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タープのリビング岩尾内湖キャンプ

岩尾内湖白樺キャンプ場(9月15日〜16日)

 ほぼ2ヶ月ぶりになる我が家単独でのキャンプ。
 仕事のストレスもたっぷりと溜まって、こうなると私の場合何時も遠くに出かけたくなってしまう。
 候補地に浮かんできたのは兜沼公園キャンプ場、和寒南丘森林公園キャンプ場、然別峡野営場の3ヶ所で、何れも9月でクローズしてしまうところだ。どうせならば10月に泊まりたい場所だけれど、それが叶わないのであればせめて今のうちに泊まっておきたい。
 この中でも本命は和寒南丘森林公園キャンプ場だった。今回は名寄・士別・和寒などのあまり知られていない場所をじっくりと回ってみようと思い、そのベースキャンプとして初めての利用になるこのキャンプ場を考えていたのだ。
 ところが待ちに待った三連休がスタートから雨の予報。北へ行くほど天気が良いというので、まずは然別峡が候補から脱落した。
 土曜日の朝は、札幌を出るときから既に雨が降り出していた。その朝の天気予報では昼頃から雨が降り出すと言っていたのに、本当に当てにならない天気予報である。こうなると天気予報など当てにしないで自分で判断しなければならない。雨雲レーダーを確認して、その様子で兜沼か和寒にするか、走りながら決めることにする。
 高速道路が三笠〜美唄で通行止めだったので、三笠インターでの渋滞を避けて手前の岩見沢インターで一般道に降りる。ETCの通勤割引で深川まで半額料金になるところなのに、岩見沢で降りなければならないのはとても損した気分だ。
 一般道路もその影響で渋滞中。それを避けようと脇道に入ったところ、道を間違えてグチョグチョになった田んぼのあぜ道に入り込み、最後はとうとうそこも行き止まりになってしまう。そんな状況で大きくタイムロスしながら、美唄から再び高速道路に戻った。
 兜沼に向かうためには、深川ジャンクションから留萌方面に抜けたほうが近道になるけれど、まだその時点では目的地をはっきりと決められず、とりあえず道央道を旭川方向に走り続ける。
 雨は相変わらず降り続いているけれど、舗装面を見ても水たまりがどこにも出来て無い。どうやら雨雲の先端付近を雨雲と一緒に移動しているようである。

水の抜かれた貯水池 和寒町でインターを降りて、まずは南丘森林公園へと向かう。
 ここのキャンプ場は、サイト間近に迫る貯水池の水面とそこに映える湖畔のシラカバ林などが北欧風の風景を織り成し、ガイドブックの写真などでそれを見て、一度は泊まってみたいと考えていたキャンプ場である。
 ペット禁止のキャンプ場なのでこれまでは躊躇っていたけれど、利用者の少ない時ならばそれほど厳しく規制されていないとの話を聞いたので、ようや行ってみる気になれたのである。
 ところが現地についてガックリ、貯水池の水が全て抜かれてしまって、北欧風どころか何処かの土取り場のような殺伐とした風景が広がっていたのだ。
 とりあえず駐車場に車を停めて少し場内を歩いてみる。
 平らな部分は少ないけれど、所々にテントを張りたくなるような場所も見つかる。でも、そこから見えるのは水の抜かれた茶色の湖底である。
 かみさんは車から降りようともしない。かみさんが気に入らないのは湖畔に立つ管理棟のようである。管理棟はそもそも目立たないように場内の隅のほうにあるべきなのに、ここでは展望テラスなども併設されているので、そのような湖畔の一等地を占めているみたいだ。
シラカバ林は良い雰囲気だけど・・・ 私は大して気にならないけれど、かみさんは如何にも監視されながらキャンプをしている感じが気に入らないと言う。
 どっちみち私もここに泊まる気は無くなっていたので、次の行き先を考えなければならない。
 雨雲レーダーを確認すると、いつの間にか稚内方面まで雨雲が広がりつつあった。これでは、雨を避けようと兜沼まで200km近い道程を走ったとしても、そこでも雨に降られてしまうことになりそうだ。
 今日はこれから夜にかけて雨が激しくなり、ところにより100ミリを超える大雨になり、雷、突風も伴いそうだとラジオで放送していた。
 そうなると車を横付けできるオートサイトが望ましい。そしてフウマが泥だらけにならないように芝生のサイトの方がありがたい。でも、一区画3000円もするようなオートキャンプ場には泊まりたくない。
 そんな条件をこの近くで満たしてくれるところと考えたら、岩尾内湖シラカバキャンプ場がまさに打って付けの場所だった。
 ようやく行き先が決まったので、これで落ち着いて昼めしを食べることができる。
大勝食堂のしょう油ラーメン 向かった先は和寒町の大勝食堂。この店は結構有名らしく、メニューは500円のしょう油ラーメンと大中小のライスだけ。何時もはラーメン屋でライスを注文することなど無いのだけれど、ここではラーメン以外の唯一の貴重なメニューなのでついつい小ライスを付けてしまった。
 この50円の小ライス、お茶碗に山盛りで出てくるものだから、とても小とは言えないような代物だった。
 麺はやっぱり旭川ラーメン風で、これはどうも我が家好みではない。
 スープはまずまず、と言うか大盛りの小ライスを食べるのが大変で、スープはご飯のおかずぐらいにしか感じなかったのが実際である。
 かみさんの感想も「まあこんなもんじゃない」と素っ気ない。500円で普通に美味しいラーメンを食べられるのだから、これで十分だろう。
 その後は、かみさんの指示により剣淵の道の駅でパンを購入。かみさんも事前にリサーチしていたらしく、この両方とも「なんまら北海道」の中のまんぷくメニューで紹介されているらしい。
 そこから岩尾内湖へ向かう途中、マッケンジーファームの看板を見かけた。ここも一応チェックしていた店だったけれど、大盛り小ライスで既にまんぷく状態だったので、已む無く通り過ぎることにする。

