トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2007年キャンプ日記

楽あれば苦あり大沼ラストキャンプ

東大沼キャンプ場(11月3日〜5日)

 我が家のキャンプへ行っている回数は、普通の人と比べれば十分に多いと思うのだけれど、私としては今年はなかなか思うようにキャンプへ行けなかったイメージがある。
 10月のカヌークラブでの例会キャンプを終われば週末の予定も無くなり、思う存分秋の紅葉キャンプを楽しめる。そう考えて張り切っていたところ、私の父親が突然入院することになり、キャンプどころでは無くなってしまった。
 クラブの例会キャンプがそのまま今年のキャンプ納めになってしまうのも何だか味気ないな〜と思っていたところ、手術を前にして父親の様態も安定してきたので、急遽この間に今シーズンのラストキャンプを決行する事に決定。
 ところが既に11月に入ってしまい、オープンしているキャンプ場も限られてくる。行き先をじっくりと考えるような心の余裕も無かったので、今時期でも快適に泊まれそうな東大沼キャンプ場へ出かけることにした。
 大沼まで行って1泊で戻ってくるのも勿体ないので、月曜日に休みを取って2泊3日の日程とする。
 天気は土曜日こそ不安定なものの、日曜月曜と全道的に良くなってきそうな予報である。
 岩内経由の日本海ルートで南下することにした。白波が打ち寄せるこの日の日本海は、早くも冬の訪れを感じさせるものだった。寿都から内陸に入り、黒松内の道の駅に寄ってトワ・ヴェールのパンを購入。その後長万部から高速に乗って八雲まで。
 八雲のモダ石油はリッター135円だったので、まだ半分までも減っていなかったけれど、ここで給油しておくことにする。11月に入り札幌市内では150円のスタンドまであると言うのに、何故八雲のガソリンがこんなに安いのか、全くの謎である。
ラーメン屋東光亭 森町付近で昼になったので、どこか美味しそうな食事処が無いかと国道から離れ森町の市街地を走ってみることにした。
 するとJRの森駅前に「東光亭」と言うラーメン屋があったので、この立地なら不味いラーメンを食べさせられることも無いだろうと考え、そこに入ってみる。
 店に入ったときの第一印象は、「随分従業員の多い店だな〜」だった。ちょっと渋めの店主の他に、5人ほどのおばさん達が元気良く働いている。お客さんに対する愛想も良くて、ここなら美味しいラーメンが食べられそうだ。
 二人ともしょう油ラーメンを注文。これがあっさり系の味でなかなか美味しかった。
 ただスープがやたらに熱くて、食べていてもなかなかそれが冷めず、猫舌の私は食べるのにちょっと苦労させられた。かみさんの話では、この熱さはラードが利いているためだそうだ。そして、この麺ならば味噌味を頼めばよかったと後悔している。なるほど、後で調べてみたらこの店の人気は味噌ラーメンだそうである。
 偶然に美味しい店を発見したことに気を良くして、その後は一路大沼へと向かった。

