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雨から逃れてスズランを

ニセウ・エコランドオートキャンプ場(6月9日〜10日)

土曜日の午前中が仕事。午後出発では出かける場所も限られ、高速道路を使えば簡単にアクセスできる白老の森野オートキャンプ場に泊まることにした。
このキャンプ場を作ったおじいちゃんが亡くなられ、2010年から閉鎖されていたのが、新しいオーナーの元で今年再オープンしたのである。 我が家にとっては12年ぶりの再訪となる。
そして日曜日は、近くのホロホロ山と徳舜瞥岳に登る。先週の美笛キャンプの前から考えていた完璧な計画だった。

アメダス画面ところが、仕事を終えてやって来た白老は土砂降りの天気。
事前に確認したところでは、小さな雨雲が南から近付いていて、それが通り過ぎれば直ぐに雨も上がるはずだった。
100円ショップで雨傘を買って、観光案内所でパンフレット類をもらって、雨が上がるまで時間を過ごせそうな場所を探す。

しかし、雨の止みそうな気配はなく、再度雨雲レーダーを確認すると、南の方に別の雨雲が姿を現していた。
白老地方の1時間毎の天気を確認しても、明日の昼頃まで傘マークが続いている。
白老でのキャンプはさすがにもう諦めるしかなかった。
北海道で雨が降っているのは、この付近だけ。
わざわざ雨を目掛けてやって来たようなものである。

かみさんの「諦めて今日は帰りましょう」の言葉に素直に従い、マザーズでお土産のシュークリームを買い、再び高速道路に乗って札幌へ。
悪天候でキャンプを諦めそのまま家に帰ってきたことは、過去に一度、朱鞠内湖で経験していた。しかし、それは冬の話しで、猛吹雪の中で他の選択肢はなかったのである。
このまますごすごと家に帰るのは、私にとって屈辱以外の何もでもない。

白老から離れるに従って雨も弱まり、日高方向の空には明るさが戻ってきていた。
そこで思い付いたのが、平取町のスズラン群生地のことである。
数日前の新聞に、そのスズランが満開になっているとの記事が出ていた。以前から興味を持っていたこの群生地、ちょうど良い機会である。

近くのキャンプ場としては、二風谷ファミリーランドオートキャンプ場とニセウ・エコランドオートキャンプ場がある。どちらもまだ泊まったことがなく、これもまた良い機会だった。
かみさんの「ファミリーランドって名前がね〜」との意見により、ニセウの方に泊まることに決定。

C-11のサイトチェックイン時間の午後5時を過ぎていたが、管理人さんが快く迎えてくれた。
他に誰も利用者がいないので、何処にテントを張っても良いと言われる。
その中でも管理人さんの個人的なお勧めは、C-11のサイトとのこと。
そこは仁世宇川に面した眺めの良いサイトだった。
でも、川については拘りのある私なので、護岸で固めら、柵で囲われた川の風景には、管理人さんには悪いけれど、魅力を感じない。

それよりも、程良いバランスで植えられている場内の樹木が気に入って、そのど真ん中にテントを張ることにした。
隅の方が好きな我が家だけれど、貸し切りの時くらいはこれも良いだろう。
我が家のサイト美笛に泊まった後なので、貸し切りキャンプが余計に快適に感じられる。

芝生も良く手入れされて、快適なキャンプ場である。
サイトも余裕を持って作られているので、満員になっても回りをあまり気にしなくても良さそうだ。
そして、場内の樹木のバランスがとても良い。
造成時に植えられたものが大きく育ってきている。
後10年もすれば、更に快適なキャンプ場に変わっていくことだろう。

夕食はスパゲティで簡単に済ませて、その後はサイトでまったりと過ごす。
芝生の手入れが良すぎて焚き火をするのを躊躇っているうちに少し風が出てきてしまい、焚き火なしのキャンプの夜を過ごすことになる。
それでも、寒さは感じず快適な夜である。

夜のキャンプ場普段は邪魔者に感じる場内の照明も、周囲の樹木を柔らかに照らしてくれて、良い雰囲気を演出してくれている。
水銀灯ではなくナトリウム灯なので、オレンジ色の明かりとなるのだ。
遠くからはカエルの大合唱が聞こえてくる。

ワインを飲みながら、「次はどこへ行こうか」との話しをする。
今年は例年と比べるとキャンプの回数が減りそうで、次に出かけられそうな週末も3週間先になってしまう。
そうすると、候補地は本当に行きたい場所に絞り込まなければならない。
そうして出てきたのは、島とか、川原とか、山とか、そんな場所ばかり。
普通のキャンプをする機会がますます減ってきそうな我が家であることに、改めて気が付くこととなった。

 
場内の風景   場内の風景

夜中に聞こえていた雨音もそのうちに止み、朝は小鳥のさえずりで目が覚める。
フカフカの芝生の上でぐっすりと眠り、日頃の寝不足の疲れもとろうと思っていたのに、やっぱり4時過ぎには目が覚めてしまう。
朝の焚き火でも楽しもうとテントから出ると、再び雨がポツポツと降り始めた。
結局、家から持ってきた大量の薪は、全く減ることなく再び持ち帰る事になってしまった。

