北海道キャンプ場見聞録
モラップでサップにキャンプ
モラップキャンプ場(7月24日~25日)
秀岳荘がカヌー試乗会を初めて平日に開催すると聞き、それならば混雑することもないだろうと考えて参加することに決めた。
目的は、最近カヌークラブの中でも話題になっているSUP(スタンドアップパドルボード)の試乗である。
SUPは、屋久島に行った時に初めて乗って、先日のクラブの例会でも、ゲスト参加された本州の方が乗っていたSUPに少しだけ乗せてもらっていた。
シングルパドルで漕ぐSUPは、カナディアンに乗っている人間なら誰でも興味を持つはずである。
モラップでの我が家の定番サイト
試乗会の会場は、支笏湖のモラップキャンプ場なので、ついでに1泊することにした。
プー太郎生活は、本当に自由が効いて便利なのである。
もう以前の生活には戻られない。
7月も下旬に入り、平日とは言ってもある程度の混雑は覚悟していたが、午前10時過ぎに到着したモラップキャンプ場は拍子抜けするくらいガラ空きだった。
それでも午後からは混んでくるだろうと、このキャンプ場では我が家定番のサイトでもある、湖岸の一番奥にテントを設営。
駐車場から少し離れるので、今回の装備は山キャンプ仕様である。
それでも、焚き火台に薪にビールが沢山入ったクーラーバッグにと、山キャンプでは関係ない装備も多いので、テントを先に張って、残りの荷物はカヌーに乗せて運んだ。
カヌー試乗会に参加
一息付いてから、11時開始の試乗会へ。
キャンプ場の入口でやっているものだから、会場まで我が家のカヌーで乗り付ける。
秀岳荘白石店のカヌー売り場のお兄さんが担当だった。
SUPは2艇だけ。
そのうち1艇はレース用で、少し幅が狭いので、そちらに私が乗る。
さすがに安定しないので、湖の底が見える辺りでウロウロしていたら、その間にかみさんは沖にまで出て行っていた。
前に進むだけなら普通に漕げるけれど、ターンが上手くできない。
でっかいフィンが付いているためである。
川で乗るのならばもっと短くて柔らかいフィンがあるらしい。
慣れた様子でSUPに乗るかみさん
ボードの後ろに乗ってターンしようとするが・・・
YouTubeで事前に調べたところ、ターンする時はボードの後ろ側に乗って前を浮かせれば良いらしい。
しかし、後ろに乗ろうとしたところでバランスを崩し、思いっきりひっくり返った。
SUPでひっくり返ると、カヌーの沈と違って、立ったままの姿勢からダイビングするようなものである。
水は飲んでしまうし、耳に水は入るしで、なかなか大変である。
ネイティブさんファミリーが日帰りキャンプで遊びに来ていた。
そこに、コーさんご夫婦もやってきた。
コーさんは同じカヌークラブに入っているけれど、肩を痛めて暫く例会には参加していないので、会うのも久しぶりである。
コーさんもSUPに試乗したが、潔くひっくり返る。
初めて乗る時はやっぱり、ボードの上で立ち上がるだけで一苦労なのである。
一旦自分のテントまで戻り、昼食を食べてからもう一度試乗会の会場へ。
午前中にシットオンカヤックに試乗していた外国人夫婦がまだ戻って来ていなかった。
波も無く風も弱いので、心配することは無さそうだが、それにしても困ったものである。
かみさんもレース用SUPに挑戦
ちょっと気になったのは、レスキュー態勢の心許なさだった。
スタッフ3名のうち、カヌー売り場のお兄さん以外は、多分他の売り場からの応援スタッフらしく、それほどカヌーが上手なわけでもなさそうである。
その態勢で全くの素人を好き勝手にカヌーに乗らせて、何かトラブルが有った場合どうやって対応するのだろうと心配になってしまう。
