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雨もまた良し道民の森キャンプ

道民の森神居尻林間キャンプ場(6月4日〜5日)

 ようやく天気に恵まれた週末になりそうなので、道民の森神居尻林間キャンプ場に泊まって神居尻山へ登る計画を立ててみた。
 ところが何時ものごとく、週末が近づくにつれてその天気予報も次第に怪しくなってくる。
 それでも土曜日の夜中に一時的に弱い雨が降るだけで終わりそうなので、日曜日に山に登ることにして、キャンプ場のチェックイン時間である午後2時頃に現地に着くようにゆっくりと家を出る。
ノルトエッセン本店 石狩川を渡る辺りからポツポツと雨粒が落ちてきて、当別町まで来る頃には道路上に水たまりができるくらいの本格的な雨になってしまった。
 全く天気予報というものは当てにならない。
 ちょっと遠回りして、当別町金沢にある「ノルトエッセン本店」にパンを買いに立ち寄る。
 途中には「これが個人の家なの?」と思えるような洒落たデザインの住宅が道路沿いポツリポツリと建っている。
 「ふくろふの湯」という温泉まで出来ていた。
 近くに北海道医療大学がある他にはこれと言って特徴のある場所でもないのに、ここは一体何なんだろうと不思議に感じてしまう。
 目指すパン屋も、緑に囲まれた感じの良い建物だったが、倉庫の上にある「パン」の文字看板がちょっと目立ちすぎていた。

レストランアルファの店内 パンを仕入れた後は道民の森へ向かう道道へと戻り、ネットで調べておいた「レストラン アルファ」で昼食にする。
 値段はちょっと高そうだったけれど、たまには贅沢することにして、他に候補に挙がっていた「とりたま食堂こっこ屋」の塩ラーメンは別の機会に食べることにする。
 はれるや農産直営店と言うこの店はなかなか手の込んだ料理を食べさせてくれる。
 ただ、注文するのに時間がかかり、料理が出てくるにも時間がかかり、そして何とも垢抜けしない内装の店内がちょっと気になるところである。
 店を出る頃には雨もようやく小降りになってきていた。

 その後、当別ダムの工事が進んですっかり様子が変わってしまった風景に驚き、草が伸び放題になっている青山農場キャンプ場の様子を見てがっかりし、予定通り午後2時頃に道民の森に到着した。
 雨は止んでいたものの、この天気の影響なのか週末にしては閑散としている。
 受付はかみさんに任せて、私はトイレにまっしぐら。レストランアルファで食べたデザートの、冷たいアイスと温かなケーキの取り合わせによりお腹が刺激されたのかもしれない。
 すっきりしてトイレから出てくるとかみさんがまだ受付中だった。
 ここのキャンプ場に泊まるためには事前予約が必要とのこと。まさか、飛び入り客はお断りということも無いのだろうけれど、受付のおじさんにとってこんな事態は想定外だったようである。
 電話で他に確認したりして宿泊は認めてもらえたけれど、如何にも管理の行き届いた道民の森らしいエピソードだった。
 勿論この日は他に宿泊客は無し。受付では困っていたおじさんも、「他に利用者はいないので2区画を使ってもらっても良いですよ。いや、全体を自由に使って良いですから。」と嬉しいことを言ってくれる。

サイトの様子 私がここに泊まるのは今回が初めて。
 神居尻山に登る計画さえ無ければ、多分今後も利用することは無かったかもしれない。
 広大な敷地の隅の方にテント床だけを無理矢理押し込めた様なキャンプ場との印象が強かったのだ。
 ただし、ここが出来たばかりの頃には、北海道キャンピングガイドでも高い評価を受けていたことがあり、何となく興味は持っていた。
 車止めを開けて車でサイトの近くまで行き、そこからリヤカーに乗せて荷物を運ぶ。
 奥の方のテント床を利用することにしたけれど、リヤカーが有ってもそこまで入ることが出来ないのは困ったものである。
 高低差のある場所にテント床がびっしりと並び、通路というものが無いのである。
 もしもここが満員になったとしたら、他人のテント床の中を歩かなければ何処にも行けないだろう。そんな時には絶対に泊まりたくないキャンプ場である。
ヨーレイカのテントと良い雰囲気の場内 キャンプ場としては失格だけれど、それを除けば環境は申し分ない。ここを貸しきりで利用できるのだから、今日の雨模様の天気に感謝しなければならないだろう。
 もっとも、天気が良かったとしても果たして他に利用者がいたかどうかは怪しいものである。
 場内には大きな切り株も数カ所にあって、それがちょうど良い物置代わりになっている。
 キャンプ場が出来た当初はその切り株も立派な立木だったはずで、その頃はサイトの雰囲気ももっと良いものだったろうと想像できる。

