北海道キャンプ場見聞録 我が家のファミリーキャンプ
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花を訪ねてアポイキャンプ

アポイ山麓ファミリーパークキャンプ場(5月21日〜22日)

 一度は登ってみたかったアポイ岳。
 金曜日から休暇を取って、万全の体制でキャンプに臨む。
 日高地方の天気は、残念ながら曇り気味の空模様になりそうだけれど、今回の日高キャンプでは花をメインに見て回るつもりなので、あまり気にはならない。
 それよりも気になるのは、GWはオホーツクから道東、先週はオホーツク、そして今回は襟裳岬に近い様似までと遠出が続いているため、来月のガソリンと高速料金の請求額である。
 高速道路でもそれを考えて、スピード控えめのエコドライブを心がける。
判官館森林公園のオオバナノエンレイソウ 日高路に入ると同時に濃い霧に包まれる。
 その霧の中で最初に訪れたのが判官館森林公園。
 今の季節にここを通る時には絶対外せない花のポイントである。
 ちょうどオオバナノエンレイソウが満開で、公園内の林の中は全てこの花に埋め尽くされていると言っても大げさではない。
 霧に霞む森の風景に、真っ白なオオバナノエンレイソウの花がとても良く似合っている。
 その白い花の所々にピンクのシミが付いている。上を見上げるとエゾヤマザクラがまだ満開に近い花を咲かせていた。
 そんな風景を楽しみながら、トドマツの森の中にふと目をやると、その向こうからエゾシカがこちらの様子を窺っていた。


霧に霞む森と満開のオオバナノエンレイソウ   桜もまだ満開の花を付けている

花に囲まれたテントサイト キャンプ場まで歩いてくると、そこも一面の花畑である。
 残念ながらカタクリの花はもう終わりを迎えていた。
 終わりと言うよりも、昨日まで日高地方で降っていた強い雨に打たれて、花が痛んでしまったのかもしれない。
 それでも見事な花の風景である。
 これだけの風景を目の前にしてテントを張らずに去ってしまうなんて、何だかとても勿体無い気がする。
 でも、10年前にも満開のエゾエンゴサクやカタクリに囲まれた素晴らしいキャンプをここで楽しんでいたので、今回は予定通り、私にとって未知の世界であるアポイ岳に向かうことにした。
 それにしても、土のテント床には今年になってから利用された形跡が見当たらない。
 ここを去るにあたって、明日の土曜日は誰かキャンパーが来るのか、そんなことが心配になってきてしまうのである。

親子のサラブレッド 予定以上に判官館森林公園に時間を取られた後は、サラブレッド銀座と呼ばれる道路を通って、静内の二十軒道路桜並木へと向かう。
 今の季節はサラブレッドも出産の時期なのだろうか。
 何処の牧場でも仲睦まじい親子の姿を見られる。

 今回のキャンプでは、二十軒道路桜並木で桜を見るのも目的の一つだった。
 花の咲いた二十軒道路はまだ見たことが無く、それが今回は桜の開花が全道的に遅れていたことから、ギリギリで花の姿を見られるかもしれない。
 それが、先週末に満開となり、その後も暖かい日が続いていたものだから、今日まできが気ではなかった。
 判官館や途中の山でも満開の桜が見られ、これは期待ができるかなとワクワクしていた分、失望も大きかった。
 見事な葉桜が遥か彼方まで続いているだけだったのである。
葉桜の二十軒道路桜並木 「何で〜」、周りの山の桜と比較すると、散るのが少し早すぎる。
 数本だけ、まだ花を咲かせている桜を見つけ、かろうじて桜並木に見える写真を撮ってから、再び様似を目指す。
 昼は浦河町の和食海鮮処「金水」で食べることに意見がまとまり車を走らせていたところ、その途中のドライブイン「あさり浜」の前を通りかかったところで、かみさんが「ここも良いな〜」と言うものだから直ぐに車を止めた。
 かみさんは以前からここの「磯ラーメン」の看板が気になっていたとのことである。
 エビ天丼のボリュームも評判らしい。
 かみさんは予定通り磯ラーメンを注文。
 私は折角だからと天丼を頼んでみた。私は普段から天ぷらを食べ過ぎると胸焼けするものだから、ボリューム満点のエビ天丼はさすがに食べる気はしない。
ドライブイン「あさり浜」 食後の感想は、かみさんは「しょっぱいからもう食べない」。 私は「うぇ〜っぷ、やっぱり天丼頼まなけりゃ良かった」。
 歳を取ると、塩分や脂分の多い食べ物は苦手になってくるのである。