でも、今日の天候ならカヌーが沖に流されることもなく、水温も高いので暫く水に浸かっていても低体温症になる心配もない。
体験試乗しているのも大人である。
カヌーは元々が自己責任の遊びなのだから、必要以上に過保護にする必要もなく、このやり方で十分なのかもしれない。
結果的にそうなっただけかもしれないけれど、さすが秀岳荘だと、変なところに感心してしまう。
ダブルパドルは面白くないというかみさん
外国人夫婦がようやく戻って来た。
最初の英語での説明が上手く伝わらず、30分までの試乗時間を3時間までと勘違いしていたようだ。
せっかくなので、SUPだけではなくダッキーやファルトなどにも乗ってみる。
普段シングルパドルで漕いでいるので、ダブルパドルがしっくりとこない。
かみさんは「ダブルパドルは面白くない」とまで言っていた。
それでも、一人乗りのシーカヤックに試乗した時は、その足の速さに感動した。
カナディアンに乗っている時と比べると、トラックとスポーツカーくらいの違いがあるような気がする。
それにしても、試乗艇の中にカナディアンカヌーや一人乗りのカヤックが無いのが、どうも片手落ちのような気がした。
まあ、最近は店頭で売られている種類も同じ様な感じなので、商売前提の試乗会ならばしょうがないところなのだろう。
私の後ろでSUPに乗っているのは外国人のお父さん
沢山遊ばせてもらって、自分達のテントに戻り、後はビールを飲みながらのんびりと時間を過ごす。
ニトリで買ってきたヘリノックス風の安価なチェア
今回のキャンプでは、前日にニトリで買ったばかりの二つのアイテムが新登場していた。
一つは、今流行のスキレット。
もう一つは、衝動買いしてしまったコンパクトチェア。
秀岳荘で展示されているヘリノックスのチェアを見ていて、その収納のコンパクトさに以前から憧れていたのだ。
しかし、値段は軽く1万円を越え、とても二人分買い揃える気にはなれない。
それが、ほとんど同じ形のチェアが本物の3分の1以下の値段で売られているのである。
ネットで売られている紛い品は信用できないけれど、ニトリならば信用できる。
全くの予定外で二つ購入してしまった。
コンパクトに収納できるのは良いけれど、座り心地はやっぱり今一である。
かみさんは気に入ったみたいだが、身体が大きい人間にはやっぱり窮屈に感じてしまう。
スキレットで鶏もも肉を焼く
スキレットの方は、カヌークラブの某先輩のキャンプスタイルを見ていて、以前から欲しかったものだ。
自分の椅子の周りをクーラーボックスやテーブルなどで囲み、後はそこに座ったままの状態で全てが見事に完結してしまうのだ。
小さなフライパンで焼き物をしたり、ビールを飲んだりしながら悠々と時間を過ごす。
一人で放浪している時間が長いと全ての無駄が削ぎ落とされるのだろう。
男一人の小宇宙がそこには出来上がっている。
かみさんはそれを「オヤジソロ屋台スタイル」と呼び、今回のキャンプで真似しようとしていた。
ポイントは、股を開いて座るところだそうである。
しかし、やっぱりまだ修行が足りないようで、無駄な動きが多かった。
かみさんのオヤジソロ屋台スタイルは無駄が多い
元祖オヤジソロ屋台スタイルは完璧に無駄がない
それでも、スキレットでチマチマと料理を作っては、それを肴にしてビールを飲むのはなかなかいけていた。
二人キャンプでは、これくらいの大きさがちょうど良い。
カヌーの上から風景を楽しむ
暫くの間、このスキレットは活躍してくれそうだ。
今日は雲が多いけれど、比較的良い天気だった。
気温は25度までなさそうだが、それでも直射日光を浴びると暑くてたまらない。
この雲が陽射しを遮ってくれるので、気持ち良く過ごせる。
そして雲間から漏れる太陽の光が、風景に変化を与えてくれる。
