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大波の中の屈斜路湖キャンプ

和琴半島湖畔キャンプ場(9月19日〜20日)

 9月の5連休、秋の行楽シーズンと重なってキャンプ場は何処も混雑しそうである。
 我が家は連休期間中、カヌークラブの例会に参加することにしていた。
 せっかくの5連休なのだから、自分だけで計画を練ったキャンプの旅に出たい気もするけれど、各地の混雑を考えれば、こんな時は例会キャンプで皆と一緒に行動している方が良いのかも知れない。
美幌峠展望台からの屈斜路湖 例会最初の宿泊地は屈斜路湖の和琴半島湖畔キャンプ場で、6年ぶりの利用になる。好きなキャンプ場だけれど、札幌からも遠くて、なかなか泊まる機会がないのだ。
 午後1時までに集合となっていたので、屈斜路湖まで一番短時間で走れそうな、旭川紋別自動車道丸瀬布経由のルートを選択。
 しかし、さすがに天気の良い5連休の初日とあって、何処の道路も車が多く、快適には走れない。それでも、札幌を7時に出発して、屈斜路湖を一望できる美幌峠には11時40頃に到着。
 まだ時間に余裕もあったので、久しぶりにここの展望台の一番上まで登ってみる。
 そこから、波もなく穏やかな屈斜路湖の様子を見下ろしていると、一刻も早くそこにカヌーを浮かべたくなり、駆け下りるようにして駐車場まで戻ってきた。

 そして12時過ぎにキャンプ場に到着。
 キャンプ場入り口の真正面に、既にサダ吉会長がビッグタープを張ってくれていた。
入り口に張られたビッグタープ 場内もまだ意外なほどに空いている。でも、これからどんどんとテントが増えてくるのは明らかである。
 何時もなら、例会キャンプの時でも自分のテントを張る場所だけはこだわってしまうのだけれど、今回はそんな事は気にしないで、ビッグタープから少し間を空けた湖畔にテントを設営した。
 一般のキャンパーなら、このタープを見ただけで警戒して、なるべく遠くに逃げてくれるはずである。
 他のメンバーもポツリポツリと到着する。
 老夫婦が手作り風のバーベキューコンロを持ってタープの中に入ってきた。誰だろう?と思ったら、弟子屈に済んでいるクラブのN野さんのご両親だそうだ。
 そのバーベキューコンロは、一斗缶よりも二回りほど小さな缶を加工して上手に作られている。それを四つ並べて上に網を敷けばちょうど良い大きさのバーベキュー台となる
 ホクレンの飼料袋一杯に詰め込んだ炭と、良く燃えそうな焚付けも用意してくれていた。車の装備やお父さんの服装・容貌などから見ても、年季の入ったアウトドアマンって感じがして、素敵なご老人である。


美しい湖畔の風景
 

湖にカヌーを浮かべる 静かな湖面にカヌーを浮かべる。
 澄んだ水を透して湖底の様子がはっきりと見える。空中に浮いているような、久しぶりに味わう感覚だ。
 最近は川でばかりカヌーを漕いでいるけれど、こんな湖にカヌーを浮かべると、カヌーを始めたばかりの頃の感動が蘇ってくるようだ。

 今日の参加者が揃ったところで、クラブ行事のオヤコツ地獄ツアーへと出発する。
 オヤコツ地獄とは、湖岸から温泉の蒸気が噴出していて、和琴半島のキャンプ場とは反対側辺りにあって、カヌーでなければ近づけない場所らしい。
 これまでに何度かキャンプ場前でカヌーに乗ったことはあるけれど、風が吹いていることが多くて、和琴半島の反対側に回り込んだことは一度も無かった。
 出発時にはその風が強まってきて、沖の方では波も出てきているようだ。
 大抵は和琴半島がその風を遮ってくれるので、キャンプ場の前あたりでは比較的波も穏やかなのである。
 和琴半島に近づくにしたがって風もほとんど気にならなくなり、のんびりと湖岸の風景を楽しむ。


さざ波の立ち始めた湖面   山陰に入ると波も穏やか

 しかし、半島の東端を回りこむと、北西の風が真正面から一気に吹き付けてきた。
 波も高く、びびったかみさんが「もっと岸寄りを漕ぎましょう」と言うけれど、岸に寄り過ぎると岩がゴツゴツした湖岸に打ち付けられそうである。
波の立つ湖面 波に対して横向きにならないようにカヌーを操作する。
 これだけ高い波が立つ場所でカヌーに乗るのは初めての経験だ。
 6年前にこの屈斜路湖でカヌーが強風で転覆してツアー客2名が死亡した事故や、もっと前に支笏湖で大波の立つ中に漕ぎ出したカナディアンが転覆しその漕ぎ手が死亡した事故のことが、頭の中に浮かんでくる。
 この状態の湖でカヌーに乗るのは、普通なら無謀と言われても仕方が無いところである。
 でも、参加メンバーのスキルは十分で、仮に沈したとしてもそのまま半島側に流されるような風向きなので、それほど危険な行動でもない。
 ただ、怖いことだけは確かである。
 半島の北端を回り込む時は、横から風を受ける形になってしまうので、波に対して斜めに進みながら、チャンスを待って方向を変える。