 途中の三石では、三石羊羹の老舗である八木菓子舗に初めて立ち寄った。
 今日は時間に余裕があるので、普段は通り過ぎてしまうような場所にも寄り道できる。
 後で分かったのだけれど、ここで売られているのが三石昆布羊羹だと思っていたら、昆布羊羹は道路を挟んだ向い側の大野菓子舗で売られていて、三石羊羹とは全くの別物だったのである。

観音山公園のシラネアオイ 様似町について、まずは工藤商店で「たこまんま」を購入し、その後は観音山公園へ。
 ここも花の名所である。
 オオバナノエンレイソウの群落の中でひっそりと咲いているシラネアオイの淡い青色の花が何とも清楚で清々しい。
 山を下って次は郷土資料館へ入る。
 前回様似町を訪れた時はちょうど休館日で口惜しい思いをしたけれど、今回は開館していてくれた。
 小さな建物であまり期待はしていなかったが、それにしても歴史のある町にしてはちょっと寂しい展示内容である。
 ただ、現在のように護岸され、家が立ち並ぶ前の様似の海岸風景の写真を見られたのは収穫だった。
 その風景は多分、1799年に様似を訪れた高田屋嘉兵衛が見たものと大きく変わりは無いはずなのである。
 エンルム岬にも登ってみたかったが、次第に青空が広がってきたものの、まだ山の方は霧に覆われ、眺めも期待できそうに無いので、エンルム岬は止めて幌満峡まで足を延ばしてみることにする。
 そこがどんな場所なのか、予備知識は全く無し。
幌満峡のオオサクラソウ群落 道路地図でその名前を見つけただけで、今を逃せが二度と訪れることは無いかもしれない。
 とは思いつつ、何となく予感はしていた。山に囲まれた峡谷のような地形、私の経験上そんな場所では必ず素晴らしい風景に出合えるはずなのだ。
 そしてその予感どおり、幌満峡は私好みのパラダイスだった。
 増水気味の幌満川は、カヌーが趣味の人間には、見ているだけでドキドキしてくるようなホワイトウォーターとなり、峡谷のあちらこちらからその川に向かって滝が流れ落ちている。
 そんな滝をもっと近くで見ようと森の中に分け入ると、足元にはオオサクラソウの大群落。
 熊に食い散らかされたのだろうか。鹿の四肢が散らばっている。
幌満川の流れ 完全に白骨化した動物の頭骨も転がっていた。
 山の中は苔生した岩に覆われ、そこにはナキウサギも生息しているらしい。
 岩の上に建てられた祠、古い発電所の建物、急な石段を登っていった先には稲荷神社もある。
 岩盤が剥きだしの山肌は、アポイを代表するかんらん岩の岩体だ。
 まるで遊園地の様なフィールドである。
 ただし、そこを通る道はガードレールも無い崖の上の道。
 よそ見をしていたら崖下に転落してしまうし、真っ直ぐに前を向いていても、頭の上からは岩が転がり落ちてきそうだ。
 そんな道を、ここへ来る途中にとうとう走行距離20万キロを超えてしまったポンコツオデッセイで走るのは、とても不安が大きい。
 かみさんが助手席で「怖いからもう嫌だ〜」と何度もうるさく騒ぐものだから、その先にある幌満ダムまで行くのは諦めて、途中から引き返すことにした。
 遊園地とは言っても、女・子供を連れてくるような遊園地では無さそうである。


川に落ちる滝   しゃれこうべ

 そうして午後4時半、ようやく今日の宿泊地であるアポイ山麓ファミリーパークキャンプ場に到着。
 ここは、キャンプを始めたばかりの頃から一度は泊まってみたいと思っていたキャンプ場だが、なかなかその機会が訪れないまま今に至ってしまった。
 14年前に様似には泊まっているのだけれど、その時利用したのは様似ダムキャンプ場。アポイに泊まらず、わざわざそんな辺鄙なキャンプ場を利用しているのだから、泊まる機会も無いはずである。
 キャンプ場の駐車場に入っても、管理棟らしき建物が見当たらない。
 駐車場を出て更に道を進んでいくと、その奥にアポイ岳ビジターセンターがあり、公園管理事務所はその隣であった。
霧の中でテント設営 最初に入った駐車場の他に川沿いにも駐車場があり、その前に芝生のサイトが広がっていた。
 ここのキャンプ場は、大きく三つのサイトに分かれているが、迷うことなくその川沿いのサイトに決めた。
 その中の何処にテントを張るかも、ためらうこと無く、川に一番近くてテーブルの置かれている場所に決まる。
 初めて訪れるキャンプ場で、こんなにあっさりとテントを張る場所が決まるのも、我が家にとっては珍しいことだ。
 一時は青空が広がっていたのに、私達がキャンプ場に到着すると同時に、また濃い霧に覆われてきた。
 全く人の姿が無く、しかも、霧に包まれ薄暗いキャンプ場。
 「さあ、何処にテントを張ろうか」なんて浮き浮きした気分はまるで無く、目の前に見えた一番快適そうな場所にサッサと荷物を降ろしてしまったと言うのが、直ぐにサイトが決まった本当の理由なのである。

