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暑い夏を満喫朱鞠内湖キャンプ

朱鞠内湖畔キャンプ場(8月9日〜10日)

 私の職場では毎年お盆時期になると、交代で1週間程度の休みを取る。
 私の場合、長期の休みは春や秋の快適なキャンプを楽しめる時期に取るようにしているが、この時期はおお威張りで休むことができるので、特に予定が無くても休みを取ってしまう。
 2泊で私の実家の十勝へ帰省するくらいの予定しか無かったけれど、週末を入れて6日間の夏休みである。
 札幌では30℃を超す暑さが続き、家でゴロゴロして過ごすのも耐えられない。どうせゴロゴロするのならキャンプ場でゴロゴロした方がまだましだろうと考え、かみさんに提案してみた。
 暑さで苦労した京極キャンプから二日開けただけで、再び暑い中でのキャンプとなるとかみさんも良い顔はしない。
 「お土産とかも買いに行かなければならないし、一人で行ってきても良いわよ。」との返事である。
 自分一人ならかなりの悪条件でも我慢できるが、二人となるとそうはいかない。直ぐ隣で「あーっ暑い!こんなキャンプなんて耐えられない!」等と言われ続けると、それをなだめるために倍の苦労をしなければならないのだ。
 素直に今回は一人でキャンプへ出かけることにさせてもらう。
 行き先は朱鞠内湖。今頃は周辺の蕎麦畑が満開となって、白い海のような風景が広がっているはずである。
 誰にも気兼ねすることなく、良いポイントを探しながら蕎麦畑の風景をじっくりと撮影できそうだ。

そば畑の風景 早朝に札幌を出発。
 愛犬フウマも連れずに本当のソロキャンプにしようとも考えたが、さすがにそれでは寂しすぎるので、車の中の何時もの場所にはしっかりとフウマが収まっていた。
 幌加内までやってくると、期待したとおり満開の蕎麦の花が出迎えてくれた。
 しかし、晴れてはいるものの空全体に薄い霞がかかってしまい、そうなると青い空と真っ白な蕎麦畑のコントラストを楽しむことができない。
 蕎麦畑の中の道をあちらこちらと走り回ったが、結局お気に入りの景色に出会うことはできなかった。
 幌加内町政和の「飯処せいわ」で蕎麦を食べて、朱鞠内湖キャンプ場へと向かうことにする。
 最後に朱鞠内湖でキャンプをしたのは去年の3月以来で、雪の無い季節に限れば2年ぶりの朱鞠内湖である。湖手前の坂を上りきると、懐かしい朱鞠内湖の風景が目前に広がった。
 しばらく雨が降ってない割には満水に近い水位を保っていて、そんな時に感じる北欧のような風景となっていた。
 受付を済ませて、ワクワクしながらサイトへと向かう。
我が家のサイト 先客は数組しかいなかった。ところがその数組のキャンパーは、私の狙っていた場所を見事に全て占領していたのである。
 混んでいる時なら理解はできるが、これだけ空いているのに狙いのサイトが埋まってしまっているとは驚きである。
 カヌーを持ってきているので、できれば湖畔近くにテントを張りたい。その時の気温は既に30℃を超えていたので、日陰の無い場所にはテントを張りたくない。日のほとんど当たらない林間部分はブヨの住処となっていて、そこに足を踏み入れた瞬間待ってましたとばかりにからだの回りにブヨが群がってくる。
 そんな条件の中で一箇所だけ満足できそうな場所が見つかった。
 第2サイトの中の第3サイト寄りで、湖に岬状に突き出した部分のサイトである。ここは湖ギリギリまで車を乗り入れられるので、何時もは釣り人に占領されている場所でもある。
 平日ならそんな釣り人もやって来ないだろう。
 テントを張る場所はちょうど隣のシラカバが作る日陰の中に入っていた。
 体に無駄な力を入れると直ぐに汗が噴き出してくるので、そろりそろりと最低の運動量でテントを張り終えた。

