歩かされただけのようだ


苔生した石畳の道はとても風情があるのだけれど、この日は苔が濡れているのでとても滑りやすくなっていた。
こんな滑りやすい坂道が大嫌いなかみさんは、そこを歩いているだけで次第に不機嫌になってきたので、写真だけ撮って早々に次の場所に向かうことにする。

金山橋と坂井出の滝
金山橋の下から眺める坂井出の滝


金山橋は明治13年頃に造られたアーチ型の石橋である。
橋そのものよりも、アーチ型の橋を通して眺める坂井出の滝の風景がインスタ映えするということで人気になっているようだ。
私もそんな写真を撮って、早速フェイスブックにアップしたのである。

坂井出の滝
滝そのものでも楽しめる坂井出の滝


そうして午後3時40分にキャンプ場に到着。
バンガローは畳敷きの2段ベッドが2つと1段ベッドが一つ、AC電源とコイン式エアコンが付いていて、外には水道と野外炉、野外卓がある。
これで1棟1泊5250円ならば、リーズナブルな施設と言えるだろう。

鹿児島県県民の森丹生附オートキャンプ場のバンガロー
中も外も設備の整ったバンガローだった


やかんや飯ごうの調理器具、食器類も用意されていて、それらが室内の大きな木製テーブルの上にコンテナに入れられたまま無造作に置かれている。
丸椅子もあったけれど、何時ものキャンプ用チェアを室内に持ち込む。
飾り気が全く無く、実用的なこんなバンガローは、私達にとってはとても使いやすいのである。

鹿児島県県民の森丹生附オートキャンプ場のバンガロー
中に何も無いバンガローよりもこんな感じの雑然としたバンガローの方が好きかもしれない


せっかくの野外炉なので、周辺から枯れ枝を拾い集め、食後はここで焚き火を楽しんだ。
これが今回の旅での初めての焚き火である。

鹿児島県県民の森丹生附オートキャンプ場のバンガロー
キャンプでの焚き火はその時のシチュエーションによって全く違った焚き火になるのが面白い


九州に入ってから一週間が経ち、最初は少し戸惑いもあったけれど、次第に何時もの我が家のキャンプスタイルに戻ってきたような気がした。


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