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中秋の名月洞爺湖カヌーキャンプ

曙公園(10月3日〜4日)

山の中の紅葉 10月に入って最初の週末は、カヌークラブの納会で洞爺湖の曙公園キャンプ場に泊まる。
 札幌の家を出た頃には青空が広がっていたものの、次第に怪しい雲が前方に湧き上がってきた。
 週末の天気予報をみていても、晴れるのか天気が悪くなるのか、全然見当が付かない。ようは、変わりやすい天気ということなのだろう。
 時折パラパラと雨が落ちてくる中を、今回も赤井川から倶知安に抜ける新しい道を走る。
 赤井川村周辺では紅葉もかなり進んできていたけれど、峠を越えた倶知安側はまだそれほど色付いていない。
 これは、赤井川の方で赤く見えていたのは殆どがヤマブドウとかウルシだったので、そんな樹木の種類も関係しているのかもしれない。
 羊蹄山周辺も変わりやすい空模様で、突然雨が降り出したと思ったら、その先の道路は完全に乾いているといった風である。
 真狩村のパン屋さんBoulangerie JIN(ブーランジェリー ジン)に寄り道する。
 家を出る前に、周辺の食事処を検索していて偶然知った店で、かなり評判が良いパン屋らしい。
ブーランジェリー ジン でも、店の場所が分かりづらいところなのに、そこに行こうと決めていた訳でも無くて、地図も何も用意していなかった。
 パソコンの画面でチラッと見ただけの地図を頭の中に思い浮かべながら、何とかそこに到着。
 岩見沢の「ミルトコッペ」と同じく、こんな辺鄙な場所に店があって経営が成り立つのだろうかと不思議に思えるようなところである。
 私達のように飛び込みでやって来る客は、それほど期待していないのだろう。既に昼近くだったせいもあり、並べられているパンはごく僅かしか残っていなかった。
 かみさんがその半分くらいを買い占めて店を出て来ると、若い女性のグループが「やっと見つけたわ!」と言いながら車から降りてくるところだった。
 彼女達がガッカリする様子を頭に思い浮かべながら洞爺湖を目指した。

 洞爺湖に近づくにしたがって青空も広がり始めた。
 湖畔へ降りる坂道の途中で、道路際のススキを採っていく事にする。今日は中秋の名月で、かみさんはお月見団子まで用意してきたらしい。
 殆どが穂が開いてしまっている中で、ちょうど良い具合のススキが見つかった。
 昼食の方は、良い店が見つからなかったので、洞爺湖畔の「水の駅」で讃岐うどんを食べることにする。水の駅片隅の飲食コーナーで売られているのだけれど、本場直送の麺を使っていて、これがなかなか美味しいのである。


団体専用サイト
 

 腹を満たして、キャンプ場に到着。何時ものように、サダ吉会長が2連結のビッグタープを張って、スペースを用意してくれている。
 湖畔キャンプ場の一番端、団体利用時だけ開放される場所を、今回はクラブで借りているのだ。
コブハクチョウのお出迎え トイレや炊事場からはかなり離れてしまうけれど、他のキャンパーに気兼ねする必要が無く、それにカヌーで遊ぶにはこの付近が一番舟を出しやすい。
 それに水際に一番近くテントを張れるのもここなので、団体専用サイトとは言いながら、なかなか快適な場所である。

 最初に出迎えてくれたのは、この付近に住み着いているコブハクチョウだった。
 餌をねだっているのか、妙に馴れ馴れしい。それでいて、こちらが近づこうとすると口を開けて威嚇してくる。
 あまり可愛い奴とは言いがたい。
 それに、会長の話では、この付近にウンチをまき散らしているらしい。
 それはとても鳥のウンチとは思えない代物で、大きくて太くて、知らない人はそれを犬、それも大型犬のウンチだと信じ込んでしまうだろう。

私とかみさんのテント 晴れてはいるけれど、風が強い。
 後ろの山側から吹いてくる風なので、湖面には細波が立っている程度だが、多分湖の対岸では、海のような波が打ち寄せていることだろう。
 風が少し弱まった頃合を見計らって、自分達のテントを設営する。
 例会キャンプでは、殆どの時間はタープの下ですごし、テントは寝るときにしか使わないのだけれど、朝起きてテントの入り口を開けた時の、目に飛び込んでくる景色を想像しながらテントを張る場所を選んだ。
 もちろん、ハクチョウのウンチが回りに落ちていないことも条件の一つである。

