6月に病院で「何時死んでもおかしくは無い」と言われた時は、もう一度フウマと一緒にキャンプができるなんて思いもよらなかった。
それから二ヵ月半、次第に弱ってきてはいるものの比較的体調も安定していて、お盆を過ぎて急に涼しくなり、これならば何とかキャンプへも行けそうだ。
そうは言っても無理はさせられないので、行く先は人がいなくて静かにゆっくり過ごせるようなキャンプ場でなければならない。
あくまでもフウマ優先だけれど、人間の方も久しぶりのキャンプを楽しみたい。
青山農場、エルム森林、丁未風致公園、そんな条件で思いつく場所は全て閉鎖されたキャンプ場ばかり。私の大好きだったキャンプ場が次々に閉鎖されていることを改めて実感して、愕然としてしまった。
「こうなったらあそこしかない」
苫前町の近くにあるキャンプ場だけれど、そこもやっぱり既に閉鎖されたキャンプ場だった。ただ、トイレだけは使えるはずなので、何とかキャンプは可能なのである。
朝の散歩の後、午前中はほとんど寝たきりのフウマなのに、この日だけは何時もと違う雰囲気を感じたようである。
「早く行きましょう!」とばかりに玄関に出て待ち構えている。元気だったときのフウマの姿が戻ってきた。
そんなフウマを車に乗せて札幌を出発。
「どこか野菜の直売所があれば良いんだけれど」
そう言い始めたかみさんだけれど、今日はオロロンラインを北上するつもりだったので沿線にそんな直売所は有りそうにない。
ところが、石狩市の市街地を走っている最中にJA石狩の直売所を発見。
入ってみると、品揃えも多く値段も安めでなかなか良いところだ。
かみさんがそこでたっぷりと野菜を買い込み、再び北を目指して出発。
最近は実家へ行くのや川下りのために、毎週のように長距離のドライブをしている。
先月のガソリンや高速料金のカード引き落とし金額は軽く4万円を超えていた。それ以外にも何度も現金で給油しているので、車での移動のために一体いくらかかっているのか、考えるのも嫌になる。
そして今日も片道200キロのドライブ。
ただ、何時もと違うのは、キャンプの時は一歩家を出た瞬間から旅人になったような気分になれるところだ。
何時もは素通りしてしまうような所でも、ついつい寄り道してしまう。
そんな一つが石狩市浜益区の郷土資料館。
国道からやや入った海岸線にポツンと建っているその建物、鰊建網漁場の番屋だったそうでなかなか風格がある。
北海道の郷土資料館は何処に入ってもほとんど同じような展示物ばかりだけれど、古いもの好きな私にとってそれなりに楽しむことができる場所である。
その後は雄冬岬展望台にも立ち寄る。
以前にも一度来たことがあるけれど、随分立派な施設ができていて驚いてしまった。
展望台そのものよりも、その付近一帯にゴロゴロと転がる巨大な石の上に作られた鋼鉄製の散策路を歩く方が楽しいかもしれない。
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