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締めのキャンプはやっぱり大沼

東大沼野営場(10月27日〜29日)

雨雲の間をすり抜けながらやってきた東大沼野営場は予想外の良い天気だった。
今回は駐車場に近い林間部分にテントを張ろうと考えていたが、良さそうな場所には全て先客のテントに占められていて、おまけに観光客が周辺をゾロゾロと歩き回っている。
何時もの場所にテント設営「やっぱり、何時もの場所しかないかな」
何時も同じ場所にテントを張るのは面白くないけれど、キャンパー以外の観光客に煩わされることもなく、オフシーズンになればキャンパーそのものが滅多にやって来ない。
駐車場からは一番離れた奥のサイトが、我が家が最も落ち着ける場所であることに間違いは無いのだ。

東大沼のキャンプ場で何時も困らされるのは、日中は決まって湖からの風がもろに吹き付けてくることである。
我が家がここに泊まるのは何時も晩秋頃なので、そのせいもあるかもしれない。
今日もまた湖からの風が吹いていたが、テントを張るのに支障にならない程度の風だった。

テントを張り終えたらまずはビールで乾杯するところなのに、かみさんが直ぐに薪集めを始めた。
昨夜の大船河川公園では風が強くて焚き火ができず、家から持ってきていた3箱の薪がまだ手付かずで残っているのにである。

思う存分に焚き火を楽しむためには、その量では少な過ぎることは分かっているので、私も付き合うことにした。
近くの松の木に、折れた太い枝が引っ掛かっているの見つけた。
金麦私が手を伸ばしてようやくその端を掴める様な高さなので、今までその状態で残っていたのだろう。
背伸びしてその端を掴み大きく揺すると、上の方で引っ掛かっていた部分が外れて、大音響とともに太い枝が落下してきた。
焚き火用の薪を確保するのも命がけの作業である。
良い具合に乾燥していて、これだけで十分な量の薪を確保できた。
これで安心して、明るいうちから焚き火を始められる。
そしてようやくビールで乾杯だ。

夕食のメニューはダッチオープンで作るポトフ。
焚き火の暖かさを有りがたく感じる季節はダッチオーブン料理が一番である。

日が沈むと、寒さが一気に忍び寄ってくる。
湖の上で宵の明星金星が輝き始めた。
焚き火の時間あたりが闇に包まれてくると、その金星が湖に映り込み、湖面に光のラインが伸びる。
月が湖面に映る様子は何時も見ているけれど、星の光がこんな風に映っているのを見るのは初めての経験だった。
それだけ圧倒的な明るさなのだろう。

夕食を済ませたら、後はワインを飲みながらの焚き火タイム。
風もほとんど止んだけれど、時々吹いてくる風の向きが一定しないのが困りものだ。
火の粉や煙が来るものだから、その度に椅子を抱えて焚き火の周りをグルグルと移動することになる。
お尻にくっついたまま移動できる椅子が欲しくなってしまう。
何時もの様にワインを1本空けて、焚き火の薪が熾火状態になったところで就寝。

 
湖面に映る金星   美しい夜
湖面に金星の光の筋が延びる   遠くに夜汽車の音が聞こえる大沼の夜

翌朝は、イリジウム衛星の写真を撮ろうと思って、まだ暗いうちから起き出す。
朱鞠内湖のキャンプでは、二日間とも雲に邪魔されて見ることができなかったが、この日の朝は雲も殆ど出ていなくて、ようやく写真を撮れそうだ。
朝の夜空スマホの画面でイリジウム衛星が現れる方向とその出現までのカウントダウン秒数を見ながら、かみさんと二人でその方向の空を眺める。
そして残り数秒となったところで、30秒露光に設定したカメラのシャッターを切る。
3、2、1、0、1、2、3、4・・・。
空しく数字が増え続けるだけだった。
私達がイリジウム衛星を見られるのは一体何時になるのだろう。

次第に空が白んでくる
事前の天気予報では、この日が一番天気が良くなることになっていた。
その予報通り、空は見事に晴れあがっている。

湖の奥では霧が発生しているようだ。
以前、大沼でキャンプをした時、夜が明ける前に小沼とじゅんさい沼に挟まれた日暮山と言う小さな山に登って、そこから朝日を楽しんだことがあった。
朝霧に包まれる大沼その時も確か、湖が霧に覆われる幻想的な風景を楽しめたはずである。
もしも今日、日暮山に登っていれば、その時以上の素晴らしい風景を楽しめたかもしれない。
(実際に、その翌日の北海道新聞には日暮山から撮影した雲海に覆われた大沼の写真が載っていたのである)

