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快適なキャンプ場って何だろう

風車の見えるキャンプ場(9月16日〜17日)

 剣淵町から日本海側へ向かう途中、幌加内町の霧立亭で蕎麦を食べることにした。ここは周辺にほとんど人家も無く、店の前の国道もたまにしか車が通過しないような場所である。
 2回程この店に入ったことがあるけれど、店内は何時もガランとしていた。それが何故か今日は、国道まで路上駐車の列ができていたので驚いてしまう。
 恐る恐る店内に入ってみると、かろうじてテーブルが一つ空いていたので何とか座ることができた。それにしても、我が家に続いてもう一組でも客が入ってきたりしたら、空席待ちで並ぶことになっていたのだ。この霧立亭で行列ができるなんて前代未聞のことだったかもしれない。
 新蕎麦の美味しい季節を向かえ、ここでこれだけ客が入っているのだから、幌加内の市街地にある蕎麦屋の前には長い行列ができているのだろう。
 蕎麦を食べ終わり、そこから苫前に抜ける道道を車を走らせる。
 途中から上空には真っ青な空が広がってきた。その青空を見て今日の目的地を初山別村みさき台公園キャンプ場に決定する。
 腹案として、今年に入って閉鎖されてしまった某風車の見えるキャンプ場に泊まることも考えていたけれど、雨の後で空気も澄んで、これならばみさき台公園から利尻富士の姿も美しく見えるだろうと考えたのだ。
 それにやっぱり、閉鎖されたキャンプ場よりはオープンしているキャンプ場に泊まった方が快適なのである。
 つい先ほどまで雨が降っていたのだから、先客なんているわけが無い。もしかしたら貸切かも。
 かみさんが「そんなこと、あるわけ無いでしょ!」と、またしてもチェックを入れてきたけれど、私はもう完全にルンルン気分になっていた。
 以前ここに泊まった時は、どんよりとした曇り空だったので、今日こそ本当のみさき台公園キャンプ場の素晴らしさを知ることができるだろう。
国道からキャンプ場の案内看板にしたがって脇道へ曲がりそのまましばらく進むと、天文台などの施設が見えてくる。その前の駐車場がやたら賑やかだった。そこに停まっているのは、キャンピングカーとか如何にも車中泊っぽい車ばかりだ。
 灯台前の芝生のテントサイト横にも、キャンプ道具を降ろしている最中の車が数台停まっていた。
 「さ、さすがに人気のあるキャンプ場だな〜、これじゃあ下のサイトにテントを張るしかないかな。」
 ここのキャンプ場は灯台の前に広がる芝生広場が本来のテントサイトなのだけれど、そこから一段下がったところにも駐車場があって、その周りの芝生地にもテントを張ることができるのだ。
 灯台の脇を通って坂道を降りていく途中、目の前に現れた光景に思わず車のブレーキを踏み込んでしまった。
 「ゲゲッ、何だこりゃ!」
 駐車場はほぼ満車、そしてその周りには隙間無くテントが立ち並び、夏休みのハイシーズンと全く同じキャンプ場の風景が広がっていたのだ。慌ててUターンすると、直ぐにまたキャンプ道具を積み込んだ2台の車が坂道を下りてきた。その車が通り過ぎるのを待って、そこから逃げ出した。
 これならば上のサイトの方がまだ空いている。
 入り口の直ぐ近くではファミリーが大きなテントを設営している最中だった。奥のほうは荷物運びが大変なので、まだ誰もテントを張っていない。
 「ここなら良いかな・・・」かみさんに語りかけたけれど、返事が帰ってこない。
 近くで柵に繋がれた2匹の犬が猛烈に吠えまくっていて、煩くてたまらない。ここにフウマを連れて来たらもっと大変なことになりそうだ。
 「やっぱり、やめよう」
 我が家はもう、こんなところではキャンプのできない体質になってしまっている。たとえテントを張ったとしても、何も楽しいことが無いし、それどころか苦痛さえ感じてしまいそうだ。
 キャンプに求めているものが、一般的なファミリーキャンパーとは完全に違うものになってしまっているので、どうしてもこのような雰囲気のキャンプ場には馴染めないのである。
 逃げるようにそこを後にして、最初に考えていた風車の見えるキャンプ場へ向かうことにした。

