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静と動、支笏湖キャンプ

美笛キャンプ場(10月2日〜3日)

 カヌークラブの納会で4年ぶりに美笛キャンプ場に泊まることになった。
 4年前に泊まった時は、金曜日から2泊する予定だったのが、10月だと言うのに土曜日になってから次々とキャンパーが押し寄せ、我が家のサイトの周りをテントで埋め尽くされ、とうとう1泊で切り上げて別のキャンプ場に移動することになったのである。
 テントを抱えたまま隣りに立ち尽くすファミリーの視線を感じながらの撤収、フウマは花火の音に驚いてこの時以来焚き火が嫌いになってしまい、美笛にはもう2度と泊まるものかと思ったのである。
ビッグタープ2連結 それで、こんな機会でなければ美笛に来ることはもう無かったかもしれないので、納会の場所が美笛になったのはちょっと嬉しかった。
 でもそれも、S吉さんが金曜日から現地入りして場所を確保してくれるから出来るのであって、そうでなければ美笛でクラブの納会をするのなんて絶対に無理である。
 S吉さんにだけ場所取りを任せておいても申し訳ないので、我が家も早めに家を出てゲート開門時間のの朝7時過ぎには美笛に到着した。
 大人数になるので砂浜の広い方にビッグタープを張っているのかと思ったら、ゲート正面の湖畔に2連結ビッグタープが見えたので、ちょっと意外だった。
 砂浜の方は水深が浅すぎるので、水上運動会をするのならこちらの方が良いとのこと。
 さすが美笛を知り尽くしているS吉さんである。
 それに、次々に入ってくるトレーラーなどが真っ直ぐに砂浜の方に入って行く様子を見ていると、そこでの場所取りなどほぼ不可能だろう。
我が家のテント こちらの方も既に周りにはテントが数張り張られていた。
 クラブの例会キャンプではテントは寝るためだけにしか使わないので、砂浜の僅かなスペースに私とかみさんのテントをチョコンと設営する。
 がらんとしたビッグタープの中で、コンビニで買ってきた朝食を食べる。
 目の前に広がる支笏湖の風景。
 何だかんだ言っても、北海道のキャンプ場の中でここのロケーションに勝る場所は無いだろう。
 鏡の湖面に波が立ち始める前にカヌーに乗って一漕ぎする。
 何度ここでカヌーに乗っても、その度に水の透明度に感動を覚える。
 美笛川が流れ込んでいる場所にカヌーを乗り入れると、あちらこちらの木の枝にルアーがぶら下がっていたので、遠慮なく回収させていただいた。
 サイトへ戻る途中、魚の群れがカヌーの横を通り過ぎていくのが見えた。
 試しにテグスの付いたままのルアーを手で持って流してみる。
 「釣れるわけ無いでしょ」かみさんは馬鹿にするけど、私は「もしかしたら馬鹿な魚だっているかもしれない」と本気である。
 で、結局は馬鹿なのは私だけだったみたいだ。


透明な支笏湖の水   美笛川の流れ込み付近

湖上から見るキャンプ場

テントサイト ポツリポツリと関係者が到着してくる。
 早く来ないと、他のキャンパーが近くにテントを張ってしまうのにと気が気ではない。
 隣りのキャンパーが撤収を始めた。
 その場所は、4年前に泊まった時に我が家がテントを張った場所である。
 他に誰もいない時に敢えてそこを選んだくらいなので、我が家的にはその時のキャンプ場のベストポジションだったはずだ。
 今は湖畔側にテントを張られているので、それほど魅力的なサイトでもないが、そこが空けば直ぐに誰かに占領されてしまうだろう。
 ところが実際にそこの場所が空いても、ゲートから入ってきたキャンパーはその前を素通りして奥へと行ってしまうのである。
 まあ、良く考えてみれば、こんな巨大タープが張られているのを見れば、賢明なキャンパーはそこから少しでも離れようとするのは当然なのだ。