日暮山から見た大沼園地付近 まずは大沼の手前で日暮山に寄り道し、そこからの大沼や駒ケ岳の展望を楽しむ。
 今年の秋は道内各地で紅葉も遅れ気味と聞いていたので、もしかしたらここ大沼でもまだ美しい紅葉が見られるかもしれないと淡い期待を抱いていた。
 しかし、去年もほぼ同じ時期にこの日暮山にきたけれど、その時よりも確実に紅葉は終わりに近づいているようだ。
 その後、湖畔沿いの道路をキャンプ場まで走る途中でも、所々で散り遅れたモミジが赤く染まっている程度で、周辺の木々は殆ど葉を落として丸裸になっていた。
 やがて、その葉を落とした木々の向こうにキャンプ場のある湖畔の様子が見えてきた。
 東大沼キャンプ場は10月中でクローズしていることになっているけれど、11月上旬はまだトイレも水場も使えるようになっている。
 到着は午後の1時過ぎ。週末で天気も良く、当然数組の先客がテントを張っているだろうと思っていたが、その湖畔にはテントどころか人影も見えない。
 キャンプ場に到着して、まずかみさんがキャンプ場中央のトイレや炊事場の様子を見に行く。そしてかみさんが送ってきた合図は、両腕をクロスさせての×マークだった。
 これはちょっと予定外である。こんな時のために第二候補地として11月上旬までオープンしている上磯ダム公園キャンプ場を考えてはいたけれど、ここと比べると確実に見劣りしそうだ。
 ガッカリしながら、念のために駐車場近くのトイレと炊事場を調べてみたら、こちらの方は使えるようになっていた。最初に見た炊事場もそうだったけれど、こちらも片側の方に「故障につき使用禁止」の張り紙がされていた。どうやら給水系統が故障しているらしい。
 でも、これならばキャンプは可能である。我が家が好きな北側の湖岸のサイトからでは、トイレまでかなり離れてしまうけれど、キャンプができるのならば少しくらいの不便さは全く気にならない。
 他に誰もいなくて、広大なサイトの何処にテントを張るのも自由である。かみさんが選んだのはサイトの中央付近。直ぐ後ろに水の出ない炊事場があり、途中で雨が降り出しても、ここならば屋根の下に避難できると考えたらしい。
 道路上に車を停めて、まずは荷物を全部降ろす。そしてテントを張る場所を決めようとしたけれど、観光客がその付近まで歩いてくるのがどうも気になる。
 それに、確かに夜に雨が降るかもしれないと天気予報で言っていたけれど、それも今夜だけで明日からは良い天気が続くことになっている。
我が家のサイト そう考えると気が変わって、駐車場から離れたもっと北側の方にテントを張ることに変更した。
 全て車から降ろしてしまったキャンプ道具を、今度はそこまで歩いて運ばなければならないけれど、快適なキャンプを楽しむためならば少しくらいの苦労は厭わないのだ。
 湖側からやや強めの風が吹いていたけれど、テントの入り口はやっぱり湖側に向けたい。
 ここのキャンプ場で湖側から吹いてくる西風に悩まされるのは何時ものことである。かと言って直ぐ後ろを道路が通っているので、そちら側にテントを向ける向ける訳にもいかない。
 結局、湖に向かって微妙に斜めに向けながらテントの設営を完了。そのうちに風も弱まってきて、これならば焚き火をするのにも支障が無さそうだ。

 到着した時には青空が覗いていた空も、いつの間にか雲が全体に広がってしまっていた。
 今時期は午後4時を過ぎると直ぐに暗くなってしまうので、テントを張り終えると直ぐに場内を回って枯れ枝を拾い集める。そしてその後は、秋の夜長を焚き火をしながら過ごすだけである。
焚き火をしながらまったりと 今日の夕食はダッチオーブンを使ったビーフシチュー。
 焚き火の上に吊るしてじっくりと煮込むようなダッチオーブン料理は、秋の夜長には打って付けだ。
 時々、顔に冷たいものが当るのを感じるようになってきた。
 霧雨とまではいかないけれど、テントの表面を見ると細かな水滴が付いている。
 そんな状態がしばらく続き、屋根の下に避難するかどうか迷っていたけれど、遠くに見える山の姿が暗闇の中でも霞んできているように見えるので、今のうちに炊事場の中に生活の場を写すことに決定した。
 普通の料理ならば、テントの前室に入れば良いのだけれど、ダッチオーブン料理ではそうもいかないのである。
 料理と食事に必要な道具類だけを、やや離れた炊事場の中へ何度も往復しながら運び込む。
 「私が最初に選んだ場所にテントを張っていれば楽だったのに」と口には出さないけれど、かみさんのそんな視線をひしひしと感じてしまうのであった。
屋根の下での焚き火 そしてスパゲティとビーフシチューの夕食が完成。じっくりと煮込んだビーフシチューは絶品である。
 食後もしばらくその場所で焚き火を続けていたけれど、そのうちに雨も完全に止んだようなので再びテントの前へと生活の場を移すことにする。
 同じ焚き火でも、屋根の下、そしてコンクリートの土間の上でする焚き火ではあまりにも味気なく感じてしまうのだ。
 ユラユラと上がる赤い焚き火の炎を見つめていると、本当に心が落ち着いてくる。
 世の中の全ての人間がこうして焚き火を楽しむようになれば、世の中はもっと良いものに変わる気がする。
 それにしても今時期のキャンプにしては全く寒さを感じない。恒例の気温当てクイズをやったけれど、実際は10度近くあるのに、お互いの予想は4度とか6度とかで、大外れだった。
 暖かな日ばかり続いていたので感覚も鈍ってしまっているようだ。
 ワイン一本を空けて、9時過ぎに就寝。

