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感動も新たに歴舟川

歴舟川の河原(8月2日~3日)


大樹橋の下から出発

前泊キャンプ地から移動し、車の回送も済ませ、午前11時過ぎに大樹橋の下から歴舟川の川旅へと出発した。
何時ものことながら、この瞬間のワクワク感がたまらない。
夜汽車に乗って旅に出る時と同じような感覚だ。

しかし、直ぐに現実に引き戻される。
大樹橋の下流では瀬が待ち構えているのだ。

以前は左岸側への分流もあって、本流がそちらへ流れている時は波も大きくなり、結構緊張させられていた。
ここ数年の本流は素直に中央を流れていて、瀬にはなっているものの比較的楽に下ることができる。


最初の瀬を下り終えてホッと一息


去年は、その先のふるさと大橋の橋脚に本流がぶつかっていて、ポーテージしながら下ったが、今年はそこはすんなりと通過。
毎年のように流れを変える歴舟川なので、前の年の情報は殆ど役に立たないのである。


こんな瀬が何度も現れる

流れが狭まるところは、大体が瀬になっていて波も高くなる。
素直な流れなので楽しく下れるのだが、キャンプ道具を満載しているので、カヌーの中に水が入ると面倒である。

濡れて困るような荷物は全て防水バッグに入れてあるので、それは問題ない。
面倒なのは、カヌーをひっくり返して水抜きをすることができないので、中に入った水は小さなベイラーで汲み出さなければならないのだ。

今日の歴舟川の水量は、渇水とまではいかないけれど、かなり少なめであることに間違いはない。
この水量ならば水も澄んでいそうなものだが、若干濁りがある。

上流では災害復旧工事も行われているはずなので、その影響があるのだろう。
川底の石も藻が生えていて、何時もの清流歴舟川のイメージがない。


攻略ルートは見えたけれど

テトラブロックが積まれた左岸へと本流が向かっていた。
念のために岸に上がって様子を確認するが、特に問題はなさそうだったので、そのまま下っていく。

しかし、この先には去年ポーテージすることになった瀬があるはずだ。
その瀬が見えてきたので、再び岸に上がる。

上流から流されてきたと思われるテトラが、瀬の所々で障害物となっている。
去年は、かみさんが「絶対に無理」と言うので、荷物満載のカヌーを渋々とポーテージしたのである。
それが今年は、その瀬の中に下り抜けられるルートが見えたみたいで、すんなりと下ることに決まった。


かみさん渾身のドロー

「一番下に岩が隠れているみたいだから気を付けましょう」と、やたらに落ち着いている。
こんな時のかみさんは、タンデムを組んでいても頼りになる存在となる。
それが、弱気になっている時は、こちらが大声で指示しないと反応しなくなるのだ。

途中でカヌーが横向きになりそうになっても、落ち着いてコースを修正し、最後の岩にぶつかりそうになっても、体を大きく反らした力強いドローでそれをかわす。
私は殆ど何もしていなかった気がする。(この時の動画はこちら

岩だと思っていたのは水中に隠れたテトラだった。
無事に下り終えてから思ったことは「ここはやっぱりポーテージすべきところだった」である。


左岸側を下ったけれど右側をライニングダウンした方が無難だ



この後は特に難所も無かったはずで、今日の野営地を探しながら下っていく。
歴舟川の広大な河原には大量の流木が流れ着いている。
それが今年は、その流木の除去作業が川全体で行われているようだ。


流木が除去された河原

河口に一番近い歴舟橋を渡った時、河原に流木が1本も無いことに驚かされた。
中流域でもそれは同じで、重機がどうしても入れないような場所以外は、きれいさっぱり流木が無くなっているのだ。

それでも、焚火に使えるようなサイズの流木はいくらでも残っているので問題はない。
ただ、重機が走り回った跡の残る河原の風景は、やっぱり興ざめである。

野営地の河原を探す時、良いところが有ったとしても「もしかしたらこの先にもっと良い場所があるかも知れない」との気持ちが湧いてくる。
しかし、その先にはもうテントを張れそうな場所が無いことだってあり得るのだ。
何時もこのせめぎ合いが続く。

今回は2回目に上陸した河原で、ほぼ納得できる場所を見つけ、そこを今日の野営地に決める。
時間は12時20分になっていた。


今回の野営地に決めた河原


テントを張る場所は砂地と言うよりも泥っぽく、その後ろの広大な河原も倒木除去の重機の跡がはっきりと分かる。
でも、川の近くにテントを張れて、ベンチ代わりになりそうな太い流木もあり、焚火に丁度良いサイズの流木は周りに大量に転がっている。


まずはタープだけを設営

眺めも良く、魚が釣れそうなポイントも近くにある。
総合的な快適度は、過去の河原キャンプと比較してもかなり高いレベルである。

大樹町の昨日の最高気温は34度まで上がっていた。
今日は30度までは達していないけれど、陽射しも強くて、灼熱の河原となっている。
とてもテントまで張る気にはなれず、とりあえず陽射しを遮れるようにベンチ代わりの流木の上にタープだけを張る。

