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山から下りて川原キャンプ

歴舟川の川原(8月12日〜13日)

 大雪縦走キャンプから戻って以来、無性に川原キャンプへ行きたくなっていた。
 元々は7月のカヌークラブの例会で歴舟の川原キャンプをするはずだったのが、それが悪天候で中止になり、余計に川原キャンプに飢えていたこともあるのかもしれない。
 そこで、お盆休みの予定を急遽1日増やし、十勝の実家に帰省する前に歴舟川に出かけることにしたのである。
 樹海ロード経由で十勝へ向かう途中、白いカナディアンを2艇積んだKevipaさん、ミエさんご夫婦の車を発見。前日に北海道に上陸していたことは知っていたけれど、まさかここで会うとはもの凄い偶然である。
 北海道滞在中に何処かの川で再会すること祈って、シーソラプチ川に向かうKevipaさん達と分かれる。
丸山展望台 芽室町上美生のパン屋「カントリーブラン」の午前10時の開店時間に合わせるため、清水町の丸山展望台に寄り道した。
 ここを訪れる度に「ここにテントを張って朝を迎えてみたい」と思ってしまう。何時か実現させたい私の小さな夢である。
 そしてちょうど良い時間に「カントリーブラン」に到着。パンを仕入れて大樹町へと向かう。

 歴舟川の河口へ車を回し、そこからはタクシーで戻ってくる。
 今回は大樹町内に二つあるタクシー会社のうち雅交通を利用した。
 河口へ出られる道は藪の中を抜けなければならないのでその入り口で待っていてくれるように言ったのに、今回の運転手さんはわざわざ河口まで入ってきてくれた。
 ありがたかったけれど、運転手さんはその道を走るのは初めてだったようで、車は土埃で真っ白になるし、道を塞いでいた倒木を除ける手伝いまでさせてしまって、本当に申し訳なく思ったのである。
川旅の始まり カヌーにキャンプ道具を積み込んで大樹橋の下にカヌーを浮かべる。
 ここからがいよいよ川旅の始まりである。
 昨日の雨の影響で水が増えている分、透明度は少し落ちている。
 それでも他の川と比べれば十分な清流と言える。
 大樹橋から下流は、左岸寄りを下ると川底が洗濯板の様な岩盤になっているので結構スリリングな瀬となっている。
 ところが、去年辺りから本流が右岸の方に寄って流れているので、その洗濯板の瀬は下らなくても済むのだ。
 とは言っても右岸側もそれなりの瀬になっている。
 普段は気にならないような瀬でも、キャンプ道具を積んでいるのでいつも以上に慎重に下る。
 数年前には、ふるさと大橋下流にも波の大きな瀬ができていたけれど、そこも普通の瀬に戻っていて無事に通過。

 
大樹橋下流の瀬   ふるさと大橋下流の瀬
大樹橋をスタートして直ぐに瀬が現れる   ふるさと大橋下流の瀬は普通の瀬になっていた

飛び立つタンチョウ 前方の川原にタンチョウのつがいの姿を発見。
 静かに近付いていくが、途中で気付かれて飛び立ってしまう。
 去年も同じ時期にここを下った時、もっと下流の方でタンチョウの姿を見ていた。
 その時は3羽だったので、1羽は子供だったのかもしれない。
 今年は子供を育てられなかったのだろうか。
 晩成温泉に向かう途中にタンチョウの姿を見かけたこともあり、全て同じつがいなのか、それともこの付近にもタンチョウの生息域が拡大してきているのか。
 いずれにせよ、歴舟川でタンチョウの姿を見られるようになるとは、新たな楽しみが増えたようなものである。

