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9年目の青空千畳岩キャンプ

ウスタイベ千畳岩キャンプ場(6月25日〜26日)

 二日目の目的地は宗谷丘陵、そして宿泊地は猿払村のさるふつ公園キャンプ場である。
 今年のGWのキャンプでも宗谷丘陵を訪れていたが、残念ながら生憎の曇り空。宗谷丘陵の風景は青空の下でこそ生きてくると考えていたので、既にその時から今年中にもう一度ここへ来てやろうと心に決めていたのだ。
 宗谷丘陵リベンジ、これが今回のキャンプの行き先を道北に定めた一番大きな理由だった。
 日の出岬を後にして、まずは昨日花火が打ち上げられていた雄武町の産業観光祭り会場に寄ってみる。会場入り口では巨大な鍋で今まさにカニが茹でられている最中だった。でも、それが食べられるのはまだ先みたいだ。
 売店のテント前は既に黒山の人だかりとなり、9時の販売開始を今や遅しと待ち構えている。漁協のテントの前が人が一番多い。我が家はその人だかりを避けて他のテントを見て回った。メインはやっぱりカニだ。
 せっかくだからと、我が家もそこで1匹千円のカニを購入。今日のキャンプ地は猿払公園キャンプ場を予定していたので、本来ならホタテ三昧の夕食のはずだが、別にそれに毛ガニが追加されたからと言って何の問題も無い。
 ついでに牛串や焼き鳥を買って車まで戻った。留守番していたフウマは思わぬお土産に大喜びだ。

ハマナス交流広場キャンプ場  祭り会場を後にして、途中のハマナス交流広場キャンプ場に立ち寄った。
 電源付きのオートサイトを無料で利用できると言うことで人気のあるキャンプ場だが、さすがにサイトはほぼ埋まっていた。
 中の通路をぐるりと回ってみると、テントの横にもう一つブルーシートで小屋を作っているキャンパーや巨大なアンテナをサイトの中に建ててしまっているキャンパー、その他にも家庭用の布団がずらりと干されていたりと、長期滞在者が多く独特の生活臭が漂うようなキャンプ場だ。
 現在は閉鎖されてしまった富良野の鳥沼キャンプ場の様子を思い出してしまうが、我が家としては全く触手の動かないタイプのキャンプ場である。

