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狙い通りの阿寒雪中キャンプ

阿寒の森(3月26日~27日)

阿寒横断道路を通過する時、何時もその辺りの森が気になっていた。
「ここで雪中キャンプをするのも面白そうだな」
ようやくその思いを実現させる時が来た。

前泊地の川湯温泉を出発し、阿寒横断道路の双湖台駐車場を目指す。
できることなら雪中キャンプの翌日に温泉に泊まりたいところだが、この日の方が天気が良さそうだったので、順番を逆にしたのである。
ザックが歩いてる朝風呂に入って、美味しい朝食を食べて、身体も心もだらけきった状態から、雪中キャンプモードに切り替えるのはなかなか大変である。

おまけに、天気は朝から曇り空。
目指す阿寒の山は完全に雲の中である。
おまけに、阿寒横断道路を上っていくと、途中からは吹雪模様の天気に変わり、テンションは急降下だ。

双湖台駐車場までやって来ると既に1台の車が停まっていた。
ドライブインクマゲラの亜香里さんである。
スノーシューを買って今年からBCデビューをした亜香里さんを、阿寒の森のスノーシュートレッキングに誘っていたのだ。

冬のキャンプ装備を詰め込んだ60リットルのザックを背負うかみさん。
その後ろ姿を見て亜香里さんが呆れていた。
まるでザックが歩いているようにしか見えないのである。

駐車場の直ぐ後ろに広がる森の中に入っていく。
亜香里さんの晴れ女パワーのおかげで、次第に天気も回復してきたようだ。

テント設営中緩やかな傾斜を登っていくと、樹木の疎らな場所に出てきた。
まだ上半分は雲に隠れたままだけれど、雄阿寒岳が直ぐ目の前に見えている。
今回のキャンプでの一番の目的は、月明かりに照らされた雄阿寒岳の姿を撮影することだった。
そのためには、おあつらえ向きの場所だったので、直ぐにそこを今日のキャンプ地に決める。

亜香里さんに待っていてもらって、まずはテントを設営してしまう。
今回はシングルウォールのnemoのテントを持ってきていた。
冬のキャンプでシングルウォールのテントがどれくらい使えるか、試してみたかったのだ。
久しぶりに設営するnemoは、テント本体が縮んでいたのか、ポールをテントのグロメットに差し込むのに酷く苦労させられた。
本当の冬キャンプで、テントの設営にこんなに手間取っていては、遭難してしまうところだ。

何とか設営を済ませて、スノーシュートレッキングに出発。
真っ白な雪原の中にアカエゾマツやダケカンバが点在する。

スノーシュートレッキング尾根の上を歩く感じなので眺めも良い。
事前にGoogle Earthで調べたとおりのイメージだった。

2、3日前に降った雪がエゾマツを白く化粧している。
冬の森はやっぱり、こうでなくてはならない。

858mのピークを目的地に考えていたけれど、今日はそんなに真剣に歩くつもりはなかった。
それよりも、亜香里さんが私の退職祝いにお昼を用意すると言ってくれていたので、そちらの方を楽しみにしていたのだ。
時間もちょうどお昼になっていたので、当初の目的地の半分程度まで来たところでトレッキングは終わりにした。

雲の切れ間に青空が覗き陽も射してきた。
春を感じさせる暖かな陽射しを浴びながら、亜香里さんが用意してくれたイクラ、カニ、サーモン、山わさび添え丼をご馳走になる。
山の中で食べるには最高に贅沢な昼食だった。

 
スノーシュートレッキング   スノーシュートレッキング
スノーシュートレッキングも楽しいけど   お弁当の時間はもっと楽しい

スノーシュートレッキング「ビールも持ってきたら良かったな~」とつぶやくと、かみさんのザックから魔法のように金麦が現れた。
でも、山歩き中にビールを飲んでしまうと、その後は足が急に重たく感じることを知る羽目となる。

帰りは正面に雄阿寒岳を眺めながら歩く。
まだ雲は広がっているけれど、山頂は既に姿を現していた。
その後ろに青空が広がっていれば、素晴らしい眺めになりそうだ。

風はそんなに感じなかったけれど、私達の付けたトレースは、既に半分くらい消えかけていた。
尾根の上は風当たりも強いようだ


スノーシュートレッキング
雄阿寒岳に向かって歩いていくスノーシュートレッキングが気持ち良い

雄阿寒岳を眺めながらビール駐車場まで亜香里さんを見送り、その後は山の中に私達だけ二人となる。
その頃にはもう完全に青空に変わっていた。
強烈な陽射しに、慌てて日焼け止めを塗る。

改めて金麦で乾杯。
風も殆どなくなり、最高の雪中キャンプ日和になった。

一息ついてから、周辺を散歩する。
新たに降り積もった雪の下は固い雪面なので、スノーシューを履かなくても殆ど埋まることはない。
森の中を自由に歩き回れるのが楽しい。

枯れかけていたり、完全に枯れて白い墓標のような姿に変わってしまっているアカエゾマツが目に付く。
枯れる原因が気になるけれど、真っ青な空を背景に立ち枯れたその姿はシュールでなかなか格好良い。
気が付けば、そんな枯れ木ばかり写真に納めていた。


丘の風景
この付近にテントを張っても良かったかもしれない

格好良すぎる枯れ木   枯れ木と友達
蒼空に伸びる枯れ木   3本の枯れ木?

