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厚真大沼焚き火キャンプ

厚真大沼野営場(5月14日〜15日)

 週末は相変わらずパッとしない天気予報。
 でも、家にじっとしていてもストレスが溜まるだけなので、何処かに出かけたい。そこで思い付いたのが厚真大沼キャンプ場。
 今年は新緑の季節に苫東付近を探索してみようと考えていて、厚真大沼はその時に泊まるつもりで考えていた。新緑の季節にはちょっと早いけれど、その予定を前倒しして厚真大沼で焚き火を楽しむことにしたのである。

 どんよりとした曇り空の札幌を出発。途中ではパラパラと雨粒も落ちてきて、車のフロントガラスを濡らす。かみさんがパンを買いたいというので、ウトナイ湖の道の駅の中に入っているパン屋に寄ってから苫東探索へ。
 勇払原野の中に国家プロジェクトとして大規模工業基地の開発を目指した苫小牧東部開発計画、略して苫東。荒涼とした風景が広がるだけの土地で、以前から我が家に取っては通り過ぎるだけの土地だった。
 日高自動車道ができてからは余計にその傾向が強まっていたけれど、この付近にフットパスがあるとの話しを聞いてから、私の意識も少し変わり始めたのである。
苫東展望台 ネットで調べていると、苫東環境コモンズのサイトなどから苫東の雑木林で行われている取り組みなどを知り、ますます興味が湧いてきた。
 まずは柏原地区へ。
 道路地図だけを頼りに走っていると、なかなか目的地へたどり着けない。
 工業基地の中なので立派な道路が縦横無尽に張り巡らされているけれど、私が目指しているのはそんな道路からは外れた場所のはずなのだ。
 ようやく目印にしていた苫東展望台の案内板を見つけて、雑木林の中の林道へと入っていく。
 展望台へ上る道は閉鎖されていたので、入り口に車を停めて歩いて展望台へと上る。
 空は相変わらず鉛色の雲に覆われ何とも寂しい雰囲気が漂う。
 多分、人工的に土を盛り上げて作った展望台なのだろう。「何でこんなところにこんな展望台が?」そんな唐突な印象を受ける場所である。
 そもそも、ここの存在を知っている人ってどれだけいるのだろうか?
 実は、かみさんは苫東の工業地帯の風景が大嫌いなのである。それなので、今回の「苫東を探索するぞ!」との私の計画にもあまり乗り気ではない様子だった。
 その小山の頂上からは360度の展望が広がり、私としては結構気に入ったけれど、空は曇って冷たい風が吹き付け、かみさんはサッサと降りて行ってしまう。
 それでも、周辺の雑木林の風景は結構気に入ったようだ。
 近くにはフットパスもあるみたいだったが、天気もパッとしないし時間もないので今回はそこを歩くのは見送る。

 
苫東展望台からの眺め

雑木林の中の林道   サッサと降りていくかみさん

つた森山林 次に向かったのはつた森山林。
 こちらは全国植樹祭の会場にもなったことがあるらしく、随分と整備されていて驚いてしまった。
 私の好みとしては整備された公園よりも素のままの雑木林の方が好きなので、時間もあまりなくて奥の方までは入らずに途中から引き返すことにした。
 それにしても苫東には私の知らない場所がまだまだあるようだ。

 厚真大沼に向かう前に、上厚真のAコープで天ぷら油と天ぷら粉を購入。
 実は、雑木林探索中にタランボが大量に生えている場所を見つけて収穫してきたのである。
 これでますます苫東の雑木林が好きになってしまいそうだ。

