カヌークラブの9月例会は恒例の歴舟川。
例年ならば、既に閉鎖されているカムイコタン公園キャンプ場の駐車場横広場を利用してテントを張っていたのだけれど、今年は正式にオープンしているキャンプ場に泊まろうとのことになり、カムイコタン公園から30キロほど離れたポロシリ自然公園オートキャンプ場が宿泊地となる。
我が家にとっては初めて泊まるキャンプ場なので、これを結構楽しみにしていた。
十勝にには私の実家がある関係で、母親から「何でうちに泊まらないの!」と言われそうで、十勝のキャンプ場にはなかなか泊まる機会が無いのである。
それが今年は、クラブの例会のおかげで、8月のサホロ湖キャンプ場とか、順調に十勝の新規開拓が進んでいた。
その、楽しみにしていた3連休のポロシリキャンプは生憎の雨。
札幌を出る時から降り続いていた雨は十勝に入ってからも降り続け、その雨がようやく止んだのはキャンプ場に着く直ぐ直前のことだった。
川下りの集合場所へ向かう前に、まずはクラブのビッグタープをキャンプ場に設営しておく。
前日からキャンプ場入りしていたN島さんが設営を手伝ってくれた。
利用するのは勿論フリーサイト。
ここのフリーサイトはテント1張りが800円、テントを張らなくても車中泊するなら1台800円という料金システム。
先にタープを張ろうとすると、デイキャンプの扱いとなり、余計に料金がかかることになり、早速管理人さんが集金にやってきた。
私もそのことは予想が付いていたので、お金を払うつもりだった。
でもそこで、前日から泊まっているN島さんが「このタープは私の持ち物で、私はこのまま連泊するのだから、デイキャンプ料金はかからないはず」と言ってくれる。
前日の管理人さんとその話は了解済みだったのが、日が変わってから管理人さんも変わったので、また一から説明し直さなくてはダメだったのである。
管理の行き届いたキャンプ場では、逆にこんな煩わしさも出てくるのだ。
川下り中は、また雨に降られたものの、途中から青空が広がり、キャンプ場に戻ってきてもその青空はまだ上空に残っていた。
雨のキャンプを覚悟していたのに、これは嬉しい誤算だった。
川下りには参加していなかったN野さんとY谷が、ちょうどキャンプ場に着いたところだった。
この日は旭川カヌークラブもここに泊まっていて、フリーサイトの駐車場はカヌーを積んだ車で一杯となる。
関係のないお客さんは一体何事かと驚いたことだろう。
タープの設営が済んでいるので、テント泊の人はそれぞれのテントを張るだけ。
私達夫婦も、別々のテントを設営。
こんな時は、1張り800円という料金システムに疑問を感じざるをえない。
5人家族が大きなテントを張って皆がそこで寝れば800円で済んでしまうのだ。
それが、小さなテントの私達は、倍の料金を払わなければならない。
「文句があるのなら一つのテントで済ませれば良いだろう!」と言われればそれまでだが、この料金システムは絶対に現実に合っていないと思うのである。
ビッグタープの下に集まったのは総勢20名。
私達より人数が少なそうな旭川は、ビッグタープの2連結で余裕の広さである。
それでも我がクラブは、各々が自己完結スタイルの個人装備を整えているので、上手い具合にタープの下に全員が収まった。
まだ、蚊が活発に活動していて、テントの設営中は集中攻撃を食らっていた。
でも、タープの下に大勢が集まっていると、蚊の狙いも分散するのか、それ程気にならなくなる。
我が家のテーブルを一つ、真ん中に置いて、それが共通食材の置き場。
そこにまず置かれたのは、N島先輩の故郷から送られてきたと言うカボス、ゲストとして例会初参加のきむ姉が買ってきてくれた中札内道の駅名物の鳥の空揚げ、我が家のしゃぶしゃぶ、N野さんが作ってくれたオホーツクB級グルメの塩焼き蕎麦等々。
カボスは、N島先輩から「カボスの正しい絞り方」のレクチャーを受けてからでなければ手を付けることができない。
その他、更で回ってくる食べ物をいただいたり、他所の焼き網に乗っている物を勝手に取にいったりと、何時もながらの宴会風景が繰り広げられる。
ちょっとだけ何時もと違っていたのは、独身女性ガンちゃんが連れてきた独身女性きむ姉が加わっていたことである。
独身女性が2名も加われば、老人ホーム一歩手前の状況まで近づきつつあった我がクラブのタープの下が一気に華やいだものになる。
その独身女性2名の両脇に図々しくも席を占めたのが、前々会長のI田さんと前々々々々々くらい会長のI山さん。
さすがに、きむ姉の隣に酒癖の悪いI田さんはまずいな〜と心配していたが、あのI田さんをきむ姉はあっさりとあしらい、I田さんは絶頂を迎える前に何時の間にか姿を消してしまっていた。
しばらくの間、宴会の席を離れ一人黙々とダッチオーブン料理を作っていたI山さんは、前回と全く変わり映えしない料理を引っ提げて席に戻ってきた。
その料理を食べたきむ姉からの「I山さんの様な人を旦那様にしたい」との社交辞令以外の何物でもない言葉に、すっかり舞い上がってしまうI山さん。
それを遠くから見ていた現会長のO橋さんは、何だかとっても面白く無さそうに、前回はガンちゃん1人を相手に飛ばしまくっていた下ネタもすっかり影を潜め、隣の228君とコソコソ話を続けているだけだった。
そんな元会長や現会長たちの姿を眺めながら、ポロシリの夜は更けていった。
翌朝はいつも通りに早起きし、まずは無料の朝シャワーを浴びてすっきり。
自由のきかないオートキャンプ場も、こんな施設があるのはやっぱり快適である。
するとそこにO橋さん達が、何処からか歩いて戻ってきた。
珍しく散歩でもしていたのかと思ったら、きむ姉が一人でカヤックの練習をしているのを見に行ってきたとのこと。
ここのキャンプ場のすぐ横を戸蔦別川が流れている。
そこに、フリースタイルのカヤックを楽しむ人達には名の知れたスポットが有ると聞いていた。
昨夜は「明日の朝は皆で練習するぞ〜!」と勇ましいことを言っていた面々も、結局は言葉通りに練習しているのはきむ姉一人だけと言うことらしい。
私も見に行くことにした。
その場所は戸蔦別川を渡る橋の下。
人口の床止めの下がちょうど良いスポットになっているらしい。
もっと簡単に行ける様な場所かと思っていたが、とてもそこまで我が家のカナディアンを降ろす気にはなれない様なところだった。
そこで一人黙々と前方宙返りを繰り返しているきむ姉。
多分、もっと気の利いた名前が付いた技なのだろうけれど、私から見れば「ただの宙返りがそんなに面白いのだろうか?」って感じである。
そんなおじさんの視線も気にせず、技の完成度を高めるために、何度も何度も波に向かっていく。
そのストイックな姿にしばらく見惚れてしまった。
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