支笏湖ツアーへ 次第に風が強まり支笏湖の湖面にも波が立ち始める。
 納会のイベントの一つとして、ここから奥譚までのツアーが予定されていた。
 片道1時間半。べたなぎの湖面を行くのなら魅力的なツアーだけれど、波の立つ支笏湖でカヌーに乗る気はしない。
 それでも、このツアーだけを目的に参加してきた会員もいるので、コースを短縮して予定通り実行することになった。
 我が家単独ならば絶対に漕ぎ出す気にはならないようなうねりが出ているが、一緒に漕ぐメンバーを見れば全く心配は無さそうだ。
 K島さんはヤマブドウだけを目的に、岸沿いを進んでいる。
 でも、カヤックから手が届くような場所に都合良く実がなっていることは稀である。
 他にマタタビやコクワも沢山実を付けていた。
 私は果実酒を作る習慣も無いのでそれらを収穫しようという気にはならないけれど、こうして自然の恵みを目の前にすると果実酒作りにもチャレンジしてみたくなってくる。

色が変わっている 小さな沢の流れ込みまでやって来た。
 その付近の空気だけがひんやりとしている。
 次第に秋も深まりつつあるが、支笏湖の水温はまだ夏と大して変わりないのかもしれない。
 その付近には上陸して休めるような湖岸があるはずなのに、湖の水位が上がっているので水没してしまっている。
 その沢から先には我が家はあまり行った事が無い。
 湖底がどん深になっているので怖いのである。
 水の透明度が高すぎるので、その急に深くなっている様子がはっきりと分かり、カヌーの下を覗いただけでゾーっとしてしまう。
 下を覗かなくても、湖の色が完全に変わっているのを見れば、嫌でも湖底の様子が分かるのである。
 転落した車が引っ掛かっているポイントまでやって来てツアーは折り返しである。
 かなり前からこの車はあるはずだけれど、何となく気持ちが悪い。
 この辺りでカヌーで行方不明になって、未だに発見されていない人もいたはずだ。
 この車の中に何かを置いておき、夜中に一人でカヌーに乗ってそれを取りに来るような肝試しでもやれば、最高に怖そうである。


転落した車   カヌーの上からヤマブドウを収穫

タヌキノチャブクロ 帰る途中、用足しのために上陸した林の中でびっしりとキノコの生えた倒木を見つけた。
 「もしかして美味しいキノコ?」と思って近づいたら、丸いホコリタケである。
 地面に生えているホコリタケは良く見かけるけど、こんな風に倒木に密生しているのは初めて見た。
 でも、所詮はホコリタケと思って無視していたが、後で調べてみると倒木に生えるタヌキノチャブクロと言うキノコだったようだ。
 幼菌のうちなら食べられるそうで、マッシュルーム代わりに今夜の我が家のメニューであるビーフシチューに入れれば良かったと後悔した。

 サイトに戻り何時もどおりの宴会が始まる。
 今回のスペシャルメニューはS吉さんのダッチビビンバ丼。
 去年の歴舟川原キャンプで大好評を博して以来の登場である。
ダッチビビンバ丼 それは皆の期待を裏切らない美味しさだった。
 そして恒例のバザー。
 今回は、明日のカヌー運動会で合同チームを組むガンネルズ、三笠CC、畜大カヌー部のメンバーも参加してとても賑やかである。
 私は去年のバザーで使いもしないものを沢山買ってしまったため、かみさんから「今年は何も買うな」ときつく言われていたので、欲しいものがあっても手を上げずにじっと我慢していた。
 一方のかみさんは、何に使うかも分からない犬の置物や、使いもしないようなパドルを競り落としてとても満足そうである。
 無料にしても最後まで買い手が付かなかったのが冷風扇である。
 今年の夏の暑さならば確実に役に立っていたはずなのに、今となっては粗大ゴミである。
 結局は会長判断により、この冷風扇は明日の運動会でMVPとなった人に賞品として提供されることとなる。

 翌朝は車の盗難防止装置のけたたましい音で目が覚める。
 しばらく経っても、なかなか鳴り止まない。
 多分、鳴らしてしまった本人はその止め方が分からずにオロオロしているのだろう。
 場所がキャンプ場であるという事を考えれば、まさにパニックである。
 ようやく止まったと思ったら、申し訳無さそうに「すいません」と誤る声が聞こえてきた。
朝食中  時間は4時過ぎで、何時もならばこのまま起きてしまっても良い時間だけれど、飲み過ぎのために起きる気になれず。
 もう一度眠ってから目を覚ますと、今度はテントを叩く雨音と湖の波の音が大きく響いていた。
 それだけで何だかやる気が失せて、全く起きる気になれず。
 しばらくうつらうつらしてから時計を見るともう朝の7時になっていた。
 キャンプでは勿論、家にいる時でさえこんな時間まで寝ていたことは無い。
 びっくりして起きていくと、タープの下には既に全員が揃って朝食中だった。
 「死んでるのかと思った」と笑われたが、たっぷりと寝たおかげで昨夜のアルコールも完全に抜けて、たまの朝寝坊もなかなか良いものである。