霧が晴れると空には月が浮かんでいた テントを張ってしまえば、次第に濃さを増してくる霧にたいしても、風情さえ感じる心の余裕が生まれてくる。
 そんな霧の風景を楽しみながらビールを飲んだ後は、直ぐに夕食の支度をする。
 そのうちに霧も晴れて、ようやくキャンプ場周辺の様子が分かってきた。
 遠くに少しだけ見えている山の頂がアポイ岳なのだろうか。
 アポイ山荘の建物がキャンプ場を見下ろすかのように、後ろの丘の上に聳えている。
空には月も浮かんでいた。
 自宅から薪を持ってきてはいたけれど、サイトの芝生の状態を見ると焚き火台を使ったとしても、そこで焚き火をするのは気が引ける。
 その代わりにバーベキューコーナーが用意されていたので、そこの一角を使わせてもらうことにした。
 夕食を終えると場内には再び濃い霧が広がってきたので、直ぐに焚き火を始める。
 隣の林の中から枯枝はいくらでも集められるけれど、多分今朝まで降っていたと思われる雨のため、どれもずしりと重たく、その芯までたっぷりと水を含んでいるようだ。
 試しに焚き火の中に入れてみたけれど、簡単には燃えそうも無い。
豪快な焚き火を楽しむ 明日の登山に備えて今日は早く寝なければならないので、持参してきた薪を一気に燃やすことにする。
 更に濃さを増した霧は、ほとんど霧雨の状態へと変わってきたが、この焚き火の周りだけは霧も蒸発してしまって乾いた空間となっている。
 こうなれば、どんなに湿気った枯れ枝でも燃やすことができる。
 力強い炎をあげる焚き火の上に、拾い集めた枯れ枝を全て積み上げる。
 まさかここでこんなに盛大に焚き火を楽しめるとは思ってもいなかった。
 やっぱりキャンプの夜には焚き火は欠かせないのである。
 9時前には就寝。


霧の中のしっとりとした焚き火   更に濃さを増す霧

 鳥の囀りで目が覚める.
 腕時計を見ると3時半、それにしてはテントの中がまだ薄暗い。今の季節、この時間ならばもっと明るくなっていても良いはずだ。
 昨日に引き続いて霧が出ている証拠である。天気が良ければ飛び起きるところだけれど、これではそんな気にもならない。
 鳥の囀りを聞きながらシュラフの中でまどろんでいると、隣りのテントからかみさんの起き出す気配がしたので、私も潔くシュラフから抜け出した。
霧の中を出発 霧の中で朝食を済ませ、今回のキャンプのメインイベントであるアポイ岳登山に出発。
 まだ6時前なのに、登山口の駐車場には結構な台数の車が停まっていた。
 入山届けを見ると、単独の登山者が2名、先に登っているようだ。
 駐車場の車は車中泊の人達なのだろうか。
 途中の小さな沢で、そこに備え付けられているブラシを使って靴の泥を落とす。
 外来植物を持ち込まないための措置である。
 そこから本格的な登りが始まる。
 幌満峡と同じく、ここでもオオサクラソウが群落を作って花を咲かせていた。
 しかし、それも最初だけで、その後はあまり姿を見かけなくなり、タチツボスミレがポツリポツリと花を咲かせている程度だ。
 森の中には倒木も目立つ。
霧の中を登る 最初は6年前の台風18号による倒木だろうと思っていたが、伐採された切り口がまだ新しいものや、根上がりで倒れてもまだ生きているマツも多い。
 今年の4月には強風の吹いた日が何日かあったけれど、どうやらその強風で新たに倒れた木々のようだ。
 最近は、何十年もその地で生き抜いてきた樹木をあっさりと倒してしまうような風の吹くことが多くなり、これは明らかにこのところの気象の変化を示す証拠である。
 土の上に浮き上がった木の根が、登山道を覆い尽くすように広がっている。
 その周りのトドマツの林。熊野古道を歩いた時の風景が頭の中に蘇る。その時と違っているのはトドマツとスギの違いだけである。
 登山口には、直ぐ近くの冬島小学校のグランドで熊が目撃されたとの情報が掲示されていた。
 登山道の所々に熊避けのための鐘が吊るされている。最初にそれを見つけた時、熊が怖いので思いっきりそれを鳴らしたところ、もの凄く大きな音がして、こちらの方が驚いてしまった。
 なかなか心強い施設である。