露天の五右衛門風呂その雨も直に止んで、日が射してきた。
少しでもテントが早く乾くように、雑巾で水滴を拭き取る。
朝食を済ませ、荷物を片付け、テントが乾くまでの間、場内を散歩する。

ここのキャンプ場には五右衛門風呂もある。
昨日、この存在に気が付いて、管理人さんに使えるかどうか確認したが「まだ掃除もしていないし・・・」と困った様子だった。
掃除くらいは自分達で全てやるつもりだったが、管理人さんを困らせても悪いので諦めることにしたのである。
キャンプ場側からは見えないようになっているけれど、完全に露天の五右衛門風呂。朝日を浴びながらこの風呂に浸かれば、さぞ気持ちが良かったことだろう。

隣のパークゴルフ場の方には、黄菖蒲の咲く美しい池があった。
昨夜のカエルの大合唱の会場となったのはこの池だったのだ。
「シカの森コース」とか、「けもの道とクローム」などと名付けられた、場内の何ともない散歩道。取り付けられた手作りの看板がとても微笑ましい。


美しい池
ここがカエルの大合唱の会場だったのかも

炊事場とバンガロー   手作り看板
バンガローと炊事場も風景に溶け込む   手作りの看板が微笑ましい

午前8時前、管理人さんに挨拶してから、芽生のスズラン群生地へと向かった。
ニセウの方から群生地を目指すと幅の狭い山道を走ることになる。突然飛び出してくるシカに注意を払い「もしかしたらスズラン祭りの期間中で、ステージでは歌謡ショーとかやってたりして」などと冗談を言いながら車を走らせる。

お祭り会場みたいだそうして到着したスズラン群生地。
冗談のつもりが、それは現実の光景となっていた。
ステージこそ無いものの、行事用テントにイスやテーブルがずらりと並べられ、正にお祭りの準備の真っ最中。
人里離れた山奥にひっそりと存在するスズラン群生地をイメージしていたのに、花の時期には立派な観光地に早変わりするようだ。

でも、時間が早かったので、祭りの準備をしている人達以外の観光客は私達だけ。
ゆっくりと群生地の中を歩く事ができる。

スズランは葉の下にひっそりと花を付ける。
そのために、どんなに沢山群生していても上から見ただけではただの草むらにしか見えない。

トラロープに囲まれた園路以前から興味を持ちながら、今に至るまでここを訪れずにいた理由は、それなのである。
しかも、歩く場所はトラロープで仕切られた園路の中だけに限られる。
スズランの花は既に終わりに近く、茶色く変色してきているものが多い。
ただ、スズランの香りだけは辺りに漂っていた

それでも、広大な群生地の中を奥に進むに従って、まだ花盛りの株が多くなってきた。
夜中に降った雨のおかげで、余計に生き生きとして見える。
花や葉に着いた水滴がまた美しい。
一目で見渡せる花畑の印象はないが、その場に座り込めば可憐なスズランの花に取り囲まれる。
期待通りの素晴らしい群生地だ。

座ると花がよく見えるスズランに混ざってアマドコロも所々で花を咲かせていた。
同じようなタイプの花が並んで咲いている様子も面白い。

他に目立つのはワラビだった。ワラビの群生地とも言えるくらいに沢山は得ている。
山菜好きには堪らない場所だけれど、しっかりと「ワラビとスズランは採取禁止」と書かれた看板が立っていた。

広大な群生地をゆっくりと一周して芽生を後にする。
途中ではこれからスズラン群生地へ向かう車と次々とすれ違った。静かにスズランの花を楽しむのならば、早朝に訪れるのが一番である。


スズランと水滴   スズランの鐘
水滴が美しい   鐘があると鳴らしたくなる

スズランの群生
スズランの群生

これで目的を達した訳だけれど、まだ完全ではなかった。本来の予定では日曜日は山を登ることにしていたのである。
そこで、ホロホロ山と比べるとスケールはかなり小さくなるが、穂別町の坊主山に登ってから札幌へと帰ることにする。
旧富内駅これでとりあえずは、雨に負けることなく、予定通りに週末を過ごすことができるのだ。

坊主山へ向かう途中、振内の鉄道記念館や旧富内駅を訪れる。
ガチガチの鉄ちゃんでもないので、こんな時でないとなかなか訪れる機会のない場所である。

初めて泊まるキャンプ場に、初めてのスズラン群生地、鉄道施設も初めて訪れるところで、これから向かう坊主山も初めて登る山だ。
北海道内は殆ど回り尽くしたつもりでいても、まだまだ訪れたことのない場所が沢山残っているのである。


富内駅に残る線路   客車を利用したライダーハウス
旧富内駅構内の線路   どちらの駅にも客車を利用した宿泊所がある


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