暗い朝 雨は次第に上がってきたものの、風は更に強まり湖の沖合いには白波も立ち始めている。
 石狩全域には強風注意報も出ているとの事で、今日のカヌー運動会は完全に中止だろうと誰もが思っていた。
 その中でただ一人、S吉さんだけはやる気満々で、競技種目の一部は中止するけれど運動会は予定通り行うとの事である。
 そんな時に隣りにやって来たご夫婦がインフレータブルカヌーに空気を入れ始めた。
 「えっ?まさかこの風の中で?」
 しばらくそのまま眺めていたけれど、さすがにこれで漕ぎ出したらまずいだろうと言うことになりF本会長が話をしにいった。
 聞くと、そのカヌーを買って今日始めて乗るつもりらしい。
 カヌーをやっている人間ならこの状況で舟を出す危険性は十分に理解できるけれど、未経験者とはこんなものなのだろう。
 同じインフレータブルでも、ダっキーの様なタイプならまだしも、彼らの膨らましていたのはカナディアンのような形状の玩具みたいなものだった。
 岸から離れないところでと言うことで、ご主人が一人でその舟に乗り込む。
 もしもの時を考えると、私達がドライスーツなどに着替えた後に乗って欲しかったけれど、少し乗っただけで直ぐに諦めてくれたようである。

 私達も準備を始める。
 ドライスーツを着てしまえば、波立つ湖面にも何とか漕ぎ出す気になれる。
 これが海水浴場ならば、間違いなく遊泳禁止の赤旗が強風にはためいていることだろう。
 試しに湖に漕ぎ出してみたが、波に負けないようにパドリングするだけで疲れてしまう。
 そしていよいよウィルダネスCCチーム対ガンネルズ・三笠CC・帯広畜大カヌー部合同チームによる水上運動会が始まった。
しゃもじリレー 最初の種目はしゃもじリレー。両手に持ったしゃもじで水をかきながらOC-1を操作する。
 これがなかなか思うように進まない。第2走者としてカヌーに乗り込んだ私は、沖に浮かべたブイ代わりの幼児用プールに向かって一気に漕ぎ進む。
 もう少しでターンだと思って顔を上げると、近くにあるはずの幼児用プールは遥か彼方だった。
 風で押し流されていたのだ。
 そこから向かい風の中をプールに向かって必死に漕ぐが、カヌーは全く進まない。
 一時はギブアップしようかと思ったものの、何とか第3漕者にカヌーを繋ぐことができた。
 第3走者はクラブに入ったばかりのN浜さん。
 今回は見学だけするつもりが、I山さんから中国直輸入の怪しいドライスーツを譲り受けてしまったばかりに、強制的に運動会に出されることに。
 初めて乗るOC-1。いとも簡単にひっくり返ってしまった。
 水を抜くのを手伝ってやろうとしたら、審判部長も務めているS吉さんから「手伝っては駄目です!」との厳しい言葉が飛んできた。
 気の毒なN浜さんは、次々と岸に打ち寄せてくる波に揉みくちゃにされながら、再びカヌーに乗り込んで沖を目指した。
 それでもまだ逆転可能な差のまま、アンカーのI上さんがカヌーに乗り込んだ。
 誰もが「I上さんなら」と期待して見守っていたが、直ぐにそれは諦めに変わってしまった。
 I上さんの乗ったカヌーは漕者の意思とは全く違う方向へ進んでいったのである。


