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巨大な一枚鏡

チミケップ湖キャンプ場(10月26日〜28日)

2泊3日で紅葉を楽しむキャンプに出かけよう。
そう考えた時に頭に浮かんできたのが、大沼、朱鞠内湖、チミケップ湖の三か所だった。
1泊キャンプならば、もっと候補地は増えてくる。しかし、2泊するとなると、その間の過ごし方なども考えて場所は限られてくるのだ。
この中で大沼は、紅葉がまだ色付き始めたばかりのようなので、他の2か所に絞られる。
最終的にチミケップ湖に決めて、役場に確認の電話を入れたところ「水道の凍結の恐れがあると早めにクローズすることもあるので、金曜日にもう一度電話してください」とのこと。
金曜日の朝早くに家を出るつもりでいたので、これはちょっと困ってしまった。
層雲峡の紅葉結局、役場が始まる時間帯、高速道路の深川付近で確認の電話をし、今週末はまだオープンしていると聞き、晴れてチミケップ湖に向かうこととなったのである。
もしもここで「既にクローズしました」と言われれば、そのまま朱鞠内湖へ向かうことになっていただろう。

途中の層雲峡では、温泉街手前までは散り遅れた紅葉も楽しめたのが、銀河トンネルを抜けた先では、既に木々はその葉を全て散らして、遠くに見える大雪の山々は真っ白に雪化粧し、既に初冬の風景に変わっていた。

昼は北見の「麺屋はる吉」と言うラーメン屋で美味しいラーメンを食べる。
以前に北見で入ったラーメン屋も美味しいところで、私の中では北見はラーメンの美味しい街と言ったイメージが出来上がりつつある。

チミケップ湖を訪れるのは今回が4回目となる。
一番最近では8年前の5月末、紅葉の時期に訪れたのは13年前の10月9日である。
道道494号の紅葉13年前もチミケップ湖の美しい紅葉を楽しんでいた。
今年の紅葉はかなり遅れているとは言っても、その時よりも2週間以上遅いので、どれだけ散り残っているかが心配だった。

途中で道を間違えて、訓子府寄りの道道494号でチミケップを目指す。
ここのダート道は新緑や紅葉が綺麗なので、道を間違えたのは好都合だった。
周りの紅葉を見る限りではチミケップ湖の紅葉もまだまだ楽しめそうである。

そうして午後2時頃にチミケップ湖キャンプ場に到着。
平日なので当然だが、場内に他のキャンパーの姿は見当たらない。北海道キャンピングガイドでも、ここの開設期間は10月中旬までとなっているので、その影響もあるのかもしれない。
湖畔のベストサイトにテント設営ここのベストサイトはやっぱり湖畔側。しかし、デコボコもあって、テントを張る場所は限られている。
8年前は強風のため湖畔にテントを張ることはできず。13年前は湖畔にテントを張れたけれど、一番良い場所には先客がいた。
今回は何の障害もなくベストサイトに堂々とテントを設営した。

キャンプ場入口から湖畔までは120〜130mくらいの距離があるが、2泊するのであれば荷物運びも全然苦にはならない。
通常のキャンプ装備に加えてダッチオーブンとカヌー、そして家から持参してきた乾燥した薪。
それらを運び終えたところでビールで乾杯。
何時もならばここで金麦が登場するところだけれど、今回はかみさんの好みで買ってきた摘みたて生ホップ使用の富良野VINTAGEサッポロクラシックである。
金麦とサッポロクラシック2泊キャンプとなれば飲む量も多くなるので、なおさら金麦で我慢しなければならないはずなのに、やっぱりここでも力の入れ方が違うみたいだ。

石北峠から降りてきた辺りでは、道路際に立てられた交通安全の旗が千切れそうになるくらいの強風が吹いていたのに、チミコップ湖はほぼ無風だった。
遠くの方でさざ波が立っている程度で、べた凪の湖面が広がっている。

小魚たちが立てる小さな波紋がべた凪の湖面にポツリポツリと広がる。
時々、バシャッと音を立てて、大きな魚もライズする。

かみさんがその湖面にカヌーで漕ぎ出した。
時間はたっぷりとあるので、あくせくとカヌーに乗ることもない。
とは言いながら、かみさんの様子を見ていると我慢できなくなり、戻ってきたらすぐに交代で漕ぎ出す。

サイトから湖に漕ぎ出すキャンプ場からカヌーで沖に出ると、キャンプ場の裏にそびえる山の姿が見えるようになる。
湖畔の木々は色づいているけれど、その山の木々は既に葉を散らしてしまっているようだ。