三日月と火星が明け方の空に輝く 目が覚めるたびに貨物列車の音が聞こえているのは、貨物列車が通る度に目が覚めていると言うことなのだろう。
 木々が葉を落としてしまった今時期は、列車の音もとても大きく聞こえてくるのだ。
 でも寝るときに聞こえていた、波が湖岸を洗うチャポンチャポンと言う音は、全く聞こえなくなっていた。
 5時を過ぎてもテントの中はまだ真っ暗だったけれど、外の様子を見るのが楽しみで起き出すことにする。かみさんも同時に隣のテントからできてた。
 まず最初に目に飛び込んできたのは、雲一つ無い夜空に浮かぶ三日月と金星の姿である。
 然別湖キャンプの時も、この二つが並んで輝く姿に感動したのだけれど、今回はその時よりもお互いの距離が離れてしまっている。
 東の空は既に白み始めていたので、その時のような眩いほどの輝きも無いけれど、濃紺の夜空に浮かぶその姿は何とも言えず美しい。
 そして大沼の湖面は何処までも鏡のように静まりかえり、そこからは真っ白な水蒸気がけあらしのように立ち上っている。
 テントの表面は真っ白に凍りついていた。雲が晴れて風も無くなり、放射冷却で明け方になって一気に冷え込んだみたいだ。
 気温はマイナス3度、今年のキャンプで初めて経験する寒さである。
 その寒さの中で炊事場の水で顔を洗う。気合を入れて水を両手で受け止め顔へとかける。
 手がしびれそうな冷たさだったけれど、その感覚も直ぐに薄れて、その冷たさを全く感じなくなってしまった。考えてみれば外気温より水のほうが温かいのだから、これも当然の話である。

暗いうちから焚き火を始める   美しい大沼の朝

 波で湖岸に打ち寄せられた落葉が霜で真っ白になっている。
 これでようやくラストキャンプらしい雰囲気が出てきたというものだ。
 焚き火の横でコーヒーを飲みながら朝日が昇ってくるのを待つ。遠くに見える山の山頂付近がまず朝の光に照らし出される。
 やがてキャンプ場後方の林の中から朝の光が射し込んできた。それでも我が家のテント付近まではなかなかその光が届いてこない。
サイトの背後に駒ヶ岳が迫る 湖畔から突き出たボート桟橋の先まで行くと、我が家のサイトの真後ろに朝日を浴びた雄大な駒ケ岳の姿が浮かんでいるのが見える。
 サイトから直接この姿を見られないのが本当に残念である。
 朝食を済ませて、こんな素晴らしい朝の時間が何時まで続くのだろうと考えていたら、それは午前9時で終わりを告げた。再び湖からの風が強まり始めたのである。
 然別湖の北岸野営場では、日中は湖側から吹いてくる南の風に悩まされるが、ここ東大沼では湖からの西風に悩まされるみたいだ。
 おまけに朝はあれほど快晴だったのに、駒ケ岳のほうから急に雲が広がってきて、朝の太陽まで隠してしまった。
 まあ、日中は周辺の観光に出かけるつもりだったので、ちょうど良い頃合である。

