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気分だけでも歴舟川原キャンプ

カムイコタン公園キャンプ場他(7月16日〜18日)

 カヌークラブの例会で歴舟川の河原キャンプを企画。
 参加予定者は我が家を含めて11名と少なかったけれど、川下りの途中で適当な河原を探してテントを張り、釣りをしたり川で泳いだりしながら清流歴舟川で楽しい夏の一時を過ごすつもりで楽しみにしていた。
 ところが、7月11日に東北地方が梅雨明けし「これで全ての地域が梅雨明けしました」なんてニュースでやっているけれど、「おいおい、北海道はどうしてくれるんだ」って言いたくなるくらいに梅雨のような天気が続く北海道。
 週末も本格的な雨になりそうな天気予報を見て、とうとう前日金曜日の夜に普通のキャンプに変更することを決断して、クラブの掲示板に書き込んだ。

雨の高速道路を十勝へと向かう 札幌からずーっと雨に降られながら大樹町の道の駅コスモール大樹に到着。
 当初の予定ではここに集合してから河原キャンプの買い出しをすることになっていたのである。
 ただでさえ少ない人数の中、前日になってkenjiさん夫婦が参加できなくなり、しかもこの雨である。
 集まった買い出し部隊7名のテンションは極限まで下がりきっていた。
 準備段階の打ち合わせでは、3台のダッチオーブンを持ち寄り、趣向を凝らした料理を作ることになっていたのが、不参加になったkenji家が1台、もう1台を準備する予定だった我が家も河原キャンプが中止になったことでダッチオーブンのことなど忘れ去って持参せず。
 それでも2年前の河原キャンプで大好評だったダッチビビンバだけは、予定通りS吉さんが作ってくれることとなった。
 いい年をした大人が集まってワイワイガヤガヤ言いながら買い物をするのも、海水浴の買い出しをしているみたいでなかなか楽しいものである。
 昼食を食べて川下りの集合場所である大樹橋に集合する頃には降り続いていた雨もようやく止んできた。
 そこに到着した2名を加え、川下りはカムイコタンのキャンプ場から大樹橋まで下ることにする。
 そうして川を下り終えた後は、河原とは全く違う環境の町内の某所でテントを張ることとなったのである。

シュールなキャンプ 川下りを終えた後、町内の銭湯で汗を流し、今夜の野営予定地に戻って来る頃には再び雨が降り始めていた。
 今回の参加者は好んで河原キャンプをするような人達だから、そこがどんな場所でも大して気にしないような人ばかりである。
 そこにテントを張ることに一番抵抗を感じていたのはもしかして私かもしれない。
 自然の中で薄いテントの布地1枚に守られて寝ることに喜びを感じる私にとって、アスファルトとコンクリートで固められた中にテントを張るなんて邪道としか言いようのない、堕落的行為であるのだ。
 複雑な思いを抱いたまま、落書きの書かれたコンクリート壁の前にテントを設営する。
 何ともシュールなキャンプ風景が出現した。
 これは意外と悪くないかもしれない。
 何よりも、次第に強さを増してくる雨が全く気にならないのはありがたかった。
 テントで寝ることができずに何時もシティホテルに宿泊して例会に参加するK岡さんも、この場所ならばホテル気分でテントに寝れるかもしれない。
 ビールを喉に流し込む。
 河原キャンプで予定していた我が家のダッチオーブンメニューはチリビーンズ。
 その河原キャンプができなくなったので、かみさんが家の台所で普通の鍋でチリビーンズを作りそれを持ってくることに。
気分だけは川原キャンプ 作る過程はどうであれ、できあがったチリビーンズに変わりはなく、その辛さでビールがすすむ。
 流木を使った豪快な焚き火はできなくても、家から薪を持ってきているので何時も通りの焚き火は楽しめる。
 アスファルトを痛めないように焚き火台の下に板を敷くことだけは忘れない。
 そのうちに今日のメインディッシュであるダッチビビンバができあがった。
 何処で食べようとその美味しさに変わりはない。
 辺りは闇に包まれ、焚き火を囲んで皆で話しをしていると、気分だけは完全に河原キャンプだった。
 更に雨脚が強まり、排水孔から流れ出す雨水が滝のようになって私達の直ぐ近くに落ちてくる。
 それさえも本物の滝と何の変わりもなく、そこから発生するマイナスイオンが皆を包み込んでいるようだ。
 滝の音を子守歌にしてその夜はぐっすりと眠ることができた。