 今日の天候のせいなのか、一般のサイトの方にもテントはまばらである。
 ここのキャンプ場にはクラブの例会でしか泊まったことが無いけれど、キャンパーの少なくなる今の季節に、我が家だけで眺めのいい場所にポツンとテントを張ってみたいものだ。
ススキを飾って タープのポールを利用してススキを飾る。
 これは良かったけれど、かみさんがスーパーで買ってきたお月見団子セットは、ちょっと無粋だった。
 やっぱり団子は、あくまでも団子でなければならないのである。
 ポツリポツリと人も集まってくるが、この風では誰もカヌーには乗ろうとしない。
 もっとも、風が吹いてなかったとしても、ガツガツとカヌーに乗りたがるような人はクラブの中にはあまりいないので、状況に変わりは無かったと思われる。
 いつの間にか東の空には、真ん丸いお月様が浮かんでいた。
 風も弱まって、今夜は良い月夜になりそうだ。


お月見団子   満月が昇ってきた

 自然とそのまま、宴会モードへと入っていく。
 M板さんは、自分が持ち込んだ一升瓶に入った怪しいお酒の横に、皆が持ってきたワインをずらりと並べて、とっても嬉しそうだ。
 サダ吉会長は、歴舟川の川原キャンプで評判の良かったダッチオーブンでの炊き込みご飯作りに取り組んでいる。
 今夜のメインメニューは、会長が帯広から仕入れてきた「有楽町」のジンギスカン12キロである。
 ジンギスカンが全く食べられないかみさんは、自分用にダッチオーブンでたまねぎのワイン煮と、白米を炊いてイクラ丼を作る。
 何時ものキャンプの時と同じく、私の役割はダッチオーブンを吊るす焚き火の準備と、ご飯炊きである。
 ジンギスカンを焼き始める。
 2連結のビッグタープの中は、あちらこちらから立ち上る湯気と煙で真っ白になる。
 何時ものクラブの例会と同じく、今回も一体何人集まるのか全然予想がつかなかった。
 都合の付く人だけが気ままに参加できるようにと、敢えて出席の確認はしていないのだが、こうやって全員の食事の用意をする時だけは困りものである。
 今のところ、集まった人数は大人だけで19名ほど。
 会長が「肉が余りそうだ」と心配しているので、私も頑張って、食べ慣れないジンギスカンに一生懸命箸をのばす。
 でも、既にアルコールもかなり回っていて、あまり戦力にはなれなかったようだ。


ダッチ混ぜご飯   ジンギスカンパーティー

 肉の消化は到底無理と判断した会長は、次の行事のバザーの準備を始める。
 今回もK原さんが、大量の品物を出品してくれていた。その中で自分の中で目玉になりそうなのは、カナディアンカヌーなどを運ぶ時に便利な2輪のカート、普通に買えば1万円以上はする品物である。
オークション開始 それに目を付けている人は他にもいるようなので、負けないようにと直ぐ近くに座り込んだ。
 当然のことながら、出品されるものはカヌーやアウトドア関係のものが多くなる。
 でも、そういったものは殆どの人が既に持っていたりするので、値段もつり上らない。
 カナディアン用の木製パドルが100円とか、カーボンシャフトのダブルパドルが千円とか、欲しい人にとっては信じられないような値段で次々と競り落とされていく。
 新入会員のT葉さんも、私の出品したダンロップのテントマットを始めとして、一人用のアウトドアクッキングセットやアウトドア用毛布などを超お買い得値段で手に入れて、マットや毛布は早速この日から役に立ったようである。
 私も、かみさんからもらった百円玉と5百円玉を握りしめて、虎視眈々と競り落とす機会を狙っているのだけれど、無駄なものを買わないようにとかみさんが後ろの方から厳しい視線を送ってくるので、なかなか動くことができない。
カヌーカート落札 しかし、3段伸縮のタープ用アルミポールが出てきた時は、とうとう我慢できずに4百円で買ってしまった。
 1本だけではしょうがないので、もう1本も4百円で買ってしまう。
 後でかみさんから、「そんな物を買って、何か使い道があるの!」と責められたが、確かにそのポールが必要になりそうな場面は全然思い付かないのである。
 そんなかみさんも、焚き火用の五徳を2百円で競り落としていたが、私からすると「えっ?何でそんな物が欲しいの?」って感じである。
 そして、最後に出てきたカヌー用カート、激しい競り合いの結果、3千3百円で落札。
 これにしても、当面は使う機会も無さそうである。