静かな大沼の湖面を水鳥が静かに動いていく。
キャンプ場の近くの森からはカラス達が一斉に飛び立って、何処かへと出勤していく。
そんな様子を眺めながら、焚き火にあたってコーヒーを味わう。
所々に霜が降りていたけれど、テントの結露が凍り付くほどの寒さではない。


静かな大沼の朝
湖の奥から湧き上がった朝霧が次第にこちらに流れてくる

大沼一周ラン朝食を終え、一休みしたところで、大沼一周のランニングへと出かける。
これが今回の道南キャンプでの一番大きな目的にもなっていたのである。

我が家が大沼を訪れるのは何時も秋。
そして、大沼の湖畔を一周する道路を車で走り、その紅葉の美しさに何時も感動させられていた。
車で走るよりも、人間のスピードで走った方が、この美しい紅葉をもっと楽しめるはず。
一周が約14キロ。今の私にとっては楽に走れる距離である。

しかし、心配だったのが数日前に痛めた腰である。
腰を屈めてランニングシューズの靴ひもを結ぶことはできなかったが、ただ走る分については、着地の度に腰に衝撃が伝わってくるものの、何とか大沼一周は走ることはできそうだ。

サイトの前をスタートして、大沼の周りを時計回りで走ることにした。
朝は素晴らしい青空が広がっていたのに、私達が走り始める頃には青空よりも雲の面積の方が広くなってしまった
気温も上がってきたので、走るためには曇り空の方がかえってありがたい。
でも、紅葉の美しさは日に照らされた方が絶対に美しい。
たまに雲の切れ間から陽が射してきた時などは、その美しさにため息が出てしまう。

所々で駒ヶ岳が見える車で走っていると見逃してしまうけれど、大沼の南側には所々に駒ケ岳を眺められるビュースポットがある。
車の駐車場は無いけれど、自転車用の駐輪場が有るので、レンタサイクルで回るのにはちょうど良さそうだ。
ただ、走っていると、いちいちそんな場所で時間をとっていられないので、横目で見ながら通り過ぎるだけである。
観光目的だけならば、大沼では自転車で回るのが一番だと思う。

それでも、落ち葉を踏みしめながら紅葉の風景の中を走るのは、最高に気持ちが良い。
観光客でにぎわう大沼公園駅の前を通り過ぎ、小沼との間に架かる月見橋を渡って大沼の北側の道へと入っていく。
北側の紅葉は南側より更に美しい。
立ち止まって写真ばかり写しているので、走るペースもかなり遅くなってきた。
でも、大沼一周ランは、こんなゆっくりペースが一番似合っているのだろう。

そうして、ちょうど1時間半でキャンプ場まで戻ってきた。
こんなランニングコースが住んでいる場所のすぐ近くにあったなら、毎日でも走りたくなりそうだ。


紅葉の大沼一周ラン   紅葉の大沼一周ラン
紅葉の中を走る   最高のランニングコースだ

食事をしている後ろに猫がいるその後は流山温泉で汗を流し、昼食は大沼公園駅近くのカフェ・ミーチョに入る。
目指していたWALDが満員だったので、当てずっぽうで決めた店である。

店内のガラスで囲われたスペースの中で、ここの飼い猫が優雅にお昼寝をしていた。
店内には猫関係のグッズも沢山あって、いわゆる猫カフェの一種。
食べ物は大したことは無かったけれど、それなりに楽しんで店を出る。

ランニングで走ったのと同じコースを今度は車で走り、所々で紅葉の写真を撮る。
「うわーっ、綺麗だ〜」と言ってはカメラを向け、「ここも綺麗だ〜」と言ってはまたカメラを向ける。
そうして、これと言った主題のない、同じような紅葉の写真を何枚も撮ってしまうのである。


