疲れているはずなのに、朝の4時には目が覚める。
鳥のさえずりと一緒にテントを叩く雨音も聞こえていた。
しょうがないのでもう一眠りしようとしても、それ以上寝ていられないのは毎度のことである。
雨音も止んだのでシュラフから抜け出すと、かみさんも隣のテントから起きてきた。本当に朝寝坊のできない夫婦である。
焚き火台に残っていた灰はまだ少しくすぶっていた。そこにテントの中に大事にしまっておいた乾いた薪を乗せ、再び焚き火を始める。
小鳥の鳴き声を聞きながら朝のコーヒータイム。
もう少し賑やかになるかなと期待していたのだけれど、それ程鳥の数は多くはないようだ。
鳥達の恋の季節でもある春のキャンプは、そのコーラスも楽しみの一つなのである。
再び雨が降り始め、体も濡れるような強さになってきたので、テントの中に避難する。
焚き火台もテントの近くまで移動させたけれど、炎が見えても暖かさは届いてこない。
気温は4度。風も強いので耐寒温度は0度以下である。
その雨もじきに止んで、もう降らないことに決めつけてテントの水滴を拭き取る。
西の空の低いところに青空が見えているものの、その青空は全然広がってきそうにない。
北西の風に流される雲が厚真大沼の上空に流れ込んできているのだろう。
天気が回復するのを待ちきれず、早々に撤収して昨日の苫東探索の続きをすることにした。
キャンプ場を後にして少し走ると、突然青空が広がってきた。
後ろを振り返ると、キャンプ場の上空を覆っている雲はまだそのままである。
去年の雨男、風女のジンクスはまだ少し残っているのかもしれない。
今日はささみちフットパスの辺りの様子を見に行く。
コナラ林の中の林道はとても良い雰囲気だ。
でも、芽吹きが遅いのでやっぱり殺風景に感じる。
特にかみさんは、美しいコナラ林にもあまり興味を示さない。
ささみちフットパスの名前の通り、笹を刈り込んだ道らしきものがコナラ林の中に延びていたが、かみさんがそんな様子なので素通りしてしまう。
今年は笹が枯れる年に当たっているのか、厚真大沼でもそうだったけれど、ここの笹も見事に茶色に枯れあがっていた。
ここを歩けばあっという間にダニだらけになってしまいそうだ。
林道を途中から引き返し、昨日見つけたタランボ畑に最後に立ち寄ることにした。
私達夫婦は、山菜はその日食べる分だけを採れば十分だと思っている。
昨日もそのタランボ畑を見つける前に、道路際に少しだけタランボが生えていたので「5つも採れれば二人で十分だね」なんて話していたのだ。
それが、タランボ畑を見つけてからは少し変わってきてしまった。
昨日こそ適当な袋がなかったので両手で持てる量で我慢したけれど、今日はしっかりとスーパーのレジ袋を用意しているのだ。
タランボ畑に到着すると、二手に分かれて片っ端からポキリ、ポキリとタランボを収穫して歩く。
そして再び合流して二人の採った分を合わせると・・・。
「ちょ、ちょっと採り過ぎちゃったかな」
二人とも山菜の中でタランボが一番の大好物なものだから、大量のタランボを前にして度を失ってしまったのである。
それでも、まだ大量に残っているタランボには手を付けず、これで札幌へ戻ることにした。
天気はパッとしなかったけれど色々な意味で収穫の多かった今回のキャンプ。
天気予報など気にしないで、とりあえずフィールドに出てみることが大事なのである。
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