施設自体は無料だが、ちょうどここで森山大道の写真展が開催されていて、その観覧料が300円かかる。
森山大道の名前は全然知らないけれど、せっかくなので300円を払って写真展も見ることにする。
30年前に北海道内各地で撮影したモノクロ写真を中心に展示されていて、まるで北海道の歴史の史料を見ているようだ。
かみさんが、当時の小樽駅付近の写真を見つけて喜んでいた。
校舎の前には真っ白な玉石を並べた池と遊水路が造られていて、そこでは子供達が裸になって水遊びをしている。
その水路と一体になって置かれた「天モク」、そこからやや離れた小高い丘の上に置かれた「天モク」と対となる「天聖」。
広々とした屋外の空間全てが、一つのアートとなっているようだ。
その丘を登ると更に奥にまで展示スペースが広がっていた。
寄り道のつもりで立ち寄ったアルテピアッツァだったけれど、すっかりここが気に入ってしまい、場内のカフェでゆっくりと時間を過ごす。
アルテピアッツァを出た後は、この更に奥にある炭鉱メモリアル森林公園まで足を伸ばしてみる。
炭鉱遺跡を見に行くつもりだったのに、道路沿いには黒々とした石炭の山があちらこちらに盛られていて、「まだ石炭を掘ってるの?」と驚いてしまった。
後で調べてみると、美唄市盤の沢地区では今も石炭の露天掘りが行われているそうである。
メモリアル森林公園では、赤く塗られた立坑巻き上げ機が2機、緑の山の中で青空をバックにして、空しげに聳えていた。
どうせならば、茶色にさび付いたままの姿の方が、この場の雰囲気に似合っているような気がする。
伸び放題の草の中に、かろうじて園路の跡が残っているような状況で、炭鉱遺産よりも、この森林公園そのものが、既に遺産になりつつあるのだ。
我路ファミリー公園キャンプ場にも立ち寄る。これまで、道内の数多くのキャンプ場を利用してきた我が家だけれど、敢えてここにテントを張ることは、この先もきっと有り得ないだろう。
今も石炭を掘り続ける炭鉱に、朽ち果てつつある炭鉱遺産、人気の途絶えた集落、そしてアルテピアッツァの様な全国から人の集まる施設。
新旧が入り混じり、不思議な感覚に囚われる土地。栗沢町の美流渡地区と同じ臭いを感じるところだった。
既に昼を過ぎていたので、滝川の「美名味」でラーメンを食べる。
この店はGoogleで滝川+ラーメンで検索したら、一番目に表示された店である。地域の人気店が直ぐに分かってしまうのだから、最近の検索サイトは本当に便利である。
ここも、昼食時間には行列ができるような人気店らしいけれど、午後1時をかなり回っていたのでさすがにもう店内は空いていた。
一番人気の「濁り正油ラーメン」を注文。スープを一口すすったかみさんが「美味しい!」と一言。
最近は出かける前のリサーチを心がけているので、旅先では何時も美味しいものを食べられるようになってきた。
以前は、行き当たりばったりで店に飛び込んでいたので、「スーパーで買ったラーメンの方がもっと美味いぞ」なんて事がしょっちゅうだったのである。
その後は、道の駅「田園の里うりゅう」に併設された「雨竜沼自然館」で最新情報を仕入れる。
咲いている花の名前を事前に覚えておいた方が、現地での楽しみが増えるのである。
駐車場から出ようとすると「田んぼアート」の看板が目に入った。
葉の色が紫の品種を使って、田んぼの中に絵を描き出す田んぼアートだけれど、雨竜の田んぼアートのことはあまり聞いたことがなかった。
直ぐ近くに田んぼアートを見下ろす簡単な展望台が作られていたので、そこまで歩いていって登ってみる。
「こ、これがアート・・・、ただの字だろ!」
と思ったものの、地元青年部のメンバーが今年初めて作ったと言う田んぼアート、来年からの作品に期待することにしよう。
真っ青な空の下、水田や満開の蕎麦畑が広がる風景を眺めながら、雨竜沼湿原ゲートパークキャンプ場に向かって一路、車を走らせた。
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