トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2010年キャンプ日記

落ち葉に埋もれて洞爺湖キャンプ

洞爺湖畔(11月6日〜7日)

 最後にもう一度キャンプへ行って、今年のキャンプを終わりにしよう。
 予定は11月に入って最初の週末。それを逃すと、いくら暖かな秋が続いているとは言っても、キャンプをする気は失せてきてしまう。
 日曜日にはシーズン最後の川下りを尻別川で楽しむ予定もあり、キャンプ場はその近くで探さなければならない。
 そこで、10年ぶりにニセコサヒナに泊まろうと思って電話で問い合わせたところ、当日は貸切になっているとの答えが返ってきた。
 「キャンプ場が貸切?」と驚きながらも、それ程サヒナに拘っていた訳でもないので、他の場所を探す事にする。
去年の支笏湖キャンプ とは言っても、近隣の全てのキャンプ場は10月でクローズしているので、探すのは野宿地となる。
 去年は、殆ど同じ時期に支笏湖で最高のキャンプを楽しんでいたので、そこも候補地として考えてみた。
 しかし、2年連続で同じ事をする気にはならないし、天気は良くなりそうだと分かってはいても、去年以上に恵まれた条件になる事は多分ありえないだろう。
 そこで、当日の天気とか風向きとか、日曜日の集合場所までの距離を考えて、洞爺湖の何時もの場所で最後のキャンプを楽しむ事にする。

 洞爺湖へは高速道路を利用して一気に伊達まで走る。
 最短距離のルートからはかなり遠回りになるけれど、上限千円の高速料金とエクストレイルの燃費を考えればそれも大して気にならない。
 でも、大量に積み込んだ薪やら水が重たかったのか、それともスピードが出過ぎていたのか、燃費がリッター11キロちょっとまでしか伸びなかったのはちょっと残念だった。
 瞬間燃費が表示される車に乗ると、燃費が気になって乱暴な運転をしなくなるのは良い事かもしれない。
 前日まではっきりとした行き先が決まらず、キャンプの買出しもしていなかったので、まずは伊達市内のスーパーで買い物をする。
手打ちそば「翁」 そして少し早めの昼食で、食べログのサイトで調べておいた手打ちそば「翁」へ入る。
 店が国道から少し入った場所にあるので、見つけるまでに少し苦労させられた。
 メニューを見てちょっと驚かされる。一番安いもりそばでも787円で、他は殆どが千円以上もするのだ。
 でも、新そばが食べられるみたいだし、それで美味いソバが食べられるのなら不満はない。
 で、食後の感想は、不味くは無かったけれど、「この値段で食べさせるソバじゃない!」と言うところだった。
 食べログのサイトでは、地図を見ながらその付近の店を評判の高い順に調べられるので最近は重宝しているけれど、どうもこれだけを頼りにするのも問題がありそうだ。
 店を探している途中でも、食べログには載っていない美味しそうな蕎麦屋の前を何度か通り過ぎていたのである。
 その後はかみさんの希望で市内のパン屋「シュガーハウス」で少しパンを仕入れてから、洞爺湖へと向かう。
 伊達にはあまり来る機会が無いので、少し市内観光もしたかったけれど、何せ今日のねぐらが決まらない事には落ち着かないのだ。

紅葉に染まる洞爺湖畔 洞爺湖周辺では紅葉が最後の散り際の美しさを見せている。
 落葉に埋もれた道を湖畔へと降りて行き、そこに張られたテントを見て驚いてしまう。
 自分達以外にこんな場所でキャンプをする人間が居るなんて思いも寄らなかったのだ。
 それに水辺にはジェットスキーまで浮かんでいた。
 「参ったな〜」と思いながらも、私達がテントを張ろうとしているのは、そのもっと奥である。
 そしてそこまでやって来ると、先程のキャンパーは山の陰に隠れて全く気にならない。
 もしもここが駄目なら他の候補地も考えていたけれど、駄目な理由は何も見つからなかった。
 早速テントの設営に取り掛かるが、その前に落葉の掃除の他にそこに落ちている大量のドングリも片付けなければならない。
 このままでテントを張ってしまうと、足裏のつぼを刺激する突起だらけの床の上で寝るようなものである。
 キャンプ道具の中に竹箒も積んできたら良かったと本気で思ってしまう。


我が家のサイト   ドングリだらけ

落ち葉 時間はまだ午後1時過ぎ。
 この後は何処にも出かけずここでのんびりと時間を過ごすことにする。
 とは言っても4時頃には既に暗くなってきてしまう今の季節、かみさんはゆったりと本を読んでいるが、私は焚き火用の薪を集めたりと相変わらず忙しく動き回る。
 森の中は一面、大量の落葉に埋め尽くされている。
 茶褐色のミズナラ、黄色いハリギリ、赤いモミジ、その中に一際大きなホウノキの落葉が点在する。
 頭上を見上げると、そこにも赤や黄色のモミジが空一杯に広がっている。
 そして湖面にも一面の落葉。
 美しい晩秋の紅葉風景が広がる。
波立つ湖面 風が強く湖面には白波まで立っていた。
 湖岸に打ち付ける波の音も結構うるさい。
 ジェットスキーのエンジン音が聞こえてきたが、私達に気を使ってくれているのか、こちらの方にまではやってこない。
 ジェットスキーでも、これだけ波が立っていては楽しくは遊べないだろう。
 もしもべた凪で鏡のような湖面が広がっていたりしたら、カヌーにも乗らなければならず、ますます忙しくなってしまう。
 明日は川でカヌーに乗れるので、今回のキャンプではそれ程カヌーには執着していないのだ。
 その風が頭上から絶えず落葉を降らせ続けているが、背後の森に遮られて、サイトに居るとそれ程気にもならない。