美しい朱鞠内湖  湖畔に下りると水面を吹いてくる風で、いくらか涼しく感じられる。
 フウマが直ぐに湖に飛び込んで、気持ち良さそうに泳ぎ始めた。本人はいたって気持ち良さそうだが、その後の泥まみれの姿を想像するとちょっとゾッとしてしまう。
 テントに戻ると、フウマは暑くて堪らんとばかりにテントの日陰に倒れ込んだ。
 これだけ暑いと、ビールがほとんど水のように感じてしまう。最初はわずかに吹いていた風も、ほとんどなくなってしまった。
 頭の周りを飛び回るブヨは鬱陶しいけれど、べた凪となった目の前の湖の風景が心を癒してくれる。
 夕方近くになっていくらか気温も下がったので、湖にカヌーを浮かべることにした。
 カヌーに乗る前に一しきり湖を泳ぎまわるフウマ。その後、びしょ濡れになってカヌーに乗り込んできた。
 気温が少し下がったと言っても、手元の温度計は相変わらず30℃近くを指したままだ。直射日光を浴びて湖の中央まで漕ぎ出す気にもなれず、キャンプ場奥の沢まで入る程度にとどめる。
 それでも戻ってきてカヌーから降りると、Tシャツが汗でびっしょりと濡れていた。
 そこで、キャンプ場のコインシャワーを始めて利用してみることにする。100円で5分間、水圧もあまり強くないけれど汗を洗い流すくらいの役には立つ。
 スッキリとしてシャワーから出てくると、管理事務所の前にカナディアンカヌーを2台積んだ見覚えのある車が停まった。三日前に尻別川を一緒に下った進藤さん夫婦である。
 その時は富良野を回って朱鞠内湖へ行く予定と聞いていたので、ここで会ってもそれほど驚きもしない。もっとも進藤さんの方は私が朱鞠内湖に来るとは思ってもいなくて、突然声をかけられてかなり驚いたようである。
 進藤さんの話では後からkevipaさんミエさん夫婦もこちらにやってくるとの予定だとか。これには、こちらの方が驚いてしまった。 三日前に聞いた話では今頃は道東方面を回っているはずなのである。 こんな予定外の出会いも夏のキャンプの楽しいところである。

カヌーで湖上散歩   進藤家を迎えて

 暗くなってからkevipaさん達が到着した。どちらも今回は車中泊なので、私がテントを張っていた場所は車を停めるスペースが広くてちょうど良かったみたいである。
 夕方になってキャンパーも少しは増えてはいたが、それでも場内は静けさに包まれている。
 進藤さんは朱鞠内湖に泊まるのが今回初めてだったけれど、この状況がとても信じられないと言う。
 東京周辺にこんなキャンプ場があれば、大勢の人間が押しかけてキャンプ禁止になってしまうか、とんでもなく高い料金のキャンプ場になるかのどちらかだろうとの話である。
 こんな場所で普通にキャンプを楽しめる北海道の住人は、本当に恵まれているのかもしれない。
 ソロキャンプだったら9時には寝て翌朝思いっきり早起きしてカヌーに乗ろうと考えていたけれど、結局11時過ぎまで夜更かししてしまった。
カヌーの上でコーヒータイム それでもやっぱり翌朝は4時過ぎには目が覚めてしまう。
 外の様子を窺うと、湖は霧に覆われていた。これはまさに期待通りの展開である。
 その霧が風に吹かれて流されていくと、その中から美しい朝日が現れてくるのである
 進藤さんは私よりも早くに起きていたが他の人たちが起きてくる気配が無かったので、私一人で朝のカヌーを楽しむことにした。
 ガスストーブに水やコーヒー一式を積み込んでキャンプ場を出発。真っ白な霧の中をカヌーを進めると直ぐにテントも見えなくなってしまった。
 前方に見えるおぼろげな樹木の姿を頼りにカヌーを進める。これだけ濃い霧の中でカヌーに乗るのは始めての経験である。
 カヌーの上でパーコレーターでコーヒーを沸かした。完全な静寂の中をカヌーで漂いながら飲むコーヒーは格別である。
 霧はなかなか晴れてこない。時間を見ると既に太陽は高くまで上っているはずである。
 岸から少し離れると回りは全て真っ白な世界となってしまう。雪山に登ってホワイトアウトになった時と同じで、自分の向いている方向が全く分からなくなってしまう。
 GPSを乗せてこなかったことを後悔したが、岬から岬へとかすかな樹木の影だけを頼りにカヌー散歩を楽しむ。
 霧は徐々に薄くなってきたけれど、風に吹かれて霧が一気に流れていくような感動的な光景には出会えなず、キャンプ場まで戻ってきた。