太陽が西の空に傾いてきたころ、二人で再びカヌーで漕ぎ出す。
満月を4日後にひかえた歪な丸い月が、早くも山の稜線に姿を現した。
紅葉した木々が西日を受けて、更にその色を濃くしている。
陽が傾くとともに急に気温が下がってきたので、テントに戻って焚き火を始めることにした。

 
月の出   湖から眺めるキャンプ場
山の稜線に月が昇る   沖に出ると背後の山が見えるようになる


近くにエゾマツ等の倒木があって、かなり以前に倒れたものらしく、その枝もかなりもろくなっている。
簡単に折ることができるので、その倒木が焚き火用の薪のちょうど良い供給源になってくれる。
焚き火を楽しむただ、その倒木だけだと火持ちも悪いので、そこに家から持ってきた乾燥した薪を適度に織り交ぜながら燃やしてやると、良いあんばいの焚き火となるのだ。
家に帰ってから8年前の写真を見てみると、このエゾマツはその時はまだ湖畔ギリギリにしっかりと立っていたのである。

午後4時には湖の対岸の森の中に陽が沈んでしまう。
雲一つない快晴なので、周辺の空が赤く染まることもなく、全くそっけない日没だった。
今夜の夕食は炊き込みご飯と、寒い季節の我が家の定番であるキムチ鍋。
夕食を終えれば、後は湖を眺めながら焚きを楽しむだけである。


8年前の様子   現在の様子
8年前の写真   現在の様子

今回のキャンプで目的地として浮かんだ3か所は、いずれも湖岸にテントを張れるキャンプ場ばかりだった。
特に意識はしていなかったのだが、自分はやっぱりそんなロケーションのを楽しめるキャンプが一番好きなのかもしれない。
特に湖では、遠くの山のシルエットや開けた空間に広がる星空など、陽が落ちてからの風景も楽しめるのだ。

月明かりに照らされるチミケップ湖周りの木々に遮られて、サイトからは月の姿を見ることができないが、湖の対岸の森はその明かりに照らされた湖の上に真っ黒なシルエットとなって浮かび上がっている。
その森の奥から、発情期を迎えた雄鹿の雌を求める長くて甲高い鳴き声、ラッティングコールが響いてきた。
3週間前の道東旅行でも、何度もそのラッティングコールを聞いていた。
しかし、ここで聞くその鳴き声は周囲の山々に響きわたり、とても澄んで聞こえてくる。

私もその鳴き声を真似してみた。
すると、その鳴き真似が遠くの山にこだまして、湖の向うから返ってくるのである。
面白いので何度も鳴き真似をしてしまう。

雄鹿の声に交じって犬の鳴き声が山の中から聞こえてきた。
最初は、「こんな夜中に犬を散歩させている人がいるんだな」程度に考えていた。
ところが、何度も鳴き声が聞こえてくるのである。
その聞こえてくる方向にはYMCAのキャンプ場があるだけだが、今年は既に閉鎖されていて今時期は誰もいないはずである。
翌日になってからその疑問は解消された。
星空を眺めながらtきびを楽しむその鳴き声は、チミケップ湖に1軒だけあるホテルで飼われている犬のものだったのだ。
その鳴き声が山にこだまして、全く違う方向から聞こえてきていたのである。
と言うことは、もしもその頃にホテルの外に出ている人がいたとしたら、私の鳴き真似が森の中から聞こえてきていたのだろう。
その人が私の鳴き真似に耳を傾けてウットリとしていたとしたら、随分迷惑をかけてしまったかもしれない。

月明かりにも負けず、夜空では沢山の星が輝いていた。
その星空の中を飛行機が頻繁に飛び交っている。
女満別空港を発着する飛行機なのだろう。
冷え込みが更に厳しくなってくる。
空は相変わらず晴れ渡り、この調子だと明日の朝は今シーズン初めての霜も見られそうだ。
午後9時前にはシュラフの中にもぐり込む。
せっかく真冬用のシュラフがあるのに、このキャンプに持ってこなかったことをちょっとだけ後悔しながら眠りについた。

明け方の星空午前4時、外はまだ真っ暗だけど服を着替えて起き出す。
先に外に出たかみさんの反応を待っていると「凄いわ!」との声が聞こえてきた。
既に月も沈んでいるはずなので、その時間に起きれば美しい星空をたのしめるだろうと考えていたのである。
私も慌ててテントの外に出る。
そのテントの内部には薄く霜が付いていた。

