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天使の微笑み歴舟川キャンプ

カムイコタン公園キャンプ場(9月21日〜23日)

 5連休の後半は、歴舟川の川下りに合わせてカムイコタンのキャンプ場に泊まる。
 釧路川を下った後は、そのまま十勝の実家に寄って1泊。
十勝野フロマージュ 母親から、おにぎりやらお菓子、果物、栄養ドリンク、ビールなどをどっさりと持たされて、歴舟川へと向かった。
 途中、チーズを買うために中札内村の「十勝野フロマージュ」に立ち寄る。
 小さな店の中が客で溢れかえっているのには驚かされた。近くの道の駅も満車である。
 昨日は釧路から十勝へ来るのに、遅い車の大行列に悩まされたりと、さすがにこの5連休は観光地は何処も大混雑となっているようだ。
 今日は裏道ばかりを走っているので、チーズ屋を除けば混雑とは無縁のままでカムイコタンのキャンプ場までたどり着くことができた。
 ここのキャンプ場は最近になって開設期間が短くなり、夏の間しかオープンしていない。でも、道路沿いのトイレと水飲み台が使えるので、その裏の芝生広場を利用してキャンプは可能である。
 それなのに、到着したときにはその芝生広場にびっしりとテントが立ち並び、子供達の喚声も響き渡っていた。
混雑するキャンプ場 知らずにキャンプに来た人ならビックリするだろうけれど、道内の三つのカヌークラブの人達が既にここに泊まっていたのは知っていたので、私はその様子を見てもうろたえる事はなかった。

 前日から歴舟入りしていたサダ吉会長が、またビッグタープを張ってくれていた。今回はビッグタープも2連結となっている。
 釧路川で別れたばかりの人達と、またここで「こんにちは」と挨拶するのも、何だか不思議な気分である。
 まずは寝る場所のテントを設営する。
 朝は素晴らしい十勝晴れとなっていたのに、例によって我が家の到着にあわせるように上空には雲が広がっていた。
 軽く食事を済ませた後、この日の予定の歴舟川上流部のダウンリバーへと向かった。

太陽の暈 ダウンリバーの後半になって、再び青空が広がってきたけれど、太陽の周りに暈がかかっているのが気がかりなところである。
 天気予報でも翌日はパッとしない予報となっているのだ。
 トイレや炊事場が使えないのにも係わらず、川原のサイトには数組のキャンパーがテントを張っていた。
 ちょっと不便だけれど、連休期間中にこれだけゆったりとキャンプができるのだから
 上流部を下る時はキャンプ場がゴール地点となるので便利である。
 でも、どっちみち上流に置いたままの車を回収してこなければならないので、ゴールして直ぐにビールを飲む恩恵にあずかれないのがちょっと残念だ。
 午後4時過ぎににカムイコタンの川原に到着したけれど、ビッグタープの下でビールにあり付ける頃には既に5時を過ぎていた。
 今の季節は5時にはもう暗くなってくるので、夕食の準備などこの時間帯は皆忙しそうである。
 そんな中で一人でまったりとビールを飲んでいるわけにもいかず、焚き火用の薪集めをすることにした。
 サダ吉会長が乾いた薪を準備してくれてはいるけれど、キャンプ3泊目ともなるとさすがにその量も心許無くなってきているのだ。
忙しそうな皆さん 夏を過ぎた後なのに、林の中に入れば直ぐに十分な量の枯枝を確保できた。
 こんな場所に入ってまで焚き火用の薪を得ようとするキャンパーはほとんどいないのだろう。
 寒い時期にはビッグタープの周りをシートで4面張りすることもあり、そんな時に、拾ってきたような枯枝をタープの中で燃やすと濛々と煙が立ち上って大顰蹙をかうところである。
 今日は比較的暖かく、ブルーシートを片面に張っただけなので、少し湿ったような枯枝を燃やしても迷惑はかからない。