昼食は簡単にカップ麺。
お湯は、ガスストーブも持って来ていたけれど、かみさんが直ぐに料理用小焚火を準備してそこで沸かす。
これも河原キャンプの楽しみの一つである。
ガスストーブを使った方が簡単で早くお湯を沸かせるが、河原キャンプでそんな便利さを求める必要はないのだ。


川で涼みながらビールを飲む

タープの作る日陰に避難していても、灼熱河原での暑さは殆どしのげない。
手っ取り早いのは川の中に入ることである。
かみさんは、川岸の石に腰掛けて足を水に付けながらビールを飲んでいた。

ビールを飲み終わったかみさんは、今度は釣りをしたいと言い始めた。
かみさんが釣りをすると言うことは、仕掛けの取り付け、エサ付け、釣れた魚の取り外し、全て私がやると言うことでもある。

まあ、それは覚悟のうえで釣りセットを持って来ていたので、「はいはい」と言いながら準備をする。

まず最初に私が糸を垂らすと、直ぐにウグイがかかってきた。
かみさんに代わっても釣れるのはウグイばかり。
それでも釣れないよりはマシである。
ひとまず釣りは切り上げることにしたが、最後にかなり強い引きがあって仕掛けを持っていかれたと、かみさんは悔しそうだった。


釣れそうなポイントだったが

釣れるのはウグイばかり


まだまだ気温は高く、耐えられなくなったら川に入ってクールダウン。
大樹町のスーパーで買ってきたトウキビを焼いて食べたけれど、パサパサしていて全然美味しくない。
トウキビはやっぱり朝もぎでなければ食べる価値はない。

夕方になってようやく涼しくなってきたのでテントを設営する。


そして再び釣りにチャレンジ。
何処から歩いてきたのか、女性の釣り人が現れたのにはびっくりした。


石の上で釣り上げた魚をさばく

でも、私達よりも彼女の方が、こんな場所でキャンプしている人がいると驚いたに違いない。
それにしても、歴舟川で何度も河原キャンプをしているけれど、人に合ったのはこれが初めてである。

かみさんが魚を釣り上げ、「模様が付いている!」と嬉しそうな声を上げた。
ようやくニジマスゲットである。
それを持ち帰って早速かみさんが調理を始める。

私は河原をブラブラと歩いてみる。
流木が除去された跡の殺風景な河原にムシトリナデシコの花が彩りを添えていた。
それにしても、除去作業が行われた割には、大きな流木も結構残っていた。


歴舟橋付近の河原は、見事なくらいに流木が無くなっていたのに、この付近を担当した業者の仕事が雑だったのだろうか。
まあ、一生懸命片付けたところで、一たび増水すれば大量の流木がまた打ち上げられるのだろうから、そんなに丁寧に除去する必要もないのだろう。

テントに戻ってくると、かみさんが釣り上げたニジマスは美味しそうなアクアパッツァに姿を変えていた。
大樹町の道の駅で買った巨大シジミも使われている。
さすが、カヌークラブで総料理長として崇められているかみさんだけあって、とても即興で作った料理とは思えない出来である。


流木とムシトリナデシコ

釣り上げたニジマスはアクアパッツァに


それをつまみにしてビールを飲む。
夕陽が川の上流に沈んでいく。
期待したほどに空は染まらなかった。


もう少し赤く染まってほしかった夕焼け


夕食はビビンバ。
パックご飯を使って簡単にできるので、最近の我が家のキャンプでは時々登場するメニューである。


焚火の時間

夕食が終われば、お楽しみの焚火の時間である。
その前から焚火は始まっていたのだが、暑くて近くに寄りたくないので、勝手に燃え続けていたのである。

辺りが暗くなっても、まだ焚火には近づきたくない。
派手に燃やし過ぎていることもあるのだろう。
離れた場所に自分の席を確保する。

対岸の河畔林の中に赤い星が見え隠れしていた。
昨日も晩成温泉で楽しんだ、15年ぶりに地球に大接近している火星である。

その火星が黒々とした河畔林のシルエットの上に浮かび上がる頃には、その横に天の川の姿もくっきりと見えるようになっていた。


美しい星空と火星、そして天の川


こんなに美しい星空を見上げるのは久しぶりの気がする。
今年の歴舟キャンプは、ペルセウス座流星群に合わせて来るつもりでいた。


盛大に燃え続ける焚火

歴舟川の河原に寝そべって流星群を眺める。
それが昔からの私の小さな夢だったけれど、その夢は未だに実現していない。

今年こそはと張り切っていたけれど、その日が確実に晴れるとは限らない。
結局は、天気が良い時に出かけるに限ると思って、今日に至ったのである。

そろそろ寝ようとしていると、かみさんが焚火の中に太い流木を放り込んだ。
クマ避けのためだと言う。

車の回送の時に乗ったタクシーの運転手さんも言っていたけれど、最近は歴舟川のかなり下流部まで熊が出没しているらしい。
河原に張られたテントまでわざわざ訪ねて来るような熊はいないと思うけれど、一応の気休めにはなりそうだ。



