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山上生活気分キャンプ

白銀荘前キャンプ場(8月3日〜4日)

修理をお願いしていたカヌーを受け取るため、週末は南富良野まで行かなければならない。
せっかくそこまで出かけて、何もしないで帰ってくるのも勿体ないので、何処かで1泊して山に登ることを考える。
私は、比較的近くの芦別岳に登ろうと思っていたが、かみさんから「白銀荘に泊まって三段山に登りましょう」と提案された。
芦別岳と三段山では山のレベルが全然違う。
かみさんは、気軽に登ってサッサと帰ってくることを望んでいるようだ。
まあ、ついでに登る山としては芦別岳はハードルが高すぎるし、先週は利尻山に登ったばかりなので、今週末はあまり無理をしないことにした。

そうして、見違えるくらいに立派になったカヌーを車の屋根に積んで十勝岳を目指す。
久しぶりに、麓郷とか星に手のとどく丘キャンプ場の前を通り過ぎるが、先を急いでいたので寄り道せずに通り過ぎる。
富良野ラーメン花道昼食を食べようと考えていたファームレストラン「あぜ道より道」に、12時前には着こうと考えていたのだ。
でも、その時間でたどり着けたものの、既に満席で、席が空くのを待っているお客さんもいる状況。
そこはあっさりと諦めて、上富良野市街地を目指す。
「食べログ」で検索しながら、2店ほど目星を付けたが、なかなかその店が見つからない。
食べログの場合、情報が古くて既に閉店している店だったり、地図が間違っていたりするので、時々イラッとさせられる。
それでも最終的に、日の出公園の近くでそれなりに美味しいラーメンを食べることができて満足できた。

旭野やまびこ高地そこに来る途中で見かけた「旭野やまびこ高地」の看板が、ずーっと気になっていた。
たまたま、ラーメン屋に置いてあった上富良野の観光地図にその場所が載っていたので、十勝岳に向かう前に寄り道していくことにする。

ネットで調べると、上富良野八景の中でも一番マイナーな存在で訪れる人もまばららしいが、そんな観光地は私の好みにピタリと合うのだ。
ネットの写真では、黄金色に色づいた小麦畑や、花の咲いたジャガイモ畑を前景に、十勝岳連峰の姿が見事に映えている。

残念ながら、現地ではちょうど小麦が刈り取られたばかりで、ジャガイモの花の時期にはまだ早く、十勝岳連峰の上部も雲に隠れていたけれど、十勝岳連峰の姿を楽しむにはなかなかのビューポイントであることに間違いは無いだろう。

白銀荘前キャンプ場に泊まるのは、雪のない季節では今回が初めてとなる。
10年前の4月に雪の上にテントを張って以来、何度か山スキー目的で訪れているだけ。我が家にとってここは、完全に冬のフィールドとなっていたのである。
土の上にテントを張るのを楽しみにしながら現地に到着したところ、サイトでは多くの人達が行事用の大型テントを設営している真っ最中だった。
これはとんでもない時に来たしまったと、設営中の人に恐る恐る「ここで何かやるんですか?」と聞いてみる。
我が家のサイトすると、明日の日曜日にキャンプ場を会場としてサマーフェスティバルが行われるとのことで、明朝6時までにテントを撤収する条件で、キャンプはできるとのことである。
ただし、テントを張る場所はサイトの端の方に限られてしまう。
我が家にとって朝6時の撤収は全然支障にならないし、イベントが今日ではなく明日行われるのならば、大した問題ではない。
予定通り、ここで1泊してから明日の早朝に三段山に登ることにする。

ここのサイトは、斜めの傾斜地を大胆に切り取って、平坦地を造っている。
そのために、山側にテントを張ると、大きな法面が間近に迫って山の姿が全く見えない。
駐車場側にテントを張ると、十勝岳や前十勝の姿が良く見えるものの、駐車場に近すぎて落ち着かない。
迷ったけれど、今回はロケーションよりも静けさの方を選ぶことにした。

キャンプ場全景そうして午後2時過ぎにテント設営完了。
何時もならばここで直ぐにビールを飲むところだけれど、さすがにちょっと時間が早すぎる。
落ち着けるキャンプ場ならばそれでも良いのだが、ここはサイトでまったりと時を過ごすようなキャンプ場ではない。
そこで、十勝岳の山麓を少し歩いてみることにする。
ここから白金温泉の望岳台までは登山道が伸びているのである。

アカエゾマツ林の中を15分ほど歩くと眺めの良いガレ場へ出てきた。
かみさんが「カナディアンロッキーの風景みたいね」と感動していたけれど、見たこともないのに分かるのかな〜?と、私は素朴な疑問を感じてしまった。
まあ、それはどうでも良いけれど、今日の夕日を楽しむには、ここがちょうど良い場所になりそうだ。

富良野川を渡る途中で富良野川を渡る。
これ以上水が増えると、靴を濡らさずに渡るのは厳しそうな流れである。

川を渡った後は岩場をよじ登る。
散歩気分で歩ける道かと思っていたけれど、やっぱり本格的な登山道であることに変わりはない。
でも、前十勝や十勝岳の姿が素晴らしく、登山をやらない人でもキャンプ場からここまで歩いてくる価値は十分にあるだろう。

そこから先、登山道はハイマツ帯の中に入っていき、見通しが効かなくなる。
そんなハイマツに囲まれた中に、九条武子の歌碑が建っていた。
多分歌碑を建てた当時は見晴らしの良い場所だったのが、その後周りのハイマツが大きくなって、こんなことになってしまったのだろう。