枝にぶら下がったら   落ちた
ダケカンバの枝にぶら下がってみたら   落ちた!

テントサイトの風景
気持ちの良い我が家のプライベートテントサイト

夕食は定番キムチ鍋陽も傾いてきたので夕食の準備を始める。
冬キャンプ定番のキムチ鍋だ。

急に寒さが増してきた気がした。
日中も気温は多分プラスにはなっていないはずだ。
暖かく感じたのは陽射しのおかげである。
その陽が傾けば寒く感じるのも道理である。

太陽は雄阿寒岳の中腹に沈んでいった。
それと同時に更に寒さが増してきた。
今度は気温も急激に下がり始めたようだ。

たまらずにテントの中に逃げ込み、ガスコンロに火を付け、それで暖を取る。
とてもじゃないが、火の気無しでは耐えられないような寒さである。

雄阿寒岳に陽が沈む以前は、冬のキャンプで着るものも、中綿入りのもっと暖かなウェアだった。
最近は、暖かさより汗対策をメインにしたウェアを重ね着しているので、これでは寒さに耐えられないのかもしれない。

この日の月の出は午後8時半頃。
しかし、いつの間にか雲が広がり、これでは月の出の様子も楽しめそうにない。
ワインも空になってしまったので、午後8時にはシュラフの中に潜り込んでしまった。

夜中の1時過ぎ、隣のテントからのかみさんの声で目を覚まされた。
「月が凄い綺麗よ!」

テントの中も随分明るかった。
しかし、温々のシュラフの中から抜け出すのは、並大抵の努力では済まない。
深夜に起き出すそれでも、この月明かりの写真を撮るのがこのキャンプの一番の目的だったのだと自分に言い聞かせ、必死の思いでシュラフから抜け出し、服を着込んでテントの外へと出た。

空は完全に晴れ上がっていた。
そして、月明かりに照らされた雄阿寒岳の姿を見て息を呑んだ。
私の思い描いたとおりの光景が、目の前に広がっていたのである。

そこにカメラを向ける。
しかし、数枚シャッターを切っただけで、カメラの電池が切れてしまった。
昨夜寝る前に新しい電池に取り替えておいたのに、これである。
電池を取り出して懐の中で温め、腰に貼り付けてあったカイロを剥がして、それをカメラに貼り付ける。
寒さのために落ち着いて撮影することもできず、まともに写っていたのは数枚だけだったのである。


月明かりに浮かび上がる雄阿寒岳
これを見るのが今回のキャンプでの一番の目的だった

朝焼けの空それから一眠りして朝を迎えた。
相変わらず、雲一つ無い空が広がっていた。
既に、雄阿寒岳の山頂はモルゲンロートに赤く染まっていた。

東側の丘の空も同じく赤く染まっている。
日の出の様子を見ようと、慌ててその丘に向かった。
息を切らせながら丘の上に駆け上がり、ギリギリで日の出の瞬間に間に合った。

赤く染まった空に、ダケカンバやアカエゾマツのシルエットが浮かぶ。
最高に美しい日の出の風景である。

厳しい寒さに耐えてこそ見られる自然の風景だ。
これがあるから雪中キャンプは止められない。


日の出
寒さに耐えた甲斐のある素晴らしい日の出だった

雄阿寒岳の山頂が赤く染まる   枯れ木の隙間から朝日が
雄阿寒岳のモルゲンロート   枯れ木の隙間に朝日が挟まる

雌阿寒岳にかかった傘雲雲一つ無い空だと思っていたら、雌阿寒岳の上にだけ見事な傘雲がかかっていた。
夜中に結構な風の音が聞こえていたけれど、上空はやっぱり風が強いようだ。
それでも、周辺は全くの無風である。

やがて、私達のテントまで朝日が届いてきた。
夜中の寒さが嘘のように、今朝は全く寒さを感じない。
ゆったりとコーヒーを味わい、朝食を済ませる。

雪中キャンプで初めて使用したシングルウォールテント。
前室部分がないので、テントの中で煮炊きをする時には困りそうだが、今回は食事は外で済ませたので問題は無かった。
結露もかみさんのテントと同じ程度である。
条件の良い時ならば、これでも十分使えそうだ。

気持ち良く撤収を終えて、最高のプライベートテントサイトを後にした。

その他のキャンプの写真 


テントを撤収
雄阿寒岳に見守られながらテントを撤収

キャンプの荷物   駐車場へ帰還
凄い荷物だ   普通の世界に戻って来た


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