週末はカヌークラブの例会で鵡川と空知川を下り、宿泊はかなやま湖のスポーツ研修センター。
こんな時はフウマは家で留守番させられることが多かったのだけれど、その間の面倒を見てくれていた息子は4月から就職して、家を出る時間は早いし帰宅時間も遅い。土曜日も仕事のそんな息子にフウマを預け、親が気楽に遊びに出かけるわけにもいかず、今回はフウマも一緒に連れて行くことにした。
14歳の誕生日を過ぎて急に衰えが目立ってきたフウマのことを考えると「今年は思うようにキャンプで出かけるのも難しくなるかもしれない」と、ある程度の覚悟はしていたつもりだった。
それなのに、家に入る玄関の段差を上がるのにさえ苦労しているようなフウマを、カヌーだけが目的のキャンプへ連れてきてしまうのだから、しょうがない飼い主である。
ただ、最近のフウマは家にいる時はほとんど寝てばかりなので、車の中に置いていかれても静かにしていてくれるので助かる。
川下りを終えて5時間ぶりに車まで戻ってきても、まだ寝足りないような表情でちょこっと顔を上げる程度なのだ。
午後5時前に、キャンプ場に隣接するスポーツ研修センターに到着。
川下り中は天気も良くて暖かかったのに、車から降りた途端に吹き付けてきた風の冷たさに驚かされる。
風の吹いてくる方向の山なみを見ると、その頂上付近に黒い雲がかかっていた。その雲が山の麓まで降りてきたりしたら、とてもこの程度の寒さでは済まないだろう。
夕食のバーベキューの用意を済ませ、センターの敷地の隅っこに自分用のテントを設営する。
ここの宿泊費として一人1,510円は支払うのだけれど、寝る時はやっぱり畳の部屋で雑魚寝するよりはテントの方が気持ち良く眠ることができる。
それに、建物の中で寝てしまうとそれはもうキャンプとは言えないけれど、こうしてテントの中で寝れば、堂々とその内容をキャンプ日記にもアップできるのである。
最近の例会キャンプではF君が何時もビアサーバーを用意してくれるので、生ビールを飲むことができる。その生ビールをグビッと1杯飲み干すと、吹き抜ける冷たい風も直ぐに気にならなくなってしまった。
川を下っている途中で手に入れたウドや行者ニンニクを、Iさんなどが天ぷらにして食べさせてくれる。スポーツ研修センターの艇庫の前に美味しい匂いが立ち込める。
こんな状況の中で、久しぶりにフウマが以前のような元気を取り戻した。
これまでも何度かこのような団体キャンプを経験しているフウマだけれど、何かを食べている人のそばに張り付いて動こうとしないその食いしん坊振りは、飼い主として恥ずかしくなるくらいのものだった。
そのフウマも最近はすっかり食欲が衰え、それまで食べていたドライのペットフードはほとんど口にしなくなってしまった。歯が弱ってきたのかと思って缶詰などのウェットタイプのペットフードに切り替えたけれど、それも残してしまうくらいの食の細さである。
以前は、散歩中にすれ違ったデブのおばさんから「あら〜、横綱みたいなワンちゃんね!」と失礼なことを言われていたのが、今は撫でると骨の感触が直に伝わってくるほど痩せてしまっている。
ところがこの匂いに釣られて食いしん坊フウマが戻ってきた。
後ろに繋いでいたら、もっと近くに寄りたいと切ない鳴き声を上げ、椅子のパイプにリードを繋ぎなおしてやると、今度は爛々とした目で辺りを見回し、何か食べている人を見つけたら必死になってそこに近づこうとする。
フウマのそんな卑しい姿に、飼い主としては恥ずかしさよりも嬉しさを感じてしまった。
やっぱりこれが本来のフウマの姿なのである。
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