最高の川下りを楽しんで、再びどんころへ戻ってきた。まずは軽くビールを1本開ける。
3連荘の川下りを計画した今回の例会だけれど、やっぱり人気は今日のシーソラプチ川だった。そのために今日で帰ってしまう人も多くて、昨夜と比べると随分寂しくなってしまった。
川下りの後はお腹が空くので、まだ時間は早かったけれど炭を熾して肉が焼かれ始める。こんな時間から飲み始めると直ぐに酔いつぶれてしまいそうなので、五右衛門風呂に入って小休止することにした。
どんころの五右衛門風呂は四つの釜が並び、片側の壁が無い建物で眺めも良く、なかなか快適な施設である。
風呂から上った後、かみさんに腰にサロンパスを張ってもらう。今日の川下りの最後、国体コースの落ち込みで沈した時に腰を捻ってしまったのである。
カヌーも乗り手もボロボロの状態で、これで果たして明日も空知川を下れるのか心配になってしまう。
クラブのA美さんから、5時に札幌を出てそちらに向かっている途中だとの電話が入った。
札幌からどんころまでなら3時間あれば余裕で来られるけれど、A美さんの場合、その場にいる誰からもそう思われていないのが凄いところである。
「おいおい、誰かが夜中まで起きて待ってなければならないぞ」とか、「今頃は襟裳岬に向かって走っているんじゃないか」とか、「途中で電話してやった方が良いんじゃないか」「いや、一度電話で道を説明したけれど意味が無かった」とか、無茶苦茶に言われている。
まあそれだけ数々の逸話を残している人なので、それが本当になってしまうことも十分にあり得るのである。
空知川のほとりの「落庵」に泊まっている某カヌークラブのT木さんが、山の中で採ってきたと言うホンシメジを届けてくれた。早速バター炒めにして食べさせてもらったが、コリコリとした食感が最高である。
T木さんの本当の狙いは舞茸だったみたいだけれど、私としてはホンシメジの方が美味しくて嬉しかった。
我が家の今日の夕食メニューはしゃぶしゃぶである。大皿山盛りの野菜を完食してもらえてかみさんも嬉しそうだ。他にも食べ物がいっぱい有って、もう一つ用意していたチーズフォンデューは出さないままで終わってしまった。
8時頃に外で車の音が聞こえた。
皆「まさか!」と言った表情で顔を見合わせる。
ガラリとドアを開け、得意そうな表情を浮かべて入ってきたのは、そのまさかのA美さんだった。
早速クーラーボックスからエビスの黒ビールを取り出し、それをマイひとくちビールグラスに注ぎ、自らの大幅な記録短縮を祝して皆と乾杯。その後直ぐに手際良く美味しい料理を作って出してきてくれる。
その日の自分の飲みたい酒の種類に合わせて料理を作り変えると言うA美さんだけあって、出てくる酒の肴は絶品である。
今夜はK岡さんとK宮さんの2組の父子キャンパーが一緒である。
最初は大人に囲まれて静かにしていた子供たちも、I上さんの真似をして薪ストーブでプラゴミを燃やしまくったり、K宮さんのお父さんに教えてもらったビールの空き缶潰しの秘技を真似して、そこら中のビール缶を潰しまくったりとか大はしゃぎである。
何時もなら直ぐに怒りつけてくるお母さんもいない。K宮さんの息子さんは何時まで起きていても「早く寝なさい!」と怒られることが無いので楽しくてしょうがないみたいだ。
それでもやっぱり時間が遅くなってくると、いくら起きていようと頑張っても目が自然と閉じてきてしまい、最後はお父さんに抱っこされてテントへ連れて行かれる様子がとても微笑ましい。
私も自然と目が閉じてきてしまいそうなので、自力で歩けるうちにテントに入ることにした。
翌朝もやっぱり4時過ぎに目が覚めてしまった。2日間の川下りで疲れているはずなのでもう少し寝ようとしても、またしても昨日の川の様子が頭の中に浮かんできて眠れなくなってしまう。
シュラフの中で恐る恐る体を伸ばしてみる。少し筋肉痛があるもののそれほどひどくはない。腰の方も、風呂上りのサロンパスが効いたようで、今日の川下りに支障は無さそうだ。
かみさんが先に起き出して、私もしばらく微睡んだ後にテントから這い出す。昨日の朝と違って空はどんよりとした雲に覆われていた。
先に起きたかみさんは、薪ストーブを最初に燃やすのを密かに楽しみにしていたみたいだけれど、残念ながらその楽しみはK岡さんに取られたようである。
煙突からモクモクと白い煙が立ちのぼり、それが山間を伝わるように静かに流れていく。昔は何処でも見られる普通の風景だったけれど、今はそれが郷愁を覚える風景になってしまった。
テントの結露を雑巾でふき取るが、曇り空なのでなかなか乾いてくれない。それでも9時までには何とか撤収を全て完了して、例会三日目の空知川に向けて出発した。
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