トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2005年キャンプ日記

釧路川パドル忘れて北見キャンプ

富里湖森林公園キャンプ場(9月18日〜19日)

 釧路川を下り終え、屈斜路湖あたりで温泉に入って、今日のキャンプ予定地多和平へ。
 当初の予定ではそうなるはずだったのに、何かしらトラブルが起こって予定どおりに事が進まないのが我が家のいつものパターンである。
 今回も釧路川を下る直前にそのトラブルが発生した。
 何と、下流に回した車の中にパドルを置き忘れてしまったのだ。
 ところが、屈斜路湖キャンプから帰る途中だった「丸太小屋通信」のkageさんが、偶然その場に居合わせたものだから、無理を言ってパドルを貸してもらい、何とか無事に釧路川を下ることができたのである。
 kageさんは北見に住んでいるので、下り終わった後は北見までパドルを返しに行かなくてはならない。さすがに北見から多和平まで戻ってくる気にもなれないので、北見方面のキャンプ場に泊まることにした。
 翌日は札幌まで帰るだけなので、何処に泊まっても大して関係ないのである。釧路川を下って弟子屈へ到着したのが午後3時、急いで着替えをすませ3時半には北見へ向けて出発した。
 雨も上がって、青空も雲のすき間から顔を出すようになってきた。ところが、美幌峠ではまた濃い霧に包まれてしまった。また天気が崩れるのかなと思っていたら、峠の頂上に近づくにつれて霧が次第に晴れてきた。そして、その霧の中を突き抜けた途端、雲海に沈んだ屈斜路湖の素晴らしい風景が目の前に現れたのだ。
 「おお、すっげー!」
 しかし、先を急いでいるので車を停めて写真を撮っている余裕もない。明日の朝は早起きして、また屈斜路湖まで戻って来ようという考えが頭の中に浮かんできた。
 北見では富里湖森林公園キャンプ場に泊まるつもりだ。写真を見る限りではなかなか素晴らしそうなロケーションで、以前から気になっていたキャンプ場である。それでも、札幌からそこに泊まるためだけの目的で、わざわざ出かけてくることも考えられないので、今回がちょうど良いチャンスになったのだ。
 ただ、到着時間が遅くなり、既に沢山テントが張られている中を空いているスペースを探して歩き回るというのはどうも好きではない。
 そう思って道中を急いでいたが、買い物とかしていたら結局北見に着いたときには午後5時を過ぎてしまっていた。
 kageさんに電話をして、市内のGEOという店の駐車場で待ち合わせる。先にそこについて待っていると、突然目の前に車が止まってその運転手の方が手を振っていた。
 「あっ、おおぬまさん!」
 見聞録からもリンクしている「北見の国から」のおおぬまさんだった。これが初対面になるのだが、ホームページの写真で顔を良く知っているので、全然そんな気がしない。
 kageさんから話しを聞いて、わざわざ待ち合わせ場所まで駆けつけてくれたのだ。おまけに、自分で採ってきたボリボリやヒラタケをお土産に持ってきてくれたのである。
 そしてkageさんも到着。奥さんと二人の娘さん、わざわざ家族全員で来てくれた。
 パドル忘れ事件がきっかけで、思わぬ場所でこうして顔を合わせることができるなんて、何が幸いするか分からないものである。
 もっとゆっくりと話しをしたかったが、既に空は暗くなってきているので、皆にお別れして富里湖キャンプ場へと向かった。

途中の道から見た夕焼け 西の空には綺麗な夕焼けが広がっていた。
 「この夕焼けをキャンプ場でゆっくりと眺めたかったな〜。」
 何だかつい先日も、こんな事を考えながらキャンプ場へ急いでいた事があったばかりだ。
 日が沈むのが早くなった今時期ならば、午後2時頃にはキャンプ場へ到着して、ゆったりとした一時を過ごしてから夕暮れの時間を楽しみたいところだ。それなのに最近は、あわただしいキャンプばかりが続いている気がする。
 キャンプ場に到着した頃は、既に薄暗くなってきていた。
 「空いてる!」
 湖畔に広がる整備されたキャンプ場と静かな富里湖の佇まい、そこには小さなテントが一つポツンと張られているだけだった。先客のテントが立ち並ぶキャンプ場の様子を思い描いていたので、予想外の光景に思わず笑みがこぼれてしまう。
 駐車場から階段を下りて湖岸のサイトに出る。低く刈り込まれた芝生、湖岸に沿って規則正しくベンチとサクラの木が並んでいる。先客のテントから十分な距離を取り、ベンチとサクラの木がちょうど良いバランスになっている場所があった。そんな気に入った場所が見つかった時は、テントの設営作業もとても楽しく感じられる。
 ミニマム装備の時は、ベンチ一つがあるだけでとても助かる。速攻でテントを設営。今日は焚き火もできそうなので、札幌から持参してきた薪を車まで取りに戻る。2往復ほどで全ての荷物を運び終え、直ぐにご飯を炊きながら焚き火にも火を付けた。
ヘッドランプの明かりで夕食準備 時間は午後6時半、ここでようやくビールで乾杯することができた。
 こうして落ち着いてみると、多和平に泊まるよりもずーっと快適だったような気がする。なかなか良いキャンプ場だ。
 夕食は、炊き込みご飯とコンビニで買った味付きカルビ、それにインスタントみそ汁である。このみそ汁に、おおぬまさんからもらったキノコを入れたので、インスタントみそ汁が豪華なキノコ汁に変身した。
 それにしても質素な夕食であることに変わりはないが、歴舟川の時のコンビニ弁当よりはずーっとましである。
 唯一の先客の男女カップルは、食事を済ませると駐車場の車に戻ってしまったようで、結局サイトは我が家だけで独り占めの状態だ。
 静かなサイトは虫の音に包まれ、湖の対岸の山からはフクロウの鳴き声も聞こえてきた。

