北海道キャンプ場見聞録 我が家のファミリーキャンプ
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気分は縦走ニセコキャンプ

ニセコ野営場(9月4日〜5日)

パーキングエリアで食べるラーメン テレビの天気予報、日曜日は全道的にお日様マークが輝いていた。
 それを見ると家に篭っているわけにもいかず、急遽ニセコキャンプへ出かけることにする。
  午前中のかみさんの用事が済むのを待って、家を出たのは1時過ぎ。
 昼食もまだ食べていなかったので、高速道路の金山パーキングエリアに立ち寄る。
 普段はこんな場所で食事をする気にはならないのだが、かみさんの「味噌ラーメンが美味しいらしいわよ」との出処不明の情報を信じて、食べてみることにしたのだ。
 私はその情報を鵜呑みにして味噌ラーメンを、かみさんはメニューの中から昇龍麺を注文。
 そのお味は、味噌ラーメンは普通、食べるのならば昇龍麺、何だか騙された様な気分でニセコを目指した。

雲のかかるニセコ連峰 国道393号経由で倶知安町までやって来ると、天気は薄曇なもののニセコ連峰の上にだけ雲がかかっていた。
 その光景が去年のニセコキャンプの事を思い出させる。
 そう言えば去年のニセコキャンプも同じような時期だったはずである。
 秋を感じさせる空は、最近の我が家を何となくニセコへと向かわせるのかもしれない。
 ニセコ野営場に到着すると、さすがにその時間では既にテントも沢山張られていて、勿論我が家が狙っていたサイトも既に埋っていた。
 それでも一番奥の去年テントを張ったサイトは空いていたので、迷わずにそこに決める。
 駐車場から距離も遠く、見晴らしも利かず、何の取り得も無いサイトだけれど、周りを気にせずに静かに過ごせる場所なのである。
 天気予報では午後から晴れてくるはずなのに、そんな様子は全く感じられない。
 晴れていれば夕日の沈む時間帯に合わせてイワオヌプリに登り、その山頂からニセコの夕景を楽しむつもりだったが、それは諦めて設営が終わったところでサッサと登り始めることにする。
急な丸太階段 イワオヌプリには最近は冬に登っているけれど、雪の無い時期に登るのは17年前の息子と一緒の初登山以来である。
 石の階段とそれに続く急な丸太階段、そして岩がゴロゴロとした急な登山道と、いきなりの急登で汗が吹き出てくる。
 しばらくなだらかな道が続いた後は、いよいよ山頂へと続く岩登りが始まる。
 7才の息子と一緒にここを登った時は、この登りで息子がばててしまい、山頂到達を諦めてしまった。
 冬に登った時は、急斜面の真ん中でかみさんが倒れこんだまま身動きできずに固まっていたこともあった。
 そんなことを思い出しながら、すんなりとその急な斜面を登りきる。
 そこから先に広がるのは、草木のほとんど生えていないイワオヌプリ独特の荒涼とした火山の風景だ。
 ゾクゾクする様な美しさである。
 火口の跡を大きく回りこみながら山頂を目指す。
 キャンプ場は賑わっていたけれど、この時間になると山の上には他の登山者の姿も無く、そこの景色を独り占めした気分だ。


イワオヌプリを登る   イワオヌプリを登る

 次第にその先に見えてくるニセコアンヌプリは、まるで白い衣をまとっているかの様にその山肌が雲に覆われていた。
 晴れているより雲の多い天気の方が、周りの風景が艶かしく見える。
 湧き上がる雲の上から日が射してきた。
ビールが美味い そんな風景に感動しながら、ザックの中に忍ばせてきた金麦を取り出す。
 一度やってみたかった山頂でのビールタイム。
 リングプルを引くと泡が吹き出す。少し生温くなってはいたけれど、汗をかいた後のビールは何でも美味しい。
 山を降り始めると同時に突然辺りは霧に包まれる。
 下に付いたのは午後5時40分で、約2時間の気軽な登山だった。
 そのまま五色温泉に入ってからサイトに戻る。待ちかねたようにかみさんがクーラーバッグの中からビールを取り出した。
 夕食はレトルトご飯にレトルト牛丼。コンビニで買ってきた焼き鳥をフライバンで温めてビールのつまみに。
 今回は完全に山キャンプ仕様である。
 まだ周りから楽しそうなキャンパーの声が聞こえるうちに早々と就寝。


