北海道キャンプ場見聞録
紅葉の木々に囲まれて
山部自然公園太陽の里キャンプ場(10月13日~14日)
カヌークラブの有志で紅葉のトナシベツ川を下ることになり、私たちは前日に近くでキャンプしてから、その川下りに参加することにした。
最初に考えたのは、紅葉の時期にはまだ泊まったことが無かったかなやま湖畔キャンプ場。
しかし、前日になってここが9月に既にクローズしていたことを知って、急遽山部自然公園太陽の里キャンプ場に変更する。
それでも、紅葉したかなやま湖の風景を見ておきたかったので、まず最初にかなやま湖へと向かった。
ダム下の園地に立ち寄ってから金山ダム展望台へ向かう。
展望台からは、正に紅葉真っ盛りの素晴らしい風景を眺める事ができた。
紅葉は、太陽の光に照らされて初めてその真の鮮やかさが際立つ。
太陽待ちをしていたが、上空には雲が多いので、その風景全体が太陽に照らされるのは無理そうである。
隙あれば服の間に入り込もうとするテントウムシを追い払いながら車に乗り込み、かなやま湖畔キャンプ場に向かう。
金山ダムの放水口
金山ダム展望台からの風景
駐車場横のトイレが開いていればキャンプができるかもしれないと考えていたけれど、キャンプ場の各施設は完全に閉鎖されていて、それは無理だった。
それよりも、場内は園路から芝生の中まで鹿の糞だらけ。
それも、まだ生々しいものばかりで、よそ見していたら直ぐに踏みつけてしまうくらいに大量に落ちているのだ。
もしもキャンプ場がオープンしていたとしても、これではテントを張るのを躊躇ってしまいそうだ。
キャンプ場からの風景
キャンプ場を後にして山部へと向かう途中、空知川の様子を見ていく。
トナシベツ川の先日に、紅葉に包まれた空知川の金山ダムから下流部を下ろうと思って、クラブの掲示板で参加者を募ったのだけれど、手を挙げてくれる人は誰もいなかったのである。
スタート地点に予定していた新川橋の上から眺めた川の様子は、水も澄んで河畔林の紅葉も美しく、ここを下らずに通り過ぎるのが何とも勿体なかった。
参加者を募ったのが二日前だったこともあるけれど、最近はこのような穏やかな流れの川を下ろうとする人がほとんどいなくなってしまい、寂しい限りである。
紅葉の樹木に囲まれた空知川
昼食は山部のドライブインで食べようと思ったけれど、満員だったので入るのを諦める。
天気も良く、紅葉も見ごろを迎えているので、観光客も多いみたいだ。
隣のコンビニで弁当を買って、太陽の里キャンプ場の駐車場でそれを食べる。
場内には日帰りバーベキューのグループが一組いるだけで、他にキャンパーの姿は無い。
過去2回このキャンプ場を利用したことがあるけれど、いずれもユーフレ川北側の林間サイトにテントを張っていた。
今回は秋のキャンプと言うこともあって、日当たりが良いユーフレ川南側の芝生広場のサイトにテントを張ることにした。
良く手入れされた芝生は、フカフカしていて気持ちが良い。
木々の紅葉が美しい
南側サイトの魅力は、何と言ってもそこから眺める夫婦岩の姿である。
日本二百名山の芦別岳の姿はサイトからは直接見られないけれど、そこから続く夫婦岩や鋭角に尖った槙柏山の姿に、ここが芦別岳の懐に抱かれたキャンプ場であることを感じさせられる。
背後に迫る山がこのキャンプ場の一番の魅力だ
場内の木々も良い感じに紅葉している。
広場の中央にある樹形の良いモミジが、半分以上葉を散らしているのはちょっと残念である。
でも、緑の芝生の中に散り紅葉が赤い絨毯の様に広がっている様子もなかなか美しい。
かなやま湖では、山全体を染める紅葉の風景だったが、こちらは個々の樹木の紅葉風景といえる。
どちらも美しい風景であることに変わりはない。
トチノキの黄葉
紅葉の木々の中では緑の葉も美しく見える
サイトの隣にカラマツ林が有ったので、もしかしたら落葉キノコが生えていないかと思って見に行くが、時期的に遅いのか、全く出ていなかった。
その代わりにムラサキシメジやオシロイシメジ、ツチスギタケなどが見つかったけれど、キノコにはそれ程詳しくはないので、手は出さない。
ツチスギタケは食べる気にはならない
カツラの甘い香りが漂っていた
焚火用の薪を大量に持って来ていたので、早々と焚火を始める。
今回のキャンプでは久しぶりにダッチオーブンを持って来ていた。
ダッチオーブンがあると焚火がより楽しくなる
夕食は、それを使った豚スペアリブのパプリカ煮である。
ただ焚火をするだけではなく、それでお湯を沸かしたり料理を作ったりすると、焚火の楽しさが倍増するのである。
何時の間にかテントの数が増えてきていた。
ライダーや山登り風のキャンパーから、母と息子の母子キャンパーに犬3匹を連れた男性ソロキャンパーと、そのスタイルも様々である。
我が家を含めて全部で7張のテントが、お互いに干渉し合わない距離を保って張られているのがとても良い感じである。
山が迫っているので、午後4時過ぎには陽が沈んでしまう。
陽射しがなくなると急に寒さを感じてくる。
豚スペアリブのパプリカ煮が良い感じに出来上がった。
かみさんは「パプリカの煮込み料理は初めて作るからどんな味になるか分からない」と言っていたけれど、感動的に美味しく仕上がっていた。
パプリカを大量投入
夕食は豚スペアリブのパプリカ煮とチーズフォンデュ
夜には満天の星空が広がった。
この星空を芦別岳の山頂から眺めたら、どんなに素晴らしい眺めだろう。
この季節は周りのテントの明かりが消えるのも早い。
私たちも午後9時前にはそれぞれのテントへと潜り込んだ。
満天の星空が広がった
ここの南側サイトは東に向かって開けているので、朝日が眺められる。
そう思って朝5時半には起き出すと、芝生広場に低く靄がかかっていた。
気温もかなり下がっているみたいで、直ぐに焚火に火をつける。
テントサイトに朝日が射し込む
テントの内側に付いた結露を雑巾で拭き取ろうとすると、雑巾の表面が白くなった。
テントの結露は凍り付いていたのである。
良く見ると芝生広場の所々に霜も降りていた。
空は雲一つなく晴れ渡っていて、放射冷却で気温も下がったのだろう。
太陽の光が当たり夫婦岩が赤く染まり始めた。
その光は次第に山を下りてきて、やがてキャンプ場の芝生にも朝の光が伸びてきた。
夫婦岩を照らしていた朝の光が下まで降りてくる
紅葉した木々も朝の光を浴びてその鮮やかさを増している。
そんな風景の中に焚火の白い煙がゆらゆらと舞い上がる。
これ以上は望めないような素晴らしい朝だった。
緑の芝生の上に紅葉の絨毯が敷かれる
朝のコーヒーを飲むのも忘れて、カメラを構えて走り回る。
ここのキャンプ場はやや高い場所にあるので、下界は完全に朝霧に覆われていた。
下界は朝霧に包まれる
朝日に照らされ赤く染まるキャンプ場
川下りの集合時間に遅れないよう、朝食を済ませて直ぐに撤収を開始。
テントがずぶ濡れなので、少しでも早く乾かそうと、雑巾で水をふき取る。
他のキャンパーも撤収が早いようで、皆同じように雑巾でテントを拭いているのが何か可笑しい。
そうして8時半過ぎには撤収を終えて、トナシベツ川の川下りへと向かったのである。