 食事をしている時に1台のバスがやって来て、我が家のサイトのずーっと上の方に駐車していた。
 「あんな場所に、展望台でもあるのかな?それにしてもあのバスで何しに来たんだろう?」
 その時は大して気にもしないでいたのだが。
 やがて、そのバスの方から笑い声が聞こえてきた。どうやらそこでキャンプをするみたいだ。犬も一匹いるみたいで、時々鳴き声が聞こえてくる。
 おじさん達の話し声が次第に大きくなってくる。それに混じっておばさん達の笑い声。こんな静かなキャンプ場で、何故それだけ大きな声でしゃべらなければならないのだろう?
 それでも、話し声や笑い声は止めどなく大きくなり続け、周囲の山にこだまするようになってきた。犬も興奮し始めたのか、休みなく吠え続けている。
 そこについに子供達の登場だ。キャンプへ来て思いっきりハイテンションになった子供達。甲高い声なので、大人達の大声の何倍もあたりに響き渡る。
 我が家のこれまでのキャンプ歴でも、これだけうるさい団体キャンパーに出くわしたのは初めての経験だ。山の谷間の小さな湖と小さなキャンプ場、団体キャンパーの歓声だけがそこに響き渡っているのである。
 当然、虫の音やフクロウの鳴き声など聞こえるはずもない。
 何かの拍子でそれらの歓声が途切れたとき、突然のように真の静けさが戻ってくる。しかしそれもほんの一瞬だけだ。
 「頼むから静かになってくれー。」
 心の中で祈りながら、ついに我慢も限界に達しかけていた午後9時頃。
 「おーい、子供達はそろそろ寝る時間だぞー。」との声。
 その声がきっかけで、信じられないような大騒ぎは一気に終わりを告げたのである。まあ、何というか、これを良識的な宴会キャンパーとでも言うのだろうか。

静かな夜 一日遅れの満月が昇ってきた。薄い雲に包まれてしまっているものの、それでもあたりを明るく照らしてくれる。
 月明かりに照らされる多和平キャンプ場、そのイメージはなかなか頭の中からぬぐい去れなかったが、ここの月明かりでも十分に満足である。
 そして静かに燃える焚き火の炎、再び鳴き始めたフクロウの声、時々湖から聞こえてくる魚の跳ねる水音、釧路川下りの体の疲れをようやく癒すことができた。

前日の阿寒湖と違って、静かな夜をぐっすりと眠って過ごし、そして快適な朝を迎えた。
朝の焚き火とコーヒーを楽しむ。
改めてキャンプ場の中を歩いてみた。
サイトの後ろの傾斜地にずらりと並ぶバンガロー群。そこからの眺めもなかなか良さそうだ。
今回はその1棟だけに利用者がいたが、それらのバンガロー全てが埋まっていたとしたら、そこから見下ろされているような感じで、テントサイトの方では何となく落ち着かなく感じるかもしれない。
湖は本当にこぢんまりとしている。それでも周りを全て山に囲まれ、箱庭的な美しさだ。
かみさんも、「秋にもう一回来ても良いわね。」と言うくらい、ここのキャンプ場を気に入ったみたいである。
確かに、秋の紅葉もここならかなり美しいかもしれない。