霧の衣をまとったアンヌプリ

 夜中に目を覚まして時計を見るとまだ午前1時半だった。
 遠くから「キョキョキョ」とヨタカの鳴き声が微かに聞こえてくる。
 でも、それよりも聞こえるのは方々のテントからのいびきの音である。
 人のことを言える身ではないけれど、キャンプの夜に目覚めて他人のいびきが聞こえるのはあまり楽しいことではない。
 我が家はそんな場所のキャンプには慣れていないのである。
満天の星空 なかなか寝付かれず、テントの外を覗いてみたら満天の星空が広がっていた。
 思わずテントから抜け出ると、かみさんも起きていたようで直ぐに外に出てくる。
 星の数が多すぎて、名前の知っている星座を探すのにも一苦労するような星空である。
 淡い光を放つ流れ星まで見えるので、沢山の流れ星を数える。
 久しぶりに見上げる素晴らしい星空だった。
 その後は耳栓をしてシュラフに潜り込んだが、今度は寒さのためになかなか寝付かれない。
 秋になっても相変わらず夏の暑さを引きずるような天候が続いていたが、さすがに山の上ともなると朝晩の冷え込みもきつい。
 テントの結露も酷かった。周囲からは、木々の葉に付いた夜露が雫となって落ちてくる音が、まるで雨音のように聞こえてくる。
 それでも一眠りして、もう一度目覚めた時には既にテントの中も薄っすらと明るくなってきていた。

 おにぎりとカップ味噌汁の朝食を済ませて、山登りの準備を始める。
 今日の予定は北海道夏山ガイドに載っていた「ニトヌプリとニセコ沼巡りコース」を歩くことである。
 歩くといっても、全長は16キロ以上、標準タイムは6時間40分、アップダウンも多く、途中でチセヌプリとニトヌプリにも登ってしまうコースである。
 朝のランニングを続けた成果で、以前よりも体力は付いているけれど、正直言ってこのコースを歩けるかどうかは自信がなかった。
朝日を受けるイワオヌプリ それでも、最高の青空が広がりそうな一日、自分の体力を試すには良い機会で、もしかしたら意外と早く歩き通せるかも等と考えながら午前6時にキャンプ場を出発する。
 ここのキャンプ場はニセコアンヌプリの陰になるので、朝日が昇ってからその光がサイトに射してくるのに時間がかかるが、イワオヌプリの山頂は既に朝日を受けて赤く染まっていた。
 まずは昨日と同じそのイワオヌプリへの登山ルートを登っていく。
 登山届けを見ると、昨日の最後の登山者は私達で、そして今日の最初の登山者も私達である。
 最初の急登では体力を消耗しないように一歩一歩ゆっくりと登る。
 登山道沿いではシラタマノキが可愛らしい実を沢山付け、その中に混じってコケモモが負けじと赤い実を誇示している。
 一回り大きなコバルトブルーの実はツバメオモトだろうか。
 花はリンドウとアキノキリンソウくらいしか咲いていないけれど、秋の植物の表情を見ていると退屈することが無い。
 朝の陽射しが登山道まで届いてきた。汗をかく前に、上に着ていた長袖のシャツを脱いでTシャツ一枚になる。
 目の前に迫るイワオヌプリは、曇り空の下で見た昨日とは全く違った美しさを見せる。


昨日登ったイワオヌプリ   ツバメオモトの実

 途中から、イワオヌプリへの登山道から外れ、大沼と書かれた看板の方向へ進む。
 更にその先でニトヌプリへの分岐がある。
 イワオヌプリの斜面に見えるギザギザの跡は今日の最後にそこを降りてくることになる登山道だろう。
小イワオヌプリの横を過ぎる その分岐を過ぎた途端に人が1人やっと通れるような細い道に変わってしまう。
 笹に完全に覆われたような場所もあり、大沼までのコースを歩く人は少ないのだろう。
 イワオヌプリと小イワオヌプリに挟まれたコルまでやって来ると道もやや歩きやすくなった。
 雲海に覆われた下界が見える。岩がそそり立つ小イワオヌプリの姿も奇観である。
 そこを過ぎると道は、ニトヌプリを正面に見ながら下りに転じて、再び荒れた道へと変わってくる。
 道と言うよりも雨水でえぐられた川底を歩いている雰囲気だ。
 下りきると火山灰に覆われ硫黄鉱山跡である。
 建物の瓦礫も残っているようだが、今日の目的は廃墟探訪じゃないのでここはただ通り過ぎるだけである。
 硫黄川を渡渉する。
ニトヌプリを望む 歩くにしたがって次々と変わる周りの風景が歩く疲れも忘れさせてくれる。
 しかし、その先の大沼までの道は樹木に囲まれて見通しも悪く、全く面白くない。
 おまけに、登山道の上に張り出してきているダケカンバの枝に時々思い切り頭をぶつけるのである。
 つば付きの防止を被って足元に注意しながら歩いていると、頭上に盲点ができてしまうのだ。
 その度に毒づきながら歩いていると、木々の枝越しに大沼の姿が見えるようになってきた。
 ガイドブックのコースタイムは五色温泉から大沼まで1時間20分となっている。
 しかし、既にその時間は大きく過ぎてしまっている。
 なかなか湖畔に下りられる場所がなく、「もしかして大沼はこうして通り過ぎるだけなの?」と心配になってきた頃に、ようやく湖畔に出ることができた。
 そこで時計を見ると7時40分。
 結構足早に歩いていたつもりなので、最初のこの区間は標準時間を軽くクリアできると思っていたのに、今からこれでは先行きが不安になってくる。
 湖岸の岩の上でしばしの休憩。
 湖面に写るイワオヌプリの姿が美しいとも書かれているが、風が強くて湖面は波立ち、しかもこの時間はまだ高度の低い太陽がそこにあって、湖の表面はキラキラと輝いているだけだ。
 このコースを歩く時は、その時間帯によって太陽の光の当たり具合も変わり、それぞれ違った風景を楽しめそうだ。