 そうして厚真大沼に到着。
 もしかしたら誰か居るかもしれないと思ったものの、やっぱりそこには誰もいなかった。
 我が家がシーズンオフばかりに利用していることもあるけれど、未だにここで他のキャンパーの姿を見たことはない。
我が家のサイト 夜中に北西の風が強まりそうなので、何処にテントを張るかちょっと迷ったが、今回は焚き火キャンプを楽しむつもりでいたので、小高くなった林間部分にサイトを決める。
 そこの一番高い場所が眺めも良いのだけれど、その分、風当たりも強そうなのでそこから少し下がった場所にテントを設営した。
 私達がテントを張り終える頃、1台の車が入ってきた。
 「まさかキャンパーじゃ無いだろうな?」と思ってみていると、何とその車は私達がテントを張ろうと考えた小高い丘の頂上へと真っ直ぐに入っていったのだ。
 思わずかみさんと顔を見合わせた。
 何だかライバルが現れたような気がして、横取りされないようにと、周りに落ちている枯れ枝を慌てて拾い集める。
 まあ、そこまでしなくても、林の中に入れば枯れ枝などは無尽蔵と言っても良いくらいに大量に落ちていたし、そもそも隣のキャンパーは焚き火などしなかったのである。
丘の頂上には隣のテントが 天気も良くない今時期の厚真大沼にやって来て、何の躊躇いもなく丘の頂上にサイトを設営するその様子からは相当なマニアックキャンパーだと想像できる。
 ところが、若い男女の二人連れだったそのキャンパーが設営したのはファミリーキャンパーの様な大型テントとスクリーンタープ。
 着ているものもキャンパーと言うよりも、街を歩くような服装である。
 彼らとは結局、挨拶を交わしただけで終わったけれど、私にとっては謎のキャンパーだった。
 設営が終わったら早速焚き火を始める。
 すーっと雨が続いていたので拾い集めた枯れ枝も水を吸ってずしりと重い。でも、家から持参した乾いた薪を上手に使えば問題なく燃やすことができる。
 その間にかみさんはタランボと、場内で採取したアズキナの天ぷらを作る。最近になってようやくアズキナを見分けられるようになったのだが、そうすると結構方々に生えているものなのである。
 現地採取の山菜をそのまま現地で食べるのは本当に美味しい。
 この山菜天ぷらはあくまでもビールのつまみで、今日の夕食メニューはダッチオーブンで作る丸ごとキャベツのベーコン煮。焚き火キャンプではその上に吊しておくだけで出来上がるダッチオーブン料理が一番なのだ。


タランボの天ぷらを揚げる   焚き火にはダッチオーブン料理

桜が咲く場内 場内では桜が咲いているものの、芽吹いている木はほとんど無い。
 空は暗く、冷たい風も吹き抜け、焚き火の炎が無ければとても耐えられない状況である。
 管理人さんらしきおじさんがやってきて、山火事注意と書かれた赤い旗を立て始めた。
 落ち葉が敷き詰められた中で、風にあおられ火の粉を飛ばしながら焚き火をやっている身としては肩身が狭くなる。
 そのおじさんが料金を集めにやって来た。
 それで、このキャンプ場が有料だったことを思い出す。
 14年前に初めてここに泊まった時こそ料金を払ったが、その後はずーっと無料で利用していたのである。
 シーズンオフで炊事場の水も止められている季節の利用だったので、料金を集めに来る人もいなかったのだ。
 今回、キャンプ場に到着して驚いたのが炊事場の水が出ることだった。水など出る訳無いと思い込んでいて、わざわざ20リットルのポリタンクに水を一杯入れてきていたのである。
 料金を払うのも、このキャンプ場がまだ営業してくれている証拠であり、何だか嬉しく感じてしまう。
 最後に「火の始末に注意して下さい」とか言われると思っていると、「雨が続いていたから薪は湿っていないかい?」とわざわざ心配してくれる優しい管理人さんだった。

西日が射し込む 夕食を食べていると雲の隙間から西日が漏れてきてサイトを照らす。
 キャンプ場に到着してからの初めての日射しだった。
 貴重な太陽の光を無駄にはできないので、テントの中からテーブルを出して夕日を眺めながら食事をする。
 その夕日も直ぐにまた雲に隠れてしまい、その後はひたすら焚き火を楽しむ。
 大分丸みを増してきた月が雲の間から姿を現す。
 その月の前を千歳に向かう飛行機が横切っていった。
 今朝は4時に起きて2時間以上のランニング。今夜は8時にはダウンするかと思っていたら、焚き火の炎が心地良く、ワインも美味しく、結局9時半まで夜更かしをしてしまう。