 そうして岩尾内湖シラカバキャンプ場に到着。
 「この天候では今日は貸切キャンプかな」なんて考えながら駐車場に入っていくと、何故か場内は結構な賑わいだった。バンガローが2棟ほど埋まっているのは分かるけれど、サイトにもテントが2張りとトレーラーが2台、駐車場にも車中泊らしい車が数台停まっている。
 「誰もいないと思っていたのに・・・。」
 私が唖然としていると「そんなこと、あるわけ無いでしょ!」とかみさんに諭されてしまう。それでも、これまでに我が家がここを利用した時と比べれば、今日はがら空きの状態と言っても良いだろう。
タープを設営 先客との間に十分な間隔を確保できるところに直ぐに良い場所が見つかった。ここのキャンプ場は芝生広場とシラカバなどの樹木が素晴らしいバランスを保っているのが特徴で、その中のどこにテントを張っても満足することができるだろう。
 ただ、微妙な起伏があるので、完全に平らな場所を探すのにちょっと苦労する。
 それに今日は100ミリを越える大雨になるかもしれず、もしそうなったら芝生の上を水が流れるようになるかもしれない。慎重に地形を見極めて、テントを張る場所を決める。
 場所が決まったら、雨具を着込んでまずはタープを設営する。ソレアードを購入して以来、タープを張ることもほとんど無くなり、せいぜい2〜3回、一番最後にタープを張ったのは何時になるのだろう。
 久しぶりに袋からタープを取り出してみると、ペグは泥まみれのままで、張り綱もかなり雑に束ねられていてそれを解くのに一苦労した。
 如何にも大急ぎで撤収したような状態だったけれど、それが何処でのことなのか思い出せない。家に帰ってから調べてみたら、2年前に阿寒湖でキャンプした時にタープを張ったのが最後だったので、多分その時に大急ぎで撤収して、そのまま片付けもせずに物置にしまいこんでいたみたいだ。
 夜には風も強くなりそうなので、何時も以上に張り綱をしっかりと張ってペグも頭まで地面に打ち込む。これでもタープが飛ばされるとしたら、タープ本体が避けてしまうような事態になるはずだ。
 そのタープの下に先日届いたばかりのニューテント、モンベルのステラリッジ1型と、マジック・マウンテンの2人用テントを設営。
 この2人用テントはこれまでは我が家が持っている中では一番小さなテントだったのに、モンベルのソロ用テントと並べると、やたら大きく見える。
 その大きさの分、タープから少しはみ出てしまうけれど、雨ざらしの場所に設営するよりはいくらかましだろう。

