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直人さんを偲んで古山キャンプ

古山貯水池自然公園オートキャンプ場(5月31日〜6月1日) 

 小川キャンパルのKさんから、直人さんが大好きだったお酒を直人さんを知る人達と一緒に飲みませんかとのメールが届いた。
 去年の暮れに突然この世を去ってしまった直人さん。
 見聞録のBBSやブログを通じてとても懇意にしてもらっていて、その年の6月には朱鞠内湖で偶然出会い、焚き火を囲んでお話しをしたばかりだったので、とてもショックが大きかった。
 「せめて奥さんにお悔やみの言葉だけでも」と思っても、ネット上の付き合いだけだったので連絡先も分からず、何も出来ずじまい。
 この時ばかりは、ネットでの付き合いなんて儚いものなんだなと思ったものである。
 それが今回は直人さんの奥さんも参加するというので、一も二もなく「参加します」との返事を書いた。
 私のホームページを通じて直人さんを知る人もいるはずなので、ブログにキャンプへの参加の誘いを載せたところ、直ぐに数名の方から是非参加したいとのメールが届く。
 帯広のMさんからは「どうしても参加できないので皆で飲んで下さい」と、私のところへワインが届けられた。
 直人さんとは一度も会ったこともないMさんのこんな心遣いが、ネットだけの付き合いもそんな儚いものではないのだと、とても嬉しかった。

風が吹き抜けるゆにガーデン キャンプの場所は古山貯水池自然公園オートキャンプ場。
 以前から泊まってみたいキャンプ場の一つでもあったので、余計に当日を楽しみにしていた。
 ところが週末の天気予報はパッとせず、土曜日の札幌は朝から強風が吹き荒れていた。
 キャンプ場でもこの風が吹いていたとしたら、テントを張るのさえ難しいかもしれない。
 由仁町まで来るといくらか弱まってきたものの、以前強い風が吹いていた。
 キャンプ場へ入る前にゆにガーデンに寄り道する。
 普段は800円の入園料も、今の時期は600円と安くなっている。
 中に入ってみて安い理由が分かった。今時期は花がほとんど咲いていないのである。
 冷たい風が吹き抜け、余計に寒々として見える。
 まあ、花が一杯咲いて観光客も一杯いる時よりは、こんな感じの方が我が家には合っているかもしれない。

 
ゆにガーデン
 

 それなりに花を楽しんだ後、キャンプ場を目指すことにする。
 キャンプ場の案内看板もないので途中で道が分からなくなったけれど、道路際に立っているキャンプ場ののぼりのおかげで何とかキャンプ場に到着した。
 キャンプ場入り口前の芝生広場にずらりと並んだ小川のテント。今日は小川テントの野外展示会が開催されているのである。受付する前に、まずはそちらの展示会を覗いてみることにする。すると直ぐにKさんが駆け付けてきてくれた。
 Kさんは直人さんと知り合いで、我が家のテント「ソレアード」の開発者でもある。直人さんから紹介うけて色々とお世話にもなっている方だ。去年、秀岳荘での小川テントの展示会で初めてお会いしてから、今日が2度目である。
 そこへちょうど直人さんの奥さんが到着した。Kさんのお話しでは、相当辛かったようで体重が10キロも減ったと聞いていたのに、実際にあってみると去年会ったときよりも少し痩せた感じはするものの、とても元気である。
 元気どころか、それを通り越してハイテンション気味なくらいに明るい。。
 朱鞠内湖でお話しした時のイメージは、常に直人さんの後ろで控えめにしている淑やかな女性といった感じだったので、ちょっと驚いてしまった。
 でも、もしかしたら相当な努力をしてそう振舞っているのかもしれない。それならばこちらも変にジメジメしないで楽しくお話しさせてもらうことにしよう。
 奥さんと一緒に車に乗ってきた直人さんのお友達お二人は、昨日の夜に東京を出てそのまま走ってきたとのこと。
 それでこの時間に途中で奥さんを拾ってキャンプ場に着いてしまうとは。さすがに直人さんのお友達だけあると、変なところで感心してしまった。