大沼   大沼とイワオヌプリ

 10分間の休憩の後、再び見通しの利かない林の中をひたすら下り続ける。
 腕時計の高度計の数値がどんどん下がっていき、せっかく苦労して高度を上げたのに、何とも勿体ない気がする。
大谷地から望むチセヌプリ 道が木道に変わったときはホッとした。
 大谷地に出てきたようである。
 ようやく回りの見通しも利くようになり、ススキの茂る草原の向こうにこれから向かうチセヌプリの姿が見えていた。

 大谷地を過ぎて、一旦車道へと合流する。
 ここからは、その先の沼巡りやチセヌプリを省略して、車道を少し歩きニトヌプリを登って五色温泉に戻るルートを取ることもできる。
 体力が続かなければそうしようかとも考えていたが、大沼からここまではガイドブックの時間よりも早く歩いてこられて、まだ体力も十分に残っているのでそのまま道路を横断して神仙沼への遊歩道に入った。
 神仙沼へはレストハウスのある場所から行くのが一般的で距離も短い。
 車道を横断して、神仙沼へ向かう遊歩道に入る。
 神仙沼へはレストハウスの方から歩くのが距離も短く一般的で、こちら側から歩くのは物好きか縦走者くらいだろう。
 大昔に、レストハウスからのルートが有るのも知らずにここを歩いたことがあるが、その時と比べると木道も整備されて随分と歩きやすくなっていた。
神仙沼 見通しが利かないのはそれまでの道と変わらないものの、周囲の森の樹木も大きく歩いていても気持ちが良い。
 大して苦労もせずに、8時45分に神仙沼へ到着。
 美しい風景が広がるが、何度も訪れている場所なのでそれ程感動もしない。一休みしてから直ぐに先を目指した。
 その先の長沼は始めて訪れる場所である。
 9時5分到着。
 まるでチセヌプリに抱かれるように、その麓に水面が広がっている。
 本来ならばその光景に感動するところだが、風に乗って漂ってきたどぶ臭い臭いが感動を消し去ってしまう。
 長沼はダムで堰き止められた人造湖なので、その影響なのだろうか。水際に近づく気にもなれず、写真を撮っただけで先に進むことにした。