豪華リビング完成   私のテントがはみ出てる・・・

 そうして出来上がった我が家のサイトは、何時ものキャンプとは全然違っていて、何だかとても新鮮に感じられる。
 タープを張らないときは、ソレアードの小さな前室をリビングにして慎ましく生活していた。それが今日は、4面全てがガラス張りの広々とした豪華リビングに引っ越してきたかのような雰囲気である。
美しい場内の風景 そして4面ガラス張りの窓から見える景色も素晴らしい。
 何年ぶりかでこのシラカバの点在する芝生広場にテントを張ったけれど、こんなに素晴らしいところだったのかと改めて見直してしまった。
 雨に濡れた芝生や木々が、その緑色を一層際立たせているためだろうか。とてもしっとりとして落ち着ける風景が、周囲に広がっているのだ。
 傘を差して場内を少し歩いてみる。
 前回ここに来た時は、芝生広場のサイトがテントで埋まっていたので、駐車場隣のシラカバ林の中にテントを張って、貸しきり状態の静かなキャンプを楽しんだものである。
 そこは下地が土なので、さすがにこんな雨の中ではテントを張る気にはなれない。
 その周辺の林も下草が刈られていて、その中を歩きやすくなっている。如何にもキノコが生えていそうなので一生懸命探したけれど、まだ時期が少し早いのだろうか、ベニテングダケが数本大きくなっているくらいだった。
 夕食はすき焼きで簡単に済ませる。その後は、何時ものキャンプならば焚き火タイムになるのだけれど、今日はタープを叩く雨音を聞きながら時間を過ごすしかない。
夜もタープの下で ポツポツと降っている間はその雨音にも風情が有ったけれど、雨の降り方が強まるにつれて、次第にそれがやかましく感じられてくる。
 タープを張る場所には十分に注意したつもりだけれど、その下に座って周りを見渡すと、何となく周囲のほうが高くなっているように感じてしまう。
 これ以上雨が激しくなってタープの下が水溜りになってしまわないか、ちょっと心配になってきた。
 でも、川原にテントを張っている訳ではないので、例え200ミリの雨が降ったところで、それほどの大事件にはならないだろう。
 何時もより早く、9時前にはそれぞれのテントに分かれて、激しさを増す雨音を聞きながら眠りにつく。 
 途中で目を覚ますと、寝るときにはボツボツボツと分かれて聞こえていた雨音が、一つに繋がってザーッと言う音に変わっていた。
 「大丈夫かな〜」と考えているうちに、そのまままた眠ってしまった。

 何度目かに目を覚ますと、テントの中が薄らと明るくなってきていた。雨音もほとんど聞こえない。たまにポツポツと聞こえるのは、隣のシラカバの木から水滴が落ちてくる音だろう。
 隣のテントからもゴソゴソと音が聞こえてきて、二人同時に起き出した。
 空はまだ曇っているけれど、どんよりとした曇り空ではない。予想よりは天気の回復が早いみたいだ。
雨の上がった場内 朝の散歩で湖畔の園路を歩いてみる。
 昔はキャンプ場の入り口に温泉施設があって、そこでレンタサイクルを借りてこの湖畔の園路を走ったことがあった。
 その時は確かフウマもまだ子犬で、自転車のかごに乗せていた記憶がある。
 散歩をしながらそんな昔を思い出していた。
 完全に雨も上がり、タープの外にイスを出して朝のコーヒーを味わう。
 昨日は豪華リビングを演出していてあんなにありがたく感じていたタープが、いざ雨が上がるとただの邪魔者にしか思えなくなる。
 やっぱりタープは、我が家にとって雨の時にしか必要の無いものなのである。
 もちろん夏の日差しの強い時にも役に立つけれど、我が家の場合そもそもそんな時にはキャンプへは出かけないのだ。

 天気予報を確認すると、今日は道北や日本海側の方が天気が回復するみたいなので、今日は何処か日本海側のキャンプ場に泊まることにする。
 そして午前中は、当初考えていたとおりに士別周辺の丘めぐりに出かけることにした。他にも神門の滝探検などのメニューも考えていたけれど、キャンプ地が遠くなってしまったので、そこはまた次の機会に譲ることにする。
行き先が決まったので、早々に撤収を開始した。テントもタープも濡れたままだけれど、次のキャンプ場で乾かせば良いので、雑巾でさっと水を拭き取っただけで袋の中に詰め込んだ。
キャンプ場を後にし、湖畔の展望台に登ってみる。そこからはちょうどキャンプ場周辺の様子が一望できる。
展望台の横ではオオカメノキが早くも色付き始めていて、その実も鮮やかな赤色に染まっている。周辺の木々も、気の早い一部の葉が赤や黄色に色付いて、秋の気配を感じさせていた。

展望台から見たキャンプ場   赤い実を付けたオオカメノキ

 士別市の川西の丘に車を走らせる。
 この丘についてはそれほど広くは知られていないけれど、美瑛の丘と比べても遜色のないような風景が広がっているとの話である。
 その風景を楽しみにしていたのだけれど、ちょっと残念なのは上空が雲に覆われていることだ。丘の風景はやっぱり、真っ青な空を背景にしてこそ際立つものである。
 青空が覗いたかと思えば、急に雨がぱらついたりと安定しない空模様。そんな天気なので、もしかしたら虹が架架かるかもと期待したけれど、それも適わず。
 「なまら蝦夷」No.6に載っている丘の地図を見ながら、アップダウンの激しい道を走り回っても、満足のできる写真は撮れなかった。
 天気の良い時にもう一度訪れてみたい場所である。

川西の丘   丘から見た黄金色の水田

 剣淵町のごとうチキンに寄って、今日のビールのつまみ用に燻製を購入。剣淵町の丘の風景もなかなかのものらしいので、そちらにも寄ってみることにする。
 でも、川西の丘と違ってこちらの情報は全くなし。それらしい場所は見つけたけれど、雲が再び厚くなり、丘めぐりをするような気分にもなれない。
 青空を求めて、サッサと日本海側に出ることにした。

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