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避暑キャンプのつもりが

アルトリ岬キャンプ場(7月13日~14日)

歴舟川の川旅キャンプから返ってきた後、札幌は真夏日が続いていた。
現役時代は、たとえ真夏日になっても仕事に出てしまえば、エアコンの効いた涼しい室内で過ごすことができた。
それが退職後は、涼しいところに行こうと思ってもスーパーに買い物に行くくらいしかないのである。

家の中で暑さにぐったりしながら過ごすよりは、何処かに出かけた方が良い。
海辺ならば札幌よりは涼しいだろう。
そう考えて、以前から行ってみたかった伊達市のアルトリ岬でキャンプをすることにする。
そしてついでに、「室蘭工場夜景+α展」じっこういいんかいのフェイスブックでその存在を知った室蘭の海蝕洞も見に行くことにした。


海蝕洞までイタンキ浜から海岸を歩いて行く

真夏日の予報が出ている札幌を脱出し、苫小牧で高速道路を降りる。
狙い通り、苫小牧には涼しい風が吹いていた。
しかし、室蘭に向かうに従って車の温度計がどんどん上がってくる。
イタンキ浜に到着して車から降りると、あまりの陽射しの強さにクラクラしそうだった。

目的の海蝕洞は、ここから海岸沿いに1時間ほど歩いた先にあるらしい。
本当は涼しくなった秋にここを訪れるつもりでいたのだが、どうも最悪のタイミングで訪れてしまったようだ。
後で分かったのだが、今年室蘭で真夏日を記録したのはこの日一日だけだったのである。

午前10時20分、太陽に熱せられたイタンキ浜の灼熱の砂浜を歩き始める。
それでも波打ち際を歩くと、それほど暑さは感じなかった。


海蝕崖の絶景が目の前に広がる



崖から転がり落ちてきたと思われる岩塊が砂浜に転がる

海蝕崖の絶景を眺めながら砂浜を歩いて行く。
高さ100mを越える海蝕崖の大部分は緑の草木に覆われれているが、所々で白や灰色の崖が剥き出しになっている。

白い色は凝灰岩、灰色に見えるのは安山岩らしい。
それらが層をなして直ぐ目の前に聳えて立っているのである。

柔らかい凝灰岩は大昔に波の浸食を受けたのか、それとも長い年月の間に風で浸食されたのか、その表面に筋状の紋様が浮き上がっている。

砂浜には、その海蝕崖から剥がれ落ちたと思われる巨大な岩が転がっているが、その岩にも同じ模様が付いているのが面白い。


圧倒的な迫力で迫ってくる



こんな海岸は少々歩きづらい

砂浜が次第に岩やゴロタ石の海岸へと変わってくる。
大きな石は安定しているので、飛び石のようにその上を渡っていけるが、小さなゴロタ石は足元が不安定で歩きづらい。

海蝕崖の直ぐ近くまで海面が迫ってきていた。
潮が満ちてくるとここは通れなくなりそうだ。
事前にその情報は調べておいたので、干潮の時間に合わせて訪れたのである。

午前11時過ぎがこの日の干潮時間だったので、そのまま歩いて行けるだろうと思っていたら、どうしても海の中に入らなければならないところがあった。

長靴ならばそのまま渡れそうな深さだが、私達はしょうがないので靴を脱いで裸足になってそこを渡る。


水の中を歩かなければならないところもある

満ち潮の時はこの辺りを歩くのは難しそうだ


 


この先に海蝕洞があった

数十メートル沖には、海蝕崖からそのまま切り離されたような岩塊が島のように聳えている。
海蝕概を回り込むように海を渡ると、その先にも海蝕崖の絶景が続いていた。

海蝕崖の一部を削るようにしてチョロチョロと水が流れ落ちている。
大雨が降れば、その流れは迫力のある滝に姿を変えるのだろう。

その断崖の下を歩いていった先に洞窟のようなものが見えてきた。
どうやらそこが目的地のようだ。
50分もかからずに到着である。

洞窟の中は結構広く、2つの穴が開いている。
奥の方にももう一つ小さな穴が見えていた。
そこを抜ければ、この先の海岸に出られそうだが、それ以上は先には進めないはずなので、そこまで行くのは止めておいた。


海蝕洞内部からの眺め


洞窟の隣で持ってきたおにぎりを食べる。
上空では沢山のツバメが飛び交っていた。
海蝕崖の何処かに巣を作っているのだろう。


洞窟の奥まで入ると向こう側に抜けられるが・・・

かなりの大きさの海蝕洞である


 


帰りは更に気温が上がってきた

洞窟からの帰り道、既に12時を回っていたので、来る時よりも更に気温が上がってきていた。
太陽で熱せられた石の海岸は、更に気温が高そうだ。
その石に水をかければジューッと音がして水蒸気が上がり、そのままサウナになりそうである。

岩陰に座っていたおじさんと鉢合わせして、お互いにビックリする。
地元の漁師風の方で、洞窟へ向かう途中、浜に打ち上げられた昆布を拾っている姿を見ていた。

洞窟を見にきた話しをすると、その奥まで行ってみたかと聞かれ、行かなかったと答えるととても残念がられた。
奥の穴を抜けた先の風景もなかなか素晴らしいものらしい。
せっかくここまで来たのに、宿題を残したまま帰ることになってしまった。


濡れた砂浜を歩けば少しは涼しく感じる

砂浜に出てくると、波打ち際の濡れたところを歩く。
そこならば空気もヒンヤリとしていて暑さもあまり感じない。
今日の暑さならば、洞窟探検よりも海で泳いでいた方が正解だったかもしれない。