沈するN浜さん   誰も手伝うことができない

レスキューロープ投げ 第2競技はレスキューロープ投げ。
 各チーム5人、沖に浮かんだ幼児用プールに向かって一人4投ずつレスキューロープを投げ、ロープがプールの中に入るか、上にかかったものの数を競う。
 毎年この競技では、カヌークラブ員のレスキュー技術のお粗末さに唖然とするのだが、今回も全く同じだった。
 いくら風が強いとは言え、私を含め両チーム全員が投げ終わっても、誰も的のプールにロープをかけられず、試合はサドンデスへと突入。
 そして何人目かのT津さんがようやく成功して、この種目はウィルダネスの勝利。

沈・再乗艇レース 第3競技は沈・最乗艇レース。
 2人乗りカナディアンで沖まで出て沈、その後チームレスキューでカナディアンを元に戻し、再び2人で乗り込んで戻ってくる。
 これは私の得意とする種目なので、N浜さんと2人で乗り手を引き受ける。
 相手チームからはしげさんとあかりちゃんの父娘ペアが出てきた。
 普段から家族でカナディアンに乗り、沈するのはお手の物と言う強敵である。
 まずは沖に出て沈。カヌーを元に戻すのも上手くいき、最初にN浜さんが乗り込み、ここまではとてもスムーズ。
ほぼ勝利を確信した。
 千歳川のまなぶで練習した成果を見せてやろうと意気込み、何も考えずに手前のガンネルを掴んだのが良くなかった。
 その拍子に体がカヌーの底の方に潜ってしまい、まるでラッコのような体勢になってしまった。
 本当ならば、体を伸ばしてバタ足をしながら反対側のガンネルを掴まなければならないのだ。
 カヌーの中に半分ほど水を入れながらようやく乗り込めた時、しげさん、あかりちゃんチームは既にゴールするところだった。

カヌー綱引き 第4競技は綱引き。
 カナディアンに5人で乗り込み互いに引き合うのだけれど、今年は波が高いので4人に変更した。
 積載量の大きいカナディアンカヌーと言えども、大人5人も乗り込むと喫水は下がり、綱引きを始める前に波で浸水して沈んでしまうのである。
 相手チームは人員不足なのか、あかりちゃんまでメンバーに含めてきたので、この競技はベストメンバーで望んだウィルダネスの勝利。

カヌー騎馬戦 そして最終競技はカヌー騎馬戦。
 OC-2一艇を加えた7艇でチームを組み、ヘルメットの後ろに付けたリボンを互いに取り合う。
 ここで再びN浜さんと組み、OC-2で出場する。
 しばらく睨み合いが続いた後、相手チームのカヤックが一艇、我がチームのメンバーに追いかけられていた。
 それを見た私達も追跡の輪の中に加わる。
 まるで群れから離れてしまった子羊が凶悪な狼の集団に取り囲まれたようなものである。
 哀れな子羊は、帯広畜大から参加しているまだ20代そこそこのうら若き乙女、もなちゃんだった。
 それを取り囲み、ハァ〜ハァ〜と息を弾ませる40代から50代のおやじ達。
 おぞましいシーンである。
 自らの興奮を抑えきれなくなり、最初に乙女に向かって手を伸ばしたのは、あろう事か私の前に乗っているN浜さんだった。
 もなちゃんの髪の毛まで引き抜いてしまいそうな乱暴さで、可愛いリボンをむしり取ったのである。
 このえげつない攻撃により騎馬戦はウィルダネスの勝利。
 今年は、KパパとかM板さんとかLオ君の様な乱暴者達が相手チームにいなかった事が大きかったようだ。

 MVPの賞品は・・・こうして全種目を終え、最後の騎馬戦の結果によりウィルダネスチームの総合優勝となった。
 MVPには、レスキューロープ投げでただ一人成功したT津さんが選ばれた。
 そしてその賞品は、昨日のバザーで最後まで貰い手の無かった冷風扇である。
 レスキューロープ投げで成功しガッツポーズをとるT津さんを見ながら、他のメンバーは皆「これで冷風扇の行き先は決まったな」と考えていたとは、今日から参加していたT津さんは知る由も無かったのである。

 運動会の後は、かみさんとS吉さんの奥さんが2人で作ってくれたうどんを皆で美味しくいただく。
 賑やかだった美笛キャンプ場の場内も、いつの間にかキャンパーの姿も減り、元の静けさを取り戻していた。
 美笛はやっぱりこんな機会に泊まるのが良いのかも知れない。



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