大沼の紅葉
大岩園地の紅葉

午後2時過ぎにはサイトに戻ってきて、今日はもう、焚き火をしながらビールを飲んでまったりと過ごすだけである。
ダッチオーブンにアルミホイルで包んだ安納芋を入れ、焚き火の上に吊るす。
かみさんが「ついでに」と言って、ジャガイモと玉ねぎも入れて、そのまま丸焼きにする。

焚き火をしながら時を過ごす今年から我が家のキャンプグッズに新しく仲間入りしたケトルも、ダッチオーブンの隣に一緒にぶら下げる。
特にお湯を必要としている訳じゃないけれど、焚き火の上でお湯が沸いているのは良い風景でもある。

青空が広がり、風も弱く、10月最後の週末とは思えない様な暖かさだ。
夕方になると僅かに吹いていた風も完全に止んで、全くの無風となる。
焚き火の煙は素直に上に上るだけで、昨日の様に椅子を抱えて焚き火の周りをグルグルと回る必要もない。

ダッチオーブンで作る焼き芋は、下火だけでは出来上がるまでにかなり時間がかかってしまう。
やっと焼き上がった頃は既に夕食の時間に近くなっていたので、一番小さいのを一つ食べるだけにしておいた。
真っ赤に染まる場内それにしても、安納芋の焼き芋は、ホクホク感こそないけれど、その甘さはサツマイモの比ではない。

夕陽が場内を真っ赤に染め上げる。
昨日の様に観光客の姿も無く、遠くに数張りのテントがあるだけだ。
今日も湖の向うに一番星が輝き始めた。

「今夜あたり国際宇宙ステーションが見られないかな」と思ってスマホのアプリで確認すると、ちょうど1時間後くらいに現れることになっていた。
しかも、その現れる方角がサイトの真正面、湖の上なのである。
と言うことは、圧倒的な明るさで輝いている金星の上を宇宙ステーションが通過していくことになる。
これは絶好のシャッターチャンス!

大沼の夕暮れ夕食を済ませ、湖面にその姿を映す金星と宇宙ステーションが姿を現すべき場所が両方収まる様にカメラの向きを調整して、その瞬間を待つ。
「3、2、1、良し!・・・、あれ?出てこないな〜」
するとかみさんが「あれっ!そうじゃない?」
予定していた高度よりも、もっと高い場所に宇宙ステーションの光跡が現れたのだ。

「うわっ!大変だ!これでは金星と宇宙ステーションが一緒に写らない!」
慌ててカメラの向きを変えたりして、何とか期待していた通りの写真を撮ることができた。
消える寸前には、函館空港を飛び立った飛行機の光跡と交差するおまけまで付く。
出現する場所が予想と違っていたのは、スマホのアプリで現在地の設定を間違えていたのが原因だった。

そんなイベントもあり、焚き火にあたりながら道南キャンプ最後の夜はまったりと過ぎて行ったのである。


金星と国際宇宙ステーション
予想していたより高いところに宇宙ステーションが現れたが、何とか一つの画面に収まってくれた

翌朝は曇り空。
前日の天気予報では、この日は曇り時々雨になっていた。
今日はもう帰るだけなので、雨が降っても構わないのだけれど、テントを撤収するまでは持ちこたえて欲しいものだ。

最後の朝の焚き火こんな時は少しでも早くテントを片付けたいのだが、結露が酷くて、雑巾で拭いてはみたものの完全に乾くまでは暫く時間がかかりそうだ。
濡れた状態で撤収するしかないだろうと覚悟を決めて、のんびりと焚き火を楽しむことにした。
昨夜の焚き火ではこの日の朝に燃やす分として、なるべく細めの薪だけを残しておいた。
撤収する時には完全な灰になっている様にしなければならないので、そうしていたのだが、それではやっぱり物足りなくて周辺から枯れ枝を拾い集めてきてしまう。

昨日の夕方から風はピタリと止んだままで、目の前に広がる大沼の湖面にはさざ波一つ立っていない。
その湖面を乱すのは、時々跳ねる魚たちと、静かに泳いでいく水鳥たちだけである。

朝食を済ませる頃になっても雨が降ってくるような気配は無く、逆に太陽の光が雲間からこぼれてきた。
多分今回のキャンプが今シーズン最後のキャンプになりそうなので、テントは完全に乾いた状態で撤収したかった。
その太陽光のおかげで、望みどおりにテントも乾き、気持ち良くシーズン最後の撤収作業を終えた。