 例年の歴舟川例会と比べると、今年は参加者はやや少なめである。
 さすがに5連休ともなると、家族を捨てて一人で遊びに出ることも難しくなるのだろう。
 そのためか、我がクラブのI上さんを含め、家族連れでやってくる人達が何時もより目立っている。
 その点、我が家の場合は、子供は手を離れ夫婦二人で行動しているので、誰にも気兼ねせずに遊んでいられるので、恵まれた立場なのかもしれない。

賑やかなタープの下 某クラブの人達が遊びに来て、タープの下が急に賑やかになる。
 某クラブは宴会系のメンバーが多く、最近はそれに学生メンバーも多く加わり、元気一杯のクラブである。
 その某クラブの間では、私の入っているクラブのキャンプがとてもお洒落であると言われているらしい。
 私としては、他にお洒落なキャンパーを沢山知っているので、それから比べたら何処がお洒落なんだろう?と不思議に感じてしまう。
 確かに我がクラブと某クラブではキャンプスタイルに大きな違いがある。
 某クラブでは、タープの中央にテーブルが置かれて、その上に大量の料理とお酒が並べられ、その周りをぐるりと囲んで延々と宴会が繰り広げられる。
 一方我がクラブの場合は、タープの中央に置かれるのは焚き火台で、その周りをぐるりと囲んで座って、その間に小テーブルやマイ七輪が並べられ、大きなテーブルは基本的に後ろ側に置かれる。
 でも、基本的な一番大きな違いは、各自の酒量というところかもしれない。
 まあ、クラブ毎に色々な違いがある方が、交流していても楽しいのである。


某クラブの宴会風景   我がクラブのお洒落?な宴会風景
 

 翌朝は、昨日の太陽にかかった暈が暗示していたように、灰色の雲が低く垂れ込めるパッとしない天気だった。
 ここの芝生広場にはカヌー関係者だけが泊まっているのかと思ったら、よりによって我がクラブのタープの直ぐ隣りに一般キャンパーがテントを張っていた。
 砂金取りに来ているおじさん数人のグループらしい。夜遅くまで騒いで迷惑をかけたかなと気になってしまう。
 その中の一人にトイレで出合ったので「砂金は取れますか?」と話しかけてみた。
カヌーを積んだ車が一杯の駐車場 「いや〜、労多くして何とかだよ。カヌーの人かい?今年は水が少ないせいか、下ってくる舟をあまり見かけないね〜」
 毎年この時期に歴舟で砂金掘りを楽しんでいるようで、もしかしたらこれまでにも川を下っている時に何度か会っていたのかもしれない。
 結局は、同じような仲間だったのである。

 今日の集合時間は9時、その後にヌビナイ川を下る予定である。
 他のクラブは全て今日で撤収し、そのまま自宅へ帰って家族サービスに努めるか、家族のことなど省みずに次の川へと向かうようだ。
 私達は、灰色の雲から細かな雨粒が落ちてくる中を、ヌビナイ川へと出発した。

ヌビナイ川を下り終えて スタートした時間が早かったので余裕を持ってキャンプ場まで下ってこられるだろうと思っていたら、水の少ない岩だらけの川に苦労させられ、キャンプ場前の川原に到着した時は昨日と同じような時間になっていた。
 それから車を回収して、大樹町まで風呂に入りに行き、食料品を買出しして、キャンプ場に戻ってきた時の時間は午後5時半で、既に辺りは薄暗くなっている。
 まずはビールを1本開けたけれど、川下りの疲れに風呂に入った心地良さが加わり、アルコール分が一気に体の隅々まで行き渡るような気がした。
 2本目のビールが空になる頃には、椅子から立ち上がる力も無くなってしまう。
 さすがに4日連続でカヌーを漕いでいると、疲労も相当に溜まっているようだ。
 そしてこの日は、8時半に早くも沈没してしまった。

