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夏が来る前に海キャンを

道営野塚野営場(6月8日〜9日)

自宅の庭仕事も何とか一区切りつけて、週末は遊びに出かける余裕ができた。
何処かでキャンプでもと思ったけれど、新緑の美しい季節も既に終わって、特に行きたい場所も思いつかない。
そこで、かみさんの「たまに海キャンも良いんじゃない?」との提案を直ぐに受け入れ、久しぶりに積丹に出かけることにする。
週末からは気温も上がりそうなので、暑いのが苦手な我が家にとってはちょうど良い計画となった。
壊れていた車のエアコンも、木曜日に部品が届いて、何とか週末に間に合うようにディーラーで直してもらった。

ギラギラと太陽が照りつける札幌を9時前に出発。
ところが、直ったはずのエアコンからは冷たい空気が全然出てこない。何となく涼しく感じるのは、外気温が20度なので、その外気が車の中に入ってきているだけの話しみたいだ。
修理を終えた後も、何となく冷えが悪いな〜と感じてはいたけれど、その日は寒いくらいの気温だったので、そのせいだろうと軽く考えていたのである。
久しぶりに車の窓を開けて、風に吹かれながらのドライブとなったが、キャンプ場に着くまで気温が20度を越えなかったのが救いだった。

11時頃に、野塚野営場に到着。他にキャンパーの姿は無く、今日は一番乗りのようだ。
ところが、トイレのシャッターは閉じたまま。「えっ?!」と思いながら炊事場の蛇口をひねるが、水は出ず。
一番乗りどころか、キャンプ場はまだオープンしていない様子だ。北海道キャンピングガイドでは6月からオープンしていることになっていたので、全くの想定外の展開である。
2リットルの水入れは持っているので、そこに水さえ満たせば最低限のキャンプはできる。
他に行くあてもないので、とりあえずどこかで水を組もうと車を走らせると、その先にある駐車場横のトイレは空いているようだ。
これで何とか文化的キャンプはできそうである。
ダメもとで、その近くにある水場の様子をかみさんが見に行く。砂を被ったよその様子から、そこも当然ダメだろうと思っていたら、これが何と水が出たのである。
それまで暗い雲に覆われていた心が、上空に広がる空と同じく一気に晴れあがった。

我が家のサイト9年前の9月下旬ににここに泊まった時は、閉鎖されているトイレの方の、本来のサイトとは関係ない様な場所にテントを張っていたが、今回は素直に通常のサイトにテントを張ることする。
駐車場に沿った細長いサイトなので場所を選ぶ余地は少なく、とりあえずは一番良さそうなところに今シーズン初登場のソレアードを設営する。
その間に早くも次のキャンパーがやってきて、サイトの一番端にテントを張り始めた。
今の時期、この後にどれくらいのテントが張られるのか、全く予想ができない。
場所取りを兼ねて、かみさんの一人用テントも、ソレアードから少し距離を開けて張っておくことにした。

昼も近いので、どこかで昼食を食べることにする。
この近くあるのは観光客相手のうに丼屋くらいなので、私達もたまには観光客になってそんな店に入ることにした。
刺身定食有名どころの「みさき」や「中村屋」は既に駐車場も満車になっていたが、道路を挟んだ「佐藤食堂」という店の駐車場にはまだ空きがある。
うに丼なんか、どこで食べても変わりは無いだろうと、佐藤食堂へ入る。
私は2500円のうに丼、かみさんは1000円の刺身定食を注文。
誤解の無いように書いておくが、これはかみさんが家計の事情をおもんばかって遠慮したわけではなく、ただ単にかみさんがウニが嫌いなだけの話である。
でも、運ばれて来た料理を見ると、コストパフォーマンスは明らかに刺身定食の方が上であった。

その後は積丹岬自然遊歩道を歩く。
駐車場はほぼ満車状態だったが、そのほとんどがトンネルを潜って島武意海岸だけを見る人達だろう。
1〜2割の人達は、アスファルトの急な坂道を登って出岬灯台までは行きそうだ。
しかし、その灯台から先の遊歩道を歩く人は数える程しかいない。