 周辺観光の最初に向かったのが城岱牧場。函館の裏夜景が見られるスポットとして人気のある場所である。
 その夜景を楽しむために夜にここへ来ることも考えたけれど、そうするとそれまではビールを飲むことを我慢しなければならず、迷った末に日中の展望だけで我慢することにしたのだ。
城岱牧場からの展望 でも、そこからの展望は霞の中にぼやけてしまい、パッとしないものだった。昼間のこんな風景は、時間帯とか天候とか、条件に恵まれた時を狙って訪れないと、感動できるシーンにはなかなか出会えないものである。
 そこから先の行き先は何も考えていなかった。
 私は、まだ行った事の無い五稜郭公園へでもと漠然と考えていたけれど、かみさんはその案に全く興味を示さずに、週末で混んでいそうな街の中へは近づきたくないと言っている。
 結局、今回のキャンプの第二候補に考えていた上磯ダム公園キャンプ場の見学をすることにして、城岱牧場から山を下って函館平野を横断し、西方に見えている山地へと向かって車を走らせた。
 このキャンプ場はダム湖に面した園地の一角、しかも一番低い場所に位置しているのでロケーションもパッとせず、テントを張りたくなるようなキャンプ場ではなかった。
 おまけに、「公園内に絶対に犬を放さないでください」と書かれた巨大な看板が数箇所に立てられているし、ここを第一候補にして来ていたら、何時ものさすらいの旅に出かける羽目になっていただろう。
 サッサとここから帰ろうとしたところ、「釜の仙境」と書かれた看板が目に入り、何となく面白そうなのでそこも見に行くことにする。
 「釜」と聞くと、朱鞠内湖の近くの「釜ヶ淵」を思い出してしまう。一度だけそこを見に行こうとしたけれど、道が悪くて断念し、未だに未開の地のままである。そんなこともあって、似たようなネーミングの「釜の仙境」にとても興味が湧いてきたのだ。
 キャンプ場から釜の仙境までは3〜4kmの道程である。しかしそこから先の山道は、幅は狭いし、路面は荒れているし、崖側の路肩は弱そうだし、落石注意の看板は有っても注意のしようも無いしで、かなりハードな道だった。
 こんな道を走るのは、静内湖キャンプ場から更に奥に入った時と、賀老高原キャンプ場から更に奥に入った時以来のような気がする。「釜ヶ淵まであと○キロ」の看板が所々に立っていたので先に進むことが出来たけれど、その看板が無ければ途中で引き返していたかもしれない。
釜の仙境への急坂を下る そしてようやく「釜の仙境」の入り口に到着。駐車場には先客の車が1台停まっていた。そこに立てられている大きな案内看板を見ると、その付近には散策路も張り巡らされているようである。
 早速身支度を整えて、入り口の急な階段降りようとすると、若い二人連れの男女がふうふう言いながら下から登ってくるところだった。
様子を聞いてみると「大変だけど、凄い綺麗ですよ〜」とのこと。嬉しくなって先を急いでしまう。
 急な崖をジグザグに下に降りていく遊歩道は、朽ち果てた丸太階段が落葉に埋もれているので、足元に注意しながら歩かなければならない。
 でも、途中に滝があったり、やがて眼下に美しい渓流が見えてきたりと、そんな道も全く苦にならない。最後の部分は周りの草にしがみ付きながら、ようやく川原まで降りることができた。
 谷底を流れる渓流、澄んだ水の上を落葉が次々と流されていく。
 フウマが直ぐにその中に入って泳ぎ始めた。こんな美しい川で泳ぐのは、フウマにとっても気持ちが良いのだろう。
 頭上を見上げると、風に吹かれて次から次へと落葉が舞い降りてくる。
 下手な観光地へ出かけるよりも、我が家にとってはこんな場所の方が心が安らぐのである。しばらくそこで時間を過ごしてから、再び急な坂を登って駐車場まで戻ってきた。
 そこで改めて案内看板の地図を見てみると、自分達が降りて行ったのは、肝心の「釜が仙境」と言われるところとは違う場所だったみたいだ。
 もう一度そこまで行くような時間も無かったので、「釜が仙境」の姿は見ないままそこを後にすることにした。
 「釜ヶ淵」に続いて、またしてもその釜の姿を見ずに終わってしまった。どうも我が家は釜には縁が無い様である。

谷底の渓流   美しい渓流

 道道まで戻って少し走ると、「松前藩戸切地陣屋跡」の看板を見つけて、そこにも寄り道することにした。道路地図にも名所旧跡として載っていたので、少し興味があったところでもある。
 道路地図を頼りにそんな場所を訪ねていると、たまに「何だここは・・・」とガッカリしてしまうようなところもあったりする。殺風景な広場の真ん中に石碑がポツンと建っているだけとか。
 まあ、それはそれで旅の面白味の一つでもある。
桜並木 「ここも陣屋跡と言うくらいだから、ただ跡があるだけだったりして」何て考えながら道を走っていくと、途中からその道の両側にサクラの老木が並木のように続いていて、驚いてしまった。
 「もしかして、ここって凄い場所なの?」
 その桜並木は陣屋跡の入り口らしい場所まで真直ぐに続いていた。
 その横の駐車場に車を乗り入れたけれど、その駐車場がまたサッカーグランドが2面くらいはスッポリと入ってしまいそうな広さである。
 どうやらここは桜の名所となっているらしい。
 桜が咲く時期にはこの広い駐車場も車で一杯になってしまうのだろう。
 そして土手に囲まれた陣屋跡へ足を踏み入れると、歴史を感じさせる松や桜の巨木を見て思わず嬉しくなってしまった。
 山の中にある巨木と違って、人間の手で植えられた樹木がこのように大きく育っているのを見ると、そのままそこに歴史を感じてしまうのである。
 内部には建物は何も無く、その遺構跡にそれぞれ説明の看板があるだけだった。ここに建物を復元したらもっと魅力のある名所になりそうだと考えたけれど、入り口にあった説明看板を読んでその考えは直ぐに吹き飛んでしまった。
 1855年に作られたこの松前藩の陣屋は、その僅か13年後、函館戦争の時に相手方に陣屋が使われないように、建物に火をつけ焼き払ったそうである。
陣屋跡内部の様子 建物が何も無いことがそのままここの歴史なのだろう。
 土手の上に登ってみると遥か遠くに函館山の姿も見通せて、当時の様子が何となく頭の中に浮かんできた。
 去年の秋の道南キャンプ旅行以来、松前藩とか函館戦争などの歴史に興味が湧いてきて、それもあって今回は五稜郭公園にも行ってみたいと考えていたのである。
 でも、観光客の誰もいないこの松前藩戸切地陣屋跡の方がじっくりと歴史を感じとることができて正解だった気がする。