オヤコツ地獄へ到着 そうしてようやく、濛々と水蒸気の上がるオヤコツ地獄へ到着。
 そこの浜は思ったよりも狭くて、カヌーが波にさらわれないかと心配になるくらいだ。
 岩のすき間から勢い良く蒸気が噴出し、その近くの小砂利の浜は裸足で歩くと火傷しそうなくらいに熱くなっている。
 熱湯がボコボコと噴出しているような穴もある。
 そんな場所でジャガイモや卵、牛肉にシュウマイ、肉まんやらレンコン、トウキビにカリフラワー、カボチャ等々、蒸して食べれそうなものは何でも持ってきましたと言った感じで各自が用意した食材を、砂に埋め込んだり穴の上に乗せたりしながら蒸し上げる。
 そして出来上がったジャガイモと卵を食べてみる。
 普通に蒸したものと味は変わらないだろうと思っていたが、やっぱり何となく美味しい気がした。
 温泉成分が微妙に浸み込んでいるのかもしれない。
 本当はそのままここで蒸し上がった料理を食べる予定だったけれど、絶え間なく打ち寄せる波が煩わしく、そのままキャンプ場に持ち帰ることにする。


オヤコツ地獄で調理中

穴の上でイモと卵を蒸す   肉まんを蒸す

山陰に逃げ込む 帰りは更にうねりが大きくなってきたけれど、追い風になるので気持ちにも余裕ができてくる。
 うねりの中で上下に揺られながら黙々とパドリングを続けていると、茫々たる荒野を歩んでいるような気分で楽しくなってしまう。
 再び半島の東端を回って山陰に入ると、波も治まりホッと一息である。
 後続メンバーも次々と、逃げ込むようにして山陰へと入ってきた。

 キャンプ場付近も波が高くなってきていて、他のキャンパーのカヌーやカヤックは全て陸の上まで引き上げられている。
 テントの数も随分と増えている。
 「二人でキャンプ」のnomuさんに声をかけられた。nomuさんとはこれが初対面、他にも名前を知っているキャンパーが来ていたようで、今の季節の人気キャンプ場では、知り合いのキャンパーに会う確立がかなり高くなる。
風を受けるビッグタープ 風は更に強まり、隣りのキャンパーがタープを飛ばされて苦労している。
 一方、サダ吉会長が張ってくれたビッグタープは、風除けのために横面にブルーシートを張って余計に風圧を受けるはずなのに、強風にもビクともしない。
 台風並みの暴風が吹かない限りは、安心してタープの下で寛げるのである。
 オヤコツ地獄での蒸し物が、豪華なオードブルに姿を変えてテーブルの上に並べられた。
 N野さんが、四つのバーベキューコンロそれぞれに焚き付けを入れて、火を付ける。
豪快に炭を熾すN野さん 高々と上がる真っ赤な炎など意に介さず、飼料袋の中から手掴みで墨を取り出し、次々とコンロの中に放り込んでいく。
 普段はお淑やかなイメージしかないN野さんのそんな姿に、皆は呆気に取られるばかりである。
 N野さんはどんころキャンプの時にも、大きな木の上に一人でするすると登っていって皆を驚かせたりして、やっぱりあのお父さんの娘なのだと納得させられるのであった。
 そのお父さんが差し入れてくれた厚岸産牡蠣もN野さんが豪快に焼いてくれて、これも美味しくいただく。
 暗くなってから到着するキャンパーも沢山いるようだ。
 既に宴会モードに入っている私達の横を、リヤカーに荷物を満載して運んでいく。
 風の音と波の音にかき消されて、周囲の音はほとんど聞こえてこない。
 静か過ぎる夜よりも、周りに迷惑をかけずに済むので、団体キャンプ向けの天気と言えるだろう。


蒸し料理のオードブル   牡蠣を焼く

 波の音は一晩中続いて、かみさんはほとんど眠れなかったようだ。
 朝目覚めた時、テントの外から「チャポンチャポン」と静かな波の音が聞こえてくるのが湖畔キャンプでの一番好きなシーンだけれど、これが「ザッバーン、ザッバーン」の波音ではガッカリしてしまう。
僅かな朝の晴れ間 外を覗くと、鉛色の雲が湖の上に低く垂れ込めていて、余計に気持ちが落ち込んでしまう。
 昨日の到着時の素晴らしい青空は一体何処へ行ってしまったのだろう。
 朝食を終える頃には少しだけ青空も顔を出して、湖の上には虹もかかっていた。
 雨上がりの虹は天気が回復する兆しだけれど、雨も降っていないのにかかる虹はあまり歓迎できない。
 案の定、テントを片付けようとした途端にパラパラと霧雨が降って、せっかく乾いていたテントを濡らされてしまう。
 それにしても、到着時は素晴らしい天気だったが、結局雨に当ってしまうとは、今年の我が家のキャンプを象徴しているようだ。
 天売・焼尻に礼文島、そして最近ではニセコキャンプの時と、北海道中が天気が良くても我が家のいる上空にだけは雲が湧いてくるのである。
 片付けを済ませて、連休二日目の予定である釧路川のダウンリバーへと出発した。




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