雲海の上に出る 5合目の非難小屋に到着。
 森を抜けてここからは一気に展望が開けるはずなのだが、相変わらず霧に包まれたままで、何も見えない。
 ここから馬の背まで更に急な上り坂となり、まるで岩をよじ登っているような感じだ。
 6合目辺りからようやく青空が広がってきたが、それは上空だけの話しで、下界はまだ霧に包まれたままだ。
 そうして馬の背に到着。
 雲海の中に、まるで島の様に山々が浮かんでいる姿。写真では良く見る光景だが、あまり山に登ることのない私達なので、実物を見たことは殆ど無い。
 晴れているよりも、こんな雲海を見られた方が、私達には嬉しく感じるのである。
 雲海の風景を楽しみながら馬の背を歩き、山頂へと続く最後の急な山道を一気に登り、8時10分に山頂到着。
 ダケカンバに囲まれて眺めがあまり良くないので、吉田山の方に少し下ってみるとちょうど良い岩場があり、そこから日高山脈の山々が一望できた。
 日高の山には馴染みも少なく、どれが何山なのかさっぽり見当が付かないものの、その眺めだけは素直に感動できる。


山頂からの風景

 帰りは、幌満のお花畑経由で下山することにした。
 しかし、お花畑と言ってもアポイキンバイやアポイアズマギクが所々で咲いているだけで、花畑のイメージは全く無い。
 登ってくる途中でもそれは同じだった。
 これが花の名山とも呼ばれるアポイ岳なのだろうか。道東の西別岳に登った時の方が、もっと花を楽しめた。
 幌満の花畑から馬の背までトラバースしながら戻るのだが、このルートは変化も少なく歩いていてもあまり楽しくない。
サマニユキワリ ようやく馬の背まで戻ってくると、下界から山の斜面を駆け登ってきた霧が、再び周りに広がり始めた。
 花の写真を撮りながら、ゆっくりと下っていく。
 注意して見ていると、これから花を咲かせそうな植物も沢山あるみたいだ。
 花の見ごろとなる5月下旬から6月にかけて、アポイ岳が本当の姿を見せてくれるのかもしれない。
 途中ですれ違った男性から「ヒダカソウは咲いていましたか?」と聞かれた。
 「まだ早いみたいですよ。でも、私達、ヒダカソウって知らないんです。」
 ヒダカソウはアポイ岳固有の花で、盗掘によりその数を減らしていると聞く。
 このヒダカソウを見るために、アポイ岳に登る人も沢山いるようだが、私達夫婦は貴重種だとかにあまり興味は無い。
 一つ一つの花の美しさと、花の咲く風景が好きなだけである。
 だから、盗掘までしてその花を持ち帰ろうとする人間の気持ちが全く理解できない。


ヒダカイワザクラ   アポイキンバイ

 天気はパッとしなくても、続々と登山者が登ってくる。これからの週末はもっと人が多くなるのだろう。
 こんな状況を予想していたので、アポイ岳に登ろうと考えた時に、金曜日に休暇を取って、土曜日の早朝から登る予定を立てたのである。
お帰りなさい 下山してきて、キャンプ場もさぞ賑わっているだろうと思ったら、相変わらずそこには私達のテントがポツンと張られているだけだった。
 空はまだ曇っていたものの、霧で濡れたテントはほとんど乾いていた。
 昨日は全く気が付かなかったけれど、テントの周りでは沢山のタンポポが花を咲かせている。
 アポイ山荘で汗を流し、食事を済ませ、そしてゆっくりとテントを撤収。

 今回も充実して楽しい二日間だった。
 今年のこれまでのキャンプは、どれも充実した内容ばかりだけれど、キャンプそのものをじっくりと楽しんだものは一つも無い。
 最近の我が家にとって、キャンプは目的ではなく手段に変わってきているような気がする。
 それでもやっぱり、テントを張る場所への拘りだけは、今までと何も変わっていないのである。

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