カヌークラブの納会が支笏湖のポロピナイキャンプ場で行われる。
我が家はフウマがいるので、団体キャンプへの参加は見送ろうと考えていたけれど、サロマ湖キャンプ時のフウマはテントの中でただ寝ているだけだったので、これならば問題ないかもしれない。
今年一杯で閉鎖されてしまうポロピナイなので最後にもう一度利用したかったし、クラブのキャンプにも今年は殆ど参加していなかったので、最後の一度くらいはと考え、カヌー道具や、焚き火用の大量の薪や、水上運動会の後に皆で食べるうどんの材料で満杯になった車にフウマを乗せて札幌を出発した。
カヌークラブの納会は3年連続でポロピナイで行われているので、ここでのキャンプも3年連続になる。
今年は例年より納会が1週早いので、支笏湖へ向かう途中に見る紅葉もようやく色付きはじめたばかりの様子である。
キャンプ場手前の園地は、2年前に火災で焼失した休憩所が湖畔側に移動して新しく建て替えられ、ちょっと雰囲気が変わっていた。
相変わらず観光客で賑わっているそこをサッサと通り過ぎて奥へと進む。
受付を済ませて、入り口の鎖を開けてくれる管理人のおじさんに閉鎖の話しを聞くと「来年は日帰り客だけを受け入れるとの話も出ているけど、どうなるか分からない。役所のやることだから!」と吐き捨てるように言っていた。
一体どうなっているのか、帰ってから調べてみたけれど「千歳市が環境省に園地整備を働きかけている」程度のことしか分からない。
「観光事業者と協働で観光のニーズに対応した観光地作り」
これを聞いても私達キャンパーにとって良いことはあまり無さそうだ。
「ポロピナイ地区には未整備の部分も残され」とも書いてあったけれど、その未整備の部分が多分キャンプ場のことなのだろう。
確かに中に入っていくと、ごつごつした石が所々で土の中から頭を出し、車の腹を擦らないように気をつけて走らなければならない未整備の広場が目の前に広がる。
風が強くて湖面は波立ち、殺風景な場内に寒々とした気持ちになってしまうのは何時ものことだった。
柔なキャンパーを受け付けないような荒々しさ、これがここのキャンプ場の魅力なのでもある。
その寒々とした広場の片隅に、昨日から現地入りしていたS吉会長がビッグタープ2連結4面ビニール張りの宴会スペースを用意してくれていた。
このおかげで毎年、10月のキャンプにもかかわらず暖かく過ごすことができる。本当に頭を下げるしかない。
我が家のテントを何処に張ろうかと考えたけれど、今回はフウマを連れているので時々様子を見なければならず、宴会スペースからあまり離れられない。
湖畔のめぼしい場所は既に先客に占められ、去年テントを張った広場の丘の頂上ではタープから少し遠すぎる。
場内を行ったり来たりしながら、結局広場の隅の方にポツンとテントを設営した。
どうせ寝る時しか使わないテントなのだけれど、その張る場所にはどうしてもこだわってしまう我が家なのである。
自分の家が完成したフウマは、安心して直ぐにその中でゴロリと横になった。
クラブのBBSで入会希望の書き込みをされていたU田さんが遊びに来ていた。
想像していたよりも年配の方だったので驚いてしまう。
フォールディングカヤックを漕ぐ姿が危なっかしいので、見かねた会長がパドルの持ち方からレクチャーする。
後で話しを聞いたらヨット歴30年を超す海の男だそうで、本人は何も言っていなかったけれど多分その世界ではちょっと名前を知られているような感じの方である。
そんな方が子供のように一生懸命S吉会長の説明を聞いていた姿を思い出して、可笑しくなってしまった。
U田さんが連れてきていた柴犬のこたろう君、まだ3才の遊び盛りのようで元気に走り回っている。フウマに興味を示してクーンクーンと鼻を鳴らしていたけれど、フウマは全く知らんぷりだ。
そんな無愛想なフウマと場内を少し歩いてみる。
好きなように歩かせてその後を付いていくと、次第に湖畔へと近づいていく。
時々石ころにつまずいてよろけるけれど、家の周りを散歩する時よりは目が活き活きして見えるのは気のせいだろうか。
そして支笏湖の湖面をジッと見つめたまましばらくたたずんでいる。
昔、何度も訪れていた支笏湖を懐かしんででもいるかのように見えてしまう。
飼い主の勝手な思い込みかもしれないけれど、きっとフウマの脳裏には何かが甦ってきているのだろう。
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