エビ採り大会 湖ではしげさんがエビ採りを始めた。
 一すくいで何十匹もエビが採れると興奮している。
 子供達も、ズボンが濡れるのも気にしないで、エビ採りに夢中である。
 採ったエビは、M板さんが直ぐに油で炒めてくれた。
 自分達が採った、さっきまでピンピンと元気に跳ねていたエビが、活きたままフライパンの中に入れられるのを見ても、誰も「可哀相〜」って言わないのは、自然界の食物連鎖をしっかりと理解しているのか、子供独特の残酷さなのか、生き物の生死に鈍感な最近の子供の特徴なのか、微妙なところではある。

中秋の名月が洞爺湖の湖面を輝かせる。
そんな湖にカヌーで漕ぎ出した。
灯りをともす必要も無いほどに、湖の上は明るい。
先程までのタープの下の賑やかさがプツリと途絶え、完全な静寂に包まれる。聞こえるのは、パドルが水をかく音だけである。
中島の上空で、満月の明るさに負けないくらいに、一際明るく輝いている星は木星だろうか。
湖畔のビッグタープから漏れ出てくる明かりは、何処かの屋台村を想像させる。
その明かりに釣られて屋台村に戻り、飲み直すことにした。


月明かりに輝く湖

 12時前にテントに入る。
 真夜中に、テントを叩く雨音で目を覚まさせられた。
美しい朝焼け 明け方、テントの中が明るくなってきても、まだ雨音は続いている。
 こんな天気では早起きしてもしょうがないと、再びシュラフの中にもぐり込んでいると、かみさんがテントの外から「カメラは何処に置いたの?」と声をかけてきた。
  「何を写すんだ?」
 「朝焼けがすごい綺麗!」
 ガバッと飛び起きてテントの入り口を開けると、東の空の僅かな雲のすき間から漏れ出した朝の光が、雲や湖を真っ赤に染めている光景が飛び込んできた。
 服を着るのももどかしく、テントから飛び出してカメラを取りに行く。
 防水デジカメは車の中にしまっておいたのに、大事な一眼レフカメラはタープ中の端っこに無造作に置いたままだった。
 もしも雨がそこに落ちていたら一発でご臨終になっていたところである。
朝日が気持ち良い ホッと胸を撫で下ろしながら朝焼けの風景を写していると、僅かに開いた雲のすき間は直ぐに閉じてしまった。

 皆で朝食を食べているとタープの中に光が射してきた。
 外に出てみると、いつの間にか上空には青空が広がっていた。
 タープの横のブルーシートを取り払うと、穏やかな朝の陽射しがタープの中全体を照らしだす。
 最高のカヌー運動会日和になってきた。

 そうして始まった運動会。
 今年はガンネルズのメンバーをお誘いしてのクラブ対抗戦である。
 人数が少ないので、我がクラブから3名ほど助っ人を送り込む。相手チームの中の強敵M板さんは、今日は赤岩青巌峡を下るとかで帰ってしまったし、勝敗は始まる前から決まったようなものである。

スローロープ投げ しかしその予想は、最初の競技のスローロープ投げで早くも狂ってしまった。
 我がクラブのロープ投げの下手くそさは、数年前のレスキュー講習会でしっかりと認識していたけれど、その後も全く上達していなかったようである。
 それに比べて、ガンネルズのレベルの高さは際立っていた。余程、普段の例会で沈脱者をレスキューする機会が多いのだろう。
 圧倒的な差でこの競技、ガンネルズチームの勝利。
 ちなみに、助っ人として送り込んでいたメンバーも、全く役には立っていなかったのである。

じゃもじリレー 2種目めはしゃもじリレー。
 パドル代わりに2本のしゃもじでカヌーを漕ぐ競技。
 今年は会長が大きめのしゃもじを用意してくれていたので、例年よりも推進力はアップしたけれど、なかなか真っ直ぐ進まないことに変わりは無い。
 これもガンネルズの勝利。