礼文島西海岸のような風景まだフウマが生きている頃に、ここを一緒に歩いたことがある。
その時も確か気温が高くて、フウマがかなりばてていたことを思い出した。
今日も、気温こそは20度程度だが、夏を思わせる日差しが強烈である。
でも、半袖にショートパンツで歩けばちょうど良いくらいだ。
積丹ブルーと言われる美しい海を眼下に見下ろす起伏に富んだ遊歩道は、礼文島の西海岸を歩いているような気分を味わえる。
そして、まだ残雪が残る積丹岳の眺めも素晴らしい。

今回のキャンプではその積丹岳に登ることも考えていたけれど、今日の暑さを思えば、こちらの自然遊歩道を選んだのが正解だったようだ。

エゾカンゾウやエゾスカシユリも花を咲かせている。
つい先日に桜が咲いたような気がしていたが、季節は何時の間にか大きく進んでいたようである。

 
積丹ブルーの海
積丹ブルーの海、女郎岩、ピリカ岬 完璧な積丹の風景だ

出岬灯台   エゾカンゾウ
観光客は来るのは、せいぜいこの出岬灯台まで   積丹ブルーの海に黄色のエゾカンゾウが映える

残雪の積丹岳も美しい
この積丹岳に登る計画もあったけれど・・・

キャンプ場の風景往復1時間40分のミニトレッキングの後は、岬の湯で汗を流してキャンプ場へと戻る。
そこには既に沢山のテントが張られていた。
でも、大混雑という程ではなく、ちょうど良い間隔でテントが並んでいる。
場所取りを兼ねて張っておいたかみさんのソロテントの近くには、同じような小さなテントが2張り増えていた。
他は全てファミリーキャンパー風のテントである。
かみさんのテントがちょうど良い呼び水代わりになったようである。

海からの風が少し強くなっていたが、夕方には止みそうな風である。
かみさんとビールで乾杯。
後はもう、海を眺めながらダラダラとビールを飲むのが正しい海キャンの過ごし方だ。


海と金麦   海を眺めて
海と金麦   まったりと過ごす

ファミリーキャンパーが多いファミリーテントは全て、男の子を連れた家族連れだ。
その子供たちが、浜辺で砂まみれになって遊んでいる。
かみさんのテントの隣の2組は、初老のソロ男性と、ミュージシャン風の男女。
遠くにはチャリダーのグループがテントを張り、そのもっと先には海遊びの若者たちのテント。
何となく心が和むような海キャン風景である。
今年の過去3回のキャンプでは、いずれもキャンパーは我が家だけ。
先週の江差かごめ島のキャンプでは、「俺達ってもう、こんなキャンプしかできないよな」なんて話していたのに、その一週間後にはファミリーキャンパーに囲まれながらまったりと過ごしているのだから、いい加減なものである。

夕食は海キャンらしくバーベキュー。
それを食べ終わっても、陽が沈むまでまだ時間が残っていた。
本当に今の季節は夕方の時間がひたすら長い。
紅く染まるキャンプ場焚き火をしながら、夕暮れを迎える。
予想通り、その頃には風も止んでいた。
夕陽に照らされて、キャンプ場全体が赤く染まる。
私の好きな、海キャンらしい風景である。

陽が沈み、次第に暗くなる空には星が一つ、また一つと輝き始める。
その、暗さを増した空の中を一際明るい星が静かに横切っていく。
昨日、私が飲み会から帰ってくると、かみさんが「宇宙ステーションが見えたわよ」と言っていたので、その明るい星が宇宙ステーションの明かりであることが直ぐに分かった。
それが分かっていれば、あらかじめカメラをセットして待ち構えていたのに、これでは、明かりが見えなくなるのをただ見届けるしかない。
普通ならば、かみさんの話を聞いた時点で「もしかしたらキャンプの時にも見られるかもしれない」と考えるはずなのに、酔っぱらっていたので軽く聞き流してしまったのだ。