 その次にウスタイベ千畳岩キャンプ場にも寄ってみる。
 ここに初めて泊まったのは9年前の風と霧のひどい日で、翌日から始まる枝幸かに祭りの準備で夜遅くまで大音量でスピーカーの調整などが行なわれていたりと、あまり良いイメージは無かった。
 次に訪れたのはカニ祭りの真っ最中。キャンプする予定は無かったので一観光客としてカニ汁を食べたりして楽しませてもらった。
静かなウスタイベ千畳岩キャンプ場 今回はカニ祭りを1週間後に控えているものの、その準備はまだ始まっていなくて静かな様子の場内だった。
 真っ青な空の下に広がる緑の芝生広場、青い海に遠くの神威岬もくっきりと浮かび、こんな日のウスタイベは本当に美しい。
 「良いな〜、ここに泊まりたいな〜」、ぼそりと呟くかみさん。
 そんなこと言われても、素晴らしい青空が広がるこんな日だからこそ宗谷丘陵までは絶対に行きたいし、そこまで行ってからまたウスタイベまで戻ってくるのも馬鹿らしいのである。
 場内をぐるりと回ると、テントを張るとしたらここしかないだろうと二人の意見が一致する場所を見つけた。
 キャンプ場の一番奥、やや小高くなっていて神威岬が正面に見えるサイトだ。
 頭の中に浮かんでくる最高のキャンプシーンを振り払って、宗谷岬へ向けて北上を続けることにした。
 道路上から時々オホーツク海が見えるが、そのあまりにも鮮やかな群青色の海に思わずドキッとしてしまう。本当に気持ちの良いオホーツクドライブ日和だ。
 浜頓別に近づくと急に風が強くなってきた。道路沿いの風力発電の風車が勢いよく回転している。
お気に入りの風景 猿払村の浅茅野付近から国道を離れて海岸沿いの道路を走る。牧草畑の中に伸びる真直ぐな直線道路、私のお気に入りのスポットである。
 今回は雲一つ無い青空のおかげで、その風景がなおさら際立って見える。
 猿払村市街地の手前にあるライダーハウス兼食事処の「やませ」と言う店で昼食にすることにした。
 店の入り口に「イトウ釣りの方は長靴の泥を落としてからお入りください」との注意書きが貼られているのが如何にも猿払らしい。
 1000円のやませ定食を注文。ホタテの刺身にサケのルイベ、ホタテの照り焼き、ホタテのあえものにカニの味噌汁、地元産の海産物が沢山付いて、これで1000円はお得である。
 途中の直売所で殻付きホタテを買うつもりでいたけれど、この昼食でホタテはもう十分と言う気分になってしまった。
 そうして猿払公園キャンプ場に到着。これだけ風が強くてはとてもテントを張る気にはなれない。もし風が無かったとしても、果たしてテントを張っていたかどうかは分からない。
 一度ここを下見で訪れたときは、どんよりとした曇り空であまり良いイメージは無かった。それでも宗谷丘陵からは一番近いし、青空の日なら開放的な気分のキャンプを楽しめるだろうと考えていたのだ。
 ところが、車が沢山停まっている道の駅に隣接しているものだから、第一印象はやっぱり良くないのである。
 一張りだけ張られているテントが風に煽られて今にも吹き飛ばされそうになっている。道の駅に寄っただけでキャンプ場へは足を踏み入れずにそのまま宗谷丘陵へと急いだ。
 行く手の空に雲がかかってきたのが心配である。強風に乗って日本海から雲が流れ込んで来ているのかもしれない。これではGWに訪れた時の二の舞になってしまいそうだ。
青空の下の宗谷丘陵 宗谷岬まで行く手前で丘陵の中へ続く砂利道があったので、そこを進んでみることにした。
 坂道を登りきったところで後ろを振り向くと、緩やかな丘のうねりの向こうに真っ青な海と空が広がっていた。
 宗谷丘陵に興味を持って以来何度か足を運んでいたが、ようやく期待していた風景に出会えた気がする。
 ただ、前を向くと強風によって千切られたような雲がどんどんとこちらの方に向かって流されてきているのが見える。
 雲に覆われる前にもっと奥まで行かなくては。車に飛び乗って先を急ぐ。やがて砂利道は舗装道路へとぶつかった。GWに来たときは冬季間の通行止めで通れなくなっていた道である。
 丘陵地帯の中でもひときわ高く聳えて、頂上にレーダー施設が作られている山の方へと進んでみた。
 坂を上るにしたがって宗谷丘陵の全貌が眼下に広がってくる。一番眺めのよさそうな場所で車を停めて外に出てみる。
 周氷河地形と呼ばれる氷河の侵食によって作られたなだらかな丘の連なり、この風景に逢いたくてはるばると札幌からやってきたのである。
 しかしオホーツク海の方を見ると青空が広がっているのに、後ろを振り向くと空はほとんど雲に覆われてしまっていた。
 天気が良ければ、もう少し周辺を走り回って色んな角度から丘陵の風景を楽しんでみたかったけれど、これだけ雲が広がってしまうと、この場所以上の風景には出会えそうにも無い。
 時間が無いのでそろそろ戻らなくては。
 猿払公園に泊まるのならばもっと時間の余裕があるのだけれど、私の心の中では既にこの時ウスタイベまで戻ろうと言う気持ちになっていたのである。

 