チームレスキュー競争 次はチームレスキュー競争。
 人数に余裕があるので、ここから私はカメラマンに回ることにする。
 3人乗りのカナディアンで沖に出てから沈をして、そこに再乗挺して戻ってくるレース。
 ガンネルズはしげさん親子3人が乗り込んで出場してきた。
 再乗艇するまではウィルダネスチームのリードだったのが、カナディアンカヌーのレースには全て出場しているようなしげさんのパワフルな漕ぎによって最後に逆転。
 またしてもガンネルズの勝利。

カヌーポロ 3連敗で後の無いところまで追い詰められたが、4種目めはカヌーポロ。
 ウィルダネスが一番得意とする競技なので、負けるはずは無い。
 ボールの支配率は8割ほどで、会長とK原さんが乗るゴールキーパー役のカナディアンは何もすることがなく退屈そうだ。
 一番盛り上がるのがこのカヌーポロで、皆の笑顔がとっても楽しそうである。
 ガンネルズのあかりちゃんが、大人に囲まれて頑張っている。
 そんなあかりちゃんにボールが渡った時、分別のある大人なら、少し手加減して見守ってやるところだけれど、分別の無い人間ばかりのウィルダネスは、相手が子供なのもお構いなしに、鬼のような形相でそのボールを奪い取ってしまうのである。

カヌー綱引き カヌーポロで一矢報いて、次はカヌー綱引き。
 1艘のカナディアンに5人で乗り込むので、体重の重い人ばかりが集まると、それだけで沈んでしまいそうになる。
 そこで、か細いきらerさんが真ん中に乗り込んだけれど、結局はバランスを崩して全員が水の中へ。
 I山さんのパドリングにより、頭から水を浴びせられ続け、最後に水中に没してしまったきらerさんが一番気の毒だった。
 2戦目はメンバーを入れ替えて、私とかみさんも出場。
 かみさんの底力を知っている私は、見かけによらずこのチームは強いだろうと思っていたが、やっぱりそのまま2連勝して、カヌー綱引きはウィルダネスの勝利となった。

カヌー綱引き   カヌー綱引きで沈

カヌー騎馬戦 勝負は最終戦のカヌー騎馬戦までもつれ込み、これに勝った方が優勝となる。
 私はこれもカメラマン役に回ることができてホッとした。何せ、一昨年にガンネルズとカヌー騎馬戦を戦った時は、人間魚雷が飛んできたりして命の危険さえ感じたのである。
 今年はそんな危険人物であるreo君やM板さんもいないので、ウィルダネスの楽勝で終わるだろう。
 と思って見ていたら、途中から信じられないような光景が目の前に繰り広げられていた。
 周りを囲まれて必死に逃げ回っているのはウィルダネスのメンバーばかり。
 ガンネルズのkudopapaにライフジャケットの胸ぐらを掴れ、そのまま水の中に叩き込まれるI山さん。
 2年前に対戦した時、kudopapaが「こんな競技が一番楽しいよな〜、ウッハッハ」と笑っていたのを思い出した。
 I山さんも悪い相手に捕まってしまったものである。
 川を下るのさえままならないような新入会員のT葉さんも、りゅうげんさんの手によってあっさりと沈められてしまった。
 終わってみればカヌー騎馬戦もガンネルズの勝ちで、会長がこの日のために用意した優勝カップはガンネルズに奪われてしまった。

撤収 競技開始時は素晴らしい青空だったのに、運動会の終了とともに雨がパラパラと落ちてきた。
 タープの下で皆でうどんを食べて、賞品を山分けする。
 クラブのメンバーを紅白に分けて戦うより、他のクラブとの対抗戦の方が確実に盛り上がって楽しい。
 それに、私としては、ガンネルズが参戦してくれたおかげで人数にも余裕ができて、以前のように無理やり全試合出場させられることも無く、疲れることなく運動会を終われたのラッキーだった。
 雨の降る中でタープを片付け、お別れの挨拶をして解散。
 札幌まで戻ってくると、また青空が広がってきた。
 変わりやすい天気の秋の週末、今年は後何回キャンプへ行けるだろうか。

写真提供、サダ吉さん・しげさん・りゅうげんさん



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