 
カナディアンロッキーの風景   ハイマツに囲まれた九条武子歌碑
これがカナディアンロッキーの風景?   碑を建てた当時はハイマツも背が低かったのだろう

前十勝などの展望が素晴らしい
キャンプ場から徒歩15分でこの風景を楽しめる

望岳台が見えたところで引き返すこのまま望岳台まで歩いていく気は無いので、何処かで引き返さなければならない。
そのきっかけが掴めないまま、随分と歩いてきてしまった。
溶岩の固まったガレ場までやってきて、そこで眼下に望岳台の姿が見え、そこでようやく引き返す踏ん切りがついた。

テントまで戻ってくると結構汗もかいていたので、そのまま白銀荘の温泉に直行。
そうして風呂から上がり、万全の体勢を整えてからビールを飲む。
このビールを味わうために、わざわざ汗をかいてきたと言っても良いだろう。
山の上でのキャンプではないのだからイスくらい持ってきても良かったのだが、何となく最近の癖で山装備のキャンプとなってしまう。
地ベタリアンキャンプスタイルしょうがないので、車からブルーシートを降ろしてきて、それでテントの前に生活スペースを作った。
地ベタリアンのキャンプスタイルである。
これはこれでなかなか快適だ。
虫も少なく、酔いが回ってくるとこのまま横になって寝てしまいたくなる。

次第にテントの数も増えてきた。
駐車場側にテントを張る人と法面寄りにテント張る人に分かれる。
駐車場側の人は山の方にテントの入り口を向け、法面側の人は駐車場の方を向く。
自然とお互いに向かい合うこととなり、何となく笑えてしまう。
サイトでの炭の使用は禁止されているので、多くのキャンパーはキャンプ場備付の炉に集まって焼肉を楽しんでいる。
我が家はちょっと贅沢に、フリーズドライではないレトルトご飯とレトルトカレーの夕食である。


テントが立ち並ぶキャンプ場   豪華レトルト夕食
ほとんどのキャンパーは野外炉でバーベキュー   レトルトでも豪華に見える

夕食を終えると、ザックにビールを入れて、先ほどの場所まで夕日見物に出かける。
夕日に染まる十勝岳酔いが回ってきたかみさんは、面倒臭くなってきたのか「ここで夕陽を見ても良いんじゃない」と言いはじめたが、私がそれを許さない。
こんなところで夕陽を見ていても何も楽しくないのだ。

酔っぱらって石につまづかない様に注意しながら、アカエゾマツの森を歩いていく。
そうして森を抜けると赤く染まった空が広がっていた。
「ほらっ!やっぱりここまで来た方が良かっただろう!」と得意顔をする。
十勝岳も赤く染まり、それからはビールを飲みながらサンセットショーを楽しむ。
3週間前の上ホロ避難小屋でのキャンプでは、2日間とも夕日は雲に隠れて見られなかったが、ようやくリベンジすることができた。


金麦   夕日
金麦も赤く染まる   日が沈む

夕日
夕日が地平線に消えた

夕日
夕日が沈んだ後もその余韻を楽しむ

キャンプ場に夜の帳が降りるヘッドランプを点けてサイトへ戻る。
さすがに山の上では、夜ともなると冷え込みも強くなってくる。
ダウンを着込んでワインを開ける。
星が一つ、また一つと輝き始める。
上ホロのテン場で見たほどの星空ではないが、美しい満天の星空が広がり、人工衛星が次々に横切っていく。
ファミリーや若者グループのキャンパーも混ざっているが、さすがにここのキャンプ場で夜遅くまで騒ぐようなキャンパーはいない。
我が家も周りのキャンパーに合わせて、何時もよりちょっとだけ夜更かしをして午後9時に就寝。

朝の3時過ぎには目を覚まし、テントの中が薄明るくなってくる頃には荷物の片づけを始める。
隣のテントでもかみさんが片づけを始めたようだ。
空は曇っているけれど、山の方には青空ものぞいていた。
朝のコーヒーをゆっくりと味わい、朝食を済ませて、テントを片付ける。
朝早くに撤収するのは平気だけれど、夜露でびしょ濡れになったテントをそのまま片付けなければならないのが辛いところだ。
そして、午前5時半過ぎに余裕を持って撤収完了。
次第に青空が広がってくる中、三段山へと登り始めた。

キャンプ場はフェスティバル会場に変身9時過ぎに下山してくると、サイトにはテントの姿は一つも無く、サマーフェスティバルの準備が本格的に始まっていた。
白銀荘の日帰り入浴は10時からだが、掃除が早く終わったとのことで、直ぐに風呂に入らせてもらえた。
帰りにもう一度やまびこ高地に寄り道する。
私達が三段山の頂上に立っていた頃には、雲一つない素晴らしい青空だったのに、今は雲が広がって十勝岳連峰の姿もその中に隠れてしまっていた。
昨日は満員で入れなかった「あぜ道より道」も、午前10時半の開店と同時に行けば空いている。
ちょっと早めの昼食を食べて、富良野を後にした。
予定外のサマーフェスティバル準備とぶつかったけれど、今回も山の生活を十分に満喫できたのである。


雲に隠れた十勝岳連峰   あぜ道より道
十勝岳連峰は雲の中   あぜ道より道は開店と同時に入った


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