昨日寝る時には白鳥座が見えていた空には、それに代わって冬の星座であるオリオン座が輝いていた。
そのオリオン座のペテルギウスとおおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンが作り出す冬の大三角が目に留まる。
その大三角のもう一つの頂点を作るように一際明るく輝く木星。
湖の上で輝くオリオン座目の悪い私にはぼやっとした星団のように見えるプレアデス星団(すばる)。
私の分かるのはそこまでだった。
私はオリオン座が大好きなので、その姿が見えただけで嬉しくなってしまう。

焚き火台の灰の中では、昨夜の燃え残りがまだ赤くくすぶっていた。
そこに薪を入れて再び燃やし始める。
焚き火で暖をとりながら星空を見上げる。

私が星空の撮影に気をとられている間に、かみさんが何度も流れ星を見ていた。
オリオン座流星群のピークは一週間前に過ぎていたけれど、その活動はまだ続いているようだ。

湖岸に立つと、自分の足元で星が輝いている。
頭の中で天地が入れ替わったような、何とも不思議な感覚に見まわれる。

空が次第に明るくなるにしたがって、見えている星の数が少なくなってくる。
ちょうど今の季節、朝のランニングで早起きした時に自宅の前で見られるオリオン座と同じ見え方になってきた。
チミケップ湖の湖面からは白い朝霧が立ちのぼる。
日の出の時間が近づくにつれて気温も更に下がってきているようだ。
それに伴って湖を覆う朝霧もその濃さを増してくる。


チミケップ湖の朝
チミケップ湖に朝が訪れた

朝靄に包まれてカヌーに乗る湖に漕ぎ出したかみさんの乗るカヌーが、その朝霧に包まれて見えなくなる。
何時の間にか朝日も昇っていたようで、対岸の森に朝の光が当たり始める。
かみさんが戻ってきたので、その朝の光を体に浴びたくて直ぐに交代で漕ぎ出す。
沖に出て朝の光を全身に受けても、ちっとも暖かく感じない。逆に余計に体が冷やされてくる感じだ。
手袋をしていても、寒さで指先が痛くなってくる。
堪らずに岸に戻って、焚き火で暖をとる。

テントの霜は、朝起きた時よりも更に増えていた。
前室で朝食の準備をしていると、霜が解けて水滴となって頭の上から降ってくる。

朝食を終え、湖を覆っていた朝霧が消え去ったところで、二人でカヌーで漕ぎ出す。
湖の端から端まで見渡しても、さざ波一つ立っていない。
湖が巨大な一枚鏡となる湖全体が1枚の巨大な鏡となって周りの風景を全て映し込んでいる。
ただただ感動するしかなかった。
チミケップ湖の水は透明度が低いので、より完璧な鏡となるようだ。
その湖面を乱すのは自分たちの立てる波だけである。

湖岸に近づくと湖に映った紅葉の方が美しく見えてしまう。
空の青さは、湖面に映った色の方が明らかに鮮やかだった。
チミケップホテルの前までやってくると、こちらに向かって部屋の中から手を振っている人が見えたので、こちらも手を振りかえす。
私達からしたら、湖畔の瀟洒なホテルに泊まっている人が羨ましく見えるけれど、相手からしたら、こんなに美しい風景の中でカヌーに乗っている私達の方がもっと羨ましく見えているのかもしれない。


湖面に映り込む紅葉
美しすぎて言葉も出ない

美しい風景をたっぷりと楽しんでテントに戻ってきた。
木々に遮られて、我が家のテントにはまだ日が当たっていなかった。
そのために、テントの周りに付いた霜もそのまま残っている。
明日は早めに撤収をしたかったけれど、この様子ではテントを完全乾かすのには午前中いっぱいかかりそうである。

湖上から眺めるキャンプ場付近管理人のおじさんが、トイレや炊事場の掃除をしに来ていた。
炊事場のシンクや出入り口のシャッターなどを、隅から隅まで雑巾で丁寧に拭いている。
そのおじさんが、掃除の時にバケツに集めたテントウムシなどを持ってきて、湖にまき散らす。
すると一斉に魚たちが群がってきて、その虫をあっという間に食べ尽くしてしまう。
何時もそうしているので、おじさんがやって来ただけで魚たちが集まってくるのだとか。
近くで竿を出していた釣り人が、その様子を呆然として眺めていた。
おじさんの話によると、彼の竿には魚が全然かかっていないそうである。