霧の朱鞠内湖   霧の中に浮かぶ切り株

 他の皆さんはこれから朝食を作るところだと言う。朝食を終えた後も、カヌーに乗るでもなく何もしない時間をダラダラと楽しんでいるみたいだ。
 長期キャンプを楽しんでいると、こんな感じで時間を過ごせるようになるのだろう。
 我が家のように何時もせかせかと動き回っているようなキャンプばかりしていると、なかなかこんな時間の使い方ができない。
 何時ものパターンなら、朝のカヌーから帰ってきたところで既にキャンプは終了、後は撤収して帰るだけというところだろう。
 なるべく皆のペースに合わせようと、手持ち無沙汰ながらも一生懸命のんびりと過ごしていると、ミエさんが突然「カヌーで島に渡ってお昼を食べましょう」と言い出した。
 「えっ?!」
 朝のうちはべた凪だった朱鞠内湖の湖面も、今は風が吹いてきて全面が白いさざ波に覆われてしまっている。それに、昨日に引き続き気温も上昇してきて、日向では既に軽く30℃を越えているだろう。
 私の基準では絶対にカヌーに乗ろうと言う気持ちになる状況ではない。
 それでも、せっかくだから皆に同行することにした。そこに、もう一つの問題が。
べた凪の朱鞠内湖 進藤さんもkevipaさんも、川ではソロでカナディアンに乗っているくせに、今日はタンデムで乗ると言うのである。まあ考えてみれば、湖でわざわざカナディアンをソロで漕ぐ人がいるわけは無い。
 相棒がいない人間だけが、向かい風の中をソロで漕ぐしかないのである。
 さらにもう一つの驚き。いざ準備完了と言う時点での皆さんのスタイルである。
 私は暑くて堪らなくてTシャツ半ズボンにサンダル履きという姿なのに、他の皆さんは長袖長ズボンに長靴履きと言ういでたちなのである。
 まあ、三日前に炎天下の尻別川を一緒に下った時はこちらはドライスーツを着ていたのだから、どちらがどうだと言う話しでも無いのだが。
 そうして太陽の燦燦と照りつける湖面へとカヌーを漕ぎ出した。心配していた向かい風もそれほど気にならず、皆と同じペースでカヌーを進められた。
 その風も次第に弱まり、弁天島に近づく頃には湖面もべた凪になってきた。中の島と藤原島の間を抜けて広々とした湖面に出ると、湖全体が一枚の鏡となって夏の朱鞠内の空をそこに映し出していた。
 日中でこれだけの静かな湖面に出会えるとは思っても見なかった。
湖面に突き出した枯木 フウマがカヌーの中でばててきたので、一旦思案島に上陸して一泳ぎさせてやる。その後、そこの沖合いにある、朱鞠内のパンフレットにも使われた事のある水面からにょきりと突き出した枯れ木を目指す。
 そこでミエさんが一人でその枯れ木に乗り移って記念撮影。恐らくここでこんな写真を写したのはミエさんくらいだろう。
 先ほどの思案島に引き返して、そこで昼食にした。
 皆、汗びっしょりである。それでもとても気持ちが良い。これだけ気持ちよく汗をかいたのも久しぶりな気がする。
 最近は、なるべく汗をかかないように夏の間は静かに過ごす傾向になっていたが、夏の正しいすごし方は思いっきり汗をかくことなのかも知れない。
 帰りは再び向かい風に悩まされながら、何とかキャンプ場までたどり着いた。
 これからkevipaさん達は天塩の知り合いを訪ねた後に予定通り道東方面へ向かうと言う。ここが気に入った進藤さん達はもう1泊するとのことである。
 また来年どこかで会いましょうと約束して、それぞれの目的地へと向かった。

 帰り道に朱鞠内のhoshibooさんのところに立ち寄った。
 去年の冬のキャンプの帰りに寄ったときは奥さんにしか会えなかったが、今回はhoshibooさんとも初めて会うことが出来た。ネット上で繋がりのある人は初対面でも全くそんな気がしない。
 ソロキャンプのつもりが、色んな人たちと出会えた今回のキャンプであった。


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