 真っ青なオホーツク海を、来るときとは反対側に眺めながらの気持ちの良いドライブ。同じ道をまた90km引き返さなければならないと言うことは、全く気にもならない。
 ただ、来るときに見かけた白バイにだけは注意しなければならない。案の定、途中で営業マン風の男性がその白バイに捕まって調書を取られている場面に遭遇した。
 若そうな警察官である。真っ青な空の下に伸びるオホーツクの道、違反車両を見つけてサイレンを鳴らしながらその後を猛スピードで追いかける瞬間、きっとその警察官も最高の快感を覚えているのだろう。
 趣味で白バイに乗っているような警察官に捕まえられたら堪ったものではない。
 一番最初の計画では、猿払に泊まった後オホーツク沿いを南下しながら、途中のエサヌカ原生花園、王子の森、ベニヤ原生花園などをゆっくりと見て回るつもりでいたが、ウスタイベまで戻るためにはそこに時間を割いているわけにはいかない。
 クッチャロ湖に泊まるという選択肢もあったが、浜頓別まで戻ってきても相変わらず風が強いのでそのままウスタイベに向かうことにする。
 ベニヤ原生花園にだけ立ち寄ってみたが、今年は原生花園の開花もかなり遅れているみたいで、ほとんど何も咲いていないような状況だった。これなら日の出岬の方が花が多いくらいだ。
 ウスタイベの手前の神威岬にも寄りたかったけれど、こちらは明日にまわすことにしてそのまま通り過ぎる。
ちょっと邪魔くさそうな我が家のテント そうしてようやくウスタイベ千畳岩キャンプ場に到着した。ここまで来ると風はほとんど吹いていない。
 朝に来たときは何張りかのテントが張られていたけれど、今は一張りしか残っていなかった。
 テントを張るならここしかないと決めていたサイトにまっしぐら、ところがその場所は広い場内に一張りしか張られていないテントの真正面になってしまうのだ。
 距離はかなり離れているし、朝のような状態であればそれほど気にならなかったかも知れない。それが今はわずか一張りのテントだけ。
 「他に場所はいくらでもあるのに、何でわざわざこんな近くにテントを張るんだ」、私がそのキャンパーの立場なら絶対にそう思ってしまう。
 かみさんも同じ考えなものだから、「違う場所にしましょうよ」とやや離れた場所を選んだが、そこだと近くの民家が視界に入ってきてしまう。やっぱりテントを張る場所は、ピンポイントで最初に決めたところしかないと言う感じだ。
 意を決して、「すいません、ちょっと目障りかもしれませんがそこにテントを張らしてもらって良いですか。」と聞いてみた。
 若い夫婦連れのキャンパーだった。「どうぞ、構わないですよ」との返事。やった、これで心置きなく希望した場所にテントを張ることができる。
 もっとも、このように聞かれて「邪魔だから違うところに行け!」と答えるようなキャンパーはほとんどいないだろう。
 良く考えてみればちょっとずるいやり方だけれど、勝手に目の前にテント張られるよりは相手も少しは納得してくれると思うのである。
素晴らしい眺めのサイト 全面が芝生のキャンプ場でその付近だけが所々に岩盤が露出していて、その陰にはヒオウギアヤメがひっそりと花を咲かせ、隣の草地の中ではセンダイハギやエゾカンゾウも咲いている。
 背後の山が陸地側の視界を遮り、その山の連なりを辿っていくと神威岬で海へと没している。そこから先は一面の大海原。
 そんな風景を眺めながらの設営後ビールの味は格別である。
 浮島湿原で採ってきたタケノコがまだ半分ほど残っているので、かみさんがのんびりとその皮を剥いている。
 雄武町で買ってきたカニはほとんどが鉄砲汁の具となってしまうが、少しだけそのまま食べさせてもらう。
 これが無茶苦茶に美味しい。「ロシア産の冷凍毛蟹とは全然違うよな〜」と言いながら、これだってもしかしたらロシア産の毛蟹かも知れないということは敢えて考えないようにする。
 山の幸と海の幸がたっぷりと入った鉄砲汁で美味しい夕食をいただいた。
 今時期のキャンプでは明るいうちに夕食を済ませて、その後ゆっくりと夕焼けの時間を待つことができるので、とてもリラックスすることができる。
 もしかしたら今日も美しい夕焼けを楽しめるかなと期待していたけれど、夕陽の沈む場所が山の方に寄り過ぎていたので、昨日のような美しい夕焼けにはなってくれなかった。
夕暮れの風景 それでも日没後しばらくは、カムイ岬周辺が何時までもピンク色に染まっていて、とても美しい。
 我が家の隣のテントの先客は、しばらく前からどこかに出かけて留守だったので、気兼ねしないでそんな夕陽の風景を楽しむことができる。
 焚き火に火を点けて夕暮れの一時をゆったりと過ごす。
 次第に闇が深くなり、星が一つ二つと瞬き始め、やがてその瞬きが全天の空に広がった。
 何時もならば簡単に見つけられる白鳥座が、明るい星の数が多すぎるのでなかなかその場所が分からない。
 今回かみさんは2006年星空年鑑という本を持ってきていて、暗くなる前に色々と調べていたみたいだが、実際の星空を目にすると何が何だかまるで分からないようである。
 岩の上に寝転がって満天の星空を見上げる。こんな風に寝転がって星空を見ていると、本当にそのまま宇宙の中に吸い込まれそうな気がしてくる。
 私も星座や星の名前がなかなか覚えられない。花の名前を覚えると原生花園を歩く時に楽しみが増えるように、星座の名前を覚えるともっと星空を見るのが楽しくなるのだろう。
 ただボーっと星を見上げて、時々人工衛星を見つけて喜んでいるくらいでは、勿体ないような気がする。
 あまりにも快適な夜なので、今日も10時過ぎまで夜更かししてしまった。明日は朝陽が昇るのも気にしないでゆっくり寝ていることにしよう。