 5連休最終日は、以前から真っ直ぐに札幌まで帰る予定でいた。
 タープの方からは早起きメンバーの話し声が聞こえてくるけれど、起きる気力も湧いてこなくてもう一眠りする。
 結局、6時前に起き出したのだけれど、昨日から9時間以上寝ていたことになる。
 快晴の朝テントから這い出すと、ちょうど朝霧が流れていくところで、その流れ去った後には最高の青空が広がっていた。
 気持ちの良い朝で、体力も完全回復。
 すっきりとした表情で皆に朝の挨拶をすると、I山さんから「ヒデさんも今日下りませんか?」と声をかけられる。
 「じ、冗談じゃないです!」
 確か昨夜、数名のメンバーで最終日も川を下るような話しをしていたのを思い出す。しかも、下る川は歴舟中の川だと言う。
 クラブの例会では一度も下ったことが無い川で、しかも水が少ない時に下るのはかなり大変な川だと聞いたことがある。
 歴舟川の最上流と同じく、一部の物好きなカヤッカーが下るような川のイメージしかない。
 それなのにI山さんは、にっこりと笑いながら「ねえ、下りましょうよ〜」としつこく誘ってくるのだ。
 私はI山さんのこの笑顔を「悪魔の微笑み」と呼ぶことにした。
 とっても優しい笑顔なのだけれど、それに騙されてはいけない。
朝の光が木々を照らす 昨日も、I山さんの会社の若いカップルが、川下り3回目にしてヌビナイ川に連れてこられ、散々な目に遭いながら下っていたけれど、多分彼らもI山さんの「悪魔の微笑み」に引っ掛かった口なのだろう。
 そのまま近くに座っていたら、私も騙されてしまいそうなので、カメラを持ってその場から逃げ出すことにする。
 朝日を受けて歴舟川の川原の石がキラキラと光って見えている。
 それに誘われて川原のサイトまで下りてみた。
 そこには今日も数組のテントが張られていて、朝日を浴びて気持ちの良い朝の時間を楽しんでいるようだ。
 こんな天気の良い日に、ただ札幌まで車を運転するだけなんて、随分とつまらない話である。体調も、普段の日よりも良いような気がする。
 「そもそも、何で最終日は何もしないで帰ると決めたんだろう?」
 知らず知らずのうちに、私の心の中には隙ができつつあった。


朝の川原サイト

朝の一時 タープに戻り、かみさんに「このまま帰るのって勿体無い気がするよね」と話しかけた。
 「えっ?何言ってるの!しっかりしなさい!」
 悪魔の微笑みに心を奪われつつある私の異変に、かみさんは気が付いたようだ。
 「だ、だって・・・、良い天気だよ・・・」
 その時、誰かが声を発した。「で、今日はいったい誰が下るの?下る人は手を挙げて!」
 「は〜い!」
 体が勝手に反応して、気が付いた時には私の手は高々と差し上げられていたのである。
 その時、I山さんの笑顔の向こうには、顔には勝ち誇ったような「悪魔の微笑み」が覗いていた。

 かみさんも渋々と私に付き合うことになり、結局、最終日に歴舟中の川を下るのは私達夫婦を含めて6人5艇となる。
 この中で5日間全て漕ぎ通すのは、サダ吉会長とF本さん、それに私達夫婦の4人しかいない。
天使が微笑む中の川 考えてみたら、これまでの3連休の歴舟川遠征では、最終日にも川を下る数少ないメンバーの中に常に我が家も混ざっていたような気がする。
 下り終えてから車の回収をしなくて良いように、スタート地点まで行った後に、他のメンバーがキャンプ場まで車を下げてくれる。
 そうして初めて下った歴舟中の川。
 眩しいくらいの陽射しが川底の小石をキラキラと輝かせ、その上を進むカヌーはまるで空中に浮かんでいるようだ。
 美しい渓谷の風景に、気持ちの良い瀬。
 「ね、きて良かったでしょ!」とニッコリ笑ったI山さんの笑顔が、まるで天使の微笑みのように見えたのである。

 キャンプ場に戻ってくるとサダ吉会長の奥さんが残っているだけで、賑やかだった場内もがらんとしている。
 お昼には、残った人間だけでこじんまりと肉を焼いた。
 タープの下はポカポカと暖かくて気持ちが良い。
 終わり良ければ全て良し。
 こうして5連休のキャンプが終了したのである。



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