ここのキャンプ場の唯一の欠点は、観光客が頻繁にやってくることである。
湖の周囲で湖岸に立つことができるのは、ホテルとこのキャンプ場しかないので、これは我慢するしかなかった。
私達に気を使って知らんぷりをしている人もいれば、「あら、暖かくていいわね〜」と図々しく焚き火にあたっていく人もいる。
「ここで何日もキャンプしてるのね」とか、「魚を釣って食べてるんですか」とか、勝手なことを言ってくるので、面倒なのでいちいち訂正はしない。

さすがに煩わしくなってきたので野鳥の森を歩いて、チミケップ湖を見下ろせる見晴台まで行ってみることにした。
所々で鮮やかに色づいたモミジに目を奪われる。
色々な種類の落ち葉が散策道をカラフルに彩り、その上を歩くのがとても楽しい。
途中で通行止めここの見晴台は8年前の新緑の季節に一度登ったことがある。
その見晴台から湖を見下ろしている愛犬フウマの写真は、私のお気に入りの一枚でもある。

樹木が開けて湖を見下ろせる場所まで登ってきた。
木柵によってその先は通行止めになっているが、私の記憶に残る見晴台からの展望は、目の前に広がっている風景とは異なっていた。
木柵の先で道路が一部崩壊しているので、ここで通行止めにしたらしい。
柵の少し先に第一見晴台の看板があったので、その先に第二見晴台があるのだろう。
そこからは眼下にチミケップホテルを見下ろせて、湖ももっと良く見えたはずである。
でも、立ち入り禁止の看板が立っていて、かみさんがそこから入ってくるのを嫌がるので、この第一見晴台からの展望だけで我慢することにした。
後で調べてみると、第二見晴台はそこから数十メートル先にあるみたいで、わざわざ通行禁止にする程危険な道でもないらしい。
ここから先は自己責任の範囲内だろう。


第一見晴台からの展望   8年前の見晴台からの展望
第一見晴台からは湖が少ししか見えない   8年前、フウマがチミケップ湖の風景を楽しんでいた

サイトに戻ってきてカップ麺の質素な昼食を食べる。
今回のキャンプでは、時間に追われ過ぎた前回の道東キャンプの反省から、なるべくゆっくり過ごそうと考えていた。
直ぐにビールを飲みたかったけれど、まだ一つだけやり残していることがあった。
それは鹿鳴の滝を見ることである。
鹿鳴の滝その滝はチミケップ湖の南側にあるらしいのだが、過去3回訪れているのに1度も見ていないのである。
ビールを飲む前に滝の探訪に出かける。

その滝は陸別と津別への分岐を、津別側に少し入ったところにあった。
津別からチミケップ湖に向かって走ってくると看板が目に入るが、反対向きに走るとその看板に気が付かない。
多分、そのせいで今まで見逃していたのだろう。
道路際に車を停めて、崖の様な急な道を降りていくと、不思議な形状の滝が見えてきた。
まるで砂防工事が行われた河川の様で、最初はそれが人工物だと勘違いするくらいの、規則的な階段状の滝なのである。
その滝の上に、本物の人工物である道路の擁壁が見えているものだから、余計にそんな気がするのかもしれない。
でも、正真正銘の自然の滝である。
これを自然の妙と言うのだろう。

そんな滝を楽しんで、サイトへと戻ってきた。
湖の西側の遊歩道も歩きたかったけれど、今日はもうのんびりと過ごすことにした。
風もなく、陽射しも暖かく、時期はまだ早いけれど小春日和の様な穏やかな天気である。
その陽気に誘われるように、昨日は姿を見なかったカメムシやテントウムシがテントに群れてきた。
テントウムシならまだ許せるけれど、カメムシにキャンプ道具の隙間にもぐり込まれると後が厄介である。
餌に群がる小魚実際に何度もその臭い臭いを嗅がされることとなった。
管理人さんの真似をして、テントにくっついたテントウムシを捕まえては湖の中に放り込む。
すると、小魚達が直ぐに飛びついてくる。
自分から湖に飛び込んで溺れているカメムシもいるが、さすがにカメムシには魚たちも見向きもしない。

かみさんがチジミを焼いてくれたので、それをつまみにビールを飲む。
チジミを小さく千切って湖に放り込むと、それにも魚たちが群がってくる。
2、3センチの小さな奴から15センチ以上はありそうな大物まで、チジミの争奪戦が繰り広げられる。
全然釣れていなかったと言う釣り人は、一体どんな餌を付けていたのだろうと不思議に思ってしまう。。

ビールを飲みながらまったりと過ごす雪虫も沢山飛び始めた。
10月も末になって、今年初めて見る雪虫である。
間違って雪虫を吸い込んだり、缶ビールの中にカメムシが飛び込んだりしないように気を使わなければならないが、蚊や蚋が飛び回られるよりはずーっと気持ちが良い。