今日の雲は素晴らし風景の演出家だった。
そんな風景の中に交代でカヌーを漕ぎ出す。
今年は湖でのキャンプが多いけれど、こんな素適な時間を過ごせるのだから、やっぱり湖へと足が向いてしまうのだ。
雲が素晴らしい風景を演出してくれる
夕方近くになってテントの数も増えてきたが、それでもまだ場内はゆったりとしていた。
美笛とは明らかにキャンパーの質が違うような気がする。
フル装備のキャンパーが多い美笛と比べると、こちらは質素なキャンパーが多い。
我が家の隣には女子会キャンプのテントが
何となく美笛の方がキャンプ慣れしたキャンパーが多いイメージを持っていたが、今シーズン両方に泊まってみると、それが逆のように思われた。
夏のハイシーズンになればモラップは夏の海辺を思わせる騒乱状態になるらしいが、そのシーズンを外せば純粋にキャンプを楽しみにきているキャンパーが多いのだろう。
私達の隣に若い女性の3人連れキャンパーがやって来た。
女子会キャンプって雰囲気で、キャーキャー騒ぎながら写真を撮ったりして、とても楽しそうだ。
テントからは軽快な音楽も流れてくる。
今時、ラジカセではないのだろうが、自分が若かった頃を思い出して、微笑ましく思えてしまう。
夜遅くまで恋バナで盛り上がられるのは困るなと思ったが、夜も以外と早く静かになったようだ。
夕日に染まる場内
恵庭岳に夕陽が沈む
美笛では朝日が楽しみだが、モラップでは何と言っても夕日が美しい。
特にこの日は雲が多いので、こんな時はひと味違った夕焼けを楽しめる。
刻々と色や形を変えていく夕陽や雲を眺めながら、スキレッドで料理を作り、ビールやワインを味わう。
最高の時間である。
今時期のキャンプで悩まされる吸血中も少なく、場内も静か。
7月末にこんなに快適なキャンプが出来るなんて思ってもいなかった。
陽が沈んだところで焚き火に火を付ける。
それでは星が一つまた一つと輝き始める。
今日はISS(国際宇宙ステーション)が良く見える時だったので、それも楽しみだった。
陽が沈んだ後も刻々と色を変える空
出現時間は午後8時過ぎ。
夕陽が沈んだ後、雲も減ってきたが、その時間が近づくと再び雲が広がり始めていた。
そして、午後8時を過ぎる頃、風不死岳の山麓付近から出現したISSは、次第に輝きを増し、さそり座のアンタレスよりも明るくなって、キャンプ場の上を通過し、背後の森の中へと消えていった。
雲のために途切れ途切れになってしまったが、しっかりとその軌跡も撮影することができた。
ISSは雲のためにちょっと擦れ気味
翌朝は4時半過ぎに目を覚ます。
テントから出ると、既に朝日が風不死岳や恵庭岳を明るく照らしていた。
しかし、テントの東側には森が迫っているので、私達のサイトまで朝の陽射しが届くのには、暫く時間がかかりそうだ。
スキレットで作る朝食のビビンバ
女子会キャンパーは既に撤収を始めていて、午前5時15分頃にはリヤカーにキャンプ道具を積み込んで帰っていった。
恐らく今日はこのまま仕事に向かうのだろう。
若いって素晴らしいなと思ってしまう。
朝食はスキレットでビビンバを作る。
これがなかなか美味しくて、我が家のキャンプメニューの定番になりそうだ。
そして、トイレでスッキリとして水を流そうとしたら、水が全く流れない。
この時、場内が突然停電して、水道も断水してしまったらしい。
最悪のタイミングだった。
トイレで用を足し、それをそのままの状態にして出てくることが、こんなにも心苦しいことだと初めて知ることとなったのである。
断水は1時間程度で復旧した。
帰り際、気になってトイレの様子を見に行ったが、私のそれは既に流された後だった。
水を流してくれた人に心の中で謝りながら、キャンプ場を後にしたのである。