そうして出来上がった我が家のサイトは、何時ものキャンプとは全然違っていて、何だかとても新鮮に感じられる。
タープを張らないときは、ソレアードの小さな前室をリビングにして慎ましく生活していた。それが今日は、4面全てがガラス張りの広々とした豪華リビングに引っ越してきたかのような雰囲気である。
そして4面ガラス張りの窓から見える景色も素晴らしい。
何年ぶりかでこのシラカバの点在する芝生広場にテントを張ったけれど、こんなに素晴らしいところだったのかと改めて見直してしまった。
雨に濡れた芝生や木々が、その緑色を一層際立たせているためだろうか。とてもしっとりとして落ち着ける風景が、周囲に広がっているのだ。
傘を差して場内を少し歩いてみる。
前回ここに来た時は、芝生広場のサイトがテントで埋まっていたので、駐車場隣のシラカバ林の中にテントを張って、貸しきり状態の静かなキャンプを楽しんだものである。
そこは下地が土なので、さすがにこんな雨の中ではテントを張る気にはなれない。
その周辺の林も下草が刈られていて、その中を歩きやすくなっている。如何にもキノコが生えていそうなので一生懸命探したけれど、まだ時期が少し早いのだろうか、ベニテングダケが数本大きくなっているくらいだった。
夕食はすき焼きで簡単に済ませる。その後は、何時ものキャンプならば焚き火タイムになるのだけれど、今日はタープを叩く雨音を聞きながら時間を過ごすしかない。
ポツポツと降っている間はその雨音にも風情が有ったけれど、雨の降り方が強まるにつれて、次第にそれがやかましく感じられてくる。
タープを張る場所には十分に注意したつもりだけれど、その下に座って周りを見渡すと、何となく周囲のほうが高くなっているように感じてしまう。
これ以上雨が激しくなってタープの下が水溜りになってしまわないか、ちょっと心配になってきた。
でも、川原にテントを張っている訳ではないので、例え200ミリの雨が降ったところで、それほどの大事件にはならないだろう。
何時もより早く、9時前にはそれぞれのテントに分かれて、激しさを増す雨音を聞きながら眠りにつく。
途中で目を覚ますと、寝るときにはボツボツボツと分かれて聞こえていた雨音が、一つに繋がってザーッと言う音に変わっていた。
「大丈夫かな〜」と考えているうちに、そのまままた眠ってしまった。
何度目かに目を覚ますと、テントの中が薄らと明るくなってきていた。雨音もほとんど聞こえない。たまにポツポツと聞こえるのは、隣のシラカバの木から水滴が落ちてくる音だろう。
隣のテントからもゴソゴソと音が聞こえてきて、二人同時に起き出した。
空はまだ曇っているけれど、どんよりとした曇り空ではない。予想よりは天気の回復が早いみたいだ。
朝の散歩で湖畔の園路を歩いてみる。
昔はキャンプ場の入り口に温泉施設があって、そこでレンタサイクルを借りてこの湖畔の園路を走ったことがあった。
その時は確かフウマもまだ子犬で、自転車のかごに乗せていた記憶がある。
散歩をしながらそんな昔を思い出していた。
完全に雨も上がり、タープの外にイスを出して朝のコーヒーを味わう。
昨日は豪華リビングを演出していてあんなにありがたく感じていたタープが、いざ雨が上がるとただの邪魔者にしか思えなくなる。
やっぱりタープは、我が家にとって雨の時にしか必要の無いものなのである。
もちろん夏の日差しの強い時にも役に立つけれど、我が家の場合そもそもそんな時にはキャンプへは出かけないのだ。
天気予報を確認すると、今日は道北や日本海側の方が天気が回復するみたいなので、今日は何処か日本海側のキャンプ場に泊まることにする。
そして午前中は、当初考えていたとおりに士別周辺の丘めぐりに出かけることにした。他にも神門の滝探検などのメニューも考えていたけれど、キャンプ地が遠くなってしまったので、そこはまた次の機会に譲ることにする。
行き先が決まったので、早々に撤収を開始した。テントもタープも濡れたままだけれど、次のキャンプ場で乾かせば良いので、雑巾でさっと水を拭き取っただけで袋の中に詰め込んだ。
キャンプ場を後にし、湖畔の展望台に登ってみる。そこからはちょうどキャンプ場周辺の様子が一望できる。
展望台の横ではオオカメノキが早くも色付き始めていて、その実も鮮やかな赤色に染まっている。周辺の木々も、気の早い一部の葉が赤や黄色に色付いて、秋の気配を感じさせていた。
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