 途中でキャンプ道具を積んだ何台ものバイクとすれ違う。キャンピングカーとも何台かすれ違った。ここから北へ向かうとしたら、みさき台公園くらいしかない。 たとえ、みさき台公園の奥のほうにテントを張ったとしても、この様子では直ぐにその周りもテントで埋まっていたことだろう。
 宿泊地を変更したのは正解だったかなと思いながらも、これから向かう先について不安が無いわけでもなかった。
 「キャンプ場は閉鎖されたけれどトイレはまだ使える」との情報をかなり前に聞いていたけれど、それも確実なものではない。
 サイトの草は刈ってあるのだろうか?春先ならば良いけれど、今時期で草を刈ってないとしたら、とてもテントなど張れないだろう。
 国道から離れ、心配しながらキャンプ場へ続く坂を上がった。そしてそのまま芝生のサイトへ車を乗り入れる。
素晴らしいテントサイト するとそこには数年前に泊まった時と何も変わらない、あの快適なサイトがそのまま残っていた。
 何も邪魔するものが無く目の前に広がる日本海、そして風車の立ち並ぶ風景、間近に聳え立つ風車からはビュンビュンと風切り音が聞こえてくる。
 そして綺麗に刈り込まれた芝生。とてもここが閉鎖されたキャンプ場だとは思えない。
 ここからは利尻富士が見えないだけで、みさき台公園キャンプ場よりも遥かに快適である。
 トイレをチェックしてみると、サイト近くの1基は鍵が掛かっていたけれど道路際の方は使えるようになっていて、何とトイレットペーパーまで置かれていた。
 隣の管理棟に使っているようなプレハブを覗いてみると上平部会の文字が見えた。隣接している牧場に関連する部会らしい。 この部会の人達がこのキャンプ場を管理してくれているのだろう。何ともありがたい話である。
 道路を挟んで反対側にも良いサイトがあるのでそちら側も見に行ってみると、そこのトイレも使えるようになっていて眺めも素晴らしい。ただ、崖ギリギリまで近づくとその下の民家が見えてしまうのがちょっと気になり、やっぱり最初の場所にテントを設営することにした。

夕日に赤く輝くハマナスの実 今日はいつも通りにソレアードを設営。でも、昨日張った二つのテントも乾かさなければならないので、それらも一緒に張ることにした。
 さすがにタープまで張るわけにもいかないので、それは芝生の上に広げて乾かすことにする。
そして一通り作業が終わったところで「苫前温泉ふわっと」に入りにいく。
 ここは露天を含めて四つの浴槽があるけれど、その全てが小さい。最初に入った時は「あれ?大浴場は何処にあるの?」と思ってしまったくらいだ。
 まあ今日は、体を洗うためだけに来たようなものだから、そんなことも大して気にならず、サッサと風呂から上がってキャンプ場まで戻ってきた。
 そして日本海の風景を眺めながらビールで乾杯。「フーッ」と最高の満足のため息をついた。
 これだからキャンプは止められない。
 ハマナスの実が太陽の光を受けて赤く輝き、ススキが風を受けてたなびいている。
 キラキラと輝く海の向こうには天売、焼尻の島の姿が見えている。

海の向こうに天売・焼尻が見える   風車の風景も美しい

 向かい側のサイトにはトレーラーの夫婦キャンパーがやって来ていた。
 我が家と同じく犬連れのようだ。その犬が楽しそうにサイトを走り回っている。まだ到着したばかりらしく、周りの風景を眺めて感動している様子がこちらまで伝わってきた。
向こうのサイトも素晴らしい 思わずこちらからも手を振って、素晴らしいキャンプ場にたどり着いたその喜びを、一緒に分かち合いたくなってしまった。
 濡れたテントはすっかり乾いていた。
 折角張ったテントをそのまま片付けるのも無駄なので、小さなテントをそのまま使って、ソレアードの方はインナーテントを外して、スクリーンテント代わりに使うことにした。
 前室部分だけだとそこにテーブルを入れるとさすがに窮屈だけれど、インナーを外すと二人で使うには広すぎるような空間ができる。
 やや風が強いので、そのスペースがとてもありがたく感じる。
 折角荷物をコンパクトにするためにソロ用テントを新しく買ったのに、「こんなキャンプスタイルも良いかも」なんて考えているようでは、逆に荷物が増えることになってしまいそうだ。
 夫婦でキャンプするのにテントを三つも張っているようなキャンパーなんて、まず他にはいないだろう。

 そしていよいよ夕暮れが迫ってきた。
 ウィンドファームの奥の方には風車群をシルエットにした夕陽を楽しめるスポットがあるらしいけれど、既にビールを飲んでしまっていたので、今日はこのままサイトからの夕陽を楽しむことにした。
 ちょうど太陽が沈む辺りに雲が広がっていて、その雲がまた今日のサンセットショーを演出してくれる。
 一旦雲に隠れた夕陽がその下から再び姿を現す。そして真っ赤な夕日が水平線に触れた瞬間、夕日の接した部分から水平線の上にその赤みが流れ出した。
 久しぶりに完璧な日の入りの様子を見ることができた気がする。
 風車群の背景の空にはまだ青みが残っていたけれど、しばらくするとそこに浮かぶ雲たちが赤く染まり始めた。
 そしてその赤みが薄れてくると、今度は日の沈んだ西の空に浮かぶ雲が血のような赤に染まってくる。
 思わずスタンディングオベーションをしたくなるような今日のサンセットショーだった。