神仙沼の湿原からの風景   長沼とチセヌプリ

チシマザサの藪を抜ける そこから先の道が酷かった。
 両側から背丈を越える高さのチシマザサ(根曲がり竹)が覆いかぶさり、それを掻き分けながら歩かなければならない。
 風も完全に遮られ汗が吹き出てくる。私は半袖なので、笹の葉がチクチクと肌に当たってくる。
 足元も悪く、ヨロヨロしながら登っていると、後ろから来た若い女性に追い抜かれた。
 岩の上をピョンピョンと伝い歩きながら、あっと言う間に姿が見えなくなってしまう。
 こちらは既に長距離を歩いてきたとは言え、あまりの違いにガッカリさせられる。
 ようやくシャクナゲ岳への分岐まで出てきて、そこからは道幅も広くなった。
 吹きぬける風が心地良い。
シャクナゲ岳と絹雲 真っ青な空には絹雲が不思議な模様を描いていた。
 いよいよチセヌプリへの急な登りが始まる。
 ところが登り始めて直ぐに、足が異様に重たく感じてくる。まるで鉛でも入っているみたいだ。
 何時もの、気が付いた時は燃料タンク空っぽ状態である。
 直ぐにウィダーインゼリーでエネルギーを補給したけれど、CMの様に10秒で体力が回復するわけは無い。
 今回の行程の中では一番辛い登りだった。
 その辛さを和らげてくれるのは、シャクナゲ岳やビーナスの丘の美しい姿である。
 先ほどの絹雲がいつの間にか空一杯に広がってきていた。
 遥か上のほうにかみさんの姿が見える。
 ヨロヨロになりながら、10時20分チセヌプリ山頂に到着。
 途中で追い越された女性はこれから下山するところだった。
 彼女は神仙沼からの往復で「今日は散歩のつもりで登ってきました」とのこと。
 「いや〜、私達は五色温泉から歩いてきたので〜」と、敢えてその部分を強調してみたりする。
雲が広がってきた 当初の予定ではここら辺でコーヒータイムにするつもりだったけれど、風が強くてゆっくり休む場所も無く、体も冷えてきたので直ぐに先に進むことにする。
 南の空から次第に雲が広がってきて、アンヌプリの山頂は既に雲に隠れてきていた。
 ハイマツの茂みの中を抜けて山の東側へ移動する。
 冬に登った時はこの茂みも雪に埋もれていたので、広々とした山頂のイメージがあったのだが、夏の様子は全然違っていた。
 ハイマツの森を抜けると一気に視界が開け、正面にイワオヌプリ、眼下にはつづら折れのニセコパノラマラインが見下ろせる。
 森の中にぽかりと開いた水面は、お湯を湛える小湯沼だ。
 眺めは良いけれど、そこからの下りが大変だった。
眺めは良いけれど 人の背丈ほどもありそうな大岩が、まるで滝組の石の様に積み重なる中を降りなければならないのである。
 先週に登った手稲山でも岩場の上り下りで苦労したが、ここは手稲山の比ではない。
 特に背の小さいかみさんは大変そうである。
 登る時は私の方が大きく遅れたけれど、下りではかみさんが遅れる番だった。
 そう言う私も、岩の上で足を滑らせて転んでしまい、そのまま危うく岩の上から転がり落ちるところだった。
 疲れが溜ってくると、そんなアクシデントにも注意しなければならない。
 ニセコパノラマラインの駐車場に11時15分に降りてきた。
 バイクや車が次々と走り抜けていく隣りで一休み。
 飲み水も残り少なくなり、途中でコーヒーを入れたり昼食を食べる時のために用意してあった水も、飲み水として使うことにした。
 優雅なコーヒータイムを楽しむような余裕は既に無く、汗で失った水分を補給するために水をがぶ飲みするだけである。


岩だらけの下りに悪戦苦闘   駐車場から振り返るチセヌプリ

 車道を渡っていよいよ最後のニトヌプリへと登り始める。
 体力に不安はあるけれど、この山を越えなければ五色温泉まで戻れないのである。
 勿論、車道を歩いても五色温泉まで行けるけれど、思いっきり遠回りすることになるのだ。
ニトヌプリ登頂 この登りも、チセヌプリの下りと同じような道だった。
 まるでロッククライミングをしている気分である。
 ところがチセヌプリでヨレヨレになっていた私なのに、意外とこの登りが苦にならない。
 ここの岩場は両手を使いながら登らなければならないので、結果的に足への負担が軽減されるのである。
 岩場を過ぎて単調な登りになると、足がずしりと重たくなった気がするのだ。
 そうしてとうとう12時、ニトヌプリの山頂に到着。
 雲が広がっていた空も、いつの間にかもとの青空に戻っていた。
 その青空を背景に、昨日登ったイワオヌプリの姿がくっきりと浮かび上がっている。


ニトヌプリから望むイワオヌプリとアンヌプリ

 ここまで来たら、後は五色温泉まで一気に下るだけだ。
 その道も、傾斜こそきついものの、これまでの岩だらけの登山道と違ってかなり歩きやすい。
小イワオヌプリ山麓の花畑 小イワオヌプリの麓まで降りてくると、そこは美しい花畑となっていた。
 今はリンドウくらいしか咲いていないけれど、辺り一面をイソツツジが埋め尽くし、花の季節には素晴らしい風景を楽しめそうだ。
 その先に最後の登り返しが待っていて、残っていた体力をそこで全て吸い取られた感じである。
 ようやく今朝登ってきた道に合流。昨日はそこを駆け下りるような速さで歩いていたのに、今日はトボトボと歩く力しか残っていなかった。
 そうして13時20分にキャンプ場に戻ってきた。
 そのままテントを撤収し、隣りのニセコ山の家の温泉に浸かる。
 登山後の温泉がこんなに気持ちの良いものだとは初めて知った気がする。

 風呂から上がり、ロビーにあった山の地図を見ていると、宿の人が話しかけてきた。
 「秋にこの沼巡りコースを歩くと素晴らしいですよ、6時間かかりますけどね」
 「・・・・・。」
 毎朝5キロのランニングを続けていても、山登りの厳しさが解消されることはないと思い知らされた今回のキャンプだった。

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