キャンプ場の夕暮れ
風も無く穏やかなキャンプ場の夕暮れ

バーベキュー   落日
海キャンはやっぱりバーベキュー   落日に見惚れる

夕闇が迫る
次第に暗さを増す空で星が輝き始める

ワインを飲み干したところで、寝ることにする。
トイレに行こうとして、その時に初めて、頭上に素晴らしい星空が広がっていることに気が付いた。
それまでは、まだ明るさの残る西の空ばかり眺めていたので、まさかこんなに美しい星空になっていると思いもよらなかったのだ。
一しきり、そんな星空を楽しんでから、テントの中にもぐり込んだ。

キャンプ場の朝朝は波の音で目が覚める。
寝る時には子守唄代わりになってくれた波の音が、今度は目覚まし時計代わりである。
テントの外に出てみると、サーフィンでも楽しめそうな波が次々と浜辺に打ち寄せていた。
既に朝日が昇り、その砕けた波を白く輝かせる。
風が無いのに、波だけが高いのが何か不思議である。

モーニングコーヒーを楽しんでから、波の打ち寄せる浜辺を散歩する。
今日は朝起きたらすぐに神威岬へ行き、朝日に照らされる遊歩道の写真を撮ろうと考えていた。
ところがかみさんに「あそこは確かゲートがあって、開く時間が決まっているはずよ」と指摘される。
調べてみると、確かに季節によってゲートの開閉時間が決まっていて、今の季節は8時に開門となっていた。
「何でそんな開閉時間があるわけ?」
岬から夕陽や朝日を眺めることができないなんて、せっかくの素晴らしい観光資源をただ無駄にしているだけである。
全く理不尽な話だけれど、ゲートを乗り越えて中に入れば不法侵入扱いされそうなので、その時間に従うしかない。
日中は気温も上がって来そうなので、まだ涼しい朝のうちにテントを撤収して、8時の開門と同時に神威岬を目指すことにした。


朝のコーヒータイム   白い波
朝のコーヒータイム   風がないのに波が高い

朝日がテントを照らすテントに戻ってくつろいでいると、小さなハエが頭の周りを飛び回って鬱陶しい。
噛んでこないので蚋じゃないのだろうと油断していたら、しっかりと足を噛まれてしまった。

夜露でテントが濡れているので、自然乾燥に任せていたら神威岬の開門時間に間に合わない。
雑巾で水滴をふき取りさえすれば、強い日差しでテントは直ぐに乾いてしまう。

そうして7時半過ぎに撤収完了。
結構汗をかいたけれど、車のエアコンでクールダウンできないのが辛いところだ。
ところが車を走らせると、吹き出し口から冷たい空気が出てきていた。
「あれ?直ったのかな?」と思ったが、それはただ冷たい外気が入ってきているだけの話だった。
キャンプ場ではかなり暑く感じていたけれど、外気温は16度である。
寒々とした神威岬の駐車場岬に近づくにしたがって、次第にガスが広がってきて、おまけに道路沿いに立てられたうに丼の旗がバタバタとはためくほどに風が強くなっていた。
そうして到着した神威岬の駐車場は、低い雲が垂れ込めて寒々しく、先ほどまでいたキャンプ場とは全くの別世界だった。
恐る恐る車から降りてみたが、冷たい風にさらされて、半袖ショートパンツ姿の私は一変に震え上がった。

こうしてこの日は何もせずに札幌まで戻ることとなった。
まあ、それでも日曜日はほぼ丸一日残っていることになるし、涼しいうちに帰ればエアコンの壊れた車でも影響は少ない。
キャンプ場だけは相変わらず暖かな日差しに包まれていたけれど、この日の日本海沿岸部はどこも曇り空で気温も低かったようである。
そんな中で快適な海キャンを楽しめたのはかなりラッキーだったのかもしれない。



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