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20年ぶりのニニウキャンプ

ニニウキャンプ場(6月13日~14日)

20年ぶりに泊まるニニウキャンプ場。
十年一昔と言うが、それが二昔となれば、人もキャンプ場もすっかりと変わってしまう。
私自身はそれ程変わっていないつもりだったけれど、20年前のキャンプの写真を見てみるとその風貌の変わり様は明らかだった。


竿を出すかみさん

キャンプ場に向かう前に、かみさんの希望で釣りをしていくことにした。
場所はキャンプ場近くの鵡川の川原。
キャンプ場に泊まることはなくても、ここの川原では何度かテントを張ったことがある。

かみさんは今回も、キャンプ場よりもこちらの川原でキャンプをしたかったようだ。
しかし、「20年ぶりのニニウ」が今回のキャンプのコンセプトだったので、あくまでもキャンプ場泊が目的である。
とは言いながら、一応は河原キャンプにも対応できる装備は持ってきていた。

昔は最高の野営地だったここの川原も、最近は草が蔓延り、川原も狭まり、ここにテントを張りたいと思わせる魅力は失われてしまった。
なので、今回は釣りを楽しむだけにする。

竿は1本しかないので、私が全てセットして餌まで付けてあげて、それをかみさんに渡す。
全然釣れる様子がないので、見かねて交代する。
直ぐに、塩焼きにするのにちょうど良いサイズのニジマスが釣れた。
その後でウグイが釣れたところで再びかみさんと交代。


私達が時々遊びに来る鵡川の川原で釣りを楽しむ


しかし、また釣れなくなる。
合わせるタイミングが悪いようだ。
コツを教えてあげると、ようやく小さめのニジマスを釣り上げた。


2匹目のニジマスを釣り上げご満悦のかみさん

かみさんは「模様が付いている」と喜んでいる。
模様が付いていない魚はウグイ。
釣りはたまにしかやらない私達なので、模様の付いたニジマスやヤマメが釣れるととても嬉しいのである。

昼食を食べて再び竿を出す。
ウグイが連続して釣れ、かみさんも次第に要領が分かってきたようだ。
ウグイを針から外して放流するのは自分でできるが、餌のブドウ虫を付けるのは私の役目。
餌だけ取られることも多く、これならば少々高くてもイクラを餌にすれば良かったと後悔する。

ウグイばかりが連続して5匹くらい釣れた。
それでもかみさんは、魚がかかって竿がググッと引かれる感触だけでも楽しいみたいだ。
午後2時を過ぎ、そろそろキャンプ場にも向かいたいので「これが最後だよ」と言って餌を付けてやる。
そこで、まずまずのサイズのニジマスを釣り上げるのだから、かみさんもなかなかの強運の持ち主である。


先客はファミリー1組

そしてキャンプ場へと向かう。
キャンプ場にオートサイトが作られた後の2003年に一度訪れたことがあったが、その記憶も薄れていた。
フリーサイトとオートサイトのどちらにするか決めるため、受付前に場内を見せてもらう。
雰囲気はやっぱりオートサイトの方が良い。
先客のファミリーが1組いたので、そこから少し離れたオートサイトにテントを張ることにして受付に行く。

かなり久しぶりに泊まることを告げると、「吊り橋のあった頃かい?」と聞かれる。
それで、車で渡るのが怖いような吊り橋を渡ってキャンプ場へ入ってきたことが懐かしく思い出された。

私達はオートサイトを選んだのに、管理人さんのおじさんは「フリーサイトの方が近くに車も停められるし、安くて良いよ」と言ってきた。
オートサイトの料金もそれ程高くはないので料金よりもサイトの雰囲気を重視している私達の感覚が、管理人さんは理解できないようだった。


我が家のサイト

私達が選んだのはオートサイトの12番。
9~12までのサイトは今年になって新たに作られたオートサイトらしい。
2003年に見た時は20以上のオートサイトが作られていたはずである。
車の駐車スペースがあるだけで1区画3500円と法外な料金設定。
それが高速道路の工事に伴って暫く休業し、道路の開通後に再オープンした後は、全体がフリーサイトに変わっていた。
多分、休業している間に草に覆われ、フリーサイトとの区別がつかなくなっていたのだろう。
最近はその芝生広場を適当に区切ってオートサイトとしている。
料金も一区画1500円と納得できる金額になったのである。

テントを張り終えてビールを開ける。
緑に染まった風景に心が落ち着く。
2週間前に鵡川を下った時、緑に染まった山々の風景を眺めて、久しぶりにニニウでキャンプをしたくなったのである。


