楽しみにしていた今シーズンの紅葉キャンプ。
出かける紅葉スポットは決めていたけれど、その近くで適当なキャンプ場が思いつかない。
幾つかの候補地を挙げてかみさんのご意見を伺ったところ、返ってきた答えは「朱鞠内湖は?」だった。
「えーっ・・・」
私の考えていたところとは全くの逆方向で、朱鞠内湖の紅葉は既に終わってしまっているはずで、この時期の朱鞠内には何度も泊まっている。
否定的な考えは幾つでも思い浮かんできたけれど、「やっぱり朱鞠内湖かな」と言う気持ちは最初から心の底どこかに引っかかっていた。
今回のキャンプが今年のラストキャンプになる可能性も大きく、そうなると今回はフウマと出かける最後のキャンプとなってしまうかもしれない。
そう考えたときに、我が家の思い出が一杯詰まった朱鞠内湖ほどその場所に相応しいキャンプ場は他に思いつかない。
紅葉などは来年でも見られるし、それよりも今回はフウマと一緒の時間を楽しむことを優先した。
2泊3日のキャンプを予定していたので、金曜日の朝に札幌を出発。
通いなれた朱鞠内湖だけれど、少しは変化をもたせるために深川で少し寄り道することにする。
まずは深川IC近くの戸外炉峠(トトロ峠)へ行ってみた。
石狩川が蛇行しながら流れる深川盆地の風景が見ごたえがあり、この峠の名前の元となった猫バスも良い雰囲気を出している。
その後は、まあぶオートキャンプ場の前を通って道の駅「ライスランドふかがわ」へ。
我が家から朱鞠内湖へ向かう場合、深川留萌自動車道が一部開通してからは秩父別まで高速道路を利用するようになっていたので、ここの道の駅に入るのは初めてだった。
地場産品が沢山あってなかなか楽しい。
こんなところでは必ず商品ラベルで製造場所を確認するようにしていて、それが札幌市で作られたものだったりすると、途端に購入意欲が無くなってしまう。
それが、地元農協の婦人部が作った笹だんごが、その支部ごとに違うパッケージ・同じ値段で売られていたりすると、無性に食べ比べをしてみたくなるなど、購買意欲を大いにそそられるのである。
笹だんごは買わなかったけれど、その他に色々と買い物をして店を出た。
昼食は勿論幌加内町の蕎麦、今回はかみさんの希望で八右衛門のそばを食べた。
幌加内町では何処の店に入ってもそれなりに美味しい蕎麦を食べられるのだけれど、既に今は無い「ほろほろ亭」の味を超える店にはなかなか出会えないでいる。
平日の朱鞠内湖には、さすがに先客の姿は見当たらなかった。
そんな時の我が家の常で、第3サイトの細長い岬の先端を真っ直ぐに目指す。
ここにテントを張ったのは6年前の10月で、その時は素晴らしいキャンプを楽しめた記憶がある。
ところが何故か今日はしっくりとせずに、沢を挟んだ向かい側の第3サイトの先端部分の方が魅力的に見えてしまう。
そちら側に移動すると、今度はかみさんが湖畔側のもっと高い場所の方が良いと言いはじめた。
そこは眺めは良いけれど、カヌーを出せる適当な場所が無いのが困るところだ。
それに場内の通路が直ぐ脇を通っているので、早朝に釣り客が車で入ってくるとうるさくて堪らない。何年か前にはこれで酷い目にあっているのだ。
我が家が朱鞠内湖を通い始めた頃は第2サイトの岬先端部が定番だったけれど、その後は何時も静かな第3サイトにばかりテントを張っている。
結局今回も第3サイトの先端、去年の6月のキャンプと同じ場所にテントを設営することになった。
上空にはまだ青空が広がっていたけれど、今日の夜から天気が崩れるとの予報も出ていたので久しぶりにタープも張ることにした。
年に1度張ることがあるかどうか程度なので、張り方が下手になったような気がする。
少し皺がよっているのは敢えて無視することにしたけれど、これが後で事件を引き起こすことになるとは、この時には思いもよらなかった。
第2サイトの方から落ち葉を燃やす煙がもうもうと立ち上っている。
第3サイトにも何かを燃やした跡が方々に残っていて、誰かが落ち葉に火をつけて遊んでいたのだろうかと思っていたが、どうやらキャンプ場の管理作業の一環らしい。
今までにそんな場面は見たことが無かったし、落ち葉は放っておいてもそのまま土に返るのだから、余計なことをしなくても良いのにと思えてしまう。
でも、もしかしたら管理をしている人が落ち葉焚きを趣味にしているだけなのかもしれない。
そう考えると、急にそれが微笑ましく見えてきた。どうせ場内には、燃やしきれないような大量の落ち葉が敷き詰められているのだ。
かみさんが早速、湖に漕ぎ出した。
最近になってようやくカナディアンの一人漕ぎにチャレンジする気になってきたみたいだ。
カヌー歴が20年近くにもなるのに、一人でカナディアンに乗れないと言うのはちょっと恥ずかしいので、これは良い傾向である。
私はその間に焚き火用の薪を拾い集めることにする。自宅からも、車の荷室に積めるだけの薪は持ってきていたけれど、2泊3日で豪勢に焚き火を楽しむにはまだまだ足りない。
場内をぐるりと回ったけれど、清掃が行き届いているのか、それとも、キャンパーに全て燃やし尽くされてしまったのか、枯枝などが全く見当たらない。
しょうがないので、車に乗って第4サイトへ行ってみることにした。
第4サイトとは私が勝手にそう呼んでいるだけで、勿論正式なサイトではない。
でも、第3サイトからさらに奥に入ったところにあるその場所は、林間の下草も綺麗に刈られていて、極上のテントサイトに見えてしまうのだ。
現在のように土のテント床が作られる以前の朱鞠内湖キャンプ場は、きっとこの第4サイトのような雰囲気だったのだろう。
場内が混んでいるような時はこの第4サイトにテントを張ろうと昔から考えていたのだが、何時もがら空きの朱鞠内湖キャンプ場なものだから、その機会は未だに訪れないままなのである。
さすがにここでは好きなだけの枯枝を拾い集めることができる。
1本だけ、太くて長いシラカバの枯枝(枝と言うようりも枯幹)を拾い、これを二晩で燃やし尽くすのを今回の焚き火の目標に設定した。
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