今朝の冷え込みのせいもあるのか、頭上からは次々に落ち葉が舞い落ちてくる。
のんびりと湖を眺め、小魚と戯れ、気が向けばカヌーに乗り、気持ちの良い午後を過ごす。
今日も他のキャンパーがやってくる様子はなく、2日連続で貸切のキャンプを楽しめそうだ。
過去の我が家の紅葉キャンプを振り返っても、確実にベストスリーに入る快適なキャンプである。

チミケップ湖の夕暮れただ、観光客だけは相変わらず、入れ替わり立ち代わりやってくる。
その中で、東京から写真撮影の目的でやってきた男性とは時々話をかわした。
彼の一番の目的は流れ星の写真を撮ることで、昨日の夜は摩周湖で車中泊をしながら、そのチャンスを狙っていたとのこと。
ところが深夜になってから灰色の雲が広がり、結局朝まで晴れることはなかったらしい。

チミケップ湖の今朝の様子を教えてあげると、本当に残念そうにしていた。
対岸に沈む夕日を写し、暗くなってから彼は再チャレンジのために摩周湖へと向かっていった。

風の強い朝深夜0時を過ぎた頃から急に風が強く吹き始めた。
しばらく様子を窺っていたけれど、更に強まってきそうな気配なので、起き出して張り綱でテントを補強する。
それで安心して、風も気にしないでぐっすりと眠ることができた。

朝になってもその風は止んでいなかった。
テントの入口を南に向けて設営していたのに、風はその南側から吹いてきている。
しょうがないのでインナーテントだけを先に片付けてしまって、テントをスクリーンタープ風に使うことにした。
北側の入口を開ければ開放感も得られる。
この辺りがソレアードの使い勝手の良いところである。

風のおかげでテントも結露することなく、朝食を終えて直ぐに撤収作業に入ることができた。
午前9時前には全て片付け終えてキャンプ場を後にする。
帰り道は、道東道を経由することにした。
晩秋を感じさせる紅葉風景陸別から足寄にかけては山の木々の紅葉は終わりに近付いていたけれど、カラマツが色付き始めていて晩秋を感じさせる紅葉風景が広がっていた。

途中の津別町二又付近で廃校らしい建物があったので立ち寄ってみる。
校舎の前は工事用の残土捨て場になっていて、校舎の一部も牧草ロールの保管場所に使われている。
しかし、玄関から中に入ってみると、そこには卒業記念作品の絵画が飾られたままで、廊下と教室もほぼそのままの形で残っていた。
その絵は昭和45年の卒業生の作品で、3名の名前が書かれていた。
廃校にするにしても、そんな記念の品は何とかして保存するべきものじゃないだろうか。
校名を示すものはどこにも無く、道路際に門柱らしきものが残っていたが、その校名があったと思われる部分は何故か削り取られていた。
何だか、訳ありで家主が夜逃げでもしたかのような、廃校の雰囲気である。
卒業作品に名前の書いてあった方が、今のこの状況を見たらどう思うのだろう。
そんな事を考えながら二股を後にする。


廃校に立ち寄る   そのまま残されている卒業制作の絵画
廃校となった小学校に立ち寄る   制作者の名の入った卒業記念の絵画が・・・

上利別付近で道路上から滝が見えたので、立ち寄ってみる。
トブシの滝の看板が出ていた。
そしてそこには「屏風岩の滝案内」と書かれた朽ち果てかけている看板も立っていた。
その看板が私の探検心をムラムラとかき立てる。
屏風岩の滝までの道のりその看板の怪しげな地図だけでたどり着けるのか不安だったが、途中には何ヶ所も看板が立てられていて無事に辿りつくことができた。

しかし、畑の中を通る道は、普通の乗用車では腹がつかえそうで、最後の徒歩400mは鹿避け柵の出入り口を4度開け閉めし、タヌキの糞を踏みつけそうになりながら、頭上から岩が落ちてきそうな危険地帯を通過し、スズメバチが活動している時は絶対に通過できないと思われる巨大な蜂の巣の下を通り過ぎ、ヤマブシタケを収穫して喜んだりしながら、やっとの思いでたどり着けるのである。
滝自体は大したものじゃないけれど、そこまでの道のりは十分に楽しむことができた。

そんなおまけもあり、道東道の占冠から夕張紅葉山にかけては今年一番の素晴らしい紅葉風景に癒され、楽しく札幌まで戻ってきたのである。

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