10月の最後の週に熊野古道の旅に出かけ、今年はもうキャンプ納めをするチャンスも無いだろうと諦めていたら、その一週間後の週末に小春日和が訪れそうな天気予報になっている。
でも、そんなことを言い出したとしても、どうせかみさんから「何言っているの!遊んでばかりで、庭の片付けとか何もやってないでしょ!」と一蹴されるのが落ちなので、何処か近くで日帰り登山にでも行くつもりで家に帰ってきた。
すると夕食の席でかみさんが「カヌー納めしたかったな〜、焚き火納めもやってないな〜、庭の片付けも一人でやったしな〜」と独り言を言い始めたのである。私の心の中など何も気にしないで、自分のことだけ考えているかみさんに不満はあったけれど、キャンプへ行かない理由は何も無かった。
後は支笏湖にするか、洞爺湖にするか。厚真大沼の案も出てはきたけれど、やっぱりカヌーは捨てがたい。
そこで支笏湖経由で洞爺湖へ向かうことにして、支笏湖が気に入ればそのままテントを張ることにして、札幌を出発した。
そうして最初に訪れた支笏湖で、着くと同時に、何の迷いも無く二人で車からカヌーを下ろし始める。
霞みに包まれ静かな湖面が広がる支笏湖、文句の付けようのないキャンプコンディションだったのである
車を停めたところからテントを張ろうと考えている場所までは、約400m。カヌーの中にキャンプ道具を積み込んで、そこまで運ぶことにした。
荷物は少ないものの、焚き火もメインなので、大量の薪にダッチオーブンと、前後に浮力体を付けたままのカヌーでは一度に積みきることができず、2往復して全ての道具を運んだ。
途中に釣り人がいたので、その邪魔をしないように大きく沖に出てから回りこむ。
歩いて運ぶにはうんざりする様な距離だけれど、カヌーで漕げば何の苦労も無い。
遠くの景色を真っ白に変えてしまうような霞が立ちこめる支笏湖、そのべたなぎの湖面をカヌーで進むのは最高に気持ちがいい。
キャンプでのこんな楽しい荷物運びは、これまでにも経験したことが無いだろう。
そうしてテントの設営。
誰もいない湖岸、最高のロケーション、何処にテントを張ろうが最高のキャンプは約束されたようなものである。
それでも何となく一番端っこにテントを張ってしまうのは、我が家の悲しい習性だろう。
周辺の浜は砂ではなくて小砂利なので、そのまま寝そべっても汚れないのがまた気持ち良い。
設営を終えると、早速かみさんは一人で湖に漕ぎ出す。
白く霞んだ湖にポツンと浮かぶカヌー。何とも幻想的な風景である。
遠くには三角の帆が見えている。最初はヨットかなと思っていたが、どうやらカナディアンカヌーに帆を立ててセーリングしているようである。
今日の風景には、その白い三角帆がとても溶け込んで見える。
支笏湖の水は飽くまでも透明で、これから冬にかけて更にその透明度を増していくかのようだ。
かみさんの乗ったカヌーが岸に近づいていくると、その影がくっきりと湖底に映っていた。
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