樹木の多い場内 受付を済ませて場内に車を乗り入れる。
 樹木の多いキャンプ場だとは聞いていたけれど、多いと言うよりもほとんど森の中に作られたようなキャンプ場である。
 周囲の木々に風も遮られ、あれだけ強く吹いていた風が場内ではまったく感じられない。
 直人さんの奥さん達は、入り口の数サイトを小川で押さえているので、そこにテントを張るようだ。
 ここのキャンプ場には3ヶ所だけペットと泊まれるサイトが用意されている。
 私の場合、予約してキャンプ場に泊まる習慣がないものだから、ここでのキャンプが決まってからしばらくは予約の電話もしないままでいた。
 この時期に予約だけで満員になるとは思えないものの、三つしかないペット可のサイトが取れなかったら大変なので電話を入れてみると、既に1ヶ所が埋まっていて危ないところだった。
 犬同士が影響しあわないようにとの配慮からか、三つのサイトは間隔を置いて配置されているようだ。
 我が家のサイトは入り口から一番奥。
 車で入っていくと、その手前に真っ赤なビートルが停まっていた。
 それが「Beetle Jam」の赤ビートルさん・Pooさんご夫婦であることは直ぐに分かった。そしてそこに一緒にいるのは「なんまらほっかいどう」のアサさん・アサ妻さんご夫婦。
 我が家のサイトどちらのご夫婦ともこれが初対面になるのだけれど、ホームページを何時も見ているのでまるで旧知の間柄のような気がする。
 初めましてと挨拶するのも何だか照れくさい。
 まずはテントを設営する。一つのサイトがやたらに広く、私のサイトの中には大きな木が2本も生えているのに、テントを張ってもまだ広々としたスペースが残っている。
 直ぐ後ろに道路が通っているけれど、木に遮られてそれほど気にもならない。まだ初々しい木々の緑が頭上を覆い、とても快適度の高いサイトだ。
 赤ビートルさんが皆のカップに美味しいシャンパンを注いでくれて、初対面の乾杯。
 普通ならば、キャンプ場でシャンパンで乾杯するなとは!って驚くところだが、赤ビートルさんが注いでくれると何の違和感もなくその雰囲気を受け入れてしまう。
 それぞれが薪を用意してきていたので、そのまま直ぐに焚き火を始めた。
 Kさんがやって来て、皆で集まるのはそれぞれ夕食が終わってからにしましょうとのことになる。
 赤ビートルさんが、噂のサラミタワー、美味しいチーズに美味しいワインと次々にご馳走してくれる。
 「このワインは○○年産の○○の○×※△で、チーズは○□〜×△※で・・・。」
 「へ〜、△×※/○□??ですか〜。」
 一応、自分の言葉で繰り返してみるが3秒後には忘れ去ってしまう。
 でも、名前が分からなくてもとても美味しいことだけは確かである。遠慮なく赤ビートルワールドに浸らせてもらう。
 アサさん、アサ妻さんも、なんまらほっかいどうのホームページから直接抜け出してきたような人柄で、特にブログそのままのアサ妻さんの爆笑トークは、まさにアサ妻ワールドに引きずり込まれる感じだ。
赤ビートル家のサイトで そのアサ妻さん、小川テントの展示会を見てくると出かけたまま全然戻ってこない。アサさんは心得ているようで「またやってるな〜」って気にもしてない。
 アサ妻さんの留守中に「大人の外遊び」のkenjiさん、kennjiの姫さんが来てくれた。
 kenjiさんの自宅はここから10km程のところにあるそうなので、古山はまるで自分の庭みたいなものかもしれない。
 いくら近いと言っても、姫さんは明日、伴走でフルマラソンを走らなければならないのに、わざわざ顔を出してくれたのが嬉しかった。
 そこへようやくアサ妻さんが戻ってきた。
 アサ妻さんが履いていた498円のレディースブーツの話しで大いに盛り上がっていたとの事だけれど、どうやら小川テントや秀岳荘の社員の皆さんを前にしてアサ妻さんが一方的に盛り上げていたのが真実らしい。
 初対面だろうと何だろうと構わずに、直ぐにアサ妻ワールドに引きずり込んでしまうその吸引力は真に恐るべしである。
 小学校の運動会を終えたばかりの「EZO WEB LANDS」のezoさんも駆け付けてくれた。
 ezoさんとは3年前の然別湖で少し話しただけだったけれど、その後ホームページもよく見せてもらっていて、久しぶりの再会が懐かしく感じられた。
 例えとしては良くないけれど、葬式の席で何年も会っていなかった親戚同士が顔を合わせるように、こんな機会が無ければほとんどネット上だけでの繋がりだった皆がこうして集うことは無かったかも知れない。
 特に、何時も単独行動ばかりでしている我が家が「一緒に集まりませんか」と声をかけること自体が、普段なら有り得ない話しなのである。
 でも、共通の趣味にする人間がこうして一緒にキャンプをするのはとても楽しいものである。
 思い切って皆に声をかけて良かったと心からそう思った。