べた凪の大沼   日射しを浴びてテントが乾く
静かな湖面を水鳥が横切る   太陽の日射しがテントを乾かしてくれる

この日の予定は、道南温泉巡りのラストとして奥美利河温泉に入るだけである。
ここの温泉は過去に何度か入ろうとしたことがあったけれど、その度に温泉までの道路が通行止めになっていて、断念していたのである。
今回は道路こそ通じていたものの、ここの営業期間は10月一杯。明後日で今シーズンの営業を終えるところだったので、ギリギリセーフと言ったところだ。

奥美利河温泉山の家までは、ピリカベツ川の上流に向かって曲がりくねった細い道を進んでいく。
ひたすら対向車が来ないことだけを祈り続けるような細い道だけれど、一応は舗装してあるので走りやすい道だ。
奥美利河温泉山の家途中で何度か川に架かる橋を渡るけれど、そこから見下ろす川は美しい薄緑色に染まっていた。
水に色が付いている訳ではなく、川底に露出している岩盤が薄緑色をしているようだ。

山深いところにポツンと建っているひなびた温泉宿をイメージしていたけれど、やっと到着したそこは、周囲は公園のように整備され、山の家の建物も立派なログハウス風の建物でちょっと驚かされた。
ただ、営業が終わる間際の平日ということで、他に人の影は無く、ひなびた雰囲気が漂っていることだけはイメージ通りだった。

内湯の浴槽は小さく、直ぐに露天風呂へ出てみる。目の前には素晴らしい山の風景が広がっていた。
ただ、露天風呂は山の家から殆ど丸見えなので、女性はちょっと気になりそうだ。
岩の間から滾々と流れ出す源泉がそのまま露天風呂に流れ込む。正に源泉かけ流しである。
ただ、お湯の温度が低くて、ずーっと浸かっていても体がさっぱり暖まってこないのには参った。
寒い季節に入るような温泉ではないかもしれない。

露天風呂からの風景内湯の板の隙間でコオロギがずーっと鳴き続けていたのは良い風情だった。

温泉から出た後は、山の家で昼を食べる。
付近には食事ができる店も無く、昼はどうしようと困っていたので、ここで食事ができるのは嬉しかった。
メニューにあったおにぎりは、米を炊いていないので作れないと断られたが、その代わりに冷凍してあったご飯を温めて、サービスで出してくれた。
お風呂では温まれなかったが、管理人さんの親切な対応に心が温まり、温かい蕎麦で体も温まる。

山の上に東屋らしきものが見えたので、帰る前にそこまで登ってみた。
そこまでの丸太階段に付けられた木製の手すりは全て朽ち果て、東屋にはツルウメモドキが絡みついている。
この山奥まで温泉目的でやって来る人は多くても、公園を利用するような人は殆どいないのだろう。


内湯   展望台から見下ろす奥美利河温泉
小さな内湯   展望台の東屋から温泉を見下ろす

薄緑色のピリカベツ川温泉からの帰り道、川底の薄緑色が気になり、車で入れる場所を見つけて川原に下りてみた。
そこの川底も見事に薄緑に染まっていたが、川原にころがる石の中にも同じような色をした石が沢山混じっていた。
後で調べてみると、この周辺地域の特徴的な地質であるグリーンタフと言うものらしい。
他の川原ではあまり見かけない様な石ころも多くて、かみさんと二人でしばし石探しに夢中となった。

その後はピリカ旧石器文化館に寄り道。
そこの近くでは旧石器時代の石器が大量に見つかっているらしい。
南茅部では縄文時代の歴史に触れ、ここでは更にその前の旧石器時代の歴史に触れることができた。
その隣の文化財保管庫と名前の付いた建物も、下手な郷土博物館よりも充実した内容の展示物がほとんどノージャンルで並べられていて、なかなか面白かった。

紅葉を楽しみ、山登りを楽しみ、温泉も楽しみ、そして北海道の歴史や地質まで楽しみ、何時も以上に充実した道南3泊4日の旅となったのである。

東大沼キャンプの写真


ピリカ旧石器文化館   文化財保管庫
旧石器時代の展示物に見入る   この付近は古い農具が並んでいる


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