キャンプ場の朝   朝の焚き火

 前日の雨の影響で湿度が高く、テントの結露もかなり激しかった。
 気温が上がってくると、フライの内側に付いた結露がポタポタと雨のように落ち始めた。タオルでその結露を全て拭き取る。
 テントが乾くまで、対岸の山の中に遊歩道が整備されているようなので、その中を歩いてみることにする。
下草の刈られた森 森の中に一歩足を踏み入れただけで、とても良く管理されている事に驚かされた。
 綺麗に下草が刈られているのである。キャンプ場も森林組合の管理になっているが、さすが北見の森林組合は違うなと感心させられてしまった。
 オオウバユリとかまで刈られてしまっているのはちょっと残念だが、笹が無くなった分、森の中もとても明るく感じられる。
 木漏れ日が森の中に射し込んでくると、それまで笹に覆われていた林床の植物たちがその陽射しを受けて生き生きと蘇ってくるようである。
 自然のままの森も良いが、管理された森というのもまた美しいものだ。
 気持ちよく遊歩道を歩いていると、阿寒の森を歩いていたときと同じ鳴き声が聞こえた。
 エゾリスである。
 口に木の実らしきものをくわえて、樹木の幹を軽やかに駆け上っていく。
今回はかろうじてその姿を写すことができた。
シマリス 急な坂道を登り切って尾根沿いの道を歩いていると、やがて下草の刈られていない自然のままの森の中に入ってきた。
 そんな場所には森の恵みが一杯である。
 ボリボリにホウキタケ、名前ははっきりと解らないけれど、確実に食べられそうなキノコも一杯。
 秋の森は本当に楽しい。
 途中から丸太階段が続く坂道を一気に降りて、湖岸沿いの道に出てきた。そこは舗装された遊歩道になっている。
 その気になれば湖一周も簡単にできそうだ。
 付近の山にはまだまだ沢山の遊歩道が整備されていて、時間があればもっとゆっくりと歩き回ってみたい場所だ。
 キャンプ場へ戻ってくると管理棟が開いていたので、そこで料金を支払った。
 かなり陽射しが強かったのに、テントは全然乾いていない。テントだけ砂利の上に移動させて、他の荷物を片付ける。
 最近はせっかちキャンプが癖になっているので、テントが乾くまでのんびりと時間を過ごす事ができなくなってしまったような気がする。
 キャンプに来たときくらいもう少し心に余裕を持ちたいものだ。
 最後に、完全に乾いたテントを撤収して10時にキャンプ場を出発した。

木漏れ日の道   森の恵み

 そこからは旭川周りで帰った方が近いのだけれど、道東道を経由する高速道路の割引チケットを買っていたので、一旦足寄まで戻って高速道路に乗ることにする。
 60kmほど遠回りになるけれど、せっかくの割引チケットを無駄にするのも勿体ない。それにしても、このチケットを買った時は、まさか北見のキャンプ場に泊まることになるなんて、思ってもいなかったのである。
 途中の陸別町で何か美味しい食べ物が無いか「まんぷく十勝」で調べてみたところ、美味しい豆腐屋さんがあるみたいだ。
 かみさんナビの言うとおりに道路を進み、目的の林豆腐店に到着。街中にある店かと思ったら、結構山の中にまで入ってきたので、ちょっとビックリした。
 変わった場所だなーと思いながら車を降りると、その隣に「かぶとの里」の看板が出ていた。
 「あれ?この名前は聞いたことがある!」
 そこは「かぶとの里」と言うキャンプ場だったのである。
林豆腐店 豆腐を買ったついでにキャンプ場も覗いてみたが、こぢんまりとしてトイレや炊事場は貧弱だけれど、サイト自体は快適そうな場所だった。
 そして名前のとおり、カブトムシの増殖施設もあって、子供達には楽しめそうな場所である。
 「まんぷく十勝」を参考に、足寄町の細川食品でも豆腐を買って帰ってから食べ比べる事にした。
 そして道東道を一気に走り抜け、日勝峠登り口のローソンで弁当を買ってそのまま駐車場の車の中で食べることにする。
 すると赤いカナディアンを積んだ車が、隣に入ってきた。
 「あら!」
 見聞録の掲示板でもおなじみのmikinnさんファミリーだった。アリーを積んでいるので直ぐに気がついてくれたみたいだ。mikinnさん達は別のカヌークラブの例会で歴舟川を下っていたのである。
 何だか今回のキャンプでは、思わぬ出会いが沢山あった気がする。
 後は札幌まで一気に帰るだけだ。
 日勝峠を登っていると、追い越し車線を猛スピードで走ってきた車が突然我が家の車の横でスピードを落とした。危ない運転する車だなーと思っていると、突然その車の助手席から男性が顔を出して手を振り、そのまま走り去っていった。
 「・・・、誰だ?、今のは・・・」
 突然の出会いが多すぎて、もう何が何だか解らない状態である。
 後日、その人は同じ会社の人間だったことが分かったが、最近は本当に突然声をかけられることが多くなってビックリしてしまう。
 その時の目印は、アリー、フウマ、小川のソレアード、この三つのようである。

 こうしてハプニング続きの道東キャンプは終わりを向かえた。
 ちなみに、林豆腐店の箸で持っても崩れない固さが特徴の「故郷豆腐」、その固さにはビックリしたけれど、味は普通の豆腐と変わりないかな。

キャンプの写真アルバムを見る



戻る   ページTOPへ