 そこを後にして、次は函館ワイナリーでワイナリー限定ワインを購入。
 既に午後の1時を過ぎていたので、国道沿いに手打そばの看板を見つけて「田舎亭」と言う店に入った。どうも私の場合、国道沿いにあるこんな店は、たとえ手打ちそばの看板が掲げられていても、本当に手打ちなのか?と疑いの目で見てしまう傾向にある。
 でも、この店は違った。田舎そばにしてはもそもそした感じも無く、なかなか美味しいそばである。それにメニューの中にじゅんさいおろしソバがあったのも嬉しかった。それぞれの地方でその地域の産物を食するのはやっぱり楽しいものである。
 次に寄ったのは「北海道昆布館」。昆布好きのかみさんには憧れの店のようである。
 広い駐車場にはずらりと観光バスが並び、普段はそのような施設には絶対に近づこうともしないかみさんが、それを意にも介さずにスタスタと売り場に向かい、ダシ昆布等を購入してご満悦の様子だ。
 最後に流山温泉に入って本日の観光は終了。
 ここの温泉にはキャンプ場が隣接していて、キャンピングカーも数台停まっていた。湖畔のキャンプ場と違って、ここではサイトから駒ケ岳の美しい姿を直接望むことができる。
 温泉やパークゴルフ場が目の前にあるし、これまでは全く興味も無かったけれど、最近ここに泊まった人の話を聞いて、「もしかしたら意外と快適なキャンプ場かも」なんて思っていたりした。
 それで初めてサイトの中に足を踏み入れてみたけれど、やっぱり周りの施設が気になってしまい、テントを張りたくなるような場所ではなかったのである。

風の強い夕暮れ キャンプ場に戻ってきても、風の強い状況に全く変わりは無かった。夕方になれば止むだろうとの期待も空しいものになりそうだ。
 キャンプ場の周りを散歩していると手頃な枯れ枝が沢山見つかり、何時もの癖でついついそれを拾い集めてしまったけれど、この風が止まなければ焚き火もできない。
 サイトまで持ち帰っても無駄に終わるかもしれないので、キャンプ場の隅の方にそのまま置いておく事にした。
 日が沈んでも相変わらず風は止む気配が無い。
 今夜はダッチオーブン料理ではなくキムチ鍋を予定していたので、焚き火ができなくても問題は無いけれど、テントの中に籠もったまま過ごすと言うのは何とも味気ないものである。
 ここのキャンプ場では湖側から風が吹く時でも、駐車場に隣接する林間部分だけはその風がほとんど遮られて、快適に過ごすことができる。
 そのことは分かっていても、キャンパー以外の車が頻繁に駐車場に出入りするし、どうしてもここにテントを張る気にはなれない。空には星達が沢山輝いていたけれど、結局この夜は最後までテントの中で過ごすことになってしまった。

12時過ぎに目覚めた時は湖の波の音もかなり弱まってきていたけれど、3時頃に目覚めた時は再び波の音が激しくなり、テントも風で揺れるようになっていた。
「まさか、朝になっても風が止まないのだろうか?」心配しながらも再び眠りにつく。
そして次は、貨物列車の音で目が覚めた。ところが聞こえてくるのはその音だけで、一晩中続いていた波の音の方はは全く聞こえなくなっていた。
まだ暗いうちから、かみさんと同時にテントから起き出した。
そこで目にしたのは昨日の朝とほとんど変わりの無い風景。夜空に輝く三日月と金星、そして静まり返った大沼の姿である。
若干の違いは三日月と金星の位置関係、そして昨日の朝ほどは冷え込んでいないので、湖面から立ち上る水蒸気も少な目であることくらいだ。

