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蛍光舞うほたるの里キャンプ

沼田町ほたるの里オートキャンプ場(7月30日〜31日)

 雨竜沼湿原ゲートパークキャンプ場を後にして、次に向かったのが沼田町ほたるの里オートキャンプ場である。
 当初は金・土の1泊の予定だったのが、急遽木曜日から休みを取ったので、何処かでもう1泊しようと考え、思い付いたのがほたるの里だった。
 温泉も隣接しているし、ちょうど蛍の一番多く見られる時期でもある。
 私が蛍を見たのは、小学生の頃に一度と、大人になってからは塘路湖の元村キャンプ場で一度の、生涯二度(二匹)だけ。
 こんな時でなければ、我が家にとってはなかなか泊まる機会のないキャンプ場なのである。
萌の丘から NHKの朝ドラ「すずらん」のロケ地にもなった「萌の丘」に寄り道して、ほたるの里に到着。
 ここは高規格オートキャンプ場だけれど、我が家は最初からフリーサイトにテントを張るつもりでいたので、受付でも「フリーサイトを利用したいのですが」と申し込む。
 すると受付のおじさんが、一瞬困ったような表情を浮かべて「う〜ん、今日は誰も利用する人はいないし・・・」と考え込んでいる。
 こちらは、そのおじさんが困っている理由が分からず、まさかフリーサイトの利用を断られるのではないかと不安になってきた。
 「それなら、蛍を見られる場所や温泉にも近い別の場所にもキャンプ場があるから、そちらを利用した方が良いですよ。今はほたる祭りもやってるから、賑やかな方が良いでしょう。」とのこと。
 「賑やかなところより誰もいないサイトの方が良いんだけど・・・」と思いながらも、今回ここに泊まる目的は温泉と蛍だったので、素直におじさんの助言に従うことにした。
 ただ、その温泉の近くにもサイトがあることは私も事前に知っていて、そこがほたるの里オートキャンプ場のフリーサイトだと思い込んでいたので、そのおじさんの言っていることが今一理解できずにいた。
 受付も別々になっているらしい。
 温泉の脇を抜けて奥へ入っていくと、キャンプ場受付と大きく書かれたプレハブが建っていて、その前に長テーブルが置かれ、おじさんが二人、手持ち無沙汰な様子で座っていた。
 「何だこれは!もしかしたら混んでるんじゃないの?」
 受付をしながら「他にもお客さんが来てるんですか」と、恐る恐る聞いてみる。
 「いやぁ〜、あなた達が来るのを誰も入れずに待っていたんだわ、アッハッハッ」
 「アハハハハ・・・」ホッとしながら、こちらも笑うしかなかった。
 「昨日は何処かに泊まったのかい?」
 「はい、雨竜沼の方に」
 「他のキャンプ場は、お客さん入ってるのかな〜」
 ここに来るようなキャンパーなら、確実にオートキャンプ場の方を利用するだろうし、そこの受付でここを紹介されない限り、最初からこのフリーサイトを目的に来るキャンパーは殆どいないと思われる。
 蛍を見る穴場のことまで教えてもらったりしながら、なかなか受付が進まない。
 キャンプ場利用料は一人500円。
 「ごみを捨てるのは別料金で200円、分別の仕方はああでこうで・・・」
 「温泉は500円で二日間入り放題、明日は10時から入れるから、それまでゆっくりして温泉に入ってから帰る人が多いんだ」
 「・・・、明日は早起きして帰るつもりなんだけど・・・」
 それにしても、ごみ処理やお風呂の料金は、利用するかどうか、先に確認するのが普通なのに、おじさんは勝手に申込書に記入していく。
 「はい、それじゃあ1700円になるかな」
 どうせ風呂にも入るし、ごみもここで捨てるつもりでいたので、細かいことは気にしないで料金を支払う。
 これでようやく、やたら時間のかかる受付が完了した。
 と思ったら、「あれ〜、これじゃあ駄目だな〜、二人いるんだから温泉の料金も二人分にしないと駄目なんだ」
 既に書き入れた金額部分を横線で消しながら、「今日初めてのお客さんなもんだから、慣れてなくてね〜」
 「い、いや、別に構わないです」
 追加料金を払おうとしたら、「やっぱり駄目か・・・、ぐちゃぐちゃで金額が分からなくなっちゃったな〜」「どうする、もう一枚書き直してもらうか?」と、二人で相談をはじめた。
 また、これまでと同じ時間がかかるのかと思うと、頭がクラクラしてきた。
 「こっちはこれで良いんだけれど、あなたに渡す方がこれじゃあ駄目だよね」
 「い、いや、こちらは全然大丈夫ですから!」
キャンプ場の駐車場 その後からサイトの説明が始まり、「車はここの駐車場に停めてもらうから。トイレと炊事場に近い4番にしておくからね。後は車を出入りさせても、常にこの4番に停めるようにすれば良いんだよ」
 ようやく受付が終わって、車を中に入れると、おじさんの一人がわざわざ付いて来てくれた。
 アスファルト舗装された丸い広場が駐車場になっている。その外周の舗装の上に番号がペイントされていて、指示されていた4番は少し出っ張った場所だった。
 そこにバックで車を停めたら、おじさんが「少しずれているよ」と合図を送ってきた。
 それで、前進してからもう一度入れなおしたが、それでもまだ駄目みたいだ。
 一体どうやって停めれば良いのだと、車から降りて確認したら、細い白線がかすかに引かれていることに気が付く。
 3度目のチャレンジでようやくおじさんのOKが出たのである。