朝目覚めても、体が重たくてなかなか起き出す気にはなれない。
そんな時、かみさんが「朝日が昇ってくるわよ」とテントの外から声をかけてきた。
今日の天気予報は朝から曇り。
太平洋から海霧が流れ込んでくるのだろうと思って、早起きする気にもなれずいたのが、その言葉で一気に目が覚めた。


朝日に染まるカヌー

テントから出ると、雲一つない青空が広がっていた。
そもそも昨日の天気予報も曇りになっていたので、完全に予報は外れたみたいだ。

私が起き出す前まで、対岸ではキタキツネの親子が暫く戯れ合っていたらしい。
出来れば、そのタイミングで起こして欲しかった。

歴舟川で顔を洗い、かみさんが焚火で沸かしたお湯で入れてくれたコーヒーを味わう。
今日も又、気温が上がりそうだ。

かみさんに言われるまま、朝の釣りに付き合う。
昨日は退屈しない程度に釣れていたのに、今日は全く魚信がない。
朝日を背にして水の中を覗きこむと、川底の石までくっきりと見えていた。
それはつまり、水の中からも釣り人の姿もハッキリと見えていると言うことだろう。


見事に晴れ渡った歴舟の空


釣りは諦め、テントへ戻ることにする。
残ったブドウ虫を川へ捨てようとしたら、かみさんが「もしかしたら下っている途中に釣れそうな場所があるかも知れないから」と言うので、「はいはい」と言ってそのまま持ち帰る。


撤収完了、テントの前に敷いた石畳はそのままに

朝食は、スパゲティに大樹産シジミのスープ。
朝食を終えたら、暑くなる前に撤収を開始。
そして午前8時、お世話になった河原を後にする。

そこから下流にもテントを張れそうな河原が幾つかあったけれど、やっぱり今回の野営地が一番だった気がする。

更に川を下っていくと両側を林に囲まれた場所へと入ってきた。
「河原のない歴舟川?」
そんな違和感に包まれていると、上空からオジロワシが舞い降りてきて、水面すれすれに滑空し再び舞い上がっていく。
その水面には、必死に泳ぐカモの親子の姿があった。

その先に上陸できる場所があったの、岸に上がってみる。
するとそこには、川の流れが消えてしまった広大な河原が広がっていた。
そしてまだ片付けられていない流木が累々と転がっていたのである。


歴舟川らしくない風景

川が消えてしまった広大な河原


その河原のない歴舟川を下っていくと、流れが三つに分かれていた。
ちょっと迷ったけれど、そろそろ元の川筋に戻った方が無難そうなので、一番右の分流に進む。
するとまた流れが二つに分かれる。
まるで迷路の中を下っているようだが、何とか外れの分流に掴まることなく漕ぎ抜けることができた。


歴舟川に架かる最後の橋の歴舟橋

歴舟橋手前のテトラ絡みのエディにヒヤッとし(動画)、歴舟橋の橋脚に絡みついた流木のストレーナーに慄きながら(動画)、いよいよ歴舟川の最下流部へと入っていく。
風景も茫洋としたものに変わってくる。

この辺りの河原の石には、丸い凹みや穴の開いたものが多い。
川底の岩盤に開く同じような穴は甌穴と呼ばれて、くぼみの中に入った小さな石が水流で回転しながら長い時間をかけて浸食してできるものである。

石ころの穴も同じようにできるのだろうか。
河原に転がる丸い石が一所に長い間留まっているとも思えないし、穴のできる理由が謎である。
それはともかく、完全に貫通した穴の開いている石をお土産に持ち帰ることにした。


穴あき石が顔に見える

穴あき石で顔を作る


そして下っていく川の向こうに水平線が見えてきた。
歴舟川の河口は大きなプールになっていて、海との間の砂丘が切れている場所から海へと流れ出るのである。


歴舟川の河口はもう目の前


そこまで下って最後に海を見たかったけれど、そうすると後が大変である。
河口部の広大な河原は流木除去作業のために荒れていて、車で中まで入って行ける状況ではない。
しょうがないので、車で入れるところまでで、川下りは切り上げることにした。

片付けを終えてから、歩いて河口のプールまで行ってみる
そこからでは、海へと流れ出ている場所は確認できなかったが、そこからの風景は今回の川旅を完結するには十分なものだった。


河口のプールを今回の旅の終着地点とした


歴舟川の川旅は、毎回新たな感動を得ることができて、何度やっても飽きることはないのである。


8月2日12:00 歴舟川尾田観測所水位:101.99m



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