雲が夕日に表情を作る   夕日が水平線に接触

焚き火タイム 夕食を済ませた後は焚き火タイム。
 天売島、焼尻島の灯台が点滅しているのが見える。島の街の灯りも水平線上に一列に並んでいる。
 次第に雲が広がり初めて、上空の星たちを隠してしまったのがちょっと残念だ。
 今夜もそれぞれのテントに分かれて眠りにつく。
 夜中に目が覚めると、風車の風切り音が更に大きくなっているような気がした。少し風が強くなってきたようだ。
 時折テントが揺らされる。そう言えば、小さなテントには両方とも張り綱を張っていたけれど、肝心のソレアードには何もしていなかったのを思い出す。
 それが気になって眠れないので、しょうがなく一旦起き出してソレアードを張り綱で固定した。
 これでようやく安心して眠ることができる。

風車群を染める朝日 朝目が覚めてテントの外を覗いてみると、早くも東の空が赤く染まってきていた。
 ここでは風車の背景から登る朝日も見逃せない。慌ててテントから起き出した。
 空は雲に覆われていたけれど、東の空だけはその雲も途切れていて、何とか朝日を見られそうだ。
 6年前にここで見た朝日の風景ほどでは無かったけれど、風車をシルエットにして登ってくる朝日の姿は見ごたえがある。
 国道沿いにあるらしい「夫婦愛の鐘」という場所からも、風車群と朝日の姿が美しく見えると「なまら蝦夷」No.6に書いてあったけれど、できればその場所から朝日を見てみたかった。
 風が強く、雲も広がってしまったので、今日は早めに撤収して、のんびりと観光しながら札幌まで戻ることにする。

夫婦愛の鐘の前で ところで「夫婦愛の鐘」って何処にあるのだろう。
 そう思って周りを良く見ると、何のことはない、サイトのすぐ目の前に見えていた海側の丘の上に何やらそれらしいものが建っている。
 帰り際にそこに寄ってみると、錆び付いた愛の鐘がハートの真ん中にぶら下がっていた。
 でも、国道沿いにも何の看板も無くて、車で走っていてもその存在には誰も気がつかないようなところにその「夫婦愛の鐘」があるのだ。
 一体この施設は何なんだろう?
 「もしかして、ここを訪れた夫婦には何か悪いことが起こるのかも・・・」
 何だか恐ろしくなって、鐘も鳴らさずに早々にそこから退散した。

 留萌市の海岸線を走ると黄金岬キャンプ場とかゴールデンビーチるもいのキャンプ場がある。黄金岬には車中泊の車が、ゴールデンビーチでは砂浜で一組のキャンパーがテントを張っていた。
 混んではいないけれど、私にとってはあまりテントを張りたくなるようなキャンプ場ではない。
そのまま南下して増毛町に立ち寄る。
 市街地の道を走っていると、風格のある木造の校舎が目にとまった。昭和11年建築の増毛小学校である。
 この木造校舎が、まだ現役で使われているというのが凄いところだ。開校当時は1000名近い生徒数だったそうだが、今は6クラス200名程に減ってしまったそうである。
 窓枠は大部分がアルミサッシに変えられているけれど、まだ木の窓枠も残っている。玄関が三ヶ所に分かれているのも、昔の小学校らしくて懐かしさを感じる。
 内部を見ることはできないけれど、その外観だけでも一見の価値のある建物だ。

増毛小学校   増毛小学校正面玄関

 旧商家丸一本間家を見学してみる。
 鰊漁で栄えた増毛の当時の繁栄ぶりが偲ばれてなかなか興味深かった。炭坑や漁業、林業などが大きな産業だった昔の北海道。その中で地方の都市や山深い場所の町々まで人が溢れ、活気に満ちあふれていた時代が、最近とても懐かしく感じられる。
 この増毛町のように、その頃の建物が一部に残っているところもあれば、十勝三股のようにすっかり自然の姿に戻ってしまったところもある。昔の姿を思い浮かべながら、そんな場所を訪ね歩くのも、なかなか面白い。
 旧商家丸一本間家の他に国稀酒造も観光スポットになっているけれど、我が家は日本酒を飲まないのでこちらにはあまり興味がなかった。
 他にも古い建物が所々に残っている。
 鈴木かまぼこ店で揚げたてかまぼこをテイクアウトし、それを頬張りながら町の中を歩くのが、如何にも観光客らしくて楽しくなってきた。

旧商家丸一本間家   古い建物

 増毛町を後にして、最後に浜益の千本ならを見に行くことにした。
 この千本ならはかなり昔に見に行こうとしたことがあるけれど、当時は道が悪くて、何処にあるかも分からずに、結局千本ならには会わずじまいだった。
千本なら それが現在は道路も舗装され、立派な看板も立てられ、すっかり観光地化していたのにはビックリしてしまった。
 巨木を見るのなら、やっぱり苦労してたどり着く方が、その時の感動が大きい気がする。
 直径2メートル、樹高30メートル級の大木が3本、大きく枝を広げているけれど、周りに他の木が多いので、なかなかすのスケールを実感できない。
 千本ならへ行く途中の毘砂別の展望台でコンビニ弁当のお昼にする。
 ここには水洗トイレも建てられていて、紅葉の時期に野営するのにも良さそうな場所だ。

 楽しかった3連休キャンプもこれで終わり。
 キャンプに周辺観光をセットするのが、最近の我が家の行動パターンになってきたようだ。

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