焚き火を囲んで 宴会の場所を直人さんの奥さんのサイトへと移動する。
 直人さんのことをネットの上でしか知らない人、一度だけ話を交わしたことがあるだけの人、一緒にキャンプをした人、そして古くからのご友人、それぞれの違いは有っても、キャンプが大好きだった直人さんへの思いは皆同じだった。
 そしてその同じ気持ちが皆を和ませる。
 こちらに移ってから何故か無口なアサ妻さん。
 「きっと充電しているんだろう」「そのうちにまた始まるよ」
 しゃべっていないことだけで皆の注目を集めてしまうのがまた凄いところだ。
 その無口な時間はやっぱり充電時間だったようである。
 フル充電となったアサ妻さんとそれを待ち構えていた小川キャンパルのKさんとの爆笑トークバトルが始まり、周りを笑いの渦に引きずり込む。
 そんな楽しい時間が過ぎ、kennjiさんご夫婦が姫さんのマラソンに備えて、そしてまだ放電しきれないようなアサ妻さんもアサさんが明日の朝早くから仕事があるので、キャンプ場を後にした。
 その後しばらくして雨が降り始め、それをきっかけに楽しい宴会もお開きとなる。

しっとりと濡れた木々 翌朝目覚めた時は、昨夜のアルコールがもろに残っていた。
 テントを叩く雨音、森の中に響く野鳥のさえずり。 そんな音に包まれてシュラフの中で微睡むのが何とも心地良い。
 その雨音も止んできたのでテントから抜け出す。
 新緑が雨に洗われ、場内の緑がますます美しく見えている。
 でも我が家のテントは、木々の葉に付いていた虫の糞が雨に洗われて落ちてきたのだろうか、黄色く汚れているのにはガッカリしてしまった。
 朝食を済ませて場内を一巡りしてみる。
 ここのキャンプ場は貯水池に隣接しているのだけれど、木の葉が茂るとサイトからは直接は見ることができない。
 貯水池寄りのところに、森の中の雰囲気が味わえそうな我が家好みのサイトが有った。そこに張られたテントからは煙突が伸び出していて、モクモクと煙を上げている。
 夏は虫が多そうだけれど、紅葉の季節にここにテントを張ってみたい。
 誰が作ったのか、湖岸の四阿横に立てられたバス停の標識も遊び心があって面白い。

煙突付きテント   バス停

 サイトまで戻り、赤ビートル家と焚き火を囲んでのんびりと時間をすごす。
 キャンプ場のチェックアウト時間は午前11時。我が家の場合、一泊キャンプでは朝の静かな一時を楽しんだ後はサッサと撤収してキャンプ場を後にすることが多いのだけれど、今回はチェックアウト時間を過ぎる程までゆっくりしてしまった。
最後に残った2台 フリーサイトのど真ん中に個性的なテントを張っていたezoさんがまず最初に出発する。。
 それに続いて直人さんの奥さんとそのお友達が帰途についた。
 何時の間にか広い場内には我が家と赤ビートル家のテントだけになっていた。
 最後の片づけを一緒に終えてキャンプ場を後にする。
 別れの挨拶は全て「また何処かのキャンプ場で会いましょう!」
 樹木に囲まれたサイトではそれほど気にならなかったけれど、そこを離れると直ぐに体が濡れるくらいの霧雨が降っていた。
 最後の最後に、小川テントの展示会場で仕事をしているKさんに挨拶をして霧雨に煙る古山を後にした。

 
ひっそりと花を咲かせるクルマバソウ

 Kさんの呼びかけで実現した今回の「直人さんを偲ぶキャンプ」。
 直人さんの訃報に接してからの「何とかして奥さんに直接お悔やみの言葉をかけたい」の思いもようやく叶い、奥さんの元気な様子を見て安心し、ネット上だけでの知り合いだったキャンパーの方々とも親しくお話しができて、私にとって本当に素晴らしいキャンプになった。
 企画してくれたKさん、参加してくれた皆さん、そして直人さん、どうもありがとう。
 また何処かのキャンプ場でご一緒しましょう。


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