落ち葉に埋もれる森   落ち葉の道

場内の紅葉

 焚き火台をセットしたが、湖岸にちょうど良い焚き火スペースを見つけたので、今日は焚き火台は使わない事にする。
 下地が岩盤で、そこを囲む様に腰掛け用の岩もあり、風向きも湖面の方に吹いているので火の粉が飛んで周りの落葉に引火する危険性も少ない。
焚き火スペース 以前に誰かがそこで焚き火したような跡も残っていて、考える事は皆同じようだ。
 別の場所にも焚き火の跡があったが、それは岩の上で火を燃やしたようで大きな岩が真っ黒な燃えかすに埋もれ、その中に燃え残ったアルミくず等も混ざって酷い有り様だった。
 焚き火は燃えている時だけではなく燃え尽きた跡も美しくなくてはならないのである。
 伊達のスーパーで買い物をした時、かみさんの持っている買い物籠にこそっと放り込んだ安納芋。
 ここでなら美味しい焼き芋が作れそうだ。
 安納芋は種子島を代表するサツマイモで、クリームのような食感と高い糖度で人気があるらしい。
 まずは周りの大量の落葉を燃やし、その灰の中に芋を埋め込む。
 そしてまたその上で落葉を燃やし、それを繰り返す事数回。約40分かけて落ち葉だけで焼き上げた安納芋の焼き芋が完成した。
 少し焼き過ぎたかなと思ったが、アルミホイルを剥がすとちょうど良い焼け具合で、絶品の焼き芋だった。
 落葉で焼くのがちょうど良い火加減になるのかもしれない。
 周りの落葉を綺麗に片付ける事もできた。


落ち葉だけで芋を焼く   焼き芋完成


焚き火 その後はもう火加減など気にする必要も無く、豪快な焚き火を楽しむ事ができる。
 家から持ってきた薪は、小屋の中に最後まで残っていた太い薪ばかりだったが、直火の焚き火ならばこの方が燃やしやすい。
 森の中に落ちているのは細い枯枝ばかり。
 ところが上を見上げると、太い折れ枝が途中の枝に引っ掛かっているのを見つけて、それを強引に引きずり下ろした。
 朽ちかけた古い倒木。
 その幹に飛びつくとちょうど良いところからボキリと音をたてて折れた。
 かみさんは5m以上はありそうな太い葡萄のツルをズルズルと引きずりながら森の中から出てきた。
まるで森の掃除人のような夫婦である。

 ジェットスキーのキャンパーは何時の間にか帰ってしまったようで、今夜のこの湖畔は我が家だけの貸切りである。
 サヒナキャンプ場が貸切りになってくれていたおかげで、こちらも貸切りキャンプを楽しめることになったのである。
ダッチオーブン料理 風は相変わらず強いけれど寒さは全く感じない。
 遠くに見える雪を被った羊蹄山の姿が現実離れしたものに感じるのは、この気温のせいだろう。
 今夜のダッチオーブン料理は私の希望によりチリビーンズ。
 たまに自分で作りたいところだけれど、餅は餅屋に任せるのが良く、私の役目はせいぜい焼き芋を焼くくらいである。
 食事中も食後も焚き火は燃え続ける。
 顔がヒリヒリしてきたのは焚き火焼けだろうか。
 顔を冷やすため焚き火を離れて湖岸に立つと、素晴らしい星空が広がっていた。
 湖岸の岩の上に寝転がって星空を見上げる。
 全く寒さも感じず、流星が多い時期ならば、観察にはちょうど良い場所である。
 残念ながらこの夜は一つの流れ星も見えず、9時過ぎに就寝。


焚き火を楽しむ   焚き火の炎

星空

朝の風景 翌朝は5時に起きてテントの外に出たが、ぼんやりとした霞がかかっていて星は何も見えず。
 もう一度テントに入って、外が微かに明るくなってきてから起き出した。
 テントが全く結露していないのが嬉しかった。
 今日は早めに撤収しなければならず、シーズン最後のキャンプで生乾きのテントを片付ける様な事態は避けたかったのである。
 焚き火の灰をかき混ぜると、その中にはまだ赤い熾き火が残っていた。
 上に乾いた落葉を乗せると直ぐに燃え上がる。
 焚き火台では有り得ない話しで、地面の保温力の大きさを実感させられた。
 前日より風はかなり弱まっていたが、それでもまだ湖は波立っている。
片付け完了 おかげで車に積んだままのカヌーを最後まで下ろさずに済ます事ができた。
 焚き火の前で朝のコーヒーを味わい、食事を済ませる。
 片付けを終える頃、ようやく山陰から朝日が昇ってきた。
 湖は春を思わせるような霞に覆われている。
 まさに小春日和と呼ぶに相応しい今日の日和である。
 川下りの予定さえなければ、ここでもっとゆっくりと時間を過ごして、温泉に入ってから家へと帰ることができる。
 「その方が良い〜!」と駄々をこね続けるかみさんを車に乗せて最高の野営地を後にした。



戻る   ページTOPへ ページトップへ