 そう思って昨晩は寝たはずなのに、目を覚ますと既にかみさんの姿はテントの中には無かった。
 「うわっ、勘弁してくれよ、今日はもっと寝させてくれ」と、再びシュラフの中に潜り込んだが、漁船の出港する音が賑やかに聞こえてくるし、無駄な抵抗はやめて私も起き出すことにする。
 今朝も雲一つ無い空が広がっていた。やがて水平線から朝陽が昇ってくる。漁船を追いかけるように、カモメたちが朝陽の前を次々に横切って飛んでいく。
霧に包まれる朝陽 そんな風景をしばらく眺めていたら、何時の間にか海霧が湧き出して朝陽をその中に包み込んでしまった。
 場内も濃い霧に包まれ何もかもがぼんやりとかすんでしまう。でも、こんな霧は直ぐに晴れるのが分かっているので、霧の風景を楽しむ余裕さえある。
 やがて予想通りにその霧も次第に晴れてきて、真っ青な空や海が姿を現してきた。霧の白と、空や海の青とのコントラストがとても美しい。
 オホーツクの自然が至れり尽くせりの歓待をしてくれているようで、思わずその風景に手を合わせたくなってしまった。
朝の一時を楽しんでいると、直ぐ横の草原に色々な野鳥たちがやって来ては軽やかな囀りを聞かせてくれる。
 双眼鏡を引っ張り出してきてその姿を追っていると、かみさんが野鳥図鑑を見ながら、「あれはノビタキね、あの声はエゾセンニュウ。」と解説してくれる。
 最近はかみさんもかなり鳥の名前に詳しくなってきたようだが、私は相変わらず鳥の名前は覚えられない。
 たっぷりとオホーツクの海と空を満喫した2日間、今日はこれから内陸部へ移動する予定なので、もう少しここでゆっくりとしたかった。
 しかし、朝早くから今週末のカニ祭りの準備が始められてしまった。まずは場内全体の草刈をするらしい。それにしても朝の8時前から草刈を始めるとは、ちょっと早すぎるような気もする。
 最後の名残を惜しむ間もなく、慌てて片づけを済ませてキャンプ場を後にした。
 とその前に、最後にもう一度千畳岩の海岸で焚き火用の流木をたっぷりと拾い集めた。自宅から持ってきた薪がまだ沢山残っているというのに、こんなに流木集めてどうする気だろう?

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霧が晴れてきた   野鳥のさえずりを聞きながら

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