最初に上陸した川原 ふるさと大橋の姿が見えなくなってきたところから、野営地に適当な川原を探し始める。
 ある程度の増水にも耐えられ、快適にテントを張れる平らな場所があり、そして流木も沢山転がっていること。
 それが野営地の条件だけれど、その前に橋などの人工物が見えないことは当然のことなのである。
 最初に上陸した川原は眺めは良いけれど、テントを設営するのに良い場所が見つからない。
 そこは去年の歴舟川原キャンプの時にも最初に上陸した川原だった。
 その後も波の高い瀬に緊張させられ、適当な川原を見つけては上陸して野営地を探す。
 普通のキャンプ場で一番快適なサイト探すのと同じようなものだけれど、こちらの方が遙かにダイナミックである。
 気が付くと、去年テントを張った川原を通り過ぎていた。川岸の様子が去年と違っていたので分からなかったのだ。
 そろそろ真剣に野営地を探さなければならなくなってきたけれど、その先の川原が何となく良さそうに見えていたので、それ程焦ってはいなかった。


波の高い瀬に緊張   ここの川原もダメかな
波の高い瀬に緊張させられる   ここの川原も野営には適さず

物干し用流木 そしてそこは三つの条件を全て満たす期待通りの川原だった。
 敢えて不満を言うとすれば、テントを張る場所から水辺までがちょっと離れていることくらいである。
 テントを設営し、その隣に3本の流木を組み合わせて物干し用の場所を作る。
 ちょうど良い長さと形の流木が簡単に集められたので、ロープを使わなくても、がっちりとした物干し流木が完成した。

 気温も高く、夏の太陽が何も遮るもののない川原に容赦なく照り付ける。
 風が強いのが救いだった。
 それに、昨日まで続いていた暑さと違って空気が乾燥しているので不快感はない。
 歴舟川の清流に体を沈めればちょうど良くクールダウンできる。
サイトが完成 焚き火用の流木を集めたり、テーブルや椅子代わりにするための平たい石を集めたりして汗をかけばそのまま川に入って体を冷やす。
 もう少し涼しくなってからの方が快適な川原キャンプができたかなとも思ったが、これはこれで夏のキャンプらしくて楽しい。

 流木は無尽蔵と言っても良いくらいに大量に転がっているので、焚き火も直ぐに始める。
 ただ、焚き火からは相当に距離をおかないと熱くてたまらない。
 中札内の道の駅で買ってきたトウモロコシをアルミホイルに包んで焚き火の中に放り込む。
 このトウモロコシが無茶苦茶美味しかった。


暑くなれば川の中で涼む   焚き火も燃やし放題

意気込んで望んだ釣りだけれど 今回の川原キャンプでは釣りも楽しみにしていた。
 去年の川原キャンプの時に大きなニジマスに何度も仕掛けを切られていたので、今回はそれを全部釣り上げてやろうと意気込んでいたのだ。
 特にかみさんは全て逃げられていたものだからやる気満々である。
 去年釣った場所の少し下流にいかにも釣れそうなポイントがあった。
 仕掛けを流した瞬間に直ぐにあたりがくる。
 ところが上がってきたのは小さなウグイ。
 その後も釣れるのは小さなウグイばかりで、そのうちにウグイさえ釣れなくなってしまった。
 我が家の釣りは、意気込みが大きい時に限って空振りに終わるパターンが多いのである。

川の下流から月が昇る サイトに戻って、消えかけていた焚き火に流木を補給する。
 乾いた流木に直ぐに火が回り、焚き火は再び豪快な炎を上げて燃え始めた。
 気が付くと川の下流の方角から真ん丸い月が昇ってきていた。
 そう言えば14日が満月のはずである。
 川の下流から月が昇れば、川の上流に夕日が沈んでいく。
 大自然の壮大な絵巻物を見ているかのようである。
 そんな風景に見とれていて夕食の準備が遅れてしまった。
 でも、今日の夕食はレトルトご飯とレトルトカレー。
手の込んだ料理を作るのも良いけれど、食事には時間をかけず、その時だけの自然の移ろいをじっくりと楽しむのが我が家のスタイルである。


テントの向こうから月が昇る   テントの向こうに日が沈む

歴舟川の上流に日が沈む

月明かりの下で焚き火を楽しむ 食事を済ませた後は焚き火を楽しむだけである。
 細い流木じゃすぐに燃え尽きてしまうので、太い流木だけを集めてきて焚き火の上に積み重ねる。
 日中は強かった風も次第に止んできて、焚き火の炎が天に向かって立ち上る。
 月明かりが歴舟川の川原を真昼のように照らし出す。
 ペルセウス座流星群が今夜あたりにピークを迎えるはずだが、これだけ空が明るくては、余程あかるい流星でなければその姿を確認するのは難しそうだ。
 何時ものキャンプよりも夜更かしをして気持ちの良い眠りについた。

