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東洋のマチュピチュって?

竜沢寺緑地公園(4月7日~8日)

祖谷渓キャンプ村を後にして、最初に向かったのが小歩危。
小歩危でのラフティングは中止になったけれど、せめて川の様子だけは見ておきたかったのだ。

途中で桜や花桃が見事な花を咲かせているところがあって、思わず車を停める。
紅白の花を咲かせる花桃は何度か目にしていたけれど、その艶やかさは桜の花以上である。


美しい桜の風景



これくらいならカナディアンでも下れそうだ

小歩危までやって来た。
車を停められそうな場所を見つけては、そこに車を停めて川の様子を眺める。
昨日までの雨でいくらか増水したのだろうか。
ラフトで下っても十分に楽しめそうだ。

小歩危でラフトに乗りたかったのは、本当にカナディアンでは下れないような瀬なのか、自分の目で確認したかったからなのである。
今回確認できた瀬に限れば、カナディアンでも何とか下れそうな感じである。

ツアー会社の人から水が少ない時にラフトで下っても面白くないと言われたが、これ以上水量が増えればカナディアンでは下れなくなるので、水の少ない時にラフトで下る方が私にとっては好都合だったのだ。


川を見ていると下るルートを考えてしまう


小歩危を後にし、別子銅山を目指して国道192を走っていると、周りの風景に何となく見覚えがある気がした。
そこは去年の暮れにお遍路で歩いた道だったのである。
私達が休憩したへんろ小屋を見つけて嬉しくなる。


花崗岩を積み上げた貯鉱庫

その道をもっと走りたかったが、時間節約のため途中から高速道路に入って一気に別子銅山を目指した。

日本三大銅山の一つであった別子銅山の産業遺跡を利用して、マイントピア別子という立派な観光施設が作られている。
私が行きたかったのはそこではなく、そこから更に山の中に入った東洋のマチュピチュと言われる東平ゾーンである。

お決まりの細い曲がりくねった山道を延々と登っていく。
途中から霧が湧いてきて、もしかしたら雲海の上に浮かぶマチュピチュの姿を見られるかもしれないと期待が高まる。

そうして辿り着いた東平ゾーンは、正直言って期待外れだった。
「東洋のマチュピチュ」とは、少し言い過ぎだろう。


この景観がマチュピチュっぽいのか?


花崗岩を積み上げた貯鉱庫は確かに見応えがあった。
しかし、この程度の産業遺跡ならば、北海道でいくらでも見ることができる。


ガスが出てくると幻想的な雰囲気になる

ここが四国を代表する観光地の一つになっているのならば、北海道でも同じ様な観光地を幾つでも作ることができそうだ。
しかし、北海道のそれらの産業遺産は、一部の廃墟マニアが訪れるだけで、草木に覆われて朽ち果てようとしているのだ。
何とも勿体ない話しである。

最盛期には、社員やその家族を含めて約5000人がこの山奥で暮らしていたという。
苔生した石積みやコンクリートなどから、そこに学校や娯楽場の建っていたことが窺われる。
これだって、北海道ではお馴染みの風景だ。
何千人もが暮らしていた街がそっくりそのまま消えてしまうなんて、在り来たりの話しなのである。

マイントピア別子まで戻って来て、そこの立派な温泉に入る。
東平ゾーンは山の上なので桜はまだ咲いていなかったが、こちらの桜は満開である。


マイントピア地区にある旧水力発電所は見応えがある


そんな風景を楽しんだ後、今日のキャンプ地である竜沢寺緑地公園へと向かう。

ここのキャンプ場も、バンガローがあるという理由だけで選んだ場所である。
雨の心配さえ無ければキャンプ場の選択肢は増えるのだけれど、バンガローがあって、しかも安く泊まれるところとなると選択の余地は殆ど無いのだ。


竜沢寺緑地公園の管理棟

松山自動車道で一気に内子まで走り、そこのスーパーで買いだし。
内子はお遍路の時にも歩いた街だが、それを懐かしんでいる時間はない。
買い出しを済ませて直ぐに出発。

途中、道の駅清流の里ひじかわに立ち寄る。
そこまで肘川沿いの道を走ってきたのだが、肘川は清流どころか増水して濁った濁流と化していた。
多分、この辺りではかなりの雨が降っていたのだろう。

そうして午後4時半に竜沢寺緑地公園に到着。
味のある藁葺き屋根の管理棟で受付をする。
受付のおばさんは、私達が札幌から来ていることを知って「わざわざ遠くから来てくれたのに、何も無いところでごめんなさい」と本気で謝られる。
私達は雨さえ凌げれば良いので、泊めてもらえるだけでありがたいのだ。


とても快適なバンガローだ

優しいおばさんは、車でバンガローまで案内してくれた。
ここでも桜が満開である。
バンガローは想像していた以上に立派だった。
テラスがあり、中には流しと電磁調理器まで備えられていた。
このバンガローが1棟1500円で借りられるのだ。
入園料もかからない。

おばさんが再び「何も無くてごめんなさい」と謝ってくれたが、「こんな立派な施設に安く泊まらせて貰えるだけでありがたい」と私達も頭を下げた。

値段も安いけれど、桜が咲く場内の雰囲気も素晴らしい。
近くの溜め池から流れ出る水の音が聞こえてくる。
四国に来てからのキャンプでは何時もこんな水の音を聞いていた。


溜め池を見渡せるここのバンガローの方が良かったかな?


夕食はすき焼き。
キャンプですき焼きを食べるのは初めてだったが、なかなか良いかもしれない。


緑地公園内は桜が美しい

食後はテラスで水の音を聞きながらビールを飲む。
天気には恵まれないけれど、ここまで雨を避けながら良い時間を過ごせていた。

翌朝、場内の桜を改めて楽しむ。
雨でしっとりと濡れた場内と、あちらこちらに咲いている白とピンクの桜が本当に美しい。

そして、おばさんにお別れした後、せっかくなので龍澤寺にも参拝していくことにする。

私達が寺に行こうとしていたら、おばさんが再び出てきて、「雨で濡れた石畳は滑りやすいので横の道を歩いた方が良い」と忠告してくれる。

本当に親切なおばさんだった。


桜の花の向こうに龍澤寺が見える



巨大な仁王門

確かに、濡れた石畳はツルツルで不用意にその上に乗ったら、一発で転倒してしまいそうだ。

重厚な仁王門に圧倒される。
四国88ヶ所の霊場でも、これだけ立派な仁王門のお寺はざらにはない。
その先の中雀門には新四国曼荼羅霊場51番札所と書かれた板が掲げられていた。

予想外の立派なお寺である。
後で知ったのだが、龍澤寺は南予地方随一の名刹と言われているらしい。

龍澤寺を後にして、今日はいよいよ憧れの四万十川へと向かうのである。


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