洞窟探検の後はトッカリショ展望台へ向かい、自分達が歩いた海岸を上から見下ろす。
やっぱりこの海蝕崖の絶景は、海岸から見上げた方が絶対に素晴らしい。

地球岬などを回った後、むろらん温泉ゆららで汗を流し、今日のキャンプ地であるアルトリ岬へと向かう。
相変わらず気温が高い
午後になれば次第に気温も下がってくるだろうと期待していたが、伊達市に向かうに従って下がるどころか逆に気温が上がってくる有様だ。
それもそのはずで、伊達市のこの日の最高気温は午後3時頃に記録されたようなのである。

それでも、午後4時半頃にアルトリ岬キャンプ場に着く頃には気温もようやく30度より下がっていた。
暑いのが人一倍苦手な私達は、気温が25度を超えるような時にキャンプをするなんて、まず有り得ないことである。


私達がテントを張ったのはこの丘の上

それが今日は、少し下がったとは言ってもまだ30度近い暑さであることに変わりはない。
避暑キャンプに来たつもりが、とんでもないことになってしまった。

アルトリ岬キャンプ場に訪れるのは今日が初めて。
眺めの良いキャンプ場と言ったイメージを持っていたけれど、サイトと思われる場所からの眺めはパッとしない。

その代わり、少し小高くなった丘の上に素晴らしい眺めの場所があった。
そこは本来のキャンプ場のテントサイトだとは思えないが、テントを張るのはそこしかないと言えるだろう。
もしもそこにテントを張れなかったとしたら、当方に暮れていたところである。


テントの陰で暑さをしのぐ

相変わらず気温は高く、テントが作る日陰に入って暑さをしのぐ。
私達が到着した時、本州ナンバーの車が炊事場の近くに停まっていたが、暫くすると車で出ていった。
多分、ここで車中泊でもするのだろう。

車中泊ならば何とかなりそうだが、テント泊の場合、一体何処にテントを張れば良いのだろう。
サイトと思われる場所は草が伸び放題。
それも、ここ数年一度も草を刈ってないんじゃないだろうかと思えるような状態である。

キャンプ場の管理状態についてとやかく言う様な私ではないけれど、さすがにここは「これってどうなの?」と思ってしまう。
閉鎖されていないだけありがたいけれど、その状況は閉鎖されたキャンプ場と大して変わりはない。


影が長く伸びてきた

と、一般的な意見を書かせてもらったが、素晴らしい眺めの場所にテントを張ることができて、水場も使え、くみ取り式だけれどトイレもある。
私達にとっては最高のキャンプ場である。
ちなみに、草刈りはされていないけれど、くみ取り式のトイレだけはとても綺麗に管理されていた。
翌朝、軽トラに乗ったおばさんがトイレの掃除をしに来ていたが、草刈りは一度もされていなくても、トイレの掃除は毎日行っている様子である。

午後6時を過ぎる頃になって、ようやく日の当たる場所に出ても我慢できる程度の気温まで下がってきた。
既に焼肉も食べ終えていたので、後はビールを飲みながらサンセットショーを楽しむだけである。

そこに、若い男女の乗った乗用車がやって来た。
多分、二人でここから夕陽を眺めようと考えていたのだろう。
ところが、車の中から夕日を眺められる絶好の場所には、得体の知れないキャンパーがテントを張っていたのである。
気の毒なことをしたと思いながら、Uターンして帰っていく車を見送った。


サンセットショーを楽しむ



夕陽が美しい

夕陽が噴火湾を赤く染める。
夕陽が沈んでいくところの山は豊浦町辺りの山塊だろうか。

その頃になれば空気もヒンヤリとしてきたので、焚き火に火を付ける。
焚き火の暖かさに期待している訳ではなく、どちらかと言うとそこから発せられる熱は邪魔にさえ感じるのだけれど、やっぱりこんな夜には炎があった方が良い。

辺りが暗くなってくると有珠や虻田の街並みに明かりが灯り始める。
その背後の山の上にポツンと見えている明かりはウィンザーホテル洞爺のものだろう。

海には漁り火が輝き、その上には満天の星空が広がる。
日中の暑さには参ったけれど、やっぱりこれがあるからキャンプは止められない。
札幌にいたとしても、今頃はまだ暑さの残る部屋の中で汗を流していたはずである。


街の光りが瞬き始める



朝のうちは雲が出ていたが気温は高い

翌朝は漁船の音で目を覚まさせられる。
目の前の海には沢山の磯舟が浮かんでいた。
水中を覗いているのでウニでも採っているのだろう。

今日も気温が高くなりそうなので、朝食を済ませた後は直ぐに撤収を開始し、午前7時前には撤収完了。
帰り道、近くの有珠善光寺に立ち寄る。
ここの石割桜が有名で、「昔、見たことがあるよね~」などとかみさんと話しをしながら、善光寺までやって来た。
そして、藁葺屋根の本堂を見てその重厚さにビックリする。
その隣に建つ客殿の各部屋には、凛とした花が飾られている。
北海道にもこんなに素晴らしいお寺があったのだと感動させられた。

と言うことは、ここを訪れるのは初めてであり、当然のことながら石割桜を見たことがあるはずないのである。
夫婦揃ってかなり呆けてきているようだ。

石割桜のある寺の裏山もなかなか良い感じである。
でも、歩いているだけで身体が汗ばんでくるような蒸し暑さで、蚊も集まってきたので、早々に逃げ出した。


有珠善光寺はなかなか趣のあるお寺だった


出発時間が早かったのでお昼前には自宅に着いてしまった。
この日札幌は、今夏の最高気温を記録し、自宅に着いた後も気温はどんどん上がり続けたのである。
そんな今年の夏の記念すべき日に札幌にいられて良かったと、しみじみと思ったのであった。



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