我が家のサイト これでようやくテントの設営ができる。
 サイトにはこれと言った特徴も無く、全体が緩やかに傾斜しているので、テントを張るのはその中のごく僅かな平らな部分しかない。
 そこにテントを設営していると、バイクが2台、場内の道を走りすぎていった。サイトの様子を見に来たのだろう。
 場内の施設はかなり古くさい。
 「まさかここのトイレって、汲み取りじゃないよな」
 「煙突が付いてないから、大丈夫じゃないの」
 確かにそうだけれど、外観だけは昔よく見かけた汲み取りトイレそのものである。
 結局は水洗トイレだったのだが、便器以外は昔の建物をそっくりそのまま利用しているみたいだ。
 設営を終えて、ようやく冷たいビールにありつける。
 南暑寒別岳から降りてきて、直ぐにビールが飲めれば最高だったけれど、このタイミングで飲むビールも最高である。
 先程のバイク2台が戻ってきて、どうやら駐車場の直ぐ横にテントを張るようである。
 さすがに本日2組めともなると、受付はかなりスムーズにいったようだ。
 それにしても、ここの管理人さんには笑ってしまった。
 昔、歴舟川のキャンプ場で料金徴収に回っていた二人組のおじさんに匹敵するものがある。
 車を停める場所にしても、どうせ他のキャンパーは誰も来ないのだから、何処に停めても良さそうなものである。
 そして、トイレと炊事場の両方に近いからとわざわざ選んでくれた4番の区画だったけれど、荷物の積み下ろしに一番便利なのはどう見たって2番の区画だった。
 親身になって一生懸命やってくれているのが分かるので、腹は立たない。
 車も、素直に4番に停めたままにしておいた。

 缶ビールを1本飲み終え、直ぐに風呂に入りに行く。
 南暑寒別岳の登山で大量の汗をかいていたので、一刻も早く体を洗いたい気分だった。
ライダーのテント ここのほろしん温泉ほたる館、宿泊施設も備えた立派な温泉である。
 平日にも係わらず、お客さんも結構入っているようだ。
 風呂から出てサイトに戻る途中、二人連れライダーが張ったテントを見て驚いた。今回我が家が久しぶりに持ってきたヨーレイカと、全く同じテントだったのである。
 このテントは我が家が買った年に直ぐ廃番になってしまい、他のキャンプ場でも張られているのを見たことが無かったので、何だか嬉しかった。
 元々がバイクでのツーリング向けテントなので、これが正しい使われ方なのだろう。
 今回のキャンプでの我が家の装備では、オデッセイの広々とした荷室はがら空きで、無駄にガソリンを浪費しながら走っているようなものである。

 今日の夕食は、山登りで疲れているのでコンビニ弁当で済まそうとの話しも出ていたが、結局かみさんがスパゲティを作ってくれることになった。
 その間、私はビールを飲みながら寛がさせてもらう。
 吸血虫もそれほど多くないので、テントの外に出ると、僅かに吹いてくる風がとても爽やかだった。
質素な夕食 道の駅で買ったトマトも入れて、スパゲティが完成。
 一品だけの質素な夕食だったけれど、やっぱり手作りの方が、コンビニ弁当とは比べ物にならないくらいに美味しいのである。
 風が止むと、またヌカカが集まってきたので、テントの前室に逃げ込む。
 せっかくのキャンプなのに、こうしてテントの中で過ごすのは、何とも詰まらないものである。
 夫婦キャンパーが新たにやってきた。たった二人だけなのに、やたら大きなスクリーンテントとテントを設営している。
 私が驚いていると、かみさんが「きっと子供達もいるのよ。車の中で設営が終わるのを待っているんじゃない?」との予想である。
 そんなことじゃ駄目だな!と思ってみても、我が家の息子も同じようなものだったので、人のことをとやかくは言えないのだ。
 辺りもかなり暗くなってきたので、そろそろ蛍を見に行くことにする。
 途中で、先程の夫婦が乗ってきた車の中をチラッと覗いてみると、子供が二人、一生懸命携帯ゲーム機で遊んでいるところだった。