 
固唾を呑んで見守る中ダッチビビンバを作るS吉さん   ダッチビビンバ完成

濁流の流れる歴舟川 滝の音は明け方まで聞こえていたけれど、起き出す頃には雨もあがっていた。
 川の様子を見に行くと、清流歴舟川はその面影もなく、完全な濁流に変わってしまっていた。
 それでも、大増水とまではなっていないので、何とか川下りができそうな状況である。
 皆で朝食を食べていると、Kenjiさん夫婦が早々と到着。
 話しを聞くと日高方面の国道は大雨のために通行止めになっているとのこと。
 日高山脈を挟んだ反対側では、かなりの雨が降っていたようである。
 こちらの歴舟川は朝方よりも若干濁りが取れたようで、これ以上の増水の心配は無さそうなので、今日は上流部の坂下からキャンプ場までを下ることに決定する。
 快適な一夜を過ごさせてくれた場所を綺麗に後片付けして、キャンプ場へと移動することにした。

 カムイコタンのキャンプ場は中段サイトにファミリーが数組、河原サイトにカヌーのグループが一組いるだけでがら空きだった。
 この天気ではキャンプに来る方が不思議だけれど、それにしても7月の3連休にしては寂しい状態である。
やっぱりキャンプ場の方が良いかな 私達は河原サイトの方にテントを設営することにする。
 空模様もまだ不安定で、雨が降ればバーベキューハウスに避難できるので中段サイトも良いかもしれないとの意見もあったが、ここは私の好みで河原サイトにさせてもらった。
 トイレや炊事場が近くて便利が良くても、周りの見通しが利かず、近くにはファミリーのテントが張られ、そんな場所でキャンプをするのならば、ここに泊まる意味が何も無いのである。
 S吉さんがトレーラーのセッティングをしている間に、他のメンバーでビッグタープを設営する。
 これまでは全てS吉さんに頼り切っていたタープの設営も、ようやく自分たちでできるようになってきたのだ。
 先月の例会キャンプで設営した時よりは上手に張れたかもしれない。
 川下りの準備を整えて歴舟川の上流へと向かった。

 増水した歴舟川でのスリリングな川下りを終えて、買い物や風呂に入るため全員で大樹の町へと向かう。
 銭湯の開く時間が4時なのでその前で待っていると地元の老人の方から「日方川を下ったのかい」と声をかけられた。
 最初は何のことか分からなかったけれど、歴舟川は地元では日方川とも呼ばれていることを初めて知った。
 日方とは南西の風の意味で、日方風が吹けば川に大水が出ると言われているらしい。
大盛りあんかけ焼きそば 多分今回も日方風が吹いていたのだろう。
 風呂を出た後は皆で町内の食堂「味の龍月」に入る。
 kenjiさんは、ここの大盛りあんかけ焼きそばを食べることを最大の目的にしていたようだ。
 安さとボリュームで地元でも人気店になっているようで、次々とお客さんが入ってくる。
 私達夫婦は二人ともチャーハンを頼んだけれど、普通盛りでも結構な量である。かみさんは当然食べきれなくて、その分まで食べた私もゲップが出そうなくらいに腹一杯になる。
 キャンプ場に戻ってからもしばらくは何も食べる気にはならず、ここは我が家向きの店ではなさそうだ。

 I山さんに電話が入った。
 テントで寝られないK岡さんと、お天気の神様と言われてその気になってしまっているO橋さんから、明日日帰りで川を下りたいとの内容である。
タープの下で 天気が悪そうなので、お天気の神様に「どうか例会に参加してください」とお願いしたのに、3連休で家族サービスがどうのとか、家内安全に集中するため天気のことまで手が回らないとか、とても神様とは思えないような言葉で逃げてしまったO橋さん。
 それが連休最終日になって、天気予報で雨の降らないことを確認してからやって来るのだから、神様の正体見たり!神様は結局、天気予報を頼りに行動していただけなのである。
 私は今日で川下りを十二分に満喫できたので、最終日は漕がずに帰るつもりでいた。
 そこへI山さんとF本さんから執拗な勧誘を受ける。
 そうやって誘えば私の決断が簡単に揺らぐことを見透かしているようで、私自身も簡単にその誘いに乗ってしまうことが最初から分かりきっていて、結局最後には「え?漕がずに帰るなんて言ってたっけ?」てことになり、隣でそのやりとりを聞いていたかみさんを呆れさせることになるのである。
 時々霧雨が降ってくるものの雨にはならず、増水していた歴舟川の水も次第に減りつつあった。
 今日の川下りの疲れでアルコールの回りも早く、皆早めに就寝となる。


霧に包まれるキャンプ場

キャンプ場の朝 川の音を聞きながらぐっすりと眠り、霧に包まれた静かな朝を迎えた。
 テントから這い出ると目の前に川が見えるのはやっぱり良いものである。
川原キャンプはできなかったけれど、気分だけは十分に川原キャンプだった。
 朝食を食べているとお天気の神様が到着した。
 本人は青空を連れてやって来たかっただろうし、私達もそれを期待していたのだけれど、既にその神通力は消え去り、普通の可笑しなおじさんに成り果ててしまったようだ。
 テントで寝れないK岡さんも到着して、連休最終日のヌビナイ川ダウンリバーへ出発したのである。



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