焚き火   月も出た

朝から焚き火 疲れているはずなのに、朝の4時には目が覚める。
 鳥のさえずりと一緒にテントを叩く雨音も聞こえていた。
 しょうがないのでもう一眠りしようとしても、それ以上寝ていられないのは毎度のことである。
 雨音も止んだのでシュラフから抜け出すと、かみさんも隣のテントから起きてきた。本当に朝寝坊のできない夫婦である。
 焚き火台に残っていた灰はまだ少しくすぶっていた。そこにテントの中に大事にしまっておいた乾いた薪を乗せ、再び焚き火を始める。
 小鳥の鳴き声を聞きながら朝のコーヒータイム。
 もう少し賑やかになるかなと期待していたのだけれど、それ程鳥の数は多くはないようだ。
 鳥達の恋の季節でもある春のキャンプは、そのコーラスも楽しみの一つなのである。

雨から避難 再び雨が降り始め、体も濡れるような強さになってきたので、テントの中に避難する。
 焚き火台もテントの近くまで移動させたけれど、炎が見えても暖かさは届いてこない。
 気温は4度。風も強いので耐寒温度は0度以下である。
 その雨もじきに止んで、もう降らないことに決めつけてテントの水滴を拭き取る。
 西の空の低いところに青空が見えているものの、その青空は全然広がってきそうにない。
 北西の風に流される雲が厚真大沼の上空に流れ込んできているのだろう。
 天気が回復するのを待ちきれず、早々に撤収して昨日の苫東探索の続きをすることにした。

ささみちフットパス キャンプ場を後にして少し走ると、突然青空が広がってきた。
 後ろを振り返ると、キャンプ場の上空を覆っている雲はまだそのままである。
 去年の雨男、風女のジンクスはまだ少し残っているのかもしれない。
 今日はささみちフットパスの辺りの様子を見に行く。
 コナラ林の中の林道はとても良い雰囲気だ。
 でも、芽吹きが遅いのでやっぱり殺風景に感じる。
 特にかみさんは、美しいコナラ林にもあまり興味を示さない。
 ささみちフットパスの名前の通り、笹を刈り込んだ道らしきものがコナラ林の中に延びていたが、かみさんがそんな様子なので素通りしてしまう。
 今年は笹が枯れる年に当たっているのか、厚真大沼でもそうだったけれど、ここの笹も見事に茶色に枯れあがっていた。
 ここを歩けばあっという間にダニだらけになってしまいそうだ。

タランボ収穫中 林道を途中から引き返し、昨日見つけたタランボ畑に最後に立ち寄ることにした。
 私達夫婦は、山菜はその日食べる分だけを採れば十分だと思っている。
 昨日もそのタランボ畑を見つける前に、道路際に少しだけタランボが生えていたので「5つも採れれば二人で十分だね」なんて話していたのだ。
 それが、タランボ畑を見つけてからは少し変わってきてしまった。
 昨日こそ適当な袋がなかったので両手で持てる量で我慢したけれど、今日はしっかりとスーパーのレジ袋を用意しているのだ。
 タランボ畑に到着すると、二手に分かれて片っ端からポキリ、ポキリとタランボを収穫して歩く。
 そして再び合流して二人の採った分を合わせると・・・。
 「ちょ、ちょっと採り過ぎちゃったかな」
 二人とも山菜の中でタランボが一番の大好物なものだから、大量のタランボを前にして度を失ってしまったのである。
 それでも、まだ大量に残っているタランボには手を付けず、これで札幌へ戻ることにした。

 天気はパッとしなかったけれど色々な意味で収穫の多かった今回のキャンプ。
 天気予報など気にしないで、とりあえずフィールドに出てみることが大事なのである。


美しい雑木林   美しい公園


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