 今回のキャンプでは天気が読めなかったので、基本はシンプルキャンプのつもりが、かみさん用のテントの他に三つのテントとタープまで用意してきていた。
 天気に合わせて、臨機応変に対応できるようにしていたのだ。
サイトの周りは森になっている 結局は、雨も上がっていたし、その後に降っても大したことは無いだろうと考えて、久しぶりのヨーレイカの出番となった。
 ところがテントを張り終えて一息付く間もなく、再び雨が降り始める。
 雨雲レーダーで雨雲が通過したことを確認したはずなのにと思って、もう一度レーダー画面を表示させると既に、次の雨雲がかかりはじめていたのだ。
 その後ろにも次の雨雲が控えている。
 ヨーレイカの狭い前室に二人で籠もりながら、テントの選択が間違いだったことを思い知ることとなった。
 ただ、ブヨのような虫が大量に纏わり付いてくるので、どっちみちテントの中で過ごすことに変わりはない。
 それでも、ヨーレイカの場合3方向がメッシュの窓になっているので、虫を避けるだけならばそれ程閉塞感は無いのだけれど、雨を避けるためにはそれも閉じなければならないのだ。
ミズナラの巨木 雨の止み間にテントの外に出てみると、森の木々は濃い霧に包まれていた。
 雨もしばらくは降りそうもないので、森の中の散策路を歩いてミズナラの巨木を見に行くことにする。
 霧に霞む幻想的な風景の森の中を歩いて行くと、突然の様にそのミズナラは姿を現した。
 太くゴツゴツとした幹をツタが這い上がり、芽吹いて間もないミズナラの若葉と混ざり合って霧の中に消えていく。
 巨木を楽しむのなら、こんな日が一番良いかもしれない。
 そんな姿に見とれていると、再び意地の悪いとしか言いようのない雨が降り始めた。
 慌ててキャンプ場まで戻ってきたが、雷も鳴り始め今度の雨はそう簡単には止みそうもなかった。
 テントの中で米を炊いて、家で作ってきたキーマカレーを温めて夕食にする。簡単メニューにしておいて正解である。
 遠くで聞こえていた雷も次第に近づいてきて、テントの中がピカッと明るくなると同時に、天が裂けるような雷鳴が真上から響いてくる。
 雷が大嫌いで脅えているかみさんの横で、私は「やっぱりタープを張って、その下で稲光を見たかったな〜」とぼやいていた。
 雨脚も更に強まってきて、テントの中にいてもどこからとも無く雨粒が落ちてくる。信頼できるメーカーのテントとそうでないテントとでは、こんな状況で差が出てくるものである。
 テント床の水はけが良いので、中にまで水が流れ込んでこないのが救いだった。

 
道民の森の大ナラ

 そんな状況の中で、車の音と人の話し声がテントの外から聞こえてきた。時間は既に6時を過ぎて、受付のおじさんも既に帰っているはずである。
 かみさんが外の様子をそっと窺うと車が2台、1台は管理人でもう1台がキャンパーらしい。時間を過ぎてもバンガローの方の管理人は夜間も駐在しているはずなので、一応は受付して入ってきたのだろう。
テントの中で夕食の用意 この雨と雷の中でテントを張るのだから、相当な強者キャンパーだと思われる。
 雨が止まなければ、屋根付きの炊事場を占領してそこの炉で焚き火をしようと考えていたのに、ちょっとがっかりである。
 でも、その雷雨が雨雲の最後の置き土産だったらしく、暫くして雨も止んできた。
 外に出て先ほどの強者キャンパーの様子に目をやり、そのテントを見て驚いてしまった。
 ホームセンターでよく売られている大型テント、ポールが足りないのか入り口部分が弛んでいて、下に敷いたブルーシートはテントから大きくはみ出して、もう一度雨が降れば酷いことになりそうだ。
 強者キャンパーどころか、学生風の若者3人組だったのである。
 炊事場で話を聞くと、一番川のオートキャンプ場に泊まるつもりが道路が通行止めだったのでここまでやって来たのだとか。
 一番川のキャンプ場は、そこへの道路が土砂崩れのため通行止めになっていて、現在は月形側からでないと入れないのである。
 せっかくの貸し切りキャンプがふいになってしまったのは残念だったが、向こうから挨拶してくるし、しっかりとした若者達らしいのがまだ良かった。