再び最高の朝の訪れ   最後の焚き火を楽しむ

 家から持参してきた薪がほとんどそのまま残っているので、直ぐに焚き火を始める。シーズン最後のキャンプで薪を持ち帰るのも馬鹿らしいので、ケチることなく次々と薪をくべ続けたけれど、結局最後は少し残ってしまい、再び持ち帰ることになってしまった。
 当然、昨日の夕方にサイトの隅に確保しておいた枯れ枝には手を付けずじまい。
 もしも昨日の夜に風が吹いていなければ、それらも含めて完璧に燃やし尽くしていたはずなのに、今回のキャンプで心残りだったのは唯一このことだけである。
 昨日の朝は、あまりの素晴らしい風景に興奮してカメラを構えて走り回っていたけれど、さすがに二日目の今朝は、落ち着いて目の前の風景を楽しむ余裕が出てきた。
岸に流れ着いたアオコ この美しい大沼の中で、一つ気がかりなのは湖岸に打ち寄せられた大量のアオコのことである。
 一晩中風が吹いていたので、桟橋の周りの湖面は打ち寄せられたアオコで緑色に染まってしまっている。
 特に駐車場近くの水門付近は水の流れが無いものだから、そこに大量に溜まったアオコが腐って、異臭を放っているような有様である。
 大沼のアオコについては10年以上前から気になっていたけれど、現在はその頃よりも更に酷くなってきている様な気がする。
 アオコ発生の原因は湖沼の富栄養化、特にリンの濃度が影響しているみたいだけれど、果たして大沼ではこの富栄養化への対策がとられているのだろうか?
 このまま富栄養化が進み続ければ、風向きによってアオコが集まりやすいこのキャンプ場付近は悲惨な場所に変わってしまうかもしれない。
 この素晴らしいキャンプ場の環境をこれからも守り続けるためにも、関係機関に早めの対応をお願いしたいところである。

 シーズン最後のキャンプで、太陽の光を浴びながらキャンプ道具の片づけができるのは、本当に幸せな気持ちになれる。
 なかなか乾かずにいたテントの濡れた部分も、お決まりの9時頃から吹き始めた風のおかげで完璧に乾かすことができて、最後の撤収が完了した。
カラマツと駒ヶ岳 帰りは駒ケ岳山麓の道を走って、その姿を堪能する。ほとんどの木々が葉を落としてしまった中で、まっ黄色に色付いたカラマツ林の姿がとても印象的だ。
 そのカラマツ林の中を突き抜ける道路の先に駒ケ岳の山頂が見えていた。その光景に思わず感動の叫びを上げてしまう。

 札幌まで帰る途中、二股ラジウム温泉に寄ってみた。日帰入浴料が一人1000円とやたらに高いけれど、一度ここの石灰華ドームを見たかったので、その値段は我慢することにした。
 ここの温泉は完全に湯治客用の施設と言った風情で、洗い場のシャワーどころか水道の蛇口も付いていない。でも、露天風呂から見る石灰華ドームは期待通り素晴らしかった。まさに自然が作り出した造形美である。
 それを見てしまえば、元々があまり長湯をするタイプではないので、30分もしないで出てきてしまった。
 折角の素晴らしい泉質の湯に、おまけに千円も払って、何だか勿体ない気もしたけれど、まだ札幌までの道程は遠いのである。
 既に昼を過ぎていたので、黒松内のセイコーマートでコンビニ弁当を買って、ぶなの森の駐車場でこれを食べる。
 ごく最近、キャンプからの帰り道、全く同じパターンでここでコンビニ弁当を食べた気がするけれど、それが何時のことだったか、何処のキャンプ場に泊まった帰りだったのか、全く思い出せないのは困ったものである。
 札幌まで帰り着くまでに、3箇所もネズミ捕りと遭遇した。そのうちの1回は遅い車の後ろを走っていて助かったけれど、後の2回は対向車がパッシングで教えてくれたので無事に通過することができた。
 最近はこうして対向車に教えてくれるドライバーも減ってきたような気がするけれど、今回は「世の中まだ捨てたもんじゃない」と少し嬉しくなってしまった。
 こうして無事に(本当に無事に)、今年のラストキャンプを気持ち良く終えることができたのである。

大沼キャンプのアルバムへ 





戻る   ページTOPへ