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良いところってどんなところ?

良いところキャンプ場(7月21日〜22日)

 7泊8日の道東キャンプから帰ってきてから、早3週間が経ってしまった。
 その余韻も薄れてきてそろそろ次のキャンプでもと考えて候補に挙がったのが白滝高原のキャンプ場である。夏休みを間近にひかえて、そろそろ道内の各キャンプ場も混雑してくる時期だ。そんな時でも利用者が少なくのんびりと寛げるキャンプ場はどこだろう?そう考えて思いつくのは白滝高原しかなかった。
 でも、あれ?っと思ってキャンプ日記を見てみると、去年の全く同じ日にここに泊まっていたのだ。「浮島湿原で花を楽しんで」、とも考えていたのだけれど、去年もキャンプとセットで浮島湿原を歩いており、同じ日に行ったのでは咲いている花もほとんど変わりが無いはずだ。
 「これじゃあ、あまりにも芸が無さ過ぎるな〜」と迷っていると、週末の天気予報が雨になってしまった。
 この一ヶ月ほど、札幌近辺から道北にかけては極端な雨不足が続き、畑などもカラカラに乾燥していたので、ようやく待望の雨が降ってくれると、本来なら喜ぶべきことである。でも、「なんでそれがよりによって週末なんだ〜」とちょっと複雑な気持ちである。
去年の白滝も濃い霧の中のキャンプだったし、雨の中を遠出する気にもなれず、別の候補地を考えることにした。
 そうして決まったのが通称「良いところキャンプ場」である。
 ここは、3年前に見聞録のBBSで「正式なキャンプ場には指定されていないけれど、設備も整っていて、とても良いところだ」と話題になった場所である。
 見聞録BBSではそのまま「良いところキャンプ場」として呼ばれるようになり、はっきりとした場所も示されていないにも係らず、そこを探し当ててキャンプした人達から「本当に良いところでした」との報告が多数書き込まれるにようになってきた。
 私も最初はここに興味を持っていたのだけれど、人気が出るにしたがって私の天邪鬼な性格が顔を出してきて「まあ、そのうちに機会があれば行ってみるか」程度にしか考えなくなっていたのだ。
 それが今回、行き先に悩んでいる時にこのキャンプ場のことを思い出し、「そうか!こんな時のためにこの場所を大事に残していたんだ!」と考えるに至ったのである。

 土曜日の朝になって週末の天気予報は曇りに変わってしまっていた。金曜日も雨の予報だったのに、結局ほとんど降らずに終わってしまい、キャンプへ出かける前に庭の水撒きをするような有様である。
 札幌市内は晴れていたのに、高速道路を走っていると途中から霧雨が降り始め、路面には水たまりもできている。数日前には雨の中のキャンプも覚悟していたと言うのに、実際に雨が降り始めると「こんな中でテント張りたくないな〜」と直ぐに気分が滅入ってくる。それでも高速を下りる頃には雨も止んで、空も少しは明るくなってきたのでホッとする。
 キャンプ場付近の道は、過去に2度ほど通ったことがあるけれど、何れもただ通り過ぎるだけだったので、今回は少し周辺を回ってみることにした。
パン屋 有名なパン屋もあるらしく、ネットで検索してそこへ行ってみたけれど、まだ11時なのに残念ながら「売り切れ閉店」の札がドアにかけられていた。
 かなり山奥の分かりづらい場所にこのパン屋はあるので、一般の人が店頭で直接買いに来ることはまず無いだろう。ホームページにも書かれていたけれど、どうしても買いたいのなら予約しておいたほうが良さそうだ。
 周辺には廃屋も多く、その廃屋の幾つかには陶芸家やガラス工芸家が新たに住み着いて、一つの芸術村のような様相を呈している。
 昼食の準備は何もしていなかったし、気の利いた食事処も無さそうなのでどうしようと考えていたら、国道沿いに「SPAR]と言う名のコンビニ風店舗を発見。中に入ってみるとごく普通のコンビニで、弁当類も売られていたので早速それを購入。
 この付近は辺鄙な山村だと思っていたのにコンビニまで有って、おまけにそのコンビニでは鮮魚類まで売られているものだから、ちょっと驚いてしまった。廃屋も多く、勝手に山村のイメージを持っていたけれど、考えてみたら近くの大きな町からそれほど離れてもいない場所なのである。
 温泉の看板を見つけたので、ちょっと様子を見てくる。テントを張って汗をかいたら、そこに入ってみようと考えていたところだけれど、玄関の周りにはごちゃごちゃと色々な物が置かれ、かなり風変わりな外観にちょっとたじろいでしまう。
そのコンビニや温泉のある集落を通り過ぎると、今度はログハウス風のとても立派な建物が現れまたまた驚いてしまった。
温泉施設 「何だここは?SPA&INNって書いてあるぞ?、温泉施設なのかな?」
 他に何の表示も出ていないので、恐る恐る中に入ってみたら、その中もやたら立派な造りで、温泉のほかにレストランまで併設されていた。
 あらかじめ知っていればここで昼食を食べたのに、既にコンビニ弁当を買ってしまった後なので、レストランでのお食事は諦めるしかない。
 そこを過ぎると今度は、入り口に何とかコロシアムと書かれた、これもまた立派な建物が現れた。どうやらそれは体育館の建物らしい。周りにはテニスコートやらパークゴルフ場も整備されている。
 最初に頭に描いていたイメージと全く違う場所なので戸惑いさえ感じてしまった。
 キャンプ場への入り口を探しながらそのまま先へと進んだが、それらしい道も見つからないままかなり遠くまで来てしまっていた。
 「あれ〜、どこかでそれらしい看板見なかったか?」
 「全然気が付かなかったけれど・・・、キャンプ場の場所、知ってるわけじゃないの?」
 「・・・」
 道路地図上で見当は付けていたのだが、何せ縮尺の大きな地図なものだから、どこから曲がれば良いのかはっきりしないのだ。もう一度地図を確認すると、通り過ぎてしまった集落付近から道があるみたいだ。一旦引き返して、国道から集落の中へ続く道へ入ってみる。そこには何の看板も無い。
 キャンプ場へ行くには川を渡るみたいなので、その次に現れた小さな橋を渡る道を曲がってみた。もちろんそこにも何の表示も無い。その道で良さそうなことは何となく分かったけれど、知らない人は絶対にたどり着けないと言うか、そもそもその先にキャンプできる様な場所があるなんて誰も気が付かないだろう。