焚き火の時間 レーダー画面を見ても、雨雲は完全に過ぎ去ったようなので、安心して焚き火を始める。
 家から持ってきた薪を狭いテントの中で濡らさないように大事にしまっておいた甲斐があると言うものだ。
  森の中から聞こえてくるヨタカの鳴き声などを聞きながら焚き火を楽しむ。
 川からの水音や森の木々を揺らす風の音が相まって、森の中から聞こえてくる音に耳をすませる様な状況ではないのがちょっと残念である。
 2011年版の北海道キャンピングガイドに、フェスキャンの影響などで若者キャンパーが増えてきたとの話が載っていた。
 若者3人組もそんなキャンパーなのかもしれない。
 我が家にとってはキャンプ場は利用者が少ない程良いのだけれど、マイナーキャンプ場が次々と閉鎖されていく状況を見ているとそんな事も言ってられない。
 きっかけはともかく、キャンプ人口が増えてくるのはありがたいことである。
 明日の朝も早く目が覚めそうなので9時過ぎには就寝。

若者達のテント 鼻が詰まって夜中の12時過ぎに目が覚める。
 雨のおかげで治まっていた花粉症の症状が再びぶり返してきたようである。
 そこに聞こえてきたギターを弾く音。
 「まさか・・・」
 混雑するキャンプ場を避けるようになってからは、もう久しく出遭っていなかったシチュエーションに唖然としてしまう。
 優しく注意しに行くべきかどうするか。
 悩んだ結果、優しく注意する様な芸当は私には絶対無理なので、今夜は使うことは無いと思っていた耳栓をおもむろに取り出して耳の穴にねじ込んだ。
 それでもギターと歌声は相変わらず聞こえ続けていたけれど、やがて耳栓の効果が現れてきて再び眠りにつくことが出来た。

 次に目が覚めるとテントの中が明るくなっていた。時計を見るとまだ4時前。耳栓を外すと鳥のさえずりが一斉に聞こえてくる。
 そのまま微睡んでいると隣のテントからかみさんも起き出してきた。
 かみさんは、若者達の騒ぎよりも、私が怒って怒鳴りつけに行くことが心配で眠れなかったとのこと。
朝の焚き火 朝の焚き火をしながらその若者達の話題になる。
 多分彼らは自分たちの行動が他人に迷惑をかけているなんて思っていないのだろう。
 そこで「もう夜も遅いのだから静かにした方が良いですよ」と注意すれば、素直に従うはずである。
 それが今の若者気質なのだと思う。
 もしも彼らが予定通り一番川に泊まって同じことをやったとしたら、多分回りのキャンパーから総攻撃をくらっていたことだろう。
 そこで初めてキャンプのルールを知ることになるのが、今回は私が何も言わなかったために、彼らはもう一度何処かのキャンプ場で同じような愚行を繰り返すことになるのかもしれない。
 そう考えるとやっぱり、夜中に起き出してでも彼らを注意する必要があったのである。ただ、優しく注意できないと言うのは私の欠点でもあるのだ。

朝日が射し込む 朝靄が晴れてサイトに朝の光が射し込んできた。
 オホーツクでの流氷キャンプを抜きにしたら、今年のキャンプで初めて浴びる日の光と言っても大げさではないだろう。
 周りの緑が命を吹き込まれたかのように生き生きとして見える。
 雨上がりの朝は本当に美しい。
 逆光で白く霞んで見えている山は今日登る予定の神居尻山だろうか。

 かみさんから「大人げないから止めなさい」と言われながら、まだぐっすりと眠っている若者達のテントの横をわざと大きな音を立てて何度も行き来して荷物を片付け、神居尻山登山へと向かったのである。

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サイトにも光が届く   青空が広がった

美しい朝のキャンプ場


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