 蛍の鑑賞地は、ほたる館の横を流れる水路の先である。食事を終えたばかりの宿泊客がそぞろ歩いている。
 戻ってきたおばさんに「蛍は見られましたか?」と聞いてみると、「ぜ〜んぜん、一匹もいなかったわよ!」とのこと。
 「本当に蛍が見られるのだろうか?」と不安に感じながら、一番奥まで歩いていく。そこには三脚を据えたカメラマンが集まっていた。
 きっとここが一番のポイントなのだろうと、私も三脚をセットする。周りの人達の会話を聞いていると、どうやら8時頃から光り始めるらしい。
 辺りは更に暗くなり、通路を仕切っているロープに、発光ダイオードのような青い灯りが灯った。
 かみさんが「あっ、光ってる!」と指差す先に目を凝らしてみると、小さな光がゆっくりと点滅しているのが見えた。
光の乱舞 やがて闇の中に一つ、また一つと、その光が漂い始める。何とも不思議で幻想的な光景である。
 早速そこにカメラを向けるが、真っ暗闇なのでカメラの操作が上手くできない。ヘッドランプで手元を確認したいけれど、ここでは懐中電灯などを灯すのは禁止されているのだ。
 ピントを合わせるのも難しい。そうしてカメラの操作に集中していると、頭の周りが何となくモソモソしてきた。吸血虫が群がってきているようだ。耳の穴、鼻の穴にまで潜り込んできそうである。
 蛍の写真を撮るのは諦めて、歩きながら蛍の光を楽しむ事にする。
 沢山の親子連れが、ほとんど真っ暗闇の中を歩いている。たかが蛍だけれど、その集客力も凄いものだと感心してしまう。
 ホテルの近くまで戻ってくると、沢山の人が集まっている場所があった。
 何だろうと思ってその先を見てみると、そこでは正に光の乱舞が繰り広げられていたのである。
 生まれて初めて見る光景だった。
 どうせ蛍の光も揺れているのだから、もしかしたら手持ちでも撮影できるかも知れないと考え、20秒露出での手持ち撮影という無茶苦茶な方法を試してみる。
 家に帰ってからパソコンで画像処理すると、それでも何とか写っているものである。
 すっかり満足して、サイトまで戻ってくると、大きなスクリーンテントの中から楽しそうな家族の話し声が聞こえていた。
 プチ夏休みの最後の夜、何時もより少しだけ夜更かしをして眠りに付く。


夜のサイト
 

朝のキャンプ場 翌朝、テントの中で目覚めると、時々ポツッ、ポツッと、何かがテントの上に落ちてくる音が聞こえていた。
 「シラカバの樹液でも落ちているのだろうか?テントがベトベトになるな〜」と思いながら起き出すと、その音は樹液でなかったのは良いけれど、何と霧雨が降っていたのである。
 当初の予定では、今日が雨竜沼湿原に登る日になっていた。
 予定を変更して良かったな〜と安堵すると共に、ことごとく雨に降られる今年のキャンプに呆れてしまう。
 携帯電話の電池が切れてしまっていたので、この後の天気を確認する事もできない。
 テントを乾かせるかどうかも分からないので、朝食を終えるとサッサと撤収する事にする。
 荷物を積み終えてキャンプ場を後にする時、隣のファミリーもライダーも、まだ眠っているような時間だった。

 天気が良ければ、この日は北竜町のひまわり畑を見に行くつもりだったけれど、曇り空の下でのひまわり畑ではあまり魅力は感じない。
 そこで、昨日の萌の丘に続いてドラマ「すずらん」の舞台になった明日萌駅に行く事にする。
 この駅の外観はどう見ても映画のセットである。
 駅前に建つ古い木造の建物は、これもロケに使われた中村旅館。
 付近には家もまばらで、今の状態のままで直ぐにでも映画の撮影ができてしまいそうな風景が広がっている。


明日萌駅

実際に汽車も走っている 私達が観光気分で駅前広場に立っていると、自転車に乗った男子高校生がやって来た。
 その後からもセーラー服の女子高生がやって来て、駅前に自転車を停めて駅のホームへと入っていく。
 その様子を見て、ここが今も使われている本物の駅であることを思い出した。
 駅の待合室には人影も見えている。
 当然無人駅だと思って駅舎に入っていくと、事務室にも人影があったのでびっくりしてしまう。
 まあ、このどちらも人形だったのだけれど、あまりにもリアル過ぎて、知らずに入っていくと驚かされるだろう。
 そもそもここは展示館ではなくて本物の駅のはずなのに、待合室のベンチの真ん中で萌ちゃん人形が窓の外を眺めながら座り込んでいるのである。
 そこに一両だけの電車が到着し、二人の高校生が乗り込み、再び走り去っていった。
 その様子を待合室の窓越しに見送る萌ちゃん。
 何だか、現実と仮想の世界が入り混じった不思議な空間がそこに存在していた。
 私も札幌へ帰る前に、少しだけ駅長さんと昔話に花を咲かせた。


萌ちゃん   駅長さんと話し込む

 こうして我が家のプチ夏休みキャンプは終了。
 午前9時過ぎには札幌に到着。
 この日の札幌の気温は30度近くまで上がり、我が家のキャンプの終わりとともに、北海道にも本格的な夏がやって来たようである。


明日萌駅で


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