緑に染まる場内


キョキョキョキョと、良く響く鳥の鳴き声が聞こえてくる。
かみさんがその姿を確認しに行くが、鳥の名前が分からない。
後になってそれがヤマゲラだったことが分かる。


聞こえてくるのは鳥のさえずりと車の通行音

鳥の声は良いけれど、それと一緒に聞こえてくる高速道路の車の通行音。
20年前と徹底的に違っているのが、キャンプ場のすぐ隣にできた高速道路の存在である。
そこに高速道路が通ると知った時、ニニウはもう終わったと感じたものだ。
暫く足が遠ざかっていたのも、それが理由だった。

車の音がどれくらい聞こえるのか。
それが私の一番の関心事だったけれど、やっぱりその音は、無視できるレベルのものではなかったのである。

でも、騒音という程の音ではない。
こんなものだと思えば、気にならない人だっているだろう。
ただ、昔を知っているというか、人里から遠く離れ、熊が普通に歩き回っているような自然の奥深さがここの一番の魅力だと思っていた私には、やっぱりその音は我慢できなかった。


収穫したワラビ

かみさんが「場内の木が大きくなった」と言っているが、私は昔の木の大きさまでは覚えていない。
でも、20年も経てば、目の前に生えているシラカバだって、かなり大きくなっているのは確かだろう。

直ぐ近くには、葉が広がってしまったワラビの群落があった。
もう少し早くにきていれば、ワラビの収穫も楽しめたかもしれない。
と思って場内を散歩していると、キャンプ場の周りを一回りしているサイクリングロードの道ばたに、ちょうど良いサイズのワラビが生えているのを見つけた。
草刈りをした後に新たに生えてきたので、今の時期でも収穫できる大きさになっていたようだ。
一握り分をお土産に持ち帰る事にした。

20年前に泊まった時は、このサイクリングロードの上に真新しい熊の足跡を見つけて震え上がったものである。
今でもここはヒグマの生息域であることは確かだが、車が頻繁に走っている高速道路が近くにあれば、わざわざここまでやって来ることも無さそうだ。


釣ったニジマスは塩焼きにしていただく

テントに戻って炭を熾す。
今日の夕食は焼肉。
肉を焼く前に、まずは今日釣り上げたニジマス3匹を塩焼きにする。
河原キャンプならば、串に刺して焚き火の周りでじっくりと焼き上げるところだが、焦げ付かないように網の上にアルミホイルを敷いて焼くしかない。
雰囲気は出ないけれど、釣り上げた命を無駄にせずに、美味しくいただいた。

場内が暗くなってくると、今度は「ホーホー、ホーホー」との鳴き声が場内に響く。
またしても、何の鳴き声なのか分からない。
でもこれは比較的簡単にアオバズクの鳴き声であることが分かった。

夕方から雲が広がってしまって、残念ながら星空は見られない。
しかし、アオバズクの鳴き声を聞きながら静かに揺れる焚き火の炎を見つめていると心が落ち着く。
車の音さえ聞こえてこなければ、ニニウはやっぱり最高のキャンプ場であることに間違いない。


楽しい焚き火の時間


テントに入って眠ろうとすると、パラパラとテントを叩く雨音。
雨雲レーダーを確認すると、北海道の中でニニウ付近にだけ小さな雨雲がかかっていた。


朝の雨が焚き火を煙らす

その雨は直ぐに止んだけれど、翌朝もまたテントを叩く雨音が聞こえてきた。
再び雨雲レーダーを見ると、雨雲は疎らだけれど、札幌付近から連なってこちらの方に流れてきていた。

その雨も止んだと思って焚き火を始めると、再びパラパラと雨が落ちてくる。
テントの中から雨に打たれる焚き火を眺めているしかない。
しかし、焚き火の炎を弱らせるほどの雨ではなく、朝食を終える頃にはその雨も上がってきた。

雨が止むと急速に青空が広がってくる。
太陽の陽射しが届くとエゾハルゼミが一斉に鳴き始める。
雨に濡れた緑が更に鮮やかさを増したような気がする。


雨が止むとあっと言う間に青空が広がった



最後にスラックラインで遊ぶ

ゆっくりと片付けを済ませてキャンプ場を出ようとすると、場内の木にスラックラインが張ってあるのを見つけた。
場内の地図にも載っているので常設されているらしい。

体幹を鍛えられるというスラックラインだが、その上で立っていることさえできない。
日頃から体幹は鍛えているつもりだったけれど、この有様では大して鍛えられていなかったようだ。

何となく名残惜しさを感じながらキャンプ場を後にする。
そんな気持ちになったのは、ニニウキャンプ場に泊まるのはこれが最後だと感じていたからなのかもしれない。


名残惜しくニニウを後にする


帰り道、赤岩青巌峡の様子を眺めながら車を走らせる。
カヤックで下るには丁度良さそうな水量だけれど、カナディアンで下るとなるとかなり厳しそうな水量である。

ニニウキャンプ場に泊まることはなくても、鵡川を下るためにキャンプ場の近くまではこれまでも何度も来ていた。
これからもそれに変わりは無さそうだ。


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