 翌朝は3時半ころに目を覚ました。
 まだ眠たかったけれど、外の様子が気になったのでテントの入り口を開けてみる。
夜明け前から焚き火を始める すると、昨夜月が浮かんでいた場所ではオリオン座が輝いていたが、まだ月明かりが残っているのか、見える星の数は少なかった。
 それでも、仰向けに寝たままテントから頭だけを出して星空を見上げていると、淡い流星が横切っていくのが見えた。
 やがて暁光が東の空を明るく照らし始める。
 それ以上は寝てられそうにもないのでテントから起きだす。
 寝る時にはまだ大きな塊で残っていた流木も完全な灰に変わっていた。
 それでも灰の中はまだ熱を保っている。
 その上に着火剤を置いて細い流木を重ねると直ぐに火が付く。
 そこへまた太い流木を焼べると再び昨夜のような豪快な炎を上げ始めた。
 さすがに朝になると気温も下がり、昨日よりは火の傍まで近づけるようになる。

焚き火の前でコーヒータイム 朝のコーヒーを味わってから、再び釣りにチャレンジ。
 昨日の場所ではあたりさえも無く、そこにいた筈の魚たちは皆どこかへ逃げてしまったようである。
 去年の川原キャンプでは朝食メニューにニジマスのホイル焼きが加わったけれど、今回は予定していたペンネのカポナータだけで終わってしまった。
 太陽が高く昇ってくると、朝の涼しさもつかの間、川原は直ぐに昨日の暑さを取り戻す。
 そうなると川の上に出た方が涼めるので、早々にテントを撤収し川下りを再開することにした。
 流木の物干しオブジェだけはそのままに残して、後は綺麗に片づけ、荷物をカヌーに積み込む。


朝食の準備   朝の風景

最高の川下り日和 空は雲一つなく晴れ上がり、歴舟川の水も本来の透明度を取り戻していた。
 これ以上は望めないような川下り日和である。
 キラキラと輝く瀬が眩しい。
 歴舟橋が見えてきた。
 その上を走ってきた車が急にスピードを落として私たちの方を見ていた。
 朝早くから夫婦らしい男女の乗った荷物満載のカナディアンが1艇、川の上を流れてくるのを見たら、誰でも奇異に感じるかもしれない。
 歴舟橋から下流は川幅も広がりすぎて、テントを張れそうな川原も見当たらない。
 もしも昨日、今回の野営地を通り過ぎたとしたら、その後は野営地探しに苦労していたことだろう。

旅の最後に記念撮影  分流も多くなって、どちらを下るか頭を悩ませることも出てくる。
 この辺りまで下ってくると、去年の川の様子などは全く参考にならない。
 本流の場所さえが大きく変わってしまうのだ。
 次第に海が近づいてくる。
 この快適な川下りがもうすぐ終わってしまうのが残念でならない。
 川を下っていてこんな気持ちになるのは初めてである。
 振り返ると、日高山脈の長い山の連なりが地平線をかたどっていた。
 そうして河口に出て今回の川旅が終了した。


川旅のフィナーレ

川下り記念 山上でのキャンプも良いけれど、それは決められた登山道を歩いて、決められた野営地にテントを張るだけ。
 その対角に位置するのが川原キャンプなのかもしれない。
 移動しながらキャンプをする行為自体は同じだけれど、川原キャンプは全てが自由なのである。
 どこを下るか、どこにテントを張るか、すべては自分の好きなように決めることができる。
 山上キャンプを終えた後、無性に川原キャンプがしたくなったのはそんなところに理由があったのかもしれない。
 これからも年に一度は川原キャンプのために歴舟川を訪れることになりそうだ。

歴舟川原キャンプの写真へ 

8月12日12:00歴舟川水位(尾田観測所) 102.44m
8月13日 8:00歴舟川水位(尾田観測所) 102.35m



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