 山道を登っていくと、やがて東屋やトイレの建物が見えてきた。予備知識が無ければ、一体ここは何なんだと唖然としてしまうようなところである。
 そこから山に挟まれるように平らな芝生地が広がっていて、奥にいくほどその幅が狭まっている。道東キャンプの時に利用した浦幌森林公園のオートサイトと、地形的にはとても良く似ている。両者の違いは平地の部分に樹木が生えているかどうかだ。
 浦幌の方は、森林公園の名前の通りサイトが薄暗く感じるくらいの樹木に覆われていたけれど、こちらは一部にハマナスなどが植えられている他は広々とした芝生地になっている。
トンボもいます 中央に通路が1本延びているけれど芝生地の中も自由に車で乗り入れられる。
 さてどこにテントを張ろうかと考えながら一番奥まで行ってみたが、その付近では三方から山が迫ってきているので、ちょっと薄暗いイメージだ。
 そこからUターンして戻ってくると、ちょうど1台のRV車が場内へ入ってきた。
 「テントを張るのだろうか?」と思ってしばらく様子を見ていると、芝生の中に車を停めたままで下りてくる気配が無い。その車は無視して自分達のサイト選びを続けることにする。
 トイレや炊事場に近いところだと、後から団体キャンパーがやって来る恐れもあり、場内の中央付近に地面も平らで快適そうな場所があったので、そこにテントを張ろうと思った。しかしかみさんは、「もっと奥の方が良い」と言い張るものだから、しょうがなくかみさんの選んだ場所の方に車を移動させ、そこでテントを車から降ろした。
 するとそれを待っていたかのように、先ほどのRV車が、私がテントを張ろうかと考えていた近くの場所へそろそろと移動して行き、そして車の中から一人の男性が下りてきて、同じように車からテントなどを降ろし始めたのである。
 何のことは無い。お互いに相手の正体を見極めようと、車の中でにらめっこしていたようである。
 かみさんの選んだその場所は、地面が微妙に傾斜している。「これじゃあ、さっきの場所の方が良かっただろう」と言ったものの、既にそちらの近くでは先ほどの男性がテントの設営を始めており、今更そちらに戻ることはできない。
 何だか、じゃんけんの後出しで負けたような気分である。もう少し辛抱して、相手に先に動かさせてから、我が方のサイトを決定した方が良かったかもしれない。

設営完了 とりあえずはお互いに十分な距離を隔ててテントを設営。
 空は今にも雨が落ちてきそうな暗い雲に覆われているけれど、かんかん照りの中で設営作業するよりは、こちらの方がありがたい。
 設営が終わり一息ついて、コンビニ弁当の昼食にする。
 今時期のキャンプならば直ぐに蚊が群がって来そうなものなのに、何故か全然蚊の姿が見えない。
 この辺りでも全然雨が降っていないようで、地面もカラカラに乾燥しきっていて、ボウフラがわくような水たまりもできないのだろう。
 その代わりでもないけれど、近くの植え込みにはトンボが沢山とまっていて、横を歩くと一斉に舞い上がる。
 場内の草は最近になって刈られたようだけれど、そのまま残されている刈り草の長さから想像すると、草刈前には30cm以上は伸びていたみたいだ。
 その時にここを訪れていたらテントを張るのに草刈鎌が必要だったかもしれない。
 フウマのリードを外してやると、テント周辺の臭いを嗅ぎまわっていたかと思ったら、突然先ほどの男性のテントに向かってスタスタと歩いていってしまった。
 慌てて呼び止めたけれど、全く聞こえない様子でテント目指して真直ぐに歩いていく。
 そして、そのテント周辺の臭いを嗅ぎまわるのである。
我が家のテントと隣のテント 「すいません」と謝りながらフウマを連れ戻す。
 今年の春にみどりとロックの広場に泊まった時もそうだったけれど、フウマにしてみれば、広々とした場所に我が家以外のテントがポツンと張られていたら気になってしょうがないらしい。
 その男性は、ここには何度も泊まりに来ているとのことで、お気に入りのキャンプ場にしているらしい。
 ビールを飲みたくて堪らないので、まずは温泉に入りに行くことにする。
 集落の中にあった風変わりな温泉か国道沿いの立派な温泉、どちらにしようかと悩んだけれど、それぞれ600円と800円の入浴料なので、これならばやっぱり立派な温泉の方を選択してしまう。
 やや塩素臭のする循環ろ過のお湯だったけれど、ぬるぬるした感じがとっても心地良い。循環させてない源泉かけ流しのお風呂も外にあったけれど、ここの源泉温度は14度程度なので、そのかけ流しと言うことはつまり水風呂である。わざわざサウナに入る気もしないので、源泉かけ流しの風呂に入るのは諦めた。
 そしてキャンプ場へ戻って、ようやくビールで乾杯だ。
すっかりくつろいでます 水洗トイレと炊事場がある以外は全く何も無いところである。そこにあるのは、山に囲まれた静かな環境だけ。
 でも我が家にとってはそれだけで十分だった。
 今時期の週末キャンプでこんな静けさを楽しめるところなんて、道内でもざらには無いだろう。
 周りの森の中からはもう少し野鳥のさえずりが聞こえてきても良さそうだけれど、もう恋の季節は終わってしまったのか、意外なほど静かである。
 時々、新たな車が入ってきたが、それらは皆、先にテントを張っていた男性の仲間らしい。
 ソロにしては大きめのタープを張っていたので、かみさんは「多分、先発隊で来ているのよ」と予想していたが、そのとおりだった。
 他のメンバーも全てソロの男性で最終的に4人ほど集まったようである。それぞれが大きめのテントを張っているところを見ると、普段はファミリーキャンパーなのだろう。
 今日は家族を家に残しての、親父達だけの秘密キャンプを楽しんでいるのかもしれない。

何作ってるの? 今日の夕食は具沢山の野菜カレー。
 食事が終わったら次は焚き火の時間。いつも通りの我が家のキャンプの時間が流れていく。
 このキャンプ場は、その存在をあまり知られていないので、逆に、他のキャンパーに気兼ねしなくて済むという理由から団体キャンパーの利用も時々あるみたいだ。
 その中で、ランタン愛好者のグループに遭遇したと言う話しを聞いたことがあった。
 彼らはサイトの周りにずらりとランタンを灯して楽しんでいるらしい。
 「もしかしたら、隣の人達がそのグループかも」何て考えて、暗くなるのを楽しみにしていたけれど、残念ながら期待に反して一個のランタンしか灯してくれなかった。
 かみさんが言うには「こちらが好き勝手な想像をしているように、もしかしたら私達のことも変なキャンパーだと思われてるかも知れないわよ。「夫婦かと思ったら別々にテントを立てているし、女の方は若そうだから、もしかしたら不倫キャンパーかも」何て言われてたりして。」
 そちらのサイトからも焚き火の爆ぜる音が聞こえてきた。とても静かな人達で、話し声もこちらまではほとんど聞こえてこない。如何にも大人のキャンパーって感じである。
 こんな馬鹿な会話をして大声で笑っている私達とは大違いである。

ホノウキの葉のテーブルクロス?   楽しい焚き火タイム

 翌朝は賑やかな小鳥達のさえずりで目が覚めた。
 その後しばらくして鳴き止んでしまったところをみると、朝の目覚まし代わりにさえずってくれたのかもしれない。
 テントから出ると、辺りには霧が立ち込めていた。
良いところ全景 道東キャンプから引きずっている、お決まりの霧の朝のパターンである。
 一体何時になったらキャンプで朝日の姿を見られるのだろう。
 でもそのおかげで今朝も焚き火を楽しめる。
 今時期の朝で天気が良ければ、暑くてとても焚き火などする気にはならないはずだ。
 雲のすき間から時々青空がのぞくようになってきた。
 天気予報を聞くと、今日の札幌の最高気温は30度近くまで上がるらしい。
 こんな時は気温が上がってくる前に撤収を済ませたほうが良い。
 そうして7時半には撤収が全て終わってしまった。
 その後は炭鉱跡の廃屋等を巡りながら、札幌の自宅へ戻ってきた時はまだ午前11時前だった。
 思いたった時に気軽に出かけて、そして静かな一晩を過ごすことができるキャンプ場。